2年4組バレンタイン・デー〜謹製ラム☆チョコレート〜


2月に入ると、なぜか学生はそわそわしだす。その光景はそれほど表立って華やかなお祭りを待つ雰囲気ではなかったが、友引高校全体にも、密やかなイベントを待ちわびる男女の囁き声があちこちから聞こえてきた。

バレンタイン・デーがそれだった。特に関心なさそうにしている者、余裕すらうかがえる者、好きな女子の気を引こうと普段よりも親切になる男子など。

また、女子の様子はどうかというと、これまた手作りチョコの計画に余念が無く、チョコレートレシピを研究する熱心な姿が見受けられた。

もちろん、誰もが好意を抱く女子から義理でもいい、チョコレートをもらいたいと願っていた。それが本命なら尚更の事だ。

男子の多くが願っていたのは、2年4組・諸星あたるにチョコをあげる事は確実な、緑の髪と緑がかった瞳に独特のなまりのある美少女から、どんな形でもいいからチョコをもらう事だった。

ラムは相変わらずあたるにベッタリで、何が欲しいかしきりに質問を浴びせていた。

「チョコ以外に何が欲しいっちゃ?ね、ダーリン」

しかしあたるは相も変わらずそっぽを向いて、ラムの質問など耳に入れるつもりはさらさら無いようだった。

ぜひ僕等に愛の手を!

そんな言葉が男子たちの咽喉元まで出掛かったが、ぐぐっ、とこらえる。どうせ無駄な事はわかっているからだった。嗚呼、実に悲しきは、片思い。


2月14日月曜の前週、友引高校はインフルエンザの猛威に見舞われた。週末には学校の半数以上が欠席となり、週明けに学校閉鎖する事が決定した。学生達はバレンタインの当日が休校、という憂き目を見たのである。

13日日曜日。ラムはUFOにいた。何らや色んな物質を調合している。試験管にフラスコ、ビーカーに液体や粉末をぶち込んでかき混ぜ、バーナーの炎で熱し、ドラム缶ほど大きな金属の容器にタプタプと注いで鉄棒で混ぜている。

「ふぅ〜出来たっちゃ、ルンルン♪」

満足そうに鼻歌を歌いながら、製作課程で汗びっしょりになったラムは、シャワー室へ入った。勢いよく吹き出すシャワーの音と一緒に、ご機嫌そうな歌声が響いてきた。

シャワー室から出てきたラム。誰もいないUFOの中ではラムはバスタオルも巻き付けずにいた。バスタオルで長い髪の水分を丁寧に拭き取り、お湯でほんのり赤くなった身体からは湯気が立ち昇っていた。

さっき作っていた金属容器の中のもの。それは少しとろみのある、茶色い液体だった。

「うん、ちょうどいい具合だっちゃね。もう冷めたかなー」

液体を指ですくってペロリと舐める。満足そうにニッコリ笑う。

「うん、上出来だっちゃ♪」

するとラムは、その液体にペンキを塗るような大きなハケをたっぷり浸した。引き上げるとハケからは茶色の液体が滴り落ちている。それを自分の身体に塗り始めた。

ペタペタペタペタ…ヌリヌリ…ペタペタ…

身体全体にまんべんなく塗って行くラム。次第に身体全体が、茶色でコーティングされていった。

「くすぐったいっちゃ〜やんっ」

自分で自分の感じる部分まで、ハケでねぶるように茶色を塗り付ける。顔にも塗り付ける。ガングロ用ファンデーションで全身メイクしているようなものだった。

しばらくして全身余すところなく塗り終わったようだ。全身が映る鏡の前に立ち、塗り具合をチェックするラム。

「どうかなぁ〜全部塗れたかな〜…ここはどうだっちゃ?」

後ろ向きになって背中側を映し、自分の尻と、その間もムラなく塗れているか確かめるラム。お尻の割れ目をグイッと手で開いて確認する。それから少しかがんで、アソコまでメイクが出来ているかも確認する。

