Flower.


あたるは、今夜も…“ラム”という“花”を抱いている。
その芳香と、蜜と、彼女が全身にまとう、光る棘が、あたるを魅了してやまない。

ラムは今夜も、紫色の闇に、ほんのり光って咲く、花になる。
つぼみの状態から、あたるによって大きく開花し、枯れる事を知らない。

“あたる”という、水を得て、ますます美しく大きく咲き乱れる、ラム。
しなやかな枝葉をかき分ければ、瑞々しくも淫靡な香りを放つ、“赤い花”が。

あたるは赤い花の蜜腺から、蜜をもらい、ラムが欲しがるものをその蜜腺に与える。
そしていつも栓をしない雄蕊(おしべ)から、ラムの蜜腺の奥深くに、濃厚な生命の源を注ぎ込む。

すると、ラムが、光る棘とともに、全身からより一層強い香りを放つ。
それは、あたるにしかわからない、ラムの感極まった時の匂いだ。

ラムの蜜腺から…蜜が溢れ出す。

ラムの赤い花びらが、あたるによってかき乱され、赤い雌蕊(めしべ)が顔をのぞかせる。
膨らんだ花びら。ラムがあたるに花びらのもっと奥を見せようと、細い指先を食い込ませて、広げる。

ぬらり…蜜がまた溢れて花びらの奥を濡らす。

「ダーリンの…まだまだ、いっぱい…ウチのナカに、いっぱい…ちょうだい…」

あたるがラムのナカに熱いものを注入すると、彼女の瑞々しさは増した。

ひとつ屋根の下で、あたるのためにだけ咲き乱れる、“ラム”という名の“花”。
あたるは無我夢中で、ラムの花をより大きく開かせる。そして彼女の瑞々しさの源を注ぎ込む。

夜がすっかり更けるまで、何度も、何度も。


「いけないっ!遅刻するっちゃ!」

いつもならUFOでシャワーを浴び、夜の匂いを消してから登校するラムだったが、今朝はうっかり寝坊をしてしまった。
UFOで慌てて夏の制服に着替えると、身繕いもそこそこに、超特急で学校に向かった。
蒸し暑い夏の日、滲み出る汗が、ラムの制服をしっとり濡らしていた。
そしてあたるも同じく、身支度もそこそこに、学校へ駆け込んできた。

「間に合った〜〜。あっち〜〜」

ラムの隣の席に、すとんと腰を下ろすあたる。と、鼻をくんくん鳴らしだした。
隣のラムの匂いが…あたるにしかわからない夜の匂いが、彼の鼻を突いた。
一瞬にして心臓がばくばくしだし、血流量が増えるのがわかった。蒸し暑い上に、更に熱くなるあたるのカラダ。
額から汗を流しながら、どうにも抑え切れないものを、必死にこらえようとするが…一度立ち上がってしまったものが、そうそうすぐにおとなしくなるはずもなく、あたるは次第に息を荒くして、ラムを見やった。

