My sweet Valentine.


「…ったく、参ったぜ、また今年もこんなにもらっちまった…」

昼休みも終わりの頃。2年4組、教室の後方で、竜之介がリヤカーを引っ張りながらひとりぼやいていた。見ればリヤカー一杯の、凝ったラッピングの小さな包みが山積みだ。それを見て動揺を隠し切れない面堂。

「竜之介さんに対する女生徒の、あのような好意の表現は…あまりにも不健全だ」

負け惜しみともとれる面堂のつぶやきが、男子生徒の耳に入る。それに真っ先に反応したのが、あたるだった。

「確かにっ!不健全だ…よりによってチョコレートを渡す立場の竜ちゃんが、だ」

そして彼、ならぬ彼女に、すすーっと近付くあたる。

「竜之介ちゃん、そのチョコ…ひとつくれない?確か親父さんに危険物だって言われてたよね♪」

竜之介に笑顔で擦り寄るあたる。それに対して竜之介は、あたるを“ギロリ”と睨み付け、“ふっ”と口の端で笑ってみせた。

「バカかてめぇは。俺だって少しはモノゴトを学んだんでぇ。これが“ばれんたいん・ちょこれーと”だって事くらい、わかってるんだぜ」

「それじゃあ、本来チョコレートは誰にあげるものかも、わかってるよね〜?」

「…どういう意味だ?」 更に睨みをきかす、竜之介。

「そう!本来ならば!“バレンタイン”という日に“チョコレート”をあげる相手は、好きな男性、と決まっているのだっ!だから竜ちゃ〜ん♪」

その様子を先から黙って傍観していたラムだったが、すーっとふたりに近付くと、あたるの耳を引っ張って、耳元で怒鳴った。

「さっきから聞いてれば!ダーリンさもしいっちゃ!そんなにチョコが欲しかったらウチがいるのにっ!!それに竜之介が女子にモテるのは今に始まった事じゃないっちゃっ!」

「耳元で怒鳴るなっ!…鼓膜が破れるわっ」

ふたりの痴話ゲンカより、自分が“チョコレート”をもらってしまった事実に、急に悩みだす竜之介。そんな彼女にラムが言った。

「竜之介、渚にチョコレート、あげたらいいっちゃ。一応、仮にも、許婚なんだし」

「バババ、バッキャロー、何言ってやがる…渚はそんなんじゃねぇ…」

「と、竜ちゃんもこう言っているではないかっ、ラムッ」

そう言いつつ、山積みのチョコから、ささっとひとつくすねるあたる。すると…。

「竜之介ーーーーっ!!!」

大波と共に突如現れた竜之介の親父。あたるがくすねたチョコを取り返し、山積みのそれを“しっか”と死守する。

「父が危険物だと、あれほど言うておいたのに、まだわからんのか、竜之介ーーーっ!これは父が責任を持って…」

「…どうせ浜茶屋再建資金のためとか何とかぬかして、叩き売りすんだろ?」

「まぁ良いではないか。女性の真心を無駄にしてはいかんぞ、竜之介。これだけの数では、お前ひとりでは食べ切れんからな」

親父はロハで手に入った“再建資金源”を前にして、満面の笑みで竜之介の肩をぽんぽん、と叩いた。

「今ならまだチョコを用意していない女子もおるだろうからな。善は急げじゃ、竜之介。父は購買部にこれを持ち帰るぞ」

そう言うと、親父はリヤカーを引っ張って、さっさと教室を後にしようとしていた。

「親父、てめーーーっ!!!」

後はいつもの通り。教室内で親子ゲンカを始めたふたり、竜之介はクロスカウンターを親父によけられ、まんまと大量のチョコレートを持ち去られてしまった。そして教室の後半分は、親子ゲンカのとばっちりで滅茶苦茶になってしまった。