前に向き直り、両足を開いて、前面からも割れ目を開いて確認する。どうやらラムの身体全体、きれいに塗りあがったようだ。満足そうにニッコリ微笑むラム。

「これで完璧だっちゃね♪ダーリン喜んでくれるかなー」


その夜、友引高校2年4組の生徒宅全部に1本の電話が入った。明日は休校だが、2年4組は特別補習のため、登校してこい、という担任からの指示だった。

翌日、渋々登校したのは2年4組のおよそ3分の2の生徒達。このクラスだけは、インフルエンザ欠席数が他のクラスに比べ少なかったのだ。元気なやつらは補習を受けろ!そうでないと進級の確立は低いぞー、という温泉マーク担任の怒声が教室に響き渡った。

いつもの登校時間より遅いとはいえ、せっかくの休みに教師の横暴だ…と、ぶつくさ愚痴る生徒ももちろんいた。しかしバレンタインに休校とは。せっかくの一大イベントが潰れた事を嘆く声も少なからずあった。

生徒が席に就く。すると、それより少し遅れて教室の窓からラムが姿を現わした。皆がその姿を見て“ギョッ”とした。なぜならば。

ラムの顔がこんがりと日焼けした色になっていたからだった。いわゆる「ガングロ」だったのだ。しかも手や足まで真っ黒…というよりチョコレート色だった。生徒達は唖然とした。