「く…お、おい、ラム…」

そんなあたるの様子に気付かないラム。ケロリとした顔で返事をした。

「どうしたっちゃ?ダーリン」

あたるは内心、近付いたら余計にマズい、と思いつつも、ラムに顔を寄せて耳打ちした。

「…お前、あのまんま…か?もしかして」

「今朝寝坊したでしょ。で、時間が無かったから…」

自分の意志ではどうにもならないものを必死に耐えながら、会話を続けるあたる。

「ラム、お前ちっと…汗臭いぞ。どうにかならんのか?」

「どうにか、って?こんなに蒸し暑いし、皆も汗かいてるんだから、同じだっちゃよ、匂いなんか」

「いや…そういうんじゃなくて…」

「ダーリン、何か言いたいんなら、はっきり言うっちゃ。ウチの何が気になるのけ?」

「う…あーもー…お前は相変わらず、細かい事に気付かんというか…。そういや温泉のやつ、遅いな」

面堂は真面目に授業の準備をしていたが、親衛隊の4人がふたりの所にやってきた。

「何でも温泉マーク、来る途中で軽い熱中症になったらしいぜ」

情報収集に長けたパーマがそう言った。

「この暑さじゃ、水分も補給せず、無防備な格好をしていれば、そうなるのも無理はあるまい。今時は寝ていてもなるらしいからな。それにしても…暑い〜…」

この気温で、メガネもバテ気味の様子で、そう言った。

「じゃあ1時間目は自習かなぁ…カクガリ〜あんまりくっつくなよ〜ただでさえ暑いのに、余計に暑いだろ〜」

と、チビ。

「そうか、1時間目は自習…ね…。ラム、ちょっと…」

「何だっちゃ?ダーリン」

あたる、けだるそうな顔で席を立つと、教室の出入り口に向かった。そして片手の指をチョイチョイ、と動かして、ラムにこっちに来い、と黙って合図を送った。

「ダーリン、どこ行くっちゃ?」

「…涼しそうなとこじゃ…」

そしてあたるが先を歩き、ラムは低空飛行で彼の後を着いていった。
廊下は静まり返っていた。そして廊下を歩きながら、あたるが口を開いた。

「お前なぁ、寝坊したからって、匂い消しくらいしてこんかったのか?」

「…そんなに気になるっちゃ?」

「…当たり前じゃっ…さっきから、どうにも…落ち着かんっ」

「簡単にスプレーだけしてきたけど、この暑さだし。ダーリンだって…結構匂うっちゃよ」

「そのオレの匂いに対して…何も感じんのか?」

「えっ…そんな事…無いっちゃ…。ウチもさっきから、気になってて…」

あたるはすたすたとラムの先を歩き、階段を昇っていった。最上階までくると、時計台裏の扉前で立ち止まった。

「ここなら…ちっとくらい、声出しても、大丈夫だし…な」

そして後にいたラムの手を取ると、扉を開けて、薄暗い中に入った。
時計が鳴るのは1時限ごとだが、教室から離れているので、時計台に誰か来ない限り気付かれる事も無い。
メガネが何かというと“拷問研究会のサドヤマ君を呼べっ”と言い放ち、あたるに制裁を加える場所にここを選んでいるのも、そんな理由から、なのだろう。

あたるが扉を閉じ、内鍵をかけた。もし万が一、メガネたちにでも来られたら、非常にヤバい。
が、そんな事より、あたるの頭の中はラムの匂いと昨晩の行為のプレイバックでいっぱいだったし、ここに来るまでの間、いきり立ったものを我慢しきれるか、限界ギリギリのところだった。

鍵をかけたところで…ようやく安堵の息を漏らすあたる。が、それも一瞬で、すぐさま夕べの匂いを残したままのラムを、制服の上から力一杯抱き締めた。
汗ばんでしとった制服のラムが、あたるの股間に手を触れてきた。

「ちゃっ…ダーリン、もうこんなに…」

「だからもう、我慢も限界なんじゃっ!ラムッ」

「でも…まだこんな時間で…」

あたるはラムを抱き締めたまま、壁際に押しやっていった。あたるの勢いに、思わず歩調を合わせて後ずさりするラム。
やがて“ドンッ”と軽い音を立てて、ラムは壁に押し付けられた。あたるは耐えに耐えていた我慢のタガが外れて、夜の…蜜の匂いを残したままのラムに、膨らんだ股間を押し付けた。

「ダーリンが我慢してたのを…ウチが鎮めてあげるっちゃ…」

ラムはあたるのベルトを緩め、ズボンのボタンを外し、ファスナーを下ろしてやった。するり…と、彼の下着の中に手を滑り込ませるラム。
あたるもラムのスカートの留め具を外し、そのまま床にバサリと落とした。

ラムは一旦、あたるの下着の中から手を引いた。そして壁に寄りかかると、あたるがパンティーを下ろしだした。パンティーが膝下まで下ろされると、ラムも自分で足を上げて、それを下半身から抜き取った。
そしてあたるに背を向け、壁に手を着くと、腰を90度近くに曲げて、形の良いヒップをあたるに差し出した。

ラムの強烈な香りが、あたるの鼻腔から脳内に伝わると、いつもの事ではあるが、全身が身震いし、頭が大きく揺れるほどの眩暈(めまい)を覚えた。慌てて下着を脱ぎ捨てるあたる。途中で足が引っかかり、少々よろけた。

カラダの前面を壁に預けて、あたるを振り返るラム。暑さとこれから展開されるだろう出来事のためか、頬を紅潮させ、はぁはぁと荒い息遣いになっている。ラムの額や頬から首筋にかけて、汗がたらたらと流れ落ちている。

ラムの、肩幅に開かれた足。その間からのぞく、薄っすらと赤い“花”の部分。早速あたるはそこに手を挿し込んだ。

(ぬちゅ…)

既にラムの蜜腺からは、蜜が溢れており、あたるが手を引くと、細い糸を引くねっとりした蜜が、彼の指の腹をてらりと光らせた。

「もうこんなに濡らしてたのか…ラムも考えてる事は同じじゃな」

あたるは自身の肉茎に手を添えて、ラムの花びらをそれでかき分け、つぼんだ蜜腺に宛がうと、角度を調節して閉じた入り口を押し広げつつ、ラムのナカへと、入っていった。

「あ、う…ん…ダーリン…」

汗でべたついた肌同士が密着し、あたるの股間がラムの張りのある桃のような尻にくっついては離れる。
薄暗く、機械油の匂いのする、時計台の裏。一定の間隔で秒針音が聞こえ、1分経過すると、長針がカチッ、と音を立てた。
そのリズムに合わせるようにして、腰を前後に動かすあたる。時計針や歯車の機械音に紛れて響く、男女の交合の粘った淫音。

