うなぎパイ(夜のお菓子と、いい女)


「ただいまー、あー腹減った〜」

学校から帰って来たあたる、トントンと階段を昇って自室へ入る。座敷テーブルには小腹が減った時のための菓子がある。自分で用意しておく事もあれば、極たまに母親が掃除ついでに置いていく事もあった。

見れば今日は自分で用意した憶えの無い菓子が、菓子盆に載せて置いてあった。腹が減ったので、それをひとつ、ふたつと食べていくあたる。それからしばらくして、異変は起こった。

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夕飯を食べて風呂に入り…という、いつもの生活パターンで1日が終わろうとしていた。
パジャマ姿のあたる、机に座って漫画を読んでいたのだが…突然、身体の一部に妙な違和感を覚えた。何かに弾かれるようにして一瞬背筋をシャキーンと伸ばし、すぐさま前屈みになって何かをこらえだした。

「うっ…」

その時ラムは、座敷テーブルで今日の宿題をやっていた。あたるの様子が変なのに気付くまで、そう時間はかからなかった。

「ダーリン、どうしたっちゃ?」

座ったまま、あたるに声をかけるラム。

「うっ、くっ…くくくく…」

「何ひとりで笑ってるっちゃ?」

ラムに顔を向けたあたる。その表情は…眉根を寄せたり頬や口元を緩めたり歪めたり、しかめっ面になったりと、目まぐるしく変化していた。そして両手で、股間をしっか、と押さえていた。

「お〜い、ラム〜…お前またなんか、変な事したんじゃないだろーな〜〜…」

前屈みのまま、力の入らない情けなさそうな声でラムに問うあたる。

「何って、別に…あっ!そう言えば〜…ダーリン、ここにあったお菓子、もしかしてひとりで全部?」

「え〜?ああ、あれね〜…う〜ん、全部、食ったぞ…美味かったから〜…」

「ウチは味が薄かったから、ひとつしか食べなかったけど…あれ、弁天のお土産だっちゃ」

「弁天様の、お土産〜?どこの〜?」

「あのね〜…」

前日のあたるがいない時間に、弁天が遊びに来たのだ。以下、その時の様子。

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「よー、ラム。元気にしてるか?」

「あ〜、弁天!どうしたっちゃ?しばらく留守みたいだったけど」

「昨日まで福の神や馴染みの連中と、温泉旅行だったんだ。ま、社員旅行みたいなもんか」

「ふ〜ん、で、どこの温泉行ったっちゃ?」

「M○○星雲に、温泉だらけの星があるんだけどよ。それが結構な穴場でさ〜…」

旅行中の出来事を笑いを交えながらしゃべり続ける弁天。ラムは「ふーん」とか「へ〜」と相槌を打ちながら、彼女の話を聞いていた。

「さて、と。ずいぶん長居しちまったから、そろそろ帰るわ。…っと、そうそう、忘れるとこだったぜ」

弁天は平たくて四角い包みをエア・バイクから持ってくると、ラムに差し出した。

「つまんねぇもんだけどな、ま、気分のモンだし。土産だ、土産」

「そんなに気をつかうこと無いのに。悪いっちゃね、ありがと、弁天」

「亭主にもヨロシクな。それじゃまたな」

そして弁天、2階の窓際に停めてあった真っ赤なエア・バイクに跨ると、疾風(はやて)のように飛び去っていった。

「温泉旅行のお土産…中は何だっちゃ?」

早速包みを開けてみると、中身は菓子であった。

「M○○星雲土産物組合謹製…夜の、お菓子…うなぎ、パイ?…地球でも見た事あったけど、こっちはどんな味なのかな〜」

試しにひとつ食べてみた。

「やっぱりほとんど味がしないっちゃ…でもダーリンならきっと食べるだろうから、後で置いとこうっと」

そして“星雲謹製・うなぎパイ”は、翌日あたるの口に入ったのであった。

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「だからラム〜…地球人の体質に〜合ってるかどうかくらい〜確認しとけよ〜…もう〜ダメじゃっ…辛抱たまらんっ!」