「おっはよー」

いつも通りの元気のいいあいさつで、ラムは窓を開けて教室に入ってきた。ぴょこんと自分の席に座る。皆のあんぐり口を開けた顔など、まったく気に介していない様子だった。

「ラム君…ど、どうしたのかね、その格好は…」

温泉マークが口を開くと、周囲の生徒達も一斉にざわつきだした。

「これ?なんかおかしいっちゃ?」

「いや、その、なんというか…化粧は校則で禁止になってるはずだぞ」

「ああこれ?メイクじゃないっちゃよ」

ケロッとした屈託のない笑顔で答えるラム。隣りにいたあたるが言った。

「なんじゃお前その格好は…みっともない!」

「みっともない〜?なんで?これ、ぜ〜んぶダーリンのためにしてきたのに〜」

あたるはギョッとした表情で言葉を返した。

「オ、オレのため?それが?その真っ黒けーの格好がか?お前どーかしちまったんじゃないのか??」

「どーもしてないっちゃ!今日何の日か知ってるでしょ、ダーリン?」

「何の日って…知らん、そんなもん」

「今日はバレンタイン・デーだっちゃ♪」

それでクラスメートのうちの何人かは合点がいった。濃い茶メイクの正体は、どうやらチョコレートらしい。近くに座る生徒も、その香りで気が付いた。

「ラムさん、どうしてまた全身チョコレートまみれなんかに?」

面堂がガタリと席を立ち、ラムに近づき質問した。他の生徒達もその答えに興味津々、耳をでっかくして聞き耳を立てた。

「ダーリンへの愛のチョコだっちゃ♪」

「えええええええーーーーっっっ!!!」

学校全体が揺らぐくらいクラス内は仰天した。全身チョコレート…って事は…と、ラムのあまりの大胆な発言に、生徒達は思わず、いらぬ想像力を働かせた。

「ぜ、全身…チョコ…ラ、ラムさんの全身チョコ…」

面堂はめまいを起こしたらしく、腕を顔に当ててよろめいた。メガネの鼻からは、赤い筋がツツツーッと流れてきた。

「お、お前は〜!何考えてるんじゃ!そんな事したら…すぐに溶けてしまうではないか!?」

あたるの怒声に、ラムは相も変わらぬ明るい顔で答えた。

「大丈夫だっちゃ。これ、体温や汗じゃ溶けないように出来てるから。もちろん外気の温度や雨でも溶けないっちゃ」

「アホかまったく…何考えてるんじゃ…お前の思考にはついていけん!」

あたるは呆れたのか、ぷいっとそっぽを向いてしまった。

「もーダーリンたら嬉しくないのけ?余ったら皆にもおすそ分けしようと思ってるのに」

あたるはまたしても大きく目を見開いて、ラムの今の発言に我が耳を疑った。

「お、おすそ分けだぁ〜!?何考えてるんだーー!そんな事…オレがさせるかっ!!」

「や〜っぱり、ダーリン妬いてるっちゃ♪嬉しい〜〜〜!」

ラムはがばっとあたるに抱き着いた。

「えーーい、やめいっ、離せっ!チョコ臭いわっ!」

「皆におすそ分けっていうのは、これだっちゃ。ウチの使った分の余りだっちゃ」

ラムは胸元から小さなリモコン風メカを取り出した。何でも出てくる「四次元ブラ」なのだ。

素早くボタンをいくつか押すと、窓の外にUFOがやってきた。UFOの扉が開いて、光の通路が教室に射し込む。中から出てきたのは、ドラム缶大のメカニックな物体だった。

ふわふわと浮遊して、それは教室内に入ってきた。教壇の脇にドスン!と着地する。ラムはその容器に近づき、点滅するボタンのひとつを押して、容器をオープンさせた。

するとラムも予期していなかった事態が起きた。中から一斉に大量のチョコレート色の液体が噴水のようにドバーッと溢れてきたのだ。すごい勢いで、一瞬何が起きたかわからない生徒達。

出るわ出るわ…容器のサイズからは想像もつかないくらい、大量の液体が津波のように教室を襲った。パニックになる生徒達。

頭上から降り注ぎ、そして足元にたぷたぷと溜まっていくチョコレート。竜之介の親父の「海が好きー!!」で突如として現われる海水のような驚異だった。

その噴水は1分ほどで納まったが、教室内はチョコレートの甘い匂いが充満し、その匂いにむせた生徒の一部は教室から飛び出した。いくらチョコが好きな人間でも、これだけ大量のチョコを嗅がされたのでは、ひとたまりもあるまい。

教室のドアを開けると、液体チョコはそこから外へ流れ出ていった。しかし、生徒達のほとんどが、身体にチョコをコーティングされ、ラムと同じ「ガングロ」になってしまった。

廊下の水道に走る者、持参のタオルや衣服で拭おうとするもの、それぞれだったが、液体チョコは意外に早く固まるようで、少しも肌から落ちなかった。

そのチョコは普通のチョコと違い、溶けない事はさっきラムが言っていた通りだったが、もうひとつの特性があった。伸縮するのだ。まるでゴム質のように。肌に密着してはいるが、普通のチョコのように固まると割れる性質ではなかった。身体を動かしても割れずに、ウェットスーツのように伸び縮みして肌の一部のようになってしまうものだったのだ。

水道の水で洗っても、ごしごし布で擦っても、落ちない。溶けない。気持ち悪くなった生徒達は、制服を脱ぎ捨てた。少しでもチョコを身体から取り去りたかったからだ。

さすがに女生徒達は制服を脱がずにいた。しかし困惑しパニクっているのは確かだった。中には体操服に急いで着替える者もいた。

「ラムーーー!何でお前は混乱の元を軽々しく持ち込むのだーーー!?」

まっ茶色に染まったあたるがラムにがなり立てた。ラムは困ったような申し訳無さそうな笑いを浮かべて、あたるが怒りで迫りくるのを制しようとした。

「まぁまぁ…ダーリン、ちょっとした…ハプニングだっちゃ…ウチだってこうなるとは…思ってなかったっちゃ」

「そんな事より!これはどーすれば落とせるのだ!?さっさと落とす方法を調べて来いーーー!」

「わ、わかったっちゃ、待ってて、すぐ調べてくるから」

ラムはその場にいたたまれなくなって、そそくさとUFOに飛び去って行った。


「どーなってんだよーおいーあたるよーーーどーしたらこれ取れるんだよーー」

メガネが情け無さそうにあたるに言った。腕を組んだままふんぞり返ったあたるは、鼻をふん、と鳴らして

「そんな事オレが知るかっ!」 と、つっけんどんに答えた。

その時ある男子生徒が顔面蒼白になりながら、こう叫んだ。

「なんだよこれはーー!オレの…オレのこれが…固まっちまってるよーーー!」

何事かとその生徒の周囲を、わらわらと他の生徒達が囲んだ。集まった生徒のうち、女生徒達は「きゃーーー!」と悲鳴をあげて教室から飛び出して行った。

見ると、学生服のズボンの中の…男の“シンボル”が、チョコレートコーティングされて、勃起した形に固まっているではないか。

「どーするんだよーー痛くなってきたぞー…おい、あたるーーー!どーにかしてくれよーー!」

他の男子も同様らしかった。あっちこっちで「いてー」といううめきが聞こえてきた。

あたるや面堂、親衛隊の4人も、どうやらあそこが固まってしまったらしかった。自身で確かめると、確かにズボンにくっきり形が浮かんで、かっちり固まっていた。

チョコで固まった痛みというより、無理矢理不自然な形にさせられているための痛みのようだ。ムラムラともしていないのに立っている自分の息子を見ながら、男子生徒達は深いため息をついた。

