スキ・ヤキ


ある日の教室にて。休み時間、あたるはいつもの調子でしのぶの机にへばり付き、紙切れを取り出して話し出した。

「しのぶ〜、帰りに映画行こうか。チケットがちょうど2枚あるのだ」

「ラムと行けばいいじゃない。その映画、まだしばらくやってんでしょ?…そういえばラム、昨日も今日も学校休んでるけど、どーしたのよ?」

「ラムの事なんて、どーでもいいだろ〜?オレはしのぶと、映画を観たいのじゃ。それにアイツのプライベートなんぞ、イチイチ把握してるわけなかろーが」

「とにかく、あたしは行かないわよ。もうその映画観ちゃったもの、因幡さんと」

「いかーんっ!最近あの因幡と付き合ってばかりではないかっ。あの頼りなさそうなヤツのどこがいいんじゃ?」

「そんな事、どーでもいいでしょ。少なくともあたる君よりは、色んな面で遥かにマシよ。浮気なんかしそうもないし」

「しのぶ〜お前は騙されているっ!浮気せん男がこの世にいると思っているその幻想がそもそものっ!間違った道へ踏み込ませる第一歩なんじゃっ!」

「誰かさんと一緒にしないでよ。…そんな事ばっかり言ってると、そのうちラムにも愛想尽かされるわよ。彼女がそうしない理由は、地球人のあたしには到底理解出来ないけど」

と、その時。あたるの頬に何やら冷たくて堅い感触が。ゆっくり顔を横に向けると、それは面堂の愛刀の、鋭く光る切っ先だった。

「ど、どーしたんじゃ、面堂、やぶから棒に。そんな物騒なもんを人に突き付けるとは…」

「何も言うな、諸星…。今すぐ、楽にしてやるからな…」

「だ、だから、面堂、オレがお前に何をしたのか…ワケくらい、聞く権利が、あるだろーが…な?」

冷徹な笑みを浮かべる面堂、それに対して冷や汗ダラダラのあたる。いつもの事とはいえ、目の前で刀を振り回されてはたまらない、と思ったしのぶ、席から立ち上がって面堂に話しかけた。

「面堂さんも、ちょっと落ち着いて…一体何があったか、話くらい聞かせてちょうだい」

「しのぶさん、止めないで下さい。コイツの腐り切った性根を、今日こそ叩き直してやりたいのです…しかし、その前に…諸星にはしっかり“現実”を聞かせておいてやらねばな…」

面堂、一旦刀を鞘に収めると、眉間にしわを寄せた強張った表情で、話し始めた。

「貴様がいつまでたっても、そんな態度だから…ラムさんが心変わりして当然だ。…しかし、ラムさんもラムさんだ!僕という者が側にいながら、あのような男に心を移すとは…。はぁ…ラムさん…。…という事だ、納得いったか、諸星っ!第一貴様のような男に、いつまでもラムさんを任せておくつもりは毛頭無かったが、しかし、ラムさんは…ラムさんが…素性も知れない男と、よりにもよって、手をっ!繋いで歩いていたのを見てしまうとは…ああ、あれが幻だと、誰か僕に言ってくれ…僕があの男より劣る要素など、まったく見当たらなかったというのに…。つまりっ!貴様に今日明日を生きる資格は無いのだ!諸星、覚悟ーーーっ!!……あれ?しのぶさん、諸星は?」

「…面堂さんが力説してる間に、とっくに教室から出て行ったわよ…」

面堂の話がどこまで本当なのかは、自分の目で確かめない事にははっきりしないが、もしそうなら、昨日、今日と学校を休んだ理由も大体想像がつく。第一、昨晩は部屋にも来なかった。
そういう日はラムがどこでどうしているのか、本当は知りたいのだが、聞けば聞いたでラムを喜ばせるだけだし、反対に面堂が言っていた通りだとすれば、それはそれで聞きたくも無かった。

(面堂の言ってた事が本当だとしたら…ラムのヤツ、人には散々浮気者とか言っておいて、今頃どこで何をしとるんじゃっ!)