「い、いいぞ…声、出しても…ここなら、誰も気にせんでも…」

ラムは手指を壁に張り付け、軽く爪を立ててそこを引っかいている。あたるの突きに揺すられ、一定のリズムで壁にぐいぐい押し付けられたり、カラダを引いたりすると、制服のトップの裾や黄色いスカーフが、ひらひらと揺れた。

「はうっ…ダーリンッ、ダーリンッ、ダーリンッ!あ、あんっ…あ、あ、あ…す、好き…好きだっちゃ…ああっ」

あたるの突き上げで、次第に宙に浮く、ラムのカラダ。それを押さえるため、あたるはラムの制服トップの内側に手を入れて、ふくよかなふたつの膨らみをしっかと掴んだ。

「あ、あぁ…っ!う、浮いちゃう…ダーリンので、浮いちゃう…っ!ああんっ!」

荒い息遣いに混じって、のどから絞り出されるラムの行為の最中の声。両足が浮いてしまうと、ラムはそれをあたるの腰に器用に回して、壁に着いた手でカラダの揺れを支えながら、水平の体勢になった。

「も、もうっ…だめぇっ…カ、カラダがっ…奥がっ…あ、熱いっちゃぁ…っ!!」

(カリッ、ガリガリッ…ズルッ…)

交合の音と共に、ラムが壁を引っかく音が時々する。

(パリッ、パチパチッ…パリリッ…チリッ…)

「うんっ…はぁっ!熱いっちゃ…あ、あ、ああぁぁっ!」

(バチバチバチッ…バチッ!)

「と、融けちゃう…う…ダッ、ダーリーーンッ!ちゃあぁぁーーっ!!」

ラムが背を仰け反らせ、頭を振り上げた。電気をまとった髪が、火花を散らしながら、大きく広がった。

あたるの最後のひと突きが、ラムのナカに熱を帯びた体液を注ぎ込むと…ラムはカラダをビクッビクッ!と爆(は)ぜさせた。ガクガクガク…と小刻みに全身を震わせてそのまま脱力し、壁に当てていた手がずるずると下に滑っていった。

にちゅ、ずるっ…あたるの肉茎がラムの蜜腺から抜けた。ラムはあたるに回していた足を解いて、ふわふわと床に崩れていった。
床に腹這いに倒れこんだラム。肩で息をするあたるが見ると、どうもいつもと様子が違う。ぐったりとしているが、呼吸が荒くて早い。
心配になったあたる、床に膝を着くと、ラムを仰向けにして上半身を抱き上げた。力無く頭を垂らして、はぁはぁ、と苦しそうな呼吸を続けている。

「ラム、おいっ、大丈夫か?ラムッ!」

「あ…熱い…っちゃ…み、水…ダー、リン…お水…」

全身熱っぽいラムのカラダ。あたるは慌ててラムが脱いだものを着せ、自分も下着とズボンを身に着けると、ラムを抱き上げて、時計台裏を後にした。


しかしこんな様子を他の生徒たちに見られてはバツが悪い…というか、都合が悪い。あたるは辺りを用心深く見回しつつ、誰もいない事を確かめながら、階段を下りていった。
折りしも授業中だったので、他の生徒に遭遇する事は無かった。そして1階の保健室前に来ると、ガラリとドアを開けた。

「サクラさん、いますかっ?」

授業中なので、イスに座りヒマそうに日本茶を飲んでいたサクラ、ふたりの姿を見ると、途端に険しい顔付きになった。

「一体どうしたのじゃ?…む、これは…。おぬしら一体、何をしておった」

「いや、それは…そんな事よりラムが急に…」

「うむ…何をしていたかは…敢えて聞かん。が、どうやらラムは熱中症の症状のようじゃな。ちょうどベッドが空いておる。早く寝かせてやれ」

「…ダーリン…水…」

サクラは吸い口に水を入れると、ラムの口に宛がった。ぐったりしつつ、ようやく欲しかった水を得て、ラムはのどを鳴らしてそれをゆっくり飲み干した。

あたるがラムをベッドに寝かせると、サクラが濡らしたタオルを当ててやった。そして吸い口に入れた水を再び与えた。

「この暑さでは無理もあるまい。…諸星、ちょっとこちらへ来い」

サクラに全て見透かされているようで、どうにもバツが悪いあたる。

「ふぅ…まったく今時の若い者は…。おぬしらの事はわかっておるが、私の口から言うのもはばかられるわっ」

「だって若いんだから、しょうがないでしょーが…それよりラムは?」

「まぁ、熱中症の初期くらいじゃ。水分を与えて体を冷やし、半日ほど寝ておれば、追々回復するはずじゃ」

「確かに…夕べも蒸し暑かったし…時計台裏も…あっ」

「まったく何を考えて…もとい、何をしとるんじゃっ!夕べっからじゃと〜!?しかも午前中の爽やかなはずの学校でまで、何をしとるんじゃっ!いくら若いからとはいえ…その欲求をコントロールするのも、勉強のひとつじゃ。わかっておるのか?」