1時間ほどして、ラムがUFOから戻ってきた。待ってましたとばかりに、男子達がラムに群がった。

「ラム〜〜早くどーにかしてくれよ〜〜オレたち…早く元に戻してくれ〜〜」

あたるが情け無さそうにラムに言った。どうやら1時間、不自然さに耐えて、それも限界にきていたから、らしかった。

「ダーリン、わかったっちゃ…そのチョコを取る方法…」

「どうするんだ〜早く教えてくれ〜」

「で、でもね…うん…ど〜しよ〜…ウチ、言えないっちゃ…」

「なんだと〜」

力も弱々しく、股間を踏ん張らせながら、あたるがラムの肩をつかんだ。

「これじゃあオレたち拷問だよ〜辛いんだよ〜ラム〜」

ラムはしばらく躊躇していた。何やらすごく、言いにくそうな顔をしていた。もじもじとして困った様子だった。

顔を赤らめながら、ラムはぼそぼそと何かを言った。最初聞き取りにくくて、あたるは聞き直した。

「え?なに?どーしたらいいんだ?」

「…あのね…ダーリン…そのチョコ…唾液で溶けるのは知ってたんだけど…調べてみたら…それ以外の方法じゃあ…取れないんだっちゃ…」

「なーんだ〜唾液で〜…(しばしの間)…な、なに?唾液!?つば?よだれ?…って事は…」

「そう…自分でとか、誰かに舐めてもらうとか…」

「な、なんて事じゃぁぁぁ〜〜!?な、なんで、男が男のをー!?舐めるってのかー!?」

「…うん…ごめんちゃ…ダーリン…ウチのせいで…」

「はぁぁ〜お前はぁぁぁ〜なーんでこんな厄介なものを持ち込むんだよぉ〜〜」

「だってぇ〜今日バレンタインだったから…ダーリンに喜んでもらおうと思って…ウチの特製チョコ…食べて…もらおうと思って…きゃっ」

ラムは自分の本音を口走ってしまって、顔が真っ赤になった。

「で、それ以外に方法はないのかよ〜いくらなんでも…自分のは…こう…届かないし…って事は…ここにいる誰かにぃぃぃ!!??」

男子達は一同げっそりした表情になっていた。

「…そうだ!女子、女子達はどーした?女の子にだったらオレは喜んでーーー!」

「ダーリンたらーーー!ダーリンのはウチのものだっちゃーー!」

ラムは電気をパリパリと放電しながら、あたるを睨んだ。少したじろぐあたる。いつもの事とはいえ、しかし、今日は事態が違った。なにせ誰かに舐めてもらわなければ取れないチョコ。それが2年4組バレンタイン・デーの悲喜劇の始まりだった。


「ダーリン!逃がさないっちゃーーーっ!!」

教室を飛び出したあたる。彼を追いかけるラム。そしてガランとした校内の誰もいない別の教室で、遂にあたるを捕まえた。

あたるに飛び掛かり電撃を思いっきり浴びせるラム。その勢いであたるとラムの制服は燃えて飛散した。

あたるはボロボロになった制服の名残を身体にまとって床に倒れてしまっていた。その上に馬乗りになるラム。ビキニのラムの下に敷かれたあたるは、まるで蛇に睨まれたカエルのようだった。

「ダーリン、観念するっちゃーー!」

ラムはおもむろにあたるの口に自分の口を重ねた。まずはキスから始まった。ぶちゅぶちゅぶちゅ…深いキスの音がする。あたるを自分の中に取り込むように、ねっとりと濃厚なキスを続ける。