学校の門から出て住宅街を移動していると、上空にラムの姿を見つけた。制服ではなく、私服だ。

(こんな時間にしかも私服で…どこに行くつもりじゃ…)

ラムに気付かれないよう、地上をこそこそと移動するあたる。やがて時計台のある公園にたどり着いた。

「お待たせ〜だっちゃ♪もしかして、ずいぶん待ったっちゃ?」

「ううん、大丈夫。今さっき来たとこだから」

公園の物陰から、こっそり覗き見るあたる。相手は、同い年くらいの男…とは言っても、自分や面堂やレイとは明らかにタイプが違う。“可愛い系”が少し入った顔立ちに、細めの体格、ラムより頭半分ほどだけ高い身長、低いトーンでやわらか目の声質。しかし薄着の胸元や骨格、のど元などを見た限りでは、確かに“男”だった。

ラムが話しかけて、名前を呼んでいる。しかし少し距離があるので、はっきりとは聞き取れなかった。が、やはり確かに“男”らしい。

「ねぇ、・・・・クン、今日はどこ行くっちゃ?」

「ラムちゃんの行きたい所なら、どこでも。ね、手ぇ繋いでも、いい?」

「うん、いいっちゃよ」

そして手を繋いだふたりが公園から出ようとした…その出入り口に、腕を組みムスッとした表情のあたるが、ふたりを睨み付けて立っていた。

「あ、ダ、ダーリン…学校じゃ…なかったのけ?」

「オレがここにいちゃ変か?…というより、何かマズい事でも…あるのか?」

「あ、どーも、初めまして。ラムちゃんから話は聞いて…」

「どーせロクな話じゃないんだろ?」

「ダーリン、これにはワケが…」

「お手々繋いでデートしようという態度のどこに、どーんなワケがあるというんじゃっ!」

「だからこれは、ダーリンが考えてるのと違うっちゃっ!」

「言い訳なんぞ聞きたくないわっ!」

「話くらい聞いてくれたって…」

「もういいっ!いいから二度と…」

ラムがあたるの肩に手をかけて止めようとしたが、指先がわずかに触れただけで振り切られた。背を向けたままスタスタと歩いて行くあたる。そして数歩進んだところで足を止め、振り向かないまま、大声で怒鳴った。

「二度と、オレの部屋に来るなっ!」

「ダーリンッ!だから誤解だっちゃっ!」

走り寄ったラムが、あたるの腕を掴んだ。

「離さんかっ!」

「ちゃんと話を〜…聞いてくれないからーっ!ダーリンのバカーーッ!!」


“ドババババババーーーーーーーーッッ!!!”


強烈な“いつもの”電撃でしこたま感電させられ、こんがり焼けて倒れたあたる。しかし“電撃焼け”に慣れてしまった彼は、間も無くむっくり起き上がった。

「お前はどーしてもうちっと、マシな引き止め方が出来んのじゃっ!!」

「ダーリンが聞く耳持とうとしないからだっちゃ!!」

「怒れば電撃、引き止める時も電撃っ!それからっ…あ…」

「とにかく、ダーリンがさっき言った言葉は訂正するっちゃ!」

「…何をだよ…」

「二度と部屋に来るな、って言った事だっちゃ!…ホントーに、行かなくてもいいのけ!?今後一切っ!」

睨み合ったまま、対峙するあたるとラム。そこへ…ラムと手を繋いでいた“彼”が、話しかけてきた。

「あの〜、お取り込み中のところ、恐縮なんですけど〜…」

「何じゃいっ!」  「何だっちゃ!」

「ホント〜に、誤解なんですぅ。実は僕ぅ、体は男なんですけどぉ…」

「な、何か…誰かと似た、リアクションだな…喋り方とか」

「つまり、ラムちゃんとは〜、この間知り合った“お友達”なんですぅ。だから昨日もお手々繋いで、一緒にお買い物付き合ってもらっちゃって〜」

「つまり貴様は…オカマ、か?」

「う〜ん、そうとも言うかも〜。でも、諸星クンって、ラムちゃんから聞いてた話より、男らしいんですねぇ。うふふっ♪」

「ラ、ラム…お前はこいつの喋りを聞いてて、何も…感じんのか?…オレはちょっと…疲れてきた…」

「そうけ?彼、こんなんだから、学校行ってないんだっちゃ。この間たまたま知り合って、昼間遊んでくれる友達がいないっていうから、昨日と今日付き合う事にしたんだけど、夕べは話が盛り上がったから、朝までお喋りしてたっちゃ」