いつもの事なので慣れてしまったクラスメート達、半分荒れ果てた教室で、午後の数時間を過ごす事になった。


そして授業が終わり、帰りのホームルームまでの合間。

「はい、ダーリン、ウチからだっちゃ♪」

にこにこしながら、あたるにチョコレートを手渡そうとするラム。が、あたるはそっぽを向いていた。

「どうしたっちゃ?嬉しくないのけ?ダーリン」

「お前からもらっても、当たり前だからな〜」

「もうちょっと素直に受け取ってくれてもいいのにっ!ダーリンのバカッ」

ラムに時々視線を向けながら、それでも素っ気無い態度を取り続けるあたる。

「…そんなにもらって欲しいなら…もらってやっても、いいぞ」

その言葉にカチン、ときたラム。差し出していた手を、さっと引っ込めた。

「何じゃ、せっかくもらってやろうと言っておるのにっ!」

「何でいっつも、そんなに恩着せがましいっちゃ!だったらもう、ダーリンになんかあげないっちゃ!!」

いつもの事とはいえ、あたるが皆の前で取る“素っ気無い”態度に、ラムは遂にキレた。

「誰か他の男にあげるもんっ!もう、知らないっちゃ!」

ラムは膨れっ面で、教室の窓からさっさと帰ってしまった。

「ラムのアホッ…他にあげるやつなんかいるわけなかろーが…」

ラムの怒りに対して、ぶつぶつと愚痴るあたるだったが…。

(何だよ、チョコ受け取らないくらいで…あんなに怒って)

何と無く気まずい気分のまま、帰宅したあたるだった。


「…何だ、ラムのやつ、まだ帰っとらんじゃないか…」

私服に着替えると、部屋でごろりと横になるあたる。

「そりゃオレだって…あんな事言ったのは悪かったかもしれんけど…チョコレートの事くらいであんなに怒らんでも…」

ぶつぶつ言いながら、部屋でごろごろするあたる。それからしばらくしても、なかなかラムは帰って来ない。

「もう薄暗くなってきとるじゃないか…何やってんだよ、ラムのアホ…」

その頃、ラムは。公園のブランコに腰掛けてゆっくり揺らしながら、手にしたチョコレートを見つめていた。

「ダーリンたら、なーんで皆の前だと、いっつもああなんだっちゃ。もう少し素直に受け取ってくれたって…」

次第に暗くなってゆく空を見上げると、宵の明星が輝き出している。

「どうしようかなぁ…チョコ…」

暗くなってきた公園には、他に人の姿は無かった。気分がすっきりしないままのラム。そこへ…。

「女子高生がこーんな寂しい所で、何してんのかなぁ?」

はっと顔を上げるラム。見れば体格のいい男らしいシルエットが…ふたつ。

「何持ってるのかなぁ?」

ひとりが、ラムが手にしていた小さな包みを取り上げた。

「だめぇっ!返すっちゃ!!」

チョコを取り返そうと、男に飛び掛るラム。しかし、そいつは面白げにそれを高く差し上げて、ひらひらとおどけてみせた。

「よっぽど大事なモンみたいだなぁ、どうするよ?これ」

「そうだなぁ、そんなに返して欲しかったら〜俺達と一緒にイイコトしたら、返してやってもいいぜ」

「バカ言ってるんじゃないっちゃ!早く返してっ!!」

あたるへのチョコを取り戻そうと、躍起になるラム。ふたりの男が互いにそれを放り投げてはキャッチして、ラムをからかい翻弄する。

「ダーリンにあげるんだから…返すっちゃ!」

「男がいるんなら、余計に返せないよなぁ」  「ああ」

そしてラムが宙を舞うチョコレートに気を取られている隙に、ひとりがその体にタックルして、ガッシリと抱きかかえた。

「ちゃっ!何するっちゃっ!!」 じたばたするラム。

「だからこれから、イイコトするんだって、俺達3人で。なぁ」

ラムを抱きかかえた男、彼女を肩にしょって、尻を軽く撫で回してきた。

「どこ触ってるっちゃーっ!離せっ!離すっちゃーっ!!」

「随分威勢のいいお嬢ちゃんだな〜。女が男に敵わないって事、しっかり教えてやらなきゃなぁ」

そしてふたりの男は植え込みの陰へラムを連れて行くと、雑草生い茂る地面へ彼女を仰向けに下ろして押さえ付けた。

「何するっちゃーーーっ!!」

パリパリと放電…のはずが、思うように電撃が出ない。どうした事か、と焦る表情になるラム。そして足をじたばたさせ、両腕を振り回して、必死に抵抗をする。

が、電撃を出せないラムは非力だった。必死で抗うものの、遂に、男の手がラムの制服の襟にかかり…そして。

「いやぁーーーーっ!!ダーリンッ!ダーリーーーンッッ!!!」

他に誰もいない暗闇に、ラムの悲鳴が木霊した。


「…ラムーーッ!!」

“ガンッ!!”