「でもサクラさん」

「でももへったくれも無いわっ。もしラムに何かあったら、などとは、考えておらんのか?」

「いや、それは…大丈夫だし」

「大丈夫かどうかの問題では無いわ。男女が愛し合う、というのは…そういう事では無かろうが。もっとラムを大事にしてやれんのか?」

「けど、ラムもオレの事は…」

「それは十分承知しておる。承知はしておるが、ラムがおぬしを思っておるのと、おぬしがラムを大事にしておるかどうかは、別の問題…意味が違うのじゃぞ。おぬし本当に、ラムを好いておるのか?心から?もし…その、あれじゃ、そういう関係だけで、満足しておるならば…年長の者として忠告するが、長くは、もたんぞ。…付け加えて、厳しい事を率直に言わせてもらうが、おぬしの浮気心と、何ら変わり無いのではないか?」

「いくらサクラさんでも…そりゃ無いでしょーが…。確かにオレは浮気もするし、他の女の子とお付き合いしたいっ!という欲求だって、もちろんありますよ。だけどそれは…ラムの場合は…」

あたるは困惑したような表情になってしばし固まった。彼はサクラがずばずば指摘してくる事に対しての答えに窮していた。

「ラムはどうなのじゃ?おぬしを好いておるのは傍(はた)から見ていてもよくわかるが、ラムはおぬしとの…そういう関係を、心から望んでおるのか?どうなんじゃ?…そして今朝は…どうだったのじゃ?」

「もちろんそれは、ラムだって…望んで…ますよ。何しろオレに、惚れてんですから…」

それを聞いたサクラ、眉間にしわを寄せてため息をついた。

「随分と身勝手な…解釈じゃな。もし私の婚約者のツバメがそんな事を口にしようものなら…」

「別れるんですか?サクラさんの方が惚れてるっぽいのに?」

「余計なお世話じゃっ!とにかくおぬしがラムを心から好いておるのかどうか、大事にするつもりがあるのかどうかが、肝心じゃっ」

「だからそれは、サクラさんたちが見てた2回目の鬼ごっこで、わかってくれてるとばっかり…」

「一生痴話ゲンカするつもりなのは、よーっく、わかった。だからこうして今、改めて忠告しておるのじゃ。…まぁ、若いおぬしらの、そのような関係が、どのようなものなのかは…他人の私には想像しがたいものがあるにはあるがな」

「あの、サクラさん…ここじゃ、もしラムに聞こえたらマズいんで…」

「ん?どうした」

思い詰めたような表情のまま、あたるは保健室から外に出た。サクラがその後を着いていき、校舎外の誰も来なさそうな木陰にやってきた。

「サクラさんだから、思い切って言いますけど…ラムと、その…そういう関係になる前から…オレ、アイツがいないとダメだったんです。アイツがたまにオレに何も言わないでいなくなったりとか…。そうすると、とにかく…居ても立ってもいられなくなる…っつーか」

「そうか…」

「で、最初は押しかけ女房面だったラムが、今はオレの傍にいるのが当たり前、みたいになって…で、実際そういう関係になると、何て言うか…アイツの全部を知りたい、っていう気持ちになる、とゆーか…ラムはオレの事、どんな時でも、好きだ、って言うし…その、年がら年中、朝から晩まで。だからオレもつい、自分の欲求抑え切れなくて…。もちろん、オレも、ラムの事は…」

「うむ…おぬしの気持ちは大体わかった。それ以上はあまり無理せんでもいいぞ」

「…で、せっかくこうして、サクラさんとふたりっきりになれた事だし、オレの話も聞いてくれたお礼、っちゅー事でっ!」

今までの神妙な様子からガラリと変わって、満面の笑みでサクラに抱き着こうとしたあたる。そして当然の事だが、あたるはサクラにしこたま痛めつけられ、その場に突っ伏した。