「どうしたっちゃ、ダーリン?」

イスから立ち上がったあたる、パジャマも下着もいっぺんに脱ぎ捨てると、座ったままのラムにずんずんと近付いた。

「ちゃっ!ダーリン、どうしたっちゃ、それっ!?」

思わず口に手を当て目を見開き、“ぎょっ”とするラム。その彼女が目にしたものとは。
…まるで別の生き物のように、あたるの股間でくねくねとその身を踊らす、彼のイチモツ、であった。

もちろんあたる自身も、自分の分身がそんな事になってしまって、驚きを禁じ得なかったが、当然の事ながら、驚きより、性欲が勝ってしまった。
そしてどんなに尋常で無い状況にも、すぐに順応出来てしまうのが、彼の長所であり、とりえでもあった。今さっき着衣全てを脱ぎ捨てた際には、一瞬、腰を抜かすほど驚いていたが、すぐに気を取り直して、行動を起こしたのであった。

だがその一方で、ラムの様子は、というと、驚きと戸惑いがない交ぜになった表情であたるを見上げていた。

「ちょっ…ダーリンッ…」

あたるは、少し戸惑っている様子のラムを押し倒し、ビキニのボトムをするりと抜き取り、トップをめくりあげ、椀型のバストを露出させた。

「まだ宿題…終わって、無いの、に…あ…」

ラムの裸体を見た途端、それまで身をくねらせていたあたるのイチモツ、包皮に血管の筋を浮き立たせて、直立不動の剛棒に変化した。

「もうっ、辛抱たまらーーんっ!!」


        【…寝技で合体…】


「ダ…ダーリン、のが…ウチの、ナ、ナカで…あ、あぁぁっ…!」

そう、あの“うなぎパイ”の効果か、はたまた地球人の体質に合わずカラダそのものを変化させてしまったのか。そして菓子名から容易に想像出来た通りに、あたるのイチモツはうなぎのように、ラムの膣内でぐねぐねと蠢きまくった。

「う、動い、て、るっ…ダーリンッ…のが…ナカ、で…あ、あ、は…い、いっ…!」

畳に背を擦り付けその身を仰け反らせ、びくんびくんっ、と反応するラム。あたる、顔を真っ赤にして、神経をラムと合体している一点に集中させた。

「…ちゃあぁぁぁっ!さっき、よりっ、う、動いてるっ!…んくっ!…あ、あぁあっ!!」

はぁはぁと息を上げながら、ラムに送り込み続けるあたる。ラムの両脚をぐいっと広げて、陰唇の狭間に埋もれている自身のモノを、ラムのナカで蠢かせながら、しごきあげる。

「あ、あぁ、あぁぁっ!!つ、突付いて、るっ…ダーリ、ン、のがっ…!ああっ!ダメェッ!!」

どうやらラムの“ウィーク・ポイント”を、あたるのイチモツのどこかが、突付いて刺激しているらしかった。

「オレのっ…先っぽがっ…さっきから、パクパクしとるんじゃっ…くっ、くっ…」

「だめぇぇっ!そこっ…そこはっ!」

ラムは小さく叫びながら、畳にツメを立てて引っ掻き、あちこち毛羽立たせた。そして時々、手のひらで床を数回軽く叩いた。まるで寝技から逃れようともがく、戦況不利な格闘技の選手のように。

「ダーリンッ!ウチ…い、いいっ…イ、イっちゃうぅぅっ…!!」

先にラムが達してしまった。第一ラウンドはラムのフォール負けで、ゴング。


        【…インターバル…】


接合したまま、少しぐったりして、息を整えるラム。ぬちぬちと湿った音を立てて、ラムを揺すり続けるあたる。数回、キスを繰り返す。

そうこうするうちに、ラムのカラダが再び熱を帯びてきた。次第に荒くなる呼吸。
床に着いた手のひらを踏ん張らせて、上半身をひねるラム。そしてあたるの腰に両足を回してクロスガードの体勢になった。更に密着する互いの陰部。