「痛ーっ!!いてて…あれ?ラムッ!?」

いつの間にかあたるは自室で寝てしまっていた。そして先の夢を見、慌てて起き上がろうとして、机の脚に思い切り頭をぶつけてしまったのだ。

「夢、だったのか…はぁ…」

あたるは夢で良かった、と胸を撫で下ろした。しかしラムはまだ帰って来ていないようだ。急に“まさかあれは正夢じゃ…”と、不安で一杯になる。そして上着を引っ掛けると、家を飛び出した。

近くの公園へ一目散に走って行くと、そこは街灯がいくつか光りを放ち、まだ少し人通りもあった。

「おーい、ラムーーッ!」

小走りに公園の中をくまなく探して回るあたる。すると…微かな街灯の光りが届くだけの薄暗がりの方向から、ブランコの鎖が軋む音が、聞こえてきた。

「ラム…」

見ると、そこにはラムが。ブランコをゆっくりこぎながら、手に持ったチョコの包みを見つめている。ゆっくり近付いて行くあたる。

「何だよ…こんなとこにいたのか…」

その声に、ちょっと驚いたように顔を上げるラム。

「ダーリン…」

「何やってんだ、こんなとこで。…心配、したぞ」

ブランコに腰掛けたままのラムの前に佇むあたる。微かな明かりで僅かに見えるラムの表情は、ちょっと頬を膨らませて怒っている風だった。

「だってダーリン、ウチからのチョコ、ちっとも嬉しそうじゃなかったんだもん。まだウチ怒ってるっちゃ」

わざとらしく、ぷいっ、とそっぽを向くラム。

「何だよ、迎えに来てやったのに」

「ほら、すぐそうやって…恩着せがましい事言ってばっかりだっちゃ、ダーリンは」

「それにしちゃ、そのチョコ…大事そうに持っとるじゃないか。ほら、寒くなってきたから、さっさと帰るぞ」

そしてラムの手を取るその前に、あたるは彼女の手にあるチョコレートの包みを引っ張った。それはラムの手からすっと離れて、あたるの手に渡った。

「当たり前と言えば当たり前なんだが…お前からのこれが無いと、バレンタインという気がせんからな」

そんなあたるの言葉に一瞬キョトンとし、次いでクスリ、と笑うラム。

「そういう事は皆の前で言って欲しいのに。素直じゃないっちゃ、ダーリン」

ブランコから立ち上がり、あたるの腕にしっかりしがみ付くラム。

「…そういう恥ずかしい事は大勢の前では、オレは言わんっ」

「そういう所がダーリンらしいと言えばらしいんだけど…ふふっ…」

結局、先までの心配が杞憂に終わって安堵した、あたるだった。


「ねぇダーリン、ウチからのチョコ、美味しいっちゃ?」

「チョコなんぞ、どれも同じ味じゃっ」

「そんな事言ってる割には…はい、あーん…」

パキン…ラムがひとくち分のチョコレートを口で割って唇で挟み、口移しであたるがそれを食べる。

「…どれも、同じ味じゃ…」

「んっ…そんな事言ってる割には…もう、口の周りベタベタにしてるくせに…」

イスに座ったあたるの膝にラムが腰掛け、彼の首に腕を回している。あたるもラムの腰に腕を回して、ラムがくれる“口移し”のバレンタイン・チョコを、キスをしながら味わう。チョコレートを融かしながらのキスなので、甘いのはもちろんの事、融けたチョコが口の周りに付いて、べたべたになっていた。