「ちょっと甘い顔をすればこれじゃっ!まともな事を言っておったと思えば…ちっとは成長せんかっ!」

「いってぇなぁ…サクラさんこそ、優しそうにオレの話を聞いてくれてたと思ったのに…」

ぶつぶつ言って顔をさすりながら起き上がったあたる、制服の土や草を払いつつ、最後にこう言って、その場から去っていった。

「オレ、一回うちに帰ってから放課後ラムを迎えに来るんで…それまでアイツの事よろしく、サクラさん」

そしてその後姿を見送りながら、ひとりごちるサクラ。

「諸星は諸星なりに…ラムを大事にしておる、というわけか。あのふたりを見ておると、本当に退屈せんな…ふふっ…」


そして放課後、先に言った通り保健室にラムを迎えに来たあたる。ラムも回復したようで、顔色も良くなっていた。

「もう大丈夫か?ラム」

「うん、もうすっかり気分良くなったっちゃ」

ベッドから立ち上がって、あたるにニッコリ微笑みかけるラム。そしてほっと胸を撫で下ろすあたる。

「まだまだ暑い日が続くであろうから、水分補給だけは欠かすでないぞ。今夜くらいは…ゆっくり養生するのじゃな」

ふたりをからかうように、くすりと笑って最後にそう付け加えたサクラ。そう言われて赤くなるあたるとラム。
そして陽が傾きかけた空の下、帰路につくふたり。

「ごめんちゃ、ダーリン、心配かけて。まさか暑さでああなるとは思ってなかったっちゃ」

「ラムが熱中症になったのは初めてだったからな。オレもビックリしたわ。…ああ、そういやジャリテンが一度、下に降りられんようになった事があったな。ラムもああなるのか?炎天下にずーっとおると」

「だっちゃ。テンちゃんは体が小さいからなりやすかったけど、ウチも長時間炎天下にいたら、同じようになるはずだっちゃ」

「ふーん…なぁ、ラム」

「何だっちゃ?ダーリン」

「その…今夜くらいは、ゆっくり休んだらどうだ?回復したとはいえ、まだ完全じゃないだろ?」

「ウチの事、心配してくれてるのけ?嬉しいっ♪…でも…」

あたるの隣をふわふわと飛んでいたラム、着地すると彼に体をぴったり寄せて、わざとらしく顔を間近に寄せてきた。

「今日は汗びっしょりだったし、今朝ので…まだ匂うでしょ?」

くすりと笑うラム。あたるは慌てて鼻と口を手で押さえた。が、時既に遅し。口を押さえる前に吸ってしまったラムの匂いが、鼻の奥に達すると、あたるの唾液量が増えて、彼は“ごくり”とのどを鳴らしてそれを飲み込んだ。

(ヤバッ…また、マズい状態に…なりつつあるではないか…)

あたるの空いている手に、指を絡ませてきたラム。それにも反応して、手のひらが汗ばんでくるあたる。
ラムは悪戯っぽく笑いながら、あたるの手のひらを指先でくすぐった。その感触に、あたるは一瞬足を止めた。

「ちょっ…ラムッ、やめんかっ!まだ道の途中だろうがっ!」

「ダーリン、うちに戻ってシャワー浴びたっちゃ?でももう汗かいて、ダーリンの匂いがしてるっちゃ。ウチの大好きな…匂いだっちゃ」

(ラムのアホ〜〜…どうしてそう、挑発的な事ばっかり、言うたりしたりするんじゃっ…ますますヤバい状態になってきてるではないか…もうっ、辛抱、た、たまらん…くそっ…)

「ねぇ、ダーリン。ほら、上見るっちゃ」

口を押さえたままのあたるが上を見ると、そこにはラムのUFOが。そして真上まで来ると、光を照射し、あれよあれよという間にふたりを中に引き入れた。

「夕べっからシャワーも浴びてないから…今日は汗でベタベタだっちゃ。ダーリンも一緒に入るけ?」

「アホッ!水は電気伝導体だろーがっ。いくらオレが電撃に慣れてきて、ラムの放電もコントロールが効くようになったとは言ってもだな…危険じゃ、危険っ!」

「コントロール出来るようになったんだから…大丈夫だっちゃよ。それにこの中はクーラーが効いてるけど…」

「な、何じゃ」

「熱くなったカラダは…冷房くらいじゃ、冷えないっちゃ♪ね?ダーリン…」

イスに腰掛けているあたるの膝上に、ふわり、すとん、と腰を下ろしたラム。そして夏服のスカーフをシュルリと外した。制服の胸元の隙間からあたるの目に、ラムの胸の谷間がチラリと入った。

「やっぱりまだ、暑いっちゃ…なかなか冷えてこないっちゃね、ダーリン」

あたるの膝上に乗ったまま、スカートの裾を摘んで、わざとらしく持ち上げてみせるラム。そしてスカートをパタパタと動かして、風を起こした。

「ちょっとは涼しくなったけ?ダーリン♪」

「お前の、匂いで…涼しくなるどころか、熱くなる一方ではないかっ!ラム〜〜…わざとやっとるなっ!」

「だってぇ、ウチを迎えに来たダーリン、朝と様子が違ってたっちゃよ。今夜は休んだらどうだ、とか言って。珍しいっちゃ」

「一応病人だったんだから、ちっとはおとなしくしてろっ、という意味じゃっ!」

「もう大丈夫だっちゃ。すっかり元気出たっちゃよ。だから、ね、ダーリン、一緒にお風呂、入るっちゃ♪それに、我慢はカラダに…毒だっちゃよ。さっきからずーっと、我慢してるみたいだから」