「んっ、ダーリン…ウチ、背中が、擦れて…んっ、んあっ…痛いっちゃ…」

あたるの腰に回した足はそのままに、上半身を起こすラム。互いに息を弾ませ、あたるを抱いてラムがふわりと宙に浮いた。そして先に敷いておいた布団へと雪崩れ込み、第二ラウンド開始。

「あはぁっ!うっ、動いてるっ…ダーリンのがっ…!ああっ!」

あたるの“うなぎ”が、ラムの野性をどんどん引き出す。白いシーツが乱れ波打つ、小さなリングの上で、あたるの攻めに悶えてのたうつ、ラムの肢体。

やがて、ラムのナカでしごかれ締められ引き絞られたあたるも、彼女のナカで達してしまった。それとほぼタイミングを同じくして、ラムも小さく声をあげて達し、ダブルK.O。第二ラウンド、両者引き分けのゴング。


        【…インターバル…】


両者、肩で息をしながら火照ったカラダをしばし冷ます。あたるはとりあえず一度、ラムからイチモツを抜いた。抜くとともに、とろりとした蜜が、ラムの内股やシーツを濡らした。

「ちゃっ!?…ダーリンのが…」

「うおっ!?」

「なんかヒワイな形と動き…してるっちゃ〜…」

「どーりで先っちょが変だ変だと思っておったら…まるでホラー映画じゃ…」

そして再び、野性に戻ったふたり。今夜のラムの下のクチもよく締まった。ひとつだけ食べた、あのうなぎパイの効果だったのかもしれない。あたるのイチモツも相変わらず、ラムと接合した内部で蠢き続けた。

自身のモノがラムの内部で踊るたびに、下になった彼女のカラダがのたうって弾け、あたるの視線の下で、ラムのお椀型のバストが、小気味良く跳ね、揺れた。

そんなラムの表情や嬌態が、あたるの本能をくすぐり、悦ばせた。そして神経を自身の一点に集約させる。あたるの“うなぎ”がラムも同時に悦ばせている。

本能だけで、他は何も考えずに送り込みを続けるあたるだったが、自分の動きひとつで、恥ずかしげも無い声をあげ、包み隠さず全てをさらけだしてくるラムを見て、ちらっとだけこんな事を思った。(やっぱ、いい女だな…)と。

「もう、ウチ…だめぇ…」

そう呟きながら、あたるの動きに合わせて、頭を左右に振るラム。
長い髪はすっかり乱れ広がり、前髪やカラダにかかった髪は、汗で肌にぺっとりと貼り付いている。体温が上昇してか、ほんのり湯気が立っているようにも見えた。

「あ、あ…まだ、う、動いて…るっ!…ちゃあぁっ!」

「まだまだ…じゃっ…」

まるでマウントポジションをとられたような状態のラム。しかし反撃などしない、攻撃をガードする事もしない。あたるの全てを受け入れている。そんなラムを見て、再び思う。(やっぱり、いい女、だな…)と。

「ああっ…んっ…あ、あっ!そこ、はっ…だ、め…っちゃ!」

3度、4度と、達して、その度にカラダを打ち震わせる、ラム。
達する毎に、ふたりの頭の中で、ゴングが鳴り響く。そしてわずかなインターバルをおくと、ゴングの合図で試合再開。

「ふっ、くっ…まだっ、まだじゃぁっ…!」

「ダーリンッ、ちょっ、と…激し過ぎっ…ちゃあぁぁっ!!」

時々、ラムがマウントポジション側に回り、あたるの上でその肢体を揺する。そして彼によって引き出された“野性”を剥き出しにして、激しく乱れた。

そしてまた達すると、腰砕けになって、あたるの上にその身を預ける。インターバルの間は、軽いキスを何度も繰り返し、汗ばんだ肌同士を合わせて、互いの体温を感じ合った。

「まだ…終わらないのけ?ダーリン…」

「オレも疲れてきたが…まだ、こいつが…ほれ」

そして一体何時間が過ぎたのだろうか。カーテン越しに、薄っすらと白い光りが見え始める時間になっていた。
ふたりとも、すっかり息が上がっていたが、菓子の効果はまだ消えない。