ラムはその体をあたるに擦り付けて、あたるの顔、首、肩、胸のチョコを丁寧に舐めた。次第にチョコが溶けて、肌の色が露出してきた。ラムの息は荒くなっていた。懸命に舐める動作をしているからか、あるいは興奮しているからなのか。

「ラム〜やめろ〜〜こんな恥ずかしい事〜しやがってぇ〜〜」

あたるはラムのあまりに大胆な行動に、戸惑っていた。そして舌先の感触があまりにもくすぐったいため、声では拒んでいたが、もう身体はラムの舌先にへろへろに酔っていた。

「ダーリンのチョコ、美味しいっちゃぁ〜…ダーリン…ウチのチョコも舐めてほしいっちゃ」

おねだりするラムは、あたるの下半身まで顔を持っていっていた。その口があたるの陰茎をくわえた。ねちょねちょとねぶるようにして、ラムはあたるの“男のシンボル”を、口一杯に頬張った。何度も何度もねぶってチョコを溶かしていた。

そこへドヤドヤと、生徒達がやって来た。ふたりの行為を見て、固まる生徒達。しかし淫靡なラムの顔と肢体を見ているうちに、男子達は興奮が高まってきた。
ごくり、と唾を飲み込む音がする。2人の行為を見ているだけで、息が荒くなる。もう、男子の興奮は限界にきていた。

理性のタガが外れると、あとは成り行き任せになるものだ。あたるのモノをねぶるラムに、4人の男子が群がってきた。

「僕のもーーー!」 「俺のもーーー!」 と、男子はラムを背後から羽交い締めにして、その唇を奪い合った。欲しいのはラムの舌先だった。唾液だった。

「離すっちゃーーー!ダーリン、ダーリン!」

一人がラムの口を自分の肉棒にあてがった。ラムはむせて苦しそうにもがいている。

「ラムちゃーーん、早く溶かしてーーー」

「やはぁ!ダーリン!どーにかするっちゃーー!」

あたるは4人のうちの2人に押さえつけられた。

「ラムッ!お前らラムを離せよ、おいっ!!」

「ラムさーーん!今お助けしまーーーすっ!」

面堂が日本刀を振り回して割り込んできた。メガネたち4人もラムに襲い掛かった2人と、あたるを押さえている2人を羽交い締めにして、ラムとあたるから引き離した。

もう、校内は大パニック、正に乱交状態だった。男女の悲鳴や悦び、諸々の声が、2年4組以外誰もいない校舎内に響き渡った。

教室内では。ラムを狙う男子が圧倒的に多いのはもちろんだった。つまり、あたる、面堂、親衛隊といったラムを守ろうとする人数に対し、その倍はいた。守る側以外の男どもは、舌なめずりをしながら、溶けかけたチョコで汚れた色をしたラムを、モノ欲しそうに視姦した。

ラムは電気を充電させながら、迫ってくる男どもを威嚇した。

「これ以上ウチに近づくなーー!電撃をお見舞いするっちゃよ!」

電撃脅しはさすがに効いたのか、男子の群れが少し遠のく。

「もう…どうしたらいいっちゃ…」

ラムはため息をついて、教室内を眺めた。

(こんなパニックになったのは、ウチのせい…ああ、もう、どうしよう…。これじゃあせっかくのバレンタインが…ウチとダーリンのバレンタインが滅茶苦茶になっちゃう…)


校内を浸水させたチョコレートは固まってしまい、ちょっとした災害の跡のようになっていた。教室内に残っている生徒達は固まったチョコを剥がそうと苦戦していた。自分で舐めたり爪を立ててこそげ落とそうとしているが、なかなか思うようにならず、段々苛立った空気が、その場に充満してきた。

「本当に他に方法はないのかー!?例えば唾液に似た成分の薬を作るとか?」

「そうだっちゃ!その方法!」

ラムはパンッと手を鳴らして、あたるのアイデアに感謝した。

あたると面堂と親衛隊を除いた約10数名の男子生徒達。女子生徒はひとりも残っていない。つまり女子はラムひとり、そして淀んで苛立った雰囲気。10数人の男子は肩を寄せ合ってなにやらひそひそと密談を交わしていた。