「ああ、そう…」

「で、ダーリンの事もたくさん話してあげたっちゃ。そしたら、一度是非会ってみたい、って言い出したんだけど…」

「顔はともかく〜、思ったよりタイプかも〜♪ね、今度一緒にデートしません?ね、しましょーよ♪」

「良かったっちゃね〜、ダーリンッ。中身はしっかり“女の子”なんだから〜、今度デートしてあげるといいっちゃ」

冷ややかな笑顔に、皮肉たっぷりの言い方で、あたるをからかうラム。

「あのなぁ…オレは中も外も“女”の人がいいのだっ!」

「うふふっ♪そう言うだろうと思ってました〜。…あ、そうそう。ラムちゃん、今日はお買い物行けなかったけど、またそのうち遊びに行きましょ♪これは…昨日のお礼っ」

“彼”はラムに、単行本ほどのサイズの、薄茶色の紙袋を手渡した。ラムが受け取ると、円筒形っぽい少し重さのある中身らしい。

「ふたりってやっぱり相性ピッタリね♪それから袋の中身は、地球の人が口にしても影響ないから、安心してっ。それじゃ、またね〜♪」

そう言うと“彼”は内股の小走りで、去って行った。

「おい、もしかして、アイツ…」

「地球人じゃなかったみたい、だっちゃね…」

「お前、気が付かんかったのか?」

「…ちっとも」


「で、ダーリン。さっき言った事の訂正は?ウチに何か言う事は無いのけ!?」

ラムはまだ、あたるの“二度と部屋に来るな”という言葉に腹を立てていた。

「ダーリンが謝んないんなら、ウチ本当に、ダーリンのとこになんか行かないっちゃ!」

「そもそもお前が、誤解されるよーな行動をとったのが、原因だろーがっ」

「でもあんな言い方、無いっちゃ!ホントーーーにっ、いいのけ?ひとりの夜は、寂しいっちゃよぉ?ダーリンッ」

「…ひとりの方が気が楽じゃっ」

「ホントに…ちっとも素直じゃないっちゃ、ダーリンのバカッ」

ふたりは公園のベンチで痴話ゲンカを続けていた。ラムが頬を膨らませて怒っている。それを横目でチラリと見やるあたる。

「もういいっちゃ。ダーリンが謝んないんなら、ウチはこれからずーーーっと、UFOにいるっちゃ」

プイッ、と横を向いたまま、あたると目を合わそうとしないラム。さすがに(言い過ぎたかな…)と、あたるは思っていたのだが、なかなかそれを口に出来ずにいた。

「ウチ、もうUFOに帰るっちゃ」

「あ…」

このまま引き止めなかったら、本当に二度と自分の部屋に来なくなるような気がしたが…。ラムはすっと立ち上がって軽く地面を蹴ると、あっという間に飛び去って行ってしまった。そしてその後、学校にも登校せず、あたるの部屋にも来ない日が、何日か続いた。

そして数日後のUFO内にて。

「今度ばっかりは、許す気になれないっちゃ。でもぉ…ウチがいない間に、他に女が出来たり…してないかなぁ…ウチがいなくても、平気なのかなぁ、ダーリン…」

虎縞柄のソファの上で、両足を体育座りのようにして抱え、モヤモヤした怒りと、それとは別の不安が、ラムをムシャクシャさせたり、憂鬱にしたりしていた。

「ダーリン、今頃どうしてるのかなぁ…あ、そう言えば、あの時もらった袋の中身って何だっちゃ?」

ラムは、例の“彼”がお礼にとくれた袋を、中も見ずにそのままにしていた。

「もし食べ物だったら、大変だっちゃ」

慌てて紙袋を置いた場所へ飛んで行き、中身を出してみた。

「手紙が入ってるっちゃ…」

メモ程度の手紙だったがそこには、友達になってくれてありがとう、というお礼の言葉と共に、袋の中身についての簡単な説明が書いてあった。

“中身は、ここぞという時に飲んだり肌につけたりして使ってください。それから中身を残して冷暗所に保存しておけば、また元の量に戻ります”