スカートをひらひらさせながら、白い足をチラチラのぞかせ続けるラム。スカートで送られてくる風がラムの匂いを含んでいて、あたるの顔を優しく直撃してくる。あたるは先から口を押さえていたが、今となってはまったく意味を成していなかった。
往生して、口から手を離したあたる。ようやくまともに呼吸出来るようになったが、目の前のラムの匂いが強まった。

(サクラさんには散々説教食らったが…くそっ…えーいっ、こうなりゃもうままよっ!)

「明日は寝坊しないようにしないと大変だっちゃ、ね、ダーリン♪」

ラムがあたるの半袖シャツのボタンを、ひとつひとつ外していく。と、突然あたるが、ボタンを外しているラムの手首を掴んで彼女の行為を制した。そして、言いにくそうにぽつりぽつりと言葉を発した。

「ラム、あのな…」

「何だっちゃ?ダーリン」

「いや、何だ…あのな、ラム。お前もしかして、無理…してないだろーな?」

「何をだっちゃ?」

「う…いや、だから、その…今朝とか…調子悪かったんじゃ無いだろーな?」

するとラム、にっこり笑って言った。

「そんな事全然無かったっちゃよ。反対に…」

安堵したような表情になったあたるの手が緩み、そこからするりと手を抜いたラム、彼の肩に腕を回して抱き着いてきた。反射的にラムの背を抱くあたる。

「反対に、いつでもウチの事気にしてくれてるって思って…嬉しかったっちゃ。だからダーリンの事が、大好きだっちゃ」

あたるの膝上に乗りながら頬をすり寄せるラム。少しすると抱擁を解いてあたるの肩に手を置き彼と向き合った。あたるの両手がラムの腰に回された。

「ウチのカラダも心も全部、ダーリンのものだから…ウチがダーリンにあげられるものは、全部あげるっちゃ…。その代わり、ダーリンからも色んなものをいっぱい、もらいたいっちゃ。今までもたくさんもらってきたけど…これからも、いっぱいいっぱい、くれるっちゃ?」

「オレがラムにやれるもの…そんなにあるか?それに、そんなにやってたか?」

「浮気してばっかりだし、身勝手でいい加減だし、素直じゃなくて意地っ張りで頑固だし。皆の前ではちっともウチに優しくないし、ウチが追いかけると逃げてばっかりだし、そうかと思うと夜は優しいし、ちゃんとヤキモチも妬いてくれるし…。後は、ウチの事“好き”って言ってくれたら、最高に嬉しいんだけど…」

「聞いておれば何じゃ、人の事を散々言いおって、まったく…」

「こんなにたくさん、色んなものをウチにくれるのは、ダーリンだけだっちゃ。だからそんなダーリンが大好きだっちゃ♪」

「…なぁ、ラム…話は後でもいいか?オレ、もう…お前の匂いとか、その他もろもろでっ!し、し、辛抱…たまらんっ!!」

「ちゃっ!」

後は成り行き任せだった。ラムの制服を脱がし、あたるも全裸になると、ラムをお姫様抱っこで抱え上げ、シャワールームへ直行した。そしてラムを床に置き、ゆっくり横たわらせようとすると。

「ちょっと待って、ダーリン…」

「何でじゃ〜」

「ウチ、先にカラダ洗いたいっちゃ。だからちょっと待ってて…」

「そりゃ無いだろーが…ラム〜」

「それじゃあ先に、ダーリンのを…鎮めてあげるっちゃ。そしたら少しは我慢出来るでしょ?」

ラムはあたるを壁際に立たせて、自分は床に膝を着き、愛らしい唇を大きく開いて、あたるの肉茎を優しく飲み込んでいった。

「ラ、ラム…」

「んっ、んんっ…んふっ…ん、ん、んっ…」

やがてラムの口内に放出される、あたるの熱い体液。

「何だかウチ…カラダが熱くなってきたっちゃ…」

「まさかまた、熱中症じゃ…」

「違うっちゃよ。早くダーリンと…エッチしたくなってきたから…だっちゃ」

「なら、すぐにでもっ」

「でもやっぱりシャワー浴びたいから、ちょっと待つっちゃ、ダーリン」

「ラム、こういう状態を何と言うか知ってるか?…蛇の生殺し…っちゅーんじゃっ」

「何だっちゃ、それ?」

「つまり…なかなか白黒はっきりつけられん状態の事じゃっ!」

「ふーん…」

わかったようなわかっていないような顔で、カランを回してシャワーヘッドからぬるめの湯を出し、頭から浴びるラム。

「汗でベタベタしてたから…気持ちいいっちゃ〜」

まるで降りしきる雨の中に立っている美少女のように…目を閉じてシャワーを浴び続けるラム。びしょ濡れになった髪が肌に張り付いて、本当に水もしたたるいい女、そのものだな…などと、彼女を見ながらあたるは思った。もちろん、はやる気持ちを懸命に抑えながらではあるが。