騒ぎでくたびれたあたる達は、思い思いの場所にへたり込んでいた。この特殊チョコレートを処分しない事には、普通の生活に戻れないのだから。

密談していた男子達。彼らは静かに行動を起こした。気配を殺しながらあたる達に近付く。ひとりに2、3人の配分で、男子達はあたる達6人を背後から殴った。ふいをつかれた事と頭上に衝撃を食らい、あたると面堂、メガネ、パーマ、カクガリ、チビの6人はあっけなくその場に崩れてしまった。

「何してるっちゃ!?ダーリン!」

UFOに戻ろうとしていたラムはその騒動に振り返った。10余名の男が、ラムの身体に飛び掛かった。

「何するっちゃーーー!」

暴走した男達を止める間もなく、ラムの身体はいくつもの舌の攻めに遭った。プラを剥がされ、パンティーを下ろされ、ラムは全裸に剥かれてしまった。

「やああぁぁぁーーー!やめるっちゃーーーっっ!!」

ラムは電気をパリパリ…とためていたが、それに集中出来なかった。身体から男達を振りほどく事に必死になっていたからだ。

ラムの唾液を求め、男達は狂ったようにラムの身体を攻め始めた。

「ラムちゃん、唾出して!唾!!」 「俺達のこれをどーにかしてよ!」 「早く舐めて!」 「俺が先だって!」 「オイ、押すなーー!」

男達のひしめき合う怒声と身体の圧力。ラムは立ったまま、“おしくらまんじゅう”のような男達のせめぎ合いに、巻き込まれていった。

「苦しいっちゃーーー!やめるっちゃーーー!今薬を作ってくるからーーー!離してーーー!!」

「今すぐ!今すぐ取ってもらわないとーーー!」 「俺達のチン○が痛がってるんだよーーー!」

「ラムちゃんの唾じゃあ、少なすぎるぞ!誰かお互いに舐めて溶かせよ!ラムちゃんひとりじゃ全員のを溶かせるわけないだろーー!?」

「じゃあお前、ラムちゃんから離れろよ!」 「お前こそだーー!」

力の弱い者からどんどん“おしくらまんじゅう”の外に押し出されていく。また2、3人が争い、そのまま群れから脱落していった。

どんどん男は減っていき、最後に3人が残った。その3人はラムの唾液を求め、狂ったようにその唇を無理矢理自分達の身体に押し付けた。

どさくさに紛れて、ひとりがラムの股間に手を突っ込んだ。ひとりが胸を鷲づかみにした。ひとりは後ろからラムの股間に、こともあろうに自身の息子を押しつけた。

「いやぁぁぁぁーーーー!やめるっちゃーーー!!」

「おい、下の体液でも…溶けてくるぜ!」 「ほんとか!?」 「ラムちゃんの…アノ汁で!?」

男達のモノはまだラムの中に入っていないとはいえ、下の口から、トロリとした汁が零れてきていた。

苦しみにもがくラムの上の口からも、叫びをあげる度に唾液が飛沫となって飛び散っている。

「やぁぁーーー!ダーリン、ダーリーーンッ!」

「入れたら溶けるぜ!」 「早く入れろよ!」 「俺が次だからな!」


ラムが自分に助けを求める声と、男達の争いひしめく騒ぎに、あたるは気絶から覚めた。だが、まだ頭がもうろうとしている。後頭部を手で押さえながら、教室で今何が起こっているのか認識するまでに、少しの時間を要した。

半身を起こす。目の前にぼんやりと数人が固まって動いている様が見える。何だ?何をやってるんだ?あたるは目をごしごしこすって、その正体を確かめようと目を凝らした。

耳に声が飛び込む。

「ダーリン!ダーリーーンッ!」

「ラムッ!」

あたるは弾けるように立ち上がった。すると途端にずるっ!と、さっき溶けかけたチョコに足をとられ滑ってまた倒れた。それでもまた立ち上がるあたる。

立ったままもがくラムの貞操の危機…このまま3人の男の性欲処理をさせられてしまうのだろうか。

ラムの汗以外のあらゆる体液を奪おうと必死になる男達。そしてラムも男達に身体全体舐め回されて、チョコが溶けかかっていた。自身の下の口の汁が股を伝って流れ、それもチョコを溶かしていた。

