星に願いを


無限に広がる大宇宙…その彼方から地球目指してやって来るのは、不定形のインベーダー。
アメーバのようにその身をうねらせ、色艶は水銀に似て、表面に深い闇を映していた。その黒い色に、青い地球がひときわ美しく映えていた。

“おいらは宇宙の風紀委員〜太陽系第三惑星〜地球の風紀はどんなもんかね〜♪”

そしてそれは成層圏を突き抜け、大陸からわずかに離れた小さな国・日本に、落下していった。

「ダーリン、見て見て!すっごい大きな流れ星だっちゃ!」

諸星家の屋根でくつろいでいたラムが、隣のあたるを突付いて空を指差した。

「ずいぶんとまた、でっかい流れ星だな〜」

「落ちるまでにお願い事するっちゃ」

そう言うと、ラムは掌を組み合わせて目を閉じ、願い事を口にした。

「ダーリンの浮気が治りますように…ダーリンの浮気が…」

「ちょっと待て…あれ、もしかしてこっちに…」

「ダーリンの浮気が治りますように…」

「ちょっ…ラムッ、見ろって!流れ星がこっちにっ!」

「…うそっ!?こっちに落っこちてくるっちゃ!!」

そうこう言っているうちに、流れ星だと思っていた“それ”は、白煙を噴きながら、ふたりの頭上までやって来て一旦停止した。見れば直径2、3メートルはあろうか。逃げ場を失い、あたるにしがみつくラム。
“それ”はぐねぐねと全体を波打たせながら、ふたりを見て何か考えている風でもあった。が、止まっていたのはわずかの間。

「うわっ!」  「ちゃっ!」

“それ”は先より更に広がって、ベチョ〜ッと屋根に貼り付き、ふたりを飲み込むように包んでしまった。ぐねぐねごにょごにょ…と蠢きまわる不定形の物体。そして…。


「どうしても取れないっちゃ…ふぅ…」

あたるの部屋で、ラムは片手を頬に当て、溜息をついていた。

「ラムッ、何なんだ、一体これはっ!?」

「不定形のインベーダーだっちゃ…話には聞いた事あったけど…」

「だから何だ、っちゅーんじゃっ!」

「宇宙の風紀委員だっちゃ…だからダーリンとウチのここに…」

“その通りで〜すっ、さすがお嬢ちゃん、宇宙人だけの事はあるね〜♪”

「ウチとダーリンはちゃんとした夫婦なんだからっ、こんなもん必要ないっちゃ!」

“でもまだ未成年でしょ〜エッチは大人になってから〜♪”

「お前の方がよっぽどエッチだっちゃ!ウチとダーリンのここで固まるなんて!」

あたるはあぐらをかいて、ふんぞり返ってはいたが、ズボンを脱いだ股間には、銀色の“貞操帯”が鈍く光っていた。
一方のラムも、虎縞ビキニのボトムの内側に、銀色の“貞操帯”が、かっちり下着の形となって、固まっていたのだった。

「アメーバみたいだったのに、何でこんなにガチガチに固まるっちゃ!?それに風紀委員とか言いながら…他に目的があるっちゃね!?」

ラムは思い切り放電してみたものの、どうやら電撃にも耐性があるらしい。無駄だとわかると、すごすごと押入れの中に入って横になった。あたるも布団に入って、ぶちぶち文句を言う。

「おいこら…お前は一体いつまで、オレのそこに貼り付いてるつもりだ!?」

“だから〜おふたりさんがちゃんとした大人になるまでですよ〜♪”