そしてやはり我慢出来なくなったあたる、シャワーを浴びるラムの肩に手をかけた。

「ラム…」

「…カラダ洗うまで、ちょっと待ってて、ダーリン…」

「むぅっ…待っとるオレの身にもならんか、まったく…」

カラダを洗い清め、再びシャワーを浴びて泡を流すラム。全身が濡れているせいなのか、もしくは身体つきのせいなのか。年齢の割りに妙に艶かしく色っぽく見える。

そして、上から落ちてくるシャワーの湯を立ち姿のまま浴びているラムに、(そろそろいいだろう…)と思ったあたるはキスを与えた。ラムは湯交じりのあたるの唾液を、ごくごくと飲み込んだ。

水分を得て枝葉が生き生きとしてくる植物のように、ラムも、そしてあたるも、互いの水分を得て、瑞々しく生き生きと、その肢体をしなやかに力強く伸ばしていく。

若い成長期のカラダのふたり。そんなふたりは既に大人顔負けの交わりを幾度も続けていた。が、交わるほどに、肉体の快楽以上のものを与え合い、吸収し合い、そして成長し合っているような、そんな気がしていた。時々ふとした瞬間に、そんな気持ちを覚えていた。

キスをしながら手を泳がせて、カランを締めるラム。シャワーが止まった。ポタポタ…とラムのカラダから、水分が滴り落ちる。
壁に背をもたせかけ、あたるの力強い抱擁とキスを受け止めるラム。

「あ…ん…いっぱい…びしょびしょ…で…ダァ…リン…」

(ぬちょ、ぬちっ…)

唇と舌同士の絡み合う音がする。

カラダが濡れて匂いが薄まったとはいえ、次第に薄っすら汗ばんでくると、微かなラムの“香り”が漂ってきた。
そしてラムは“花”になった。

床に崩れて横たわったラムは、しなやかな…枝葉…下肢を広げて、“赤い花”をあたるだけのために咲かせてみせた。
あたるの行為によって、次第に“咲き乱れ”ていく、ラム。咲き乱れるほどに、シャワールームにラムの艶かしい声が響き、あたるもラムも、夢中で互いを求め、愛し合った。

「ラ、ム…」

「ダー、リン…」

濡れそぼった全身、髪の毛の表面を、電気が走っていく。白くて細い電気の糸が。パリパリッ、パシッ…。
水分のせいで、今日のラムの電気は、棘のように少しだけ痛い。チクチクとあたるの肌をあちこち刺してくる。
舌先を触れ合わせると、“パチッ!”と、いつもより少し強い光が閃いた。

しかし、ラムの蜜腺に、あたるの肉茎が入り込むと、ラムの蜜腺があたるをちょうどいい具合に締めてくれ、蜜腺の粘膜が彼の肉茎にぴったり吸い付いてくる。
ラムの“赤い花”があたるを飲み込み、蜜腺の奥で、ほど良い愛撫をしてくる。

「ダーリン…ダーリン…好き…もっと、もっと、欲しいっちゃ…ダーリンが…」

大人顔負け…な台詞で、官能の悦びを表すラム。あたるは黙ってラムのカラダを抱き、懸命に送り込む事にのみ、神経を集中させる。全身全霊を傾け、ラムを揺らすあたる。

「はぁぁ…あ、熱いっちゃ…ナカも、外も…んっ、んっ…あっ、あ、あ…あぁっ…」

ピタッピタッピタッ…交合の前後運動でぶつかる肉体同士が、水分交じりの音を立てている。
びしょびしょに濡れたラムの髪表面を電気が走った。“バチッ”、また、少し痛い電気の棘があたるに刺さった。
それでもラムの肩を抱き、送り込みを休まないあたる。ラムはあたるの背に手を回して、あたるに塞がれている蜜腺がある“赤い花”を広げ、無我夢中で彼を受け入れ続けた。

「あ、あ、あ!…あ、熱い、っちゃぁ…熱い、のが…ダー、リンの…熱、い、のが…いっぱい、いっぱい…」

そして…。

「はぁんっ!ダーリンッ!」

全身濡れたままのラム、シャワールームで水滴を飛ばしながら激しく身をよじって、あたるの名を呼び、絶頂した。


そしてその後、濡れたままでは風邪をひくかもしれないし、匂いも薄まるので、あたるとラムはUFO内にしつらえたベッドの上で、再び絡み合っていた。それからしばらくして、ピロートークを始めたふたり。