「ダーリンの唇…すっごく甘いっちゃ…」

「んっ…ラム…」

「あともう少しでチョコが…無くなるっちゃ…この後は…?」

「…後は…んんっ…」

あたるの手がラムのビキニのトップスを外しにかかる。

「…まだチョコレート…残ってるんだから…気が早いっちゃ…」

「残りのチョコは…後のお楽しみじゃ…」

「ダーリン今ものすごーく…エッチな事考えてるでしょ?…もうっ…あんっ…」

くちゅくちゅと、ねっとりしたキスの音がふたりの耳をかすめる。もうそれだけでもお互いのカラダの芯まで火照ってきているのがわかる。
互いの舌を絡めてまずはその部位をきれいにし、それから舌先で口周りのチョコを丹念に舐め回して清める。ひと通り舐め終わった後、ふたりの頬は上気して、すっかり準備万端の態勢になっていた。

お互いに全裸になると、ラムはあたるをイスに座らせた。

「今日はバレンタインの夜だから…」

胸の谷間に残りのチョコを挟むと、体温でそれを融かし、いきり立っているあたるのモノを両の乳房で挟み込む。上下にずにゅずにゅ…と乳でしごくラム。

「うっ、うぐっ…ラ、ラムッ…うんっ…」

先走り汁と融けたチョコのぬるぬるで、茶色く染まる、あたるのイチモツ。ラムは愛しげに、そして懸命に、それを乳で愛撫する。サオをしごきながら、先端やくびれへの愛撫も忘れてはいない。
あたるは弱い部位をラムの胸で攻められて、早くも息が絶え絶えになりかかってきた。

「んっ…んんっ…んっ、ダーリン…」

ラムが言葉を発すると、微かに息が漏れて、それがまたあたるの先端を軽くくすぐるのだ。ラムの胸の谷間も、チョコレート色に染まり、やがて彼女は乳房を外すと、彼のモノを口に含んだ。

「んっ、んっ、んっ、んんっ…」

「ラ、ラム〜…くっ、うっ…」

少し情け無さそうな声でラムの口での愛撫に応えるあたる。ラムは咽喉の手前までそれを呑み込み、また前方に押し戻す。やがてラムの行為であたるのイチモツから、白い汁が暴発した。

「ちゃっ…!ダーリン…」

顔にあたるの汁を浴びてしまったラム。それが胸まで滴り落ちる。

「次はウチの番だっちゃ…」

ラムは自分で白濁汁を拭き取り、イスに座ったままのあたるに背中を向ける。そして尻をあたるの腹に付けて、再び屹立した彼のモノに、自分自身から腰を落とした。

「んっ、んふっ…ダーリン…」

「ラム…」

ラムの肩に顔を埋めて、彼女を背中側からぎゅっと抱き締めるあたる。そして片手で乳房を揉みしだき、もう片手がラムの陰部をまさぐる。
あたるのイチモツを挿入しながら、カラダを後方に、しなやかに反らすラム。突き出された乳首が立ち上がり、上昇した体温で湯気が上がっているようにも、あたるには見えた。

「ダ、ダーリンッ!」

くちくちくち…と、濡れそぼったラムの股間とあたるの陰茎が擦れる音がする。パリパリパリ…と軽く放電現象を起こしているラム。

「ウチのここに…ダーリンが…入ってて…」

ラムの片手が自身の股間に伸びる。ラムが全身を上下に揺すりながら、くちくちくち…とふたりは繋がり合う。ラムの、股間に伸びた指先が、あたるの指先と絡み合う。

「ああっ…ダーリンッ…ダーリンッ!!」

カラダを反らした体勢で頭をあたるの肩にもたれさせているラム。そして彼の首筋や顎に吐息を浴びせ、キスをする。

やがてラムも下腹部を波打たせながら、がくがくがく…と全身を震わせて、果てた。

「ちょっとチョコの匂いが残ったっちゃね…」

「すぐに消えるわ、このくらい…」

ひとつ布団を敷くと、“チュッ”と軽くキスをして、その夜も心地良い眠りに入ったふたりだった。


それと時をほぼ同じくして、友引高校敷地内の竜之介の住まいでは。

「竜之介様、はい、これっ」

「…何でぇ、これは」

「や〜ね〜、竜之介様ったら〜。今日が何の日か、竜之介様だって知ってるくせに〜」

小さな包みを竜之介の目の前に置いて、くねくねと体をよじりながら、彼女の反応を見ているのは、居候の渚だった。

「バカか、てめぇは?どうして俺がオカマからこんなもん受け取らなくちゃなんねーんで」

「あら、いらないの?じゃあ、あたしがもらってあげる」

「はぁ?」

渚の言っている意味がよくわからない、というような顔をする竜之介。

「だって、一度竜之介様の物になったチョコレートですもの〜。それをあたしがもらえば、問題無いでしょう〜?」

「バ、バッカヤロー…誰がお前なんかに…もういいっ、勝手に持っていきやがれ…」

渋々なのかどうかわからないが、竜之介は少し赤くなっていた。それを見て渚の表情がぱっと明るくなる。

「ありがとっ、竜之介様〜♪」

そしてあっという間に翌日。竜之介の親父は昨日の2年4組での騒動後、購買部と路上でチョコレートを叩き売りして、それなりの収入を得ていた。

「おい親父…あのチョコレートを売った金…どうした?」

「浜茶屋再建のための資金に決まっておろうが」

「あれは元々、俺のモンだったんじゃねーのか?えっ?だったら売った金はもちろん、俺の…」

「なーにを言っとるのか、わしにはさっぱりわからんの〜」

「こんのぉ、クソ親父ーーーーっっ!!!」

登校前にひと騒動やらかし、ボロボロになって教室に入って来た竜之介。早速あたるが彼女の元にやって来た。

「どうしたの〜竜ちゃ〜ん」 そこへラムが飛んで来た。

「また朝っぱらから竜之介にちょっかい出して!」

怒ってあたるの胸ぐらを掴むラム。すると、むすっとしていた竜之介が、鼻をくんくん鳴らして、ふたりを見た。

「朝っぱらからうるせーなー…ところで、何か匂わねーか?…チョコレートみたいな…お前らが来たら匂ってきたぞ?」

それを聞いて“ドキーッ!”とするあたるとラム。ふたり揃って咽喉から心臓が飛び出しそうになった。

「き、気のせいだっちゃ、竜之介〜きっと昨日の残り香…じゃなくって…えーっと…」

「そうそう、きっと昨日バレンタイン・デーだったから、誰かが机の中に忘れてったのが、匂ってんじゃないのかなぁ?あはははは〜」

不自然な引きつり笑いに冷や汗だらだらのふたりは、ラムがあたるの胸ぐらを掴んだ格好のまま、歩調を合わせて竜之介の側から離れて行った。

その直後、廊下に出て顔を付き合わせ、こそこそ話すあたるとラム。

「やっぱりまだ匂いが残ってるっちゃ…今朝ちゃんとシャワー浴びてきたのに。ダーリンはちゃんと洗ったっちゃ?」

「アホッ、何を言っとるかっ。オレだってちゃんと洗ったわい」

「もしかして、竜之介の鼻は特別敏感なのかもしれないっちゃ」

「うーむ、海で育った野性をあなどってはいかんな…」

そこへ再び竜之介登場。

「やっぱお前らの側に来ると…匂うんだよなぁ…何でかなぁ」

「あははは…気のせいだっちゃっ…ところで竜之介、どこ行くっちゃ?もうすぐ始業時間だっちゃよ」

「どこだって、いいじゃねーか」 むすっとしてラムに答える竜之介。

「そうそう、気のせいだってばぁ、竜ちゃんたらぁ…さ、ラム、教室に入ろうかっ」

「じゃあね〜竜之介〜…ふぅ〜危ないっちゃ〜…」

どうやら竜之介は、用を足しに行く所だったようだ。

「意外と…チョコの匂いって残るもんだっちゃねぇ…」

「あんなのはオレも初めてだったから、まさかこうなるとは…」

「そういえば…しばらくは…チョコ味なのかな?」

「何がっ!?」

「んっ…キスの…味、だっちゃ…きゃっ♪」

「…学校でアホな事言っとらんで、さっさと教室入るぞ、ラム」

「ダーリンのそういう態度は、ちっとも変わらないっちゃ」

人前では相変わらずの大きな態度。そんなあたるの背中を見ながら、クスクス笑う、ラムであった。

--- E N D ---

あとがき


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