Predawn(夜明け前)


「あたるーっ!さっさと起きなさいっ!何時だと思ってるの、また学校遅刻しても母さん知らないわよっ!」

部屋のドアを勢い良く開けながら、甲高い声で怒鳴りつけるあたるの母。
あたるは薄手の肌掛け布団の中から、眠そうな顔を上げた。

「あと、5分…」

「いい加減、起きなさーーーいっ!!」

そう言うや否や、あたるの敷布団の端を掴んで思い切り持ち上げた。肌掛け布団がひらひらと飛び、床に放り出されたあたる、畳に顔を思い切り打ち付けて、ようやくむっくり起き上がった。

「いて〜…何だよ、もうちょっと優しい起こし方してくれたっていいじゃないかっ」

「何甘えた事言ってんのっ、皆とっくに起きて出て行くとこよっ!まったく毎日毎日…あー、ホントにいくつになっても世話の焼けるっ!ほらっ、さっさと着替えて学校に行くっ!」

母親は鴨居にかけてある制服を取ってあたるに放り投げると、どすどすと大きな足音を立てて、部屋を出て行った。
時計を見ると、確かに遅刻寸前の時刻だ。

「げっ!やばっ!」

パジャマを脱ぎ捨て、制服のズボンに足を通す。途中で足が引っかかりよろけたが、器用に体勢を立て直しシャツを引っかけ、カバンを手に取り1階に駆け下りた。母親が弁当の包みと食パンを1枚“シュッ”と投げてきて、それを上手くキャッチすると、脱兎のごとく家を出た。

「何でもっと早く起こしてくれんのじゃっ!」

登校途中のこんな台詞もいつもの事だ。食パンもほとんど噛まず丸飲みして、朝っぱらからうるさいセミの声に追い立てられるように全速力で駆けて行くあたる。

「それにしても…ラムもラムじゃっ、起こしてくれればいいものを。先に行くとは何ちゅー薄情なっ」

そしてチャイムが鳴り始めた。最後のスパートをかけるあたる。そして鳴り終わると同時に教室に滑り込んだ。

「はぁ、はぁ…はぁ〜…間に合ったか…しかし、暑い〜…」

「ダーリン、おはよっ。間に合って良かったっちゃね〜」

「…お前も先に起きたんなら、どーして起こしてくれんかったんじゃっ。お陰で使わんでいいエネルギーを使ってしまったわっ」

「ウチ、一応起こしてみたっちゃよ。でもダーリン、ちっとも起きないんだもん」

「…ふんっ…」

ラムの言い分など聞く耳持てん、というような顔でそっぽを向くあたる。そしてしばらくすると、この暑さの中、机に突っ伏して居眠りを始めた。

「…諸星、おい、諸星…諸星ーーっ!」

「…は…何じゃ耳元で…うるさいわ…」

「教師に向かってうるさいとは何事だーーっ!バケツの水がお湯になるまで立っとれーーーっ!!」

そしてバケツを持たされ、廊下に立つ羽目になったあたる。しかし相変わらず眠そうな顔で、しょっちゅうあくびをし、とうとう廊下に座り込み壁にもたれて、また居眠りを始めてしまった。このうだるような暑さの中で。

そして1時限目終了のチャイムが鳴った。その音で目が覚めたあたる、ぼーっとしながら教室に入ってきた。
ラムが傍に来て、声をかけた。

「どうしたっちゃ、ダーリン。この暑いのに、よく眠れるっちゃね〜。もしかして寝不足け?」

「…寝不足?…ラムには関係無かろーが…」

「夕べも暑かったから、眠れなかったのけ?」

「あーもー、どーでもいいだろーが…ちっとしつこいぞ、ラム…」

「ウチは心配して聞いてるのにっ。何でそんなに眠たいっちゃ?…何ならウチのUFOで寝てくるけ?あの中なら空調効いてるから快適だっちゃよ」

あたるの周りをふわふわ飛びながら、話しかけ続けるラム。が、あたるはラムを“じろり”と軽く睨むと、黙って自席に着いた。

「今日のダーリン、変だっちゃ。どうしたのかなぁ…」

そしてその日は一日中、あたるは常に眠そうにしていたのであった。やがて放課後になり、いつものようにガールハント目的で寄り道をし、暗くなってから帰宅したあたる。
散々学校で居眠りをしていたので、さすがに眠気は無くなっていたが、食卓のある居間にも寄らず、そのまま自室に上がっていった。

居間で食事をしていたラム、食事もせずに2階に上がっていったあたるの様子が気になって、途中で夕食を切り上げた。そして静かに上に飛んでいき、そーっと部屋のドアを開けてみた。