「何というか…自分の股間から声がする、っちゅーのは…思いっ切り、気色悪いんだが…」

「何でよりによって、ウチとダーリンなんだっちゃ…もうっ…」


翌日は、ガチガチの、下着ならぬ貞操帯を身に着けて、ふたりは登校するしかなかった。登校途中の路上にて。

「ラム、こいつはどうやったら取れるのか、わからんのか?」

「風紀委員の詳しい習性とかは、ウチらにもはっきりわからないっちゃ。地球の風紀を正すだけが目的とも思えないけど…ホントのところはどうなんだっちゃ!?」

ラムがスカートに向かって小声で怒る。すると小さな声で返事があった。

「大人になるか、きちんと結婚したら、外れてくれるそうだっちゃ」

「アホかっ…どっちも却下じゃっ!」

「何で〜?ウチら夫婦なんだから、結婚してない方がおかしいっちゃ」

「誰が夫婦じゃっ、誰がっ」

あたるのその言葉を聞いて、膨れっ面になるラム。

「ダーリンのバカッ!それならずっとそれ着けてればいいっちゃ!」

怒ったラムは空に浮かんで、一足先に学校へと飛んで行ってしまった。

「しかし…手っ取り早い方法となると…やっぱりそれしか無いのか?おい…」

あたるも自分のズボンに向かって小声で話し掛ける。そしてやはり小さな声で返事が。

「そうか…それにしても、何でオレとラムがこんな目に遭わなきゃならんのだ…」

貞操の危機、ならぬ、人生の危機…のふたりであった。


先に教室に着いたラムだったが、イスに座るのをためらっていた。そして小さな声で独り言。

「こんなガチガチのもの着けてたら、お尻が痛くなりそうだっちゃ…」

それでも恐る恐るイスに腰掛けてみた。すると。

“カツンッ” スカート越しとはいえ、イスと金属がぶつかり合う鈍い音がした。

「…やっぱり思った通り、音がするっちゃ。これじゃお尻も痛くなりそうだっちゃ…」

頬杖をついて、物憂げな表情になるラム。そこへあたるがやって来た。さっきのケンカのせいでか、ラムはそっぽを向いた。
面白く無い気分のあたる。そしてイスに“どすん”と腰を落とした。すると…。

“ガツーンッ!!” 鈍い金属音が、あたるの席から教室中に響いた。

「痛ーーーっっ!!」

うっかりしてたとはいえ、尾てい骨から背骨を通って頭上に突き抜ける衝撃に、あたるは反射的に机上に突っ伏した。
その音を聞き、様子を見ていたクラスメート達。何事かとあたるとラムの周りに集まって来た。

「一体今の音は何だ?諸星。それにラムさんの様子も…どうかされましたか?ラムさん」

すると、面堂の問い掛けにラムが答えるより先に、彼女のスカートの内側から声が聞こえてきた。

“このお嬢ちゃんがすっごく困っている模様〜♪誰か彼女にプロポーズしないかね〜?”

「こらっ!何言ってるっちゃ!この〜っ…どすけべインベーダー!」

“誰かがこのお嬢ちゃんと結婚すれば〜彼女は普通の生活に戻れるんだよ〜♪”

「一体何がどこからしゃべっているんですか?…しかしラムさん、貴女が普通の生活に戻れるというのなら、是非とも僕が」

“どかっ!” でっかい木槌が面堂の頭上に振り下ろされた。
しかしそこは慣れというか、すぐさま面堂はむっくり起き上がった。

「諸星〜どういう了見だ〜…ラムさんをみすみす不幸にするくらいなら、この僕がっ!貴様がラムさんにプロポーズするとも思えんしな」

あたるは木槌を構えて、無言のまま面堂ににじり寄る。そのあたるの様子を見ていたラムの表情が、ぱっと明るくなった。

「ダーリン、やっぱり妬いてるっちゃ!ウチうれしいっ!」

ラムはあたるの背後から、がばっと抱き付いた。

「えーいっ、うっとーしいわっ!離さんか、ラムッ!」

「でもダーリンだって、ウチと結婚しないと…」

「そーゆー事なら、オレだって!」

今までの若干緊迫した空気から、ガラリと一転、あたるは教室中の女子生徒達に「結婚しよ〜♪」と声を掛けまくりだした。
そして全員に張り倒され、結果全敗に終わると、教室から飛び出して行った。それを見てパリパリと放電しながら彼を追って飛んでゆくラム。

「ねぇ結婚しよ〜♪今すぐにっ!」  「何バカな事言ってんのよっ!」

女子生徒に出会うごとに声を掛けまくるあたる。その彼目掛けて電撃を落とすラム。あたるとラムが通った後の廊下や壁は、電撃で焼け焦げたり穴が開いたりと、その被害は次第に広がっていった。

「ダーリンと結婚したがる物好きなんているわけないっちゃーっ!」

「何を言うかっ!しかしそーゆーやつがひとり、そこにおるだろーがっ!」

「だからってウチの目の前で〜っ!自分だけ外れればそれでいいっちゃっ!?ウチが他の男と結婚してもいいのけっ!?」

校内を縦横無尽に走り、飛び回りながらの痴話ゲンカ。野次馬根性でそのふたりを追う、一部の男子生徒達。
野次馬連中には、ふたりの会話の意味がさっぱりだったが、どうやら「結婚する・しない」でもめている事だけは、わかった。
あたるが後ろを振り向くと、何十人かの野次馬が。しかしラムは後ろの様子に全く気が付いていないようだ。