「茶色のビンに入った液体だっちゃ。…ここぞという時、って…今みたいな状態の事なのかな?」

蓋を開けてみると、特に匂いも無い。内蓋があって、小さな穴が2箇所開いていた。注ぎ口と空気穴だ。ビンの大きさからすると、少量ずつ使うものらしい。

そしてラムはしばらく考えた末、自分から仲直りのきっかけを作る方が手っ取り早いだろう、と考え直して、もらった袋を胸に抱え、久々にあたるの部屋へ飛んで行った。

すっかり日が暮れた頃。ラムがベランダに下り立つと、窓の半分が開いていて、カーテンも引かれていなかった。照明の点いた部屋の中、ベランダ側に背を向けていたあたるは、座敷テーブルの前であぐらをかき、頬杖を着いて、雑誌をめくっているように見えた。

半開きの窓に手をかけて、そっと開けつつ、「ダーリン?」と小さな声で呼びかけてみた。
途端に何かに弾かれたように背筋を伸ばすあたる。そしてわずかの間固まって、ゆっくり後ろを振り向いた。

「…だ、誰がここに来ていいと、言ったんじゃ…」

あたるのその言葉に、部屋に入りかけたラムの動きが止まった。表情が曇り、次いでムッとして見せる。

「わかったっちゃ」

それだけ言うと、窓を閉め、ベランダの手すり側に向いた。両腕を手すりに乗せて柵にもたれかかると、その場から動こうともしない。それから少しして。

「人の言う事を真に受けて…何をバカ正直に突っ立っとるんじゃ…。夜露は体に毒だぞ…はよ中に…入らんか、ラムのアホ…」

あたる、窓を開けつつ、小さな声で呼びかけてきた。その声にラムが振り返ると…そっぽを向き、ぎこちない歩き方で元いた場所に戻ろうとする彼の後姿が目に入った。

ふわりと浮かんで一直線にあたるの背中へと飛び付くラム。

「相変わらず素直じゃ無いっちゃ、ダーリンは。来るな、って言うんなら、どーして窓開けてたっちゃ?」

「…閉めっぱなしだと、蒸し暑いんじゃっ…」

「ウチのいない間、寂しく無かったけ?もしかして…他に女でも出来たっちゃ?」

あたるの背中にぴったりくっついて肩に腕を回し、おぶさった格好のまま、ラムがあたるの耳元に囁きかけた。ラムの湿っぽくて生温かい吐息が、あたるの耳周辺を軽くくすぐった。

「ウチは…寂しかったっちゃ…。すごーく、すごーく、寂しかったっちゃ…ダーリン…」

空中に浮かびながら、あたるの前に回り込むラム。瞳を潤ませた悩ましげな表情で、あたるに軽く微笑んだ。そして前面からもきゅっ、と抱き着いた。
あたるに頬擦りをし、時々顔を向き合わせては、また軽い笑みを浮かべる。

「ダーリン?寂しくなかったっちゃ?」

そしてまた頬をすり寄せながら、あたるの耳元に甘えた声で囁く。

「ウチ、大好きなダーリンに何日も会ってなくて、すごーく、寂しかったっちゃ。いっつもダーリンの事ばっかり、考えてて…」

そしてまた、頭を起こしてあたるの顔を見つめつつ、眉をしかめた艶かしい笑顔で、囁きかける。

「…それに、ダーリンが、可愛がってくれないから…ウチの、ここも…ダーリンの事思っただけで…。でも、ウチ、ずーっとガマンしてたっちゃよ?ダーリンは…ガマンしてたっちゃ?まさか…他の女となんか…」

「んな事しとらんわ…そんなに寂しかったか?」

そう言いつつ、ラムの腰に回されていた左腕に力が入る。そして背に回していた右手でラムのブラの繋ぎ部分を外し、するりと引き抜いて、足元に落とした。

「うーんと、寂しかったっちゃ。だから今夜は…うーんと、いい子いい子して欲しいっちゃ…ダーリン」

「ん…ラム…お前ホントに、か…」

“可愛いな”と言いかけて、その部分だけを、ぐっと飲み込むあたる。

ラムは空中に浮いたまま、あたるの腰に両足を回し、密着していた互いの上半身の間に、少しだけ空間を作った。
白くてまろみのあるふたつの膨らみと、その先にちょこんと付いている色艶のいい突起部分が…あたるの目の高さのわずか下にある。