「あっ、あっ…いやぁっ…!」

ラムは性感帯に、トロトロに溶けた液体で滑る指や肉棒や腕や足…あらゆる身体の部位を擦り付けられて、感じてしまっていた。
教室内で淫らな姿をさらしているラム。そしてあたるに助けを求めるラム。対極的なふたつの姿のラム。しかしどちらも紛れも無いラムなのだ。

「やめんか、お前らーーー!ラムに何やっとるかーーーー!!」

ラムに群がる3人にあたるは単身飛び掛かった。絡み合うラムと3人の男を引き剥がそうとするあたる。渾身の力を込めてラムの身体と他の身体の間に割って入ろうとする。

チョコレートの滑りを利用して足を差し込み腕を差し入れ、頭をこじ入れ、ラムの身体をあたるがすっぽり抱える格好になった。ラムの身体から、3人の男の身体がようやく離れた。

「あたるーーー!」

3人が揃ってあたるに殴り掛かろうとしたその時

「やめるっちゃーーーっ!!」

バリバリバリバリッバババーーーッッ!!!

あたるだけを身体に密着させたまま、ラムは超強力な電撃を放った。

教室内に青白いスパークが飛び散る。床から壁、天井を舐めるように雷の光が走りぬけた。同時に教室の窓ガラスが一斉に吹き飛んだ。

ドッカーーーーン…バリバリバリバリ…パリパリ…パリ…

雷鳴と爆音が通り過ぎると、学校内はようやく静まった。こうして、友引高校2年4組、2月14日のパニックの嵐は、一段落ついた。


結局ラムがUFOに戻り、唾液と同じ成分の薬液をたっぷり作り、学校内に散布して全ての特殊チョコレートを溶かし、洗い流した。

元はといえばラムの思い付きと、いつものガチャガチャした性格が災いして、今回のような事になってしまったのだ。その辺はあたるに散々文句を言われて、ラムも反省し、クラスメートにも謝った。

「だけど、ダーリンに喜んでもらおうと思ったから、あんな事したんだっちゃ。それくらいはわかって欲しいっちゃ」

「それにしたって迷惑な話だ。つまらんもの作っては始末に負えなくなる事くらい、今までの経験から学べんのか?まったく…」

「経験?経験だったら〜ダーリンとたくさ〜ん、したいっちゃっ!…ね、ダーリン、ほら見て…ウチ、またチョコレートたっぷり作ってきたっちゃよ」

「わっ、ちょっ…やめろ…おい…」

「ん…今度のは…汗でだって溶けるっちゃ…もちろん…その他の体液でだって…あん…ダーリン…」

こうして、騒がしかったバレンタインの1日も、ようやく終わろうとしていた。

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「ラム…いくら甘党のヤツだってなぁ…全身のチョコはちょっと…無理があるぞ…」

ラムを舐めながら、あたるが少々うんざりしたように言った。

「嫌だったら…汗でも溶けるし…ああっ…いいっちゃぁ、ダーリン…」

カラダをよじりながら、甘ったるい声で囁きあうふたり。

とりあえず背中や腕、足など舐め切れない部分以外はきれいに舐めとってやるあたる。

ラムが両足を持ち上げて開脚し、アソコをあたるに曝け出す。

「んはぁっ…ちゃぁっ…あっ、あっ!だめぇっ…すごく感じるっちゃっ…!」

溢れる愛液も手伝ってラムのチョコを溶かす。次はあたるの陰部を舐めてやるラム。

「うっ、んんっ…ラムッ…」

「きれいになったっちゃ…ウチのナカで溶かしていいっちゃよ…ダーリン」

そしてラムのナカにインサートするあたる。

「あっ、あっ、ああーーーっ!あはぁっ!!ダーリンッ!!」

チョコ混じりの汗を飛び散らせ、ラムの肢体は美しく弾けた。

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「まだチョコの匂いが残ってるっちゃ…」

「当分、チョコレートは食いたくないぞ…オレは」

チョコの匂いが充満したあたるの部屋と友引高校・2年4組の教室内。
その匂いはしばらく残り、ラムもあたるも、そして2年4組の生徒達も、チョコレートは当分ごめんだ…と思ったそうである。


(2年4組バレンタイン・デー〜謹製ラム☆チョコレート〜・完)

あとがき


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