「ウチがもうちょっと、大人になったら…きっともっと、ダーリンの好みの女になってるはずだっちゃ」

「どうしてそう思うんじゃ?」

「だってぇ…ダーリンが…ウチの、カラダに…いっぱい、色んなものをくれて…それで、育ってるから、だっちゃ」

「何だか…妙な言い方するな、ラムは」

「ダーリンもきっと、今よりもっと素敵になってるっちゃ」

「もしかして、ラムに育ててもらってんのか?オレが?…それに“今より素敵”っちゅーのは何じゃ?今はあんまり素敵じゃないとゆー事か?」

「もちろん今でも十分だけど…お互いもっと良くなってるっちゃよ、きっと…」

「つまり、こっちの方も、今よりずっと良くなっとるという事か?…そうかそうかっ、それは実に…楽しみじゃ…」

「言う事はそれだけだっちゃ〜?もうちょっと他に言う事無いのけ?ラムがいい女になるのが楽しみ、とかぁ…ダーリンのスケベッ」

「男の嬉しい事と言えば、そのくらいのもんじゃっ…」

とは言え、あたる、内心では(…何年か経ってラムが大人になったら、一体どんな女になっとるんじゃ…今を見る限りでは、将来が…楽しみじゃ…)などと思っていたのは言うまでも無い。

「ねぇダーリン、ちょっとこっち来るっちゃ。面白いもの見せてあげるっちゃ」

ラムが用意していた薄手のガウンを引っかけたふたりは、UFO内の巨大モニタ前にやってきた。そしてラムがモニタの前に立って、手際よくオペレーションを始めた。少しするとモニタに人の姿が浮かんできた。

「ほら、今のデータからシミュレーションしてみた将来のウチとダーリンだっちゃ♪」

「…何じゃ、このいかれた格好は…」

「もちろんっ、ウチとダーリンの結婚式のシミュレーションだっちゃ♪」

「まったく、くだらん事を…」

(とは言え、ラムがシミュレーションしたんなら、かなり現実的じゃな…オレはともかく、ラムは…こんな風になっとるのか…そうかそうか、やはりこれは、将来が…楽しみじゃ…)

モニタ前で将来の自分たちの姿を見て、嬉しそうな笑みを浮かべているラム。しかしあたるはといえば。結婚式姿のシミュレーション映像よりも、モニタ内の大人になったラムの姿を見て、先のような事を思っていた。

(しかし…今でさえ男連中がうるさいとゆーのに、こんな風になったら、ますますうるさく言われそうじゃな…)

そしてモニタに見入っているラムに顔を向け、あたるは彼女に話しかけた。

「しかしラム、こん中のクーラーだが…ちょっと冷え過ぎじゃないか?」

「そうけ?ウチはこのくらいがちょうどいいけど」

「冷えてると…あまり匂わんだろ?オレはちょっと…物足りんのだが」

「それじゃあ、クーラー切るけ?…その前に、しっかり水分補給しとかないと」

「ん、そうだな」

「それと、早く寝ないとまた寝坊するっちゃ。だから今夜は適当なとこで…ね?ダーリン」

「あ、ラム…ひとつだけ、聞いときたいんだが…」

あたるはサクラに言われた“ラムはおぬしとの関係を心から望んでおるのか?”…を、思い出していた。

「何だっちゃ?ダーリン…あ、もしかして…」

「な、何だ、オレはまだ何も言っとらんぞっ」

「ちょっとだけ保健室の話、聞こえたんだけど…」

(ドキッ!)胸を押さえて焦り顔になるあたる。

「…まさかずっと、起きとったのか?」

「ううん、ほとんど眠ってたっちゃ。それとも聞かれちゃマズい事でもあったのけ?」

「…そんな事は無いが…」

「心配しなくても大丈夫だっちゃ。だっていつも言ってるでしょ?ウチのカラダはダーリンのもの…だって。サクラが言った事なんか気にする事無いっちゃよ」

そしてあたるの要望通りクーラーを切ったラム。ふたりして水分を補給していたが…ついつい、水分補給までもがエロティックになってしまう、あたるとラム。
口に含んだ水分を…口移しで互いに与え合い…それを何度か繰り返すうちに、UFO内の気温と、行為によるカラダの火照りで汗ばんできて…そのままベッドに崩れていき…。

「…熱いから…たまに、水分、取らない、と…。ん、あんっ…また、汗で…ベタベタ…だっちゃ…。好き…ダーリン…」

そしてラムは今夜も、あたるのためにだけ咲き乱れる“花”になる。

--- E N D ---

あとがき


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