あたるがそこに気を取られている間に、ラムは彼のTシャツの裾に手をかけ持ち上げ、あたるにバンザイをさせて上に引き抜いた。
次いであたるは自分でボタンとファスナーを外し、ズボンを下ろした。

ラムの甘えの囁きと胸元が、あたるのガマンのタガを外した。気持ちが昂ぶり、はやり、一刻も早く…と思うだけで、自身のムスコがビクビクと脈打っていくのを感じた。

虎縞パンティーを身に着けたままのラムが、当て布で覆われた秘部をあたるの下腹部にそっと押し当ててきた。すると彼女のそこは…既に湿っぽくなっていた。

立っているあたるの腰に両足を絡めて、彼の両の肩を手で掴んでいるラム。横から見ると、アルファベットの「Y」に似た格好になっているふたり。

そしてその体勢のままあたるは、ラムが彼のために突き出している乳房の頂を…口に含んだ。

ラムがあたるの肩を掴んだまま腰を反らすと、彼女の乳房が前方に押し出され、あたるにとってはラムの乳房が尚更吸いやすくなった。

ラムの腰と背中を支えて立ったまま、彼女の乳房を口内に頬張るあたる。しかしさすがにこの体勢では疲れそうだったので、座敷テーブルにラムを寄りかからせて、床に腰を下ろした。

ふわふわと今にも宙に浮きそうなラムの腰と背をしっかり押さえて、あたるは彼女の胸を、存分に味わい続けた。


“ちゅうっ、ちゅばっ、ちゅうちゅう…ちゅぱちゅぱ、ちゅうぅぅ…ずちゅう、ぬちゅっ、ぬちぬちっ、ねちょ…ちゅう、ちゅる…ちゅばちゅば、ちゅうちゅう…”

「ああんっ…そっちばっかりじゃなくて…こ、こっちも…」

ラムの乳腺から、電気が溢れ、零れてくる。あたるの口内を、パチパチッ、チリチリッ…と、乳腺の微弱な電気が広がって、彼ののどまでも軽く痺れさせる。口内に溜まった唾液と微弱電流の混ざったものを、のどを鳴らしてごくりと飲み込むと、食道の内部が、妙なこそばゆさを覚えた。

絶えず零れてくる電気を舌に絡めて、ピリピリ痺れるそれで、ラムの乳先を“ぺちょり”と押さえつつ、舌の表面で上下左右にぷりぷりと転がしてやる。
すると微弱なパルスが、乳先から乳房の中、そして体内にまで伝わるようで、そうする度にあたるの腰に回された両足に力が入り、こんな言葉でラムは悶えた。

「ウ、ウチの、先から…お、おっぱい…の、な、中にぃ…ピ、ピリピリ、が…入って、きて…あ、ああっ…!も、もっと、ピリピリッ…ちょ、頂戴…ダーリンッ…!!」

あたるが舌に絡めた電気を、ラムの乳首に巻き付け、根元からゆっくりと…軽く潰すようにして…てっぺんまでを痺れさせながら舐め上げてやる。

やがて畳の床に、ラムを下にして崩れていくふたり。少し硬い畳の目に肌をこすられつつ、しばしじゃれ合い、絡み合う、あたるとラム。

「このままじゃ、痛いから…お布団敷くっちゃ、ダーリン…」

あたるは押入れから布団を放り出し、手早く無造作にそれを敷いた。

と、ラムはベランダに置きっ放しにしていた、例の“彼”にもらったものを思い出した。

「あ…そう言えば…」

ラムは窓を少しだけ開けて、人が見ていないかちょっとだけ確かめると、素早い動きで袋を掴み取り、再び窓を閉めカーテンを引いた。

照明を消した部屋で、あたるがそそくさと下着を脱いでいた。ラムは袋の中のビンを取り出し、蓋を開けてあたるに言った。

「あの子にもらったものだっちゃ。ここぞという時に使ってくれ、って書いてあったから、今使ってみるっちゃ。飲んでも肌に付けてもいいそうだっちゃよ」

「ホントーに…おかしな副作用とか、無いんだろーな?」

「とにかく、信用して使ってみるっちゃ。はいダーリン、あーん、して」

非常に渋々だが、あたるはビンの液体を数滴、舌の上に垂らしてもらって飲み込んだ。そして手のひらにも数滴垂らしてもらい、ローションのように肌にのばしてみた。そしてラムも同じように数滴飲んでみて、肌にも擦り込んでみた。

「特に味も匂いも、無いな…何の刺激も無いし、まるでただの水じゃ」

「そうだっちゃね。一体これ、どうなるんだっちゃ?あの子にちゃんと聞いておけば良かったっちゃ」

「説明書とか使用上の注意点とか無かったのかっ!?オレはてっきりお前が知ってるものとばかり…おい、ラム」

「な、何だっちゃ、ダーリン」

「もし変な副作用とか出たら〜…どうするつもりじゃっ!?」

「あ、あははは…だ、大丈夫だっちゃ…きっと」

「人に妙なもんばっか、食わせたり飲ませたりしおって〜〜…もーっ、怒ったっ!許さーんっ!」

…と言いつつ、あたるのやる事は同じである。

ラムの肩を掴んで布団に押し倒すと、虎縞パンティーをするりと抜き取った。すると先まで微かに漂っていただけのラムのフェロモンが、一気に放出された。
そしてあたるにとってはほぼいつもの事だが、その匂いで一瞬、頭の中が大きく揺れた。

薄暗い部屋の中で、ひときわ肌の白さが増したように見えるラム。横たわる彼女を見ていると、あたるの全身からは、いつもより大量の汗が噴き出してきた。そしてラムも同じく、全身汗だくになったように見えてきた。

(さっきのは、こういう時の強壮剤か何かか?)

そう思いつつラムに唇を押し当て、ぬっ、と舌を滑り込ませた。互いが互いの舌表面の味蕾を丹念にくすぐる。ラムの舌や頬の内側から、微弱なパルスがあたるに伝わってくる。

あたるがラムの口内の各所に舌先で触れる刹那、“パチッ、パチッ”と弾ける電気。その感触に一瞬ピクリ、とするも、直にこそばゆい感覚に変わる。あたるの舌や頬の内側、唇を伝って、顔表面や輪郭部分へと抜け出ていくラムの微弱な電気。

特にのど仏を痺れさせながら、唾液に混じったそれを飲み込むと…五臓六腑にラムの刺激と味と匂いが染み渡って、何度でも彼女の微弱な電流を飲み込みたくなる。

あたるが口内に溜め込んだ“電気混じり”の唾液をラムに送り込むと、ラムもまた、のどを鳴らしてそれを飲み込む。そして飲み終わると、もっと欲しい、と言わんばかりに、あたるの口内をじゅるじゅるとすする。

今夜の汗は…さっきの液体のせいなのか、たっぷり流れ出て、しかも少しぬるついていた。その汗のせいでいつもより肌の摩擦抵抗が小さい。よく滑る。しかも、どの部分同士がこすれ合っても、至極感度がいい。

「ん、んん…ああ…今夜は、すごく…気持ち、いい…っちゃ…あ、あ、大好きっ、ダーリン…愛してるっちゃ…」

ラムの乳首はピンと立ち上がって、あたるが摘むと、ちゅるん、と指先から滑って逃げた。が、今のがひどく良かったのか、ラムは鼻息を荒くして、あたるの肌に自ら乳首を押し当てて、カラダをくねらせた。

そしてころりと転がり、あたるを下に横たわらせたラム。キスをしながら、あたるの胸に乳房をこすり付けて、その先端をぷりぷりと弾いた。

その間にあたるの片手がラムの陰部に伸びる。濡れた陰毛を掻き分けながら、狭間に指を滑り込ませた。

「んふぅっ!」

両手を布団に着いてカラダを踏ん張らせ、ラムの腰から上が大きく仰け反った。あたるとのキスを急激に解いたせいで、舌を突き出したまま、口内に残っていたたっぷりの唾液を零すラム。乳房が大きく上下に跳ねた。

“くちゅくちゅ、くちくちっ、くちゅっ、くちゅっ、ぬちゅっぬちゅっぬちゅっ…”

「あ、あああ、ちゃあぁぁ…あ、ん、ん…ずっと、ガ、ガマン、し、してた、から…」

“ぐちゅ、ぐちゅ、ぐっちゅ、ぐっちゅ、ぐちゅぐちゅ、ぐっちゅぐっちゅ、ぐちゅ…”

「あ、あ、ああ!そんな、に…か、かき、回したら…ウ、ウチの、ここ、から…い、いっぱい、出ちゃうぅぅ…!あああっ!好きっ!大好きっ!ダーリンッ!」

“ぬぷり…ぬっち、ぬっち、ぬっち…”

「はっ、くっ、ふっ!だっ、だめぇっ!ひぁんっ!…好、きっ…!」

あたるがラムに中指を挿入し往復させつつ、彼女のクリトリスをクリクリと転がしたのだ。全身から微弱な放電を始めるラム。特に赤い粘膜の陰部からは、陰毛にも似たスパークが放出され、あたるの手指をピリピリと痺れさせた。

あたる、指に電気が絡み付いた瞬間、ラムの膣内に指を“ぐいっ”と押し込んだ。その指からラムの膣内に電気が流し込まれ、彼女のウィーク・ポイントをしこたま刺激した。

「ちゃああぁぁぁぁーーーーーっ!!」

叫びと共にあたるの胸にぱたりと倒れ込み、ガクガクと全身を震わせているラムの膣から指を抜き取ると…たっぷりのラヴ・ジュースが、ラムのナカから溢れ出た。

「あ、ああ…ん…ダーリン、愛してるっちゃ…大好き…」

今夜のラムは、先からやたらと“好き”や“愛してる”を口にする。珍しい事でも無いので、特に気にも留めないあたるだったが…。

よく滑る肌を擦り合わせながら、全身で快楽を共有するあたるとラム。

あたる、ラムの微弱放電を全身に絡めながら、再び彼女を下に横たわらせた。そしてカラダから電気が流れ出ないうちに、ラムの中心に…電気を巻きつけたイチモツを挿入した。
ピリピリと踊る青白いスパークが、ラムの粘膜部分に広がり、クリトリスをかすめて、ヘソの辺りまで走って行くと、自然消失した。

ラムに肌を合わせて、彼女の中心に自身を送り込むあたる。ぬるつく汗が、今夜はより一層、ふたりの感度を良くしていた。つまり、摩擦抵抗と反比例して、さまざまな部位…特に性感帯への刺激は大きくなる。

今夜は特殊な汗のためか、あたるが全身に絡めた“微弱電気糸”の帯電時間もいつもより若干長い。だからあたるは、粘る汗、粘る電気で、ラムを存分に痺れさせる事が出来た。

自身も痺れるが、ラムからの“放電の愛撫”は、常に共有する事が出来た。互いが発するパルスが、果ても無い高みへ昇り詰めようとするふたりの意識を、次第に薄れさせていく。

ラムの粘膜の管があたるのイチモツにまとわり付き、ほどよく締めてくれる。粘り気のある汗は、まるでラムのラヴ・ジュースのようだ。内も外もラヴ・ジュースまみれになって、ラムに送り込むあたる。

白くなりかかる意識の中、あたるはラムの手に指を絡ませて、しっかりと握りしめた。粘る汗をほとばしらせる肌と肌の摩擦音と、陰部の交合の音が入り混じって、夜の空気の中に、いかにも夜らしい音を響かせる。

そして、本当に申し合わせたように、ふたりほぼ同時だった。ラムの意識も、あたるの意識も、どこをどう刺激したらここまで飛ぶのか。狂おしいほどの快感がふたりの全身、つま先から脳天までを一気に貫いた。

その瞬間。

「ダーリンッ!!」  「ラムーッ!好きじゃーーっ!!」

あたるはそう叫ぶと、朦朧とした表情のラムの上にバッタリ倒れ込んだ。そしてふたりはしばらくの間、時々カラダをひくつかせ、接合もそのままにして、ぐったりと横たわっていた。


やがて現実に戻って来たような顔になったあたるとラム。粘った汗もすっかり引いていた。
あたるがラムから接合を外すと、ねっとりしたラムのラヴ・ジュースが零れて、陰部付近を濡らした。

行為が終わった後、起き上がって布団に座し、向き合うふたり。ラムがあたるに聞いてきた。

「ねぇダーリン、さっき何て言ったっちゃ?ウチ…頭が真っ白になってて、よく聞こえなかったっちゃ」

「オレ、何か言ったか?」

「ちっとも憶えて無いのけ?何だかものすごーく大事な事、言ったと思ったのに。それともまた、とぼけてウソ言ってるんじゃ無いっちゃ?」

「いや、ホントにまったくちっとも、憶えとらん」

「…本当け?」

ラムは大きな目をぱちぱちさせながら、本当にあたるが憶えていないらしいとわかると、ガッカリしたような表情になった。

「でもいいっちゃ。今夜はいっぱい、いっぱい、ダーリンがウチを…いい子いい子、してくれたから。…愛してるっちゃ、ダーリン」

ラムはあたるに抱き着き、甘えた声でそう囁いた。

「ダーリン、大好き…ダーリンはウチの事、好きだっちゃ?」

そう問いかけるラムの胸先が、あたるの肌に当たっている。

「ねぇ、好き?」

あたるの正面に顔を持ってきて、甘い声で再び問いかけるラム。あたる、何やら言いたそうに、口をもごもごさせている。

「ねぇ…ウチの事、好・き?」

「うっ…。オレ、ラムが、す…す…」

「す?それから?」

「す…す…す〜〜〜…スキヤキッ!が、食いたいっ!」

「ス…スキヤキ?…ウチがこんなにたくさん好き、って言ってるのにぃ。ねぇったら、ねぇ、好きだっちゃ?」

「す、す、す…スキー、に行くか?ラム」

「まだ夏だっちゃ…」

「す、す、す…スキッド、すすきっ、すすき野っ、スキッパー、スキップ!スキポール空港っ!…えーっと、それから…」

「んもうっ、ダーリンのバカッ…」

頬を膨らませて、あたるを軽く睨んでみせるラム。

「何だよ、怒ったのか?」

「当たり前だっちゃ!ふざけてばっかりで…んんっ…」

あたるは怒ったラムをなだめるように、深いキスで彼女の口を塞ぎ、ラムが悦ぶ口内愛撫をしばし続けた。
そしてラムが再び…細かな放電を始めた。あたるの味蕾のひとつひとつまでもが痺れるような。チリチリと放電するラムの舌が、スパークを散らしパルスを発しながら、彼の口内粘膜を隈なく愛撫する。

深くて長くてキスを解くと、銀糸と電気糸がふたりを繋いで、間も無く消えた。

ラムの乳先があたるに電気を送る。あたるの腰に再び両足を回して強く抱き着き、濡れて放電を始めた陰部を、あたるの下腹部に押し当てる。

「ダーリン、ウチの事、好き?」

「だからスキヤキが食いたいと言っただろうが」

「言ってる意味がよくわからんちゃ」

「深い意味まで考えんでいいんじゃ…とにかく今すぐ食いたい、と思っただけじゃ」

「ふーん…ねぇダーリン、ウチって美味しいっちゃ?」

「え?ん…あ、ああ、まぁな…」

「うふっ、嬉しいっちゃ♪それじゃあダーリン…またさっきの液体使ってみるけ?」

「え…いや…。ああ、そうそう、やっぱラムの放電の方がずっといいから、あれはまた今度な」

「え〜、結構気持ち良かったのにぃ。それにあれ使うと、たくさん“好き”、って言いたくなるっちゃ。だからもしかして…」

「あーもーいいから…それより…もう、食っていいか?」

「いつでもいいっちゃよ…ん、あん…んっ…」

(あの液体のせいで口が滑って、余計な事を言ってしまったような気がするのだが…。幸いラムもオレも憶えとらんが、あれはもう使わん方がいいようだな…なんとなく…。さっきまで効き目が残っておったようだし…。ふぅ〜危ない危ない…)

その後あたるは、例の液体の使用を何度ラムに勧められても、適当に話をはぐらかして二度と使わなかった…らしい。

--- E N D ---

あとがき


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