ラムを下にしての、寝技攻撃が続く。ロープも無ければカウントをとるレフェリーもいない白いリングは、すっかりぐしゃぐしゃになっていた。そして長い夜が、明けようとしていた。


次の夜、ラムのUFO内にて。

「ああっ!…まだっ…終わらないのけ?ダーリンッ…!」

「明るくなったら…元に戻った、が…また、夜に、なったら…う、んっ!」

「あはぁっ!またっ、動いて、るっ!…ちゃああぁっ!!…ダーリン、食べ過ぎ、っちゃっ!」

「オレだって、早くっ…元に戻りたい…わっ…ラムッ…」

「だめぇっ!すごくっ、動いてっ、ダーリンのがっ!…ウチの、そこはっ!だめぇーーっ!!」

「こうなった、ら…一蓮、托生…毒を食らわばっ、皿まで…と、言うでは、無いかっ」

「何だか、よく、分からないっ、けどっ…でも、ウチはっ…ずっと、こうでもっ…いいっ…ちゃっ!」

「ラムッ…お前、やっぱり…いや、何でも…うっ、くっ…!」

そして最大級のアクメがラムを襲った。

「ちゃあぁぁぁぁーーーーっっ!!」

美しい曲線を描いて、しなやかに仰け反るそのカラダ。汗や体臭とともに、全身から発散される、ラムのフェロモン。
それがUFO内に広がると、あたるの嗅覚を通じて自律神経に働きかけ、今までに無いほど強烈なイチモツの“たぎり”を感じた。
ラムのナカで思い切り引き絞られ、先端が彼女の子宮口に到達すると同時に、あたるの熱い流れが、勢い良く噴き出した。

そして、ラムのUFO内にしつらえたベッドの上で。ふたりの頭の中でほぼ同時にゴングが打ち鳴らされ、長かった試合は、ようやく終了した。

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「あんなにすごいの…初めて、だったかも…もうすっかり元に戻ったっちゃ?」

「ん、まぁな…しかし、弁天様の土産が何かも知らずに置いとくラムもラムじゃ」

「だって〜ホントーに、何も知らなかったっちゃ。弁天も知らないで買ってきたみたいだし」

「…また弁天様に、それ、頼んでみるか?」

「もう、ウチはいいっちゃ…」

「だってお前もひとつだけ食べたんだろ?…結構、良かったんだが…」

「何言ってるっちゃ!…ホントーにダーリンはスケベだっちゃ」

「エッチ、じゃなくて、スケベ、なのか?オレが?」

「だっちゃ…あんなの食べてたら、ムードも何も無いっちゃよ。まるで…」

「まるで?」

「布団の上で格闘技やってるみたいだったんだもん。あんまりムード無かったっちゃ」

「…そもそもアレは、男と女の格闘技みたいなもんだろーが…」

「やっぱりムード、無いっちゃ、ダーリンのバカッ」

ある休みの日にあたるの部屋で、こんな会話をしていたふたり。
あたるがラムを見ると、唇をツンと尖らせて、ちょっと拗ねている風だった。

(なーにを拗ねてるんだか…ったく…ムードがどーのこーのと、まったくうるさいっちゃねーな…それにしても…)

何かを思い出したのか、にやけた表情になる、あたる。

(やっぱ、あれだな…色々とうるさくて、かなわん時もあるが…あーゆー時の、ラムも…)

そしてふと、こんな事を思ってみる。

(やっぱ、いい女、っちゅー事かな…拗ねてんのも、含めて…か?)

その後ふたりが弁天に「星雲謹製・うなぎパイ」を再び頼んだかどうかは、定かでは無い。

--- E N D ---

あとがき


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