「何であいつらが追っかけて来るんじゃっ、話が余計にややこしくなるではないかっ!」

渋い表情でぶつぶつ言いながら走るあたるだったが、何を思ったか、くるりと踵(きびす)を返すと、飛んでいるラムの手を取って、野次馬連中の脇を器用にすり抜けた。
そして校舎の外に出、校庭を突っ切って校門を通り抜けると、間も無くふたりの姿は他の生徒達からは見えなくなってしまった。


「ダーリンたら、他の女の子にばっかり声掛けて。バカみたいだっちゃ」

公園のベンチに並んで座るあたるとラム。ツン、と唇を尖らせて、ラムが愚痴る。

「もしも何かの間違いで、万が一、ダーリンが他の女と結婚出来たとして、それが外れたって…ウチはこのまんまだっちゃ…ダーリンの薄情者っ。それとも、ウチが他の男と結婚してもいいって…思ってるのけ?」

「…誰がそんな事言っとるか、ラムのアホ…それに日本じゃ、女は16からだが、男は18にならんと、結婚出来ん事になっとるんじゃ。お前、知らなかったのか?」

「…ちっとも。じゃあダーリンはまだダメ、って事?」

「…まぁ…そういう事になるかな…」

「…ちょっとお尻が…痛くなってきたっちゃ。ダーリンは大丈夫?」

「さっきもしこたま尾てい骨を打ったのだ…大丈夫なわけあるか」

「何かいい方法があるはずだっちゃ…ウチ調べてみるから、ダーリンはもうしばらく、ガマンしてて」

「ガマン、って…何をだ?」

空を見上げて、わざとらしくラムに聞き返すあたる。そして自分の言葉に、はっとして、赤くなるラム。

「…色々、だっちゃ…まだ明るいのに何言ってるっちゃ…」


ラムはUFOの大型モニタの前にいた。モニタに映っているのは、おユキだった。ラムは事の次第を説明した。

「不定形生命体の、宇宙の風紀委員なら、委員長がいたはずよ。ちょっと待っててちょうだい」

モニタの中で、おユキは分厚い台帳をめくっていた。

「何回か、うちとも商取引しているわね…元々は人型で生活している種族…繁殖方法は自身の分裂。そして他の惑星の種族から生殖細胞を採取して…」

「生殖細胞を採取?で、どうするっちゃ?」

「有機質の細胞を取り入れて、進化してきたようね。つまり“貞操帯”を装ってアナタ達の生殖細胞を採取したら、外れるかもしれないわ」

「生殖細胞を採取するって…やっぱりこいつ、どすけべだったっちゃ!」

「委員長には私から連絡してみるわ。それまではラムも旦那様も大変ね…大丈夫かしら?」

「大丈夫も何も…とにかくおユキちゃん、お願いするっちゃ」

モニタからおユキの姿が消えると、ラムの下半身から声がした。

“いや〜参りましたね〜♪お嬢ちゃんのお友達は何でもご存知のようで〜しかも委員長出してこられたら〜…あっ!”

「ふ〜ん、委員長に知れたら何か困る事でもあるみたいだっちゃねぇ…ウチに変な事したら、その委員長とかいうのに、ぜーんぶ話してやるっちゃ!」

“あわわ〜…わかりましたよ、参ったな〜…ついでに先に言っときますけど〜♪地球人の繁殖を抑えて〜将来侵略する下準備しに来たって事も〜教えておいちゃうから〜♪…細胞もらえませ〜ん?”

「絶対に、お断りだっちゃ!!それにウチから採取しようたって、無理だっちゃ!」

“何でです〜?”

「…ドラッグで生殖細胞をコントロールしてるから、欲しがっても全く無駄だっちゃ。わかったら、さっさとウチから離れるっちゃ!」

“困ったなぁ〜…成人するか結婚するか、もしくは細胞採取しないと外れないよう、自分でロックしちゃいましたから〜♪”

「何やってるっちゃーーーっ!バカーーーッッ!!」

自分の股間に向かって、ラムは大声で怒鳴った。

「早いとこおユキちゃんから連絡来ないかなぁ…はぁ〜疲れてきたっちゃ〜…」


場面は変わってあたるの部屋。座敷テーブルで、並んで宿題をやっているあたるとラム。

「だからここは…これを代入すればいいっちゃ。で、ここがこうなって…」

「何だかさっぱりじゃ…あー疲れた〜…もう寝よ…」

立ち上がったあたる、座敷テーブルを隅っこに寄せると、押入れから布団を出して敷き始めた。

「まだ途中なのに。明日怒られても、ウチ知らないっちゃよ」

「いつもの事だからいいのだ。それより疲れたから、オレは寝るぞ」

パジャマに着替えて布団に入るあたる。ラムは部屋の隅っこで自分の宿題を終えると、室内灯を消した。
押入れに入る前に、横になっているあたるの背中側に端座するラム。そして静かに、彼に話し掛けた。

「…今すぐダーリンが、結婚してくれるとは思って無いけど…」

すると、あたるはまだ眠っていなかったらしく、くるりとラム側に寝返りを打った。

「まだ寝てなかったのけ?ダーリン。もうすぐおユキちゃんから何か情報入るはずだから…」

薄暗がりの中でラムをじっと見上げていたあたる。上半身を起き上がらせて、彼女の方に体を向けた。

「そういう話は…まだ先でいいから…」

「おユキちゃんからの情報の事?もうすぐ何とかなるはずだっちゃ…ダーリン?」

「…それの前に言った事だって…」

ラムは少しもじもじしながら、言った。

「…何にも出来ないけど…隣で寝てもいいっちゃ?」

「…ああ…」

自分の枕を持ってくると、ラムはあたるの隣に潜り込んだ。

「何だか変な感じだっちゃ…ダーリンに耐電スーツ着せた時みたい」

「お前、人に散々期待させておいて、スーツのせいで結局何も出来んかったじゃないか」

「だってダーリン嫌がってたし…期待してたなんて思って無かったから…」

布団の中で顔を突き合わせ、ひそひそとしゃべるふたり。

「思いっ切り期待しとったのに…」

「そうなの?」

「当たり前じゃっ」

そしてどちらからとも無く、唇を合わせた。ラムが仰向けになり、あたるがその上に覆い被さる。最初軽かったキスは、重力に逆らえずに、どんどん深くなっていった。
ラムの両手があたるの頭をしっかり掴んで引き寄せ、彼の唇に強く吸い付く。互いの唇が幾度も吸い付いてはわずかに離れ、そしてまた組み重なる。

「んっ…ダーリン…んっ、んっ…」

「ラムッ…んんっ…」

ラムはあたるのパジャマを脱がしにかかった。あたるもラムのビキニのトップを剥ぎ取る。

「下だけは、どうしてもダメだっちゃね…」

「仕方無いだろ…」

絡み合いつつディープなキスを続ける間、下半身が接触すると、カツン、カツン、と金属同士がぶつかる音がする。
互いの両足を擦り合わせて興奮を高め、それぞれの陰部がすっかり濡れても、それ以上は何も出来ない事が、もどかしくなるふたり。

「キスだけじゃ…物足りないけど…」

あたるはラムの頬から首筋へと、唇を滑らせてゆく。舌先で皮膚の薄い部分をくすぐったり、強く吸い付いたりする。
肩口や鎖骨の辺りを軽くかすめると、仰向けになってもツンと上を向いている、形の良いふたつの膨らみにたどり着く。

「でも…ダーリン…それ以上したら、ウチ…あっ…」

ラムの言葉にお構い無く、あたるは片手でラムの太ももを撫でさすり、どうにか貞操帯の内側に指を潜り込ませようと、隙間を探していた。
ラムもあたるの貞操帯に隙間が無いか、腹部から下へと手を滑らせる。しかしどうしても、硬い金属に阻まれて、その内側に触れる事が出来ない。

「…もうっ…邪魔だっちゃ、これ…」

息を荒げて、あたるも言う。

「このっ…邪魔するな、っちゅーんじゃっ…ったく…」

「…ちゃんと聞こえてるなら…おとなしく離れるっちゃ…」

「まったくこれでは…ラチがあかん…くそっ…」

“貞操帯”に文句を言いながら、あたるがラムの乳房に唇を寄せた、その時。ラムの股間に貼り付いていたそれが、しゅるしゅると変形して、彼女のバストまでをガッチリ、ガードしてしまったのだ。

「何だっちゃ!ここまでガードする事無いのにっ!バカーッ!」

「くそっ…なんちゅー忌々しいやつじゃっ!」

ちょうど金属製のレオタードのようになったそれは、相変わらずの、のん気な口調でしゃべり出した。

“だからエッチは正しい手順を踏んでから〜♪ダメですよ〜地球の風紀を乱しちゃ〜”

「何言ってるっちゃ!それにしても…お前の言ってる事は矛盾してるっちゃねぇ…」

それを言われたインベーダー、表情は無いものの、表面に冷や汗らしいものが垂れてきた。どうやら痛いところを突かれたらしく“ギクッ”とした様子がうかがえた。

「風紀を乱すな、って言ってみたり、生殖細胞欲しいって言ってみたり…どうもおかしいっちゃ」

「そう言われればそうだよなぁ…その、生殖細胞が欲しいと言うのなら、風紀が乱れておった方が都合がいいんじゃ無いのか?おい」

インベーダーはそれきり黙ってしまったが、相変わらず表面には、たらたらと冷や汗らしきものが流れていた。


「すっかり目が冴えてしまったでは無いか…」

「だっちゃねぇ…しばらく星でも眺めて気分転換するっちゃ、ダーリン」

屋根の上で火照ったカラダを冷ますふたりだったが、先までの余韻がまだ残っていた。

「あっ、ダーリン…また流れ星だっちゃ」

「まさかまた、インベーダーとかじゃないだろーな…」

「まさか…取り敢えずお願い事、しとくっちゃ。早くウチとダーリンのこれが取れますように…」

手を組み目を閉じて、願い事を口にするラム。するとあたるがラムを小突いた。

「おい、ラムッ、やっぱり…」  「何?…ちゃっ!?」

頭上を見上げれば。最初にやって来たやつより大きいサイズの、銀色アメーバ状インベーダーが、浮かんでいた。
その淵から誰かがひょっこり顔を出した。見ればそれは、おユキだった。

「あら、ちょうど良かったわ、ラム。こちらが、風紀委員長さんよ」

“委員長”は屋根におユキを下ろすと、変形して人型になり、同じく屋根に下り立った。

「あんたが鬼星の大将の娘さんでしたか〜お初にお目にかかります〜この度はほんまに、うちのもんが勝手な事してもうて、えらい迷惑かけましたわ〜すんませんな〜…おい、もうロック解除したで。おんどれは、はよそっから離れんかいっ」

「ちゃっ!」  「うわっ!」

あたるはパジャマを着ていたから良かったものの、ラムは一糸まとわぬ姿になってしまい、慌てて部屋でビキニの上下を身に着け、戻って来た。

「元々はほんまに、惑星の風紀を監視するのが仕事やったんですけどな〜ここんとこあちこちで乱れが頻発してもーて。で、他の星の生殖細胞取り入れたら、うちとこの星に色んな病気が蔓延しましてなぁ〜」

「ラムと旦那様に取り付いてた方は、健康体を探すための派遣員だそうよ。でもその方が持ち帰った細胞が元で別の病気を持ち込んでしまって」

「そやから今、謹慎中やったんですわ〜それが勝手に〜地球まで来てもうて、鬼族の大将の娘さんとその旦那さんに失礼してもうて〜」

「つまり失敗を返上したかったから、オレとラムに取り付いておった、と言うわけか…」

「成人するか結婚するまで貞操を守るのも、何か意味があるのけ?」

「もちろん健康体を守る意味もあるそうだけれど、若過ぎるよりある程度成熟していた方が、取り入れやすいんですって」

あたるとラムに取り付いていたやつも人型に変形すると、ぺこりと頭を下げて、ふたりに謝罪した。
ようやく元に戻れて、ほっと胸を撫で下ろすラムとあたる。

「事情はともかく…元に戻れて良かったっちゃ〜。おユキちゃん、ありがとっ」

あたるはおユキの手を取ると、自分の頬に当てて、わざとらしく涙ぐんで見せた。

「おユキさんのお陰で、こうして元の健康な体に戻る事が出来ました〜そのお礼を是非ともこの体で〜!」

「あら、旦那様ったら」

おユキが薄っすら笑みを浮かべると、あたるはその場に凍り付いてしまった。

「それじゃあ、さよならだっちゃ。おユキちゃん、またね〜」

おユキは異次元トンネルを作ってその中へ、風紀委員と委員長もアメーバ状になって空に浮かび、それぞれの場所へ帰って行った。


「ダーリン、まだ融けないのかな〜…そうだ…」

固まったあたるを抱きかかえ、屋根から下りかけたラムが夜空を見上げると。

「あ、また流れ星…今度のは本物の流れ星みたいだっちゃね…」

そして部屋へ戻り、布団の中へ。凍ったあたるを抱き締め、ゆっくり融けるのを待つラム。

「ダーリン…?まだ融けないっちゃね〜…」

「…さ…さ、寒〜〜…な、何やってんだ、ラム…」

「やっと融けたっちゃ〜♪あったかくなった?ダーリン」

「そんなにすぐにあったまるかっ…まだ寒いわっ」

「ウチもダーリン抱いてたら、寒くなってきたっちゃ…」

先の余韻も手伝って、ふたりはすぐに抱き合った。

「もう、邪魔なものは無いから…ダーリン…」

そうしてあたるは先まで金属質で覆われていたラムの秘所に手を伸ばす。指先が彼女のひだを掻き分けると、そこはすぐさま粘液で潤った。

「ああっ…ダーリン…ダーリンッ…」

「ラム…」

ラムもあたるの股間に何も無い事を確かめるように、手を伸ばす。伸ばした先には、あたるの硬く立ち上がったモノが。ラムが触れて軽く握ると、あたるは顔を歪めた。

「くっ…ラムッ…」

はぁはぁ、と息を荒げつつ、ラムの胸に顔をうずめるあたる。片手がラムの秘所を間断無く攻める。

「ちゃっ…んっ、あんっ…ウチのそこが…」

弱点を攻められる度に、ラムのカラダが軽くはぜる。そしてあたるのモノを片手で弄びながら、彼女は悶えた。

「いいっちゃ…ダーリン…ああっ!」

膝を立てて股間を広げたラムは、あたるのモノを下の入り口に導いた。彼女のつぼんだ入り口に、彼の生殖器が埋もれてゆく。

「うっ、くっ…ラムッ、んんっ…」

「んあっ…ダーリン…」

互いにすっかり熱くなったカラダを密着させると、薄っすらと噴出す汗で、肌同士が貼り付く。

「ふっ、くっ…はっ、はっ、はっ、はっ…」

最初ゆっくりだったあたるの腰の動きが早まる。ラムの肩を掴み、自身を送り込み続ける。そうするとラムのカラダも前後に揺れた。

「あっ、あっ、あっ、あっ!…ちゃあぁぁっ!」

ラムがあたるの頭をしっかりと抱き締め、送り込みに声で応える。

「ウチ、ウチッ…もうっ、だめっ…ああぁっ!」

ラムの肉管の更に奥にある場所へ、あたるの分身が猛然と突進し続ける。やがて、彼女の真奥へ向けて、彼の分身から熱いものが注がれた。それをラムは胎内で感じ取り、更にしっかりあたるにしがみ付いた。
そして互いに呼吸を整えつつ、汗でべた付いたカラダを離して、並んで横になった。

「ダーリン…体、あったまったっちゃ?」

「…熱いくらいじゃ…」

事が終わった後のあたるの横顔を、笑みを浮かべつつ眺めるラム。そして彼にぴったりくっついて、耳元に囁きかける。

「さっき、本物の流れ星見たっちゃ」

「本物の?…それで?」

「お願い事したっちゃ」

「何を?」

「どこかの物好きがするお願い事なんて、決まってるっちゃ」

「…それで…ちゃんと3回言えたのか?」

「…内緒っ。ダーリンならきっと、ハーレムでもお願いするつもりだっちゃねぇ」

「そりゃもちろん…ハーレム一丁、頼んじゃる」

「…それにしても、あの風紀委員、ダーリンの細胞持ち帰るつもりだったのかな?」

「それがどうした?」

「あんな生命体がダーリンみたいになったら、それこそ大変だっちゃ!そこの星がぜーんぶ、ダーリンだらけになるっちゃ。風紀だって滅茶苦茶になってるっちゃ、きっと」

「アホかっ!…人をゴキブリみたいに言いおって…」

「だから、ダーリンはひとりで十分だっちゃ…」

--- E N D ---

あとがき


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