「ダーリン?どうしたっちゃ、ご飯も食べないで。後でお腹空くっちゃよ?今日のおかずはね…」

「…うるさいぞ、ラム。別に心配なんぞしてもらいたくも無いわ…」

あたるはイスに腰かけ頬杖をつき、不機嫌そうにそう言った。

「でも…ホントにどうしたっちゃ、ダーリン」

ゆっくりとあたるに近付くラム。そしてラムが、あたるの間近まで来て床に立つと、あたるは突然ラムに顔を向けて、大きな声を出した。

「だからどーもしとらんっ、と、さっきから言うとろーがっ!まったくうっとーしい事この上無いわっ!」

体をビクッ、とさせて、あたるのあまりの言い様に、その場に固まってしまったラム。

「何も、急に…怒鳴らなくたっていいっちゃ!ウチが何したのけっ!?ただダーリンの心配しただけなのにっ!」

「だからそれが、うっとーしい、と言っとるんじゃっ!」

その場に固まったラム、あたるの言葉に唇を噛み締めて怒りの表情になった。あたるがチラッ、とラムを見ると…握り締めたこぶしが震えていた。

確かに理由など、無いに等しかった。不機嫌になったり、ラムに怒鳴りつける理由など、全くと言っていいほど、無いに等しかった。けれども…何故か、あたるは苛立っていた。

ラムはそれ以上怒鳴るわけでも無かったが、ただその場に立ち尽くしていた。そして半分開けている窓から夜の風が入ってくると、カーテンが煽られて机上の雑誌を引っかけ、バサリと床に落とした。

その音で、ふたりは一瞬ビクリ、とした。そしてしばらくすると、ラムがようやく口を開いた。

「ウチ、今日は…UFOに行って寝るっちゃ…おやすみ、ダーリン…」

そしてふわりと浮いて、窓から出ようとした。

「あ…ちょっ…ラムッ」

あたるは咄嗟に手が出て、ラムの腕を掴んでいた。

「あ、いや…べ、別に、止めたわけじゃ…無いぞっ」

そんなあたるに一瞬きょとん、としたラムだったが、次いでくすくす笑いだした。

「やっぱりダーリン、変だっちゃ。機嫌悪かったと思えば、急にウチを引き止めたりして」

「あー…明日も寝坊したら、マズいだろうから、な…いつも通り、押入れん中で寝てもらわんと…オレが、困るんじゃ」

「んーと…もし確実に起こして欲しいんだったら、一緒のお布団で寝るっちゃ?」

「ア、アホッ!!何ちゅー生々しい…いや、恥ずかしい事を…さらっと言うんじゃっ…」

「もちろんダーリンには、耐電スーツ着てもらうっちゃ」

「いや、しかし、朝は、母さんが…いくら、その…耐電スーツを着ておったと、しても、だなぁ…」

ケロリと言ってのけるラムに対して、しどろもどろになっていくあたる。

「だったら、ウチのUFOで一緒に寝るっちゃ?それならお母様に見られないし、テンちゃんにもこっちで寝るように言っとけば大丈夫だっちゃ」

「ラム、お、お前なぁ…どーゆーつもりで、そんな事を…言っとるんじゃ?もしかして、オレをからかってるのか?」

「からかってなんか無いっちゃよ」

そう言うとラムは息がかかるほどあたるに近付き、両肩に手をかけてきた。反射的にラムの腰に手が回るあたる。

実はその頃まで、ふたりはカラダの関係を結んでいなかった。ラムから積極的にあたるに絡むのと、たまに何かのはずみで軽いキスをする…そんな程度の間柄だった。

そんな関係のままでも、ふたりっきりでいる時にラムが軽く抱き着いてくれば、あたるも自然とラムの腰や背に腕を回していた。しかし、ラムの肌の感触を直に感じ、彼女の匂いを吸い込むと…どうにも落ち着かなくなる。
特に、あたるの部屋でふたりだけになる夜の時間は、いくら露出度の高いラムの姿に慣れたつもりでいても、落ち着かなくなった。

あたるはラムが抱き着いてきたこの状態から、次に何をどうしようか…などと、忙しく思いを巡らせていた。そう思うと口内に唾が溜まってきて、ごくりとそれを飲み込んだ。暑さのせいだけではなく、他の理由で汗ばんでくる手のひらや顔、体。

(くぅ〜…ラムのやつ、何を考えとるんじゃ…いっつも散々人を挑発しといて、いざとなったら耐電スーツは着せるわ、かと思えば生々しい事を口にするわで…こいつは一体全体、オレとの、そういうのを…望んでるのか?いないのか?…と、とにかく、こんな状態から、次にラムはどうしたいんじゃっ…オレは、もうっ…し、辛抱たまらんよーに、なってきとるというのに…くそっ、こうなりゃもうっ…)

「ラ、ラム…」

「何だっちゃ?ダーリン」

ラムが喋ると、その息があたるの顔周辺を軽くくすぐった。
と、その時。何の前触れも無く、部屋のドアがガチャッ、と開いた。その音に心臓が飛び出しそうになったあたる、条件反射的にラムを軽く押しやって、ドアの方を見た。

「あたる、早く食べてくれないと片付かないじゃ…あら…」

ドアを開けたのは母親だった。そしてふたりが接近している様子を見ると、静かにドアを閉め、パタパタと階段を下りていった。

「…あー、びっくりした…」

あたるはそれだけ言うと、胸を押さえて大きく息を吐いた。


実はあたるの両親、ラムを預かる事になった最初の頃、ラムとあたるを別室に寝かせるつもりでいた。つまりひとつ屋根の下、しかもあたるの部屋に置いておいては、やはりマズかろう…という理由で。
しかしいつの間にかあたるの部屋の押入れで寝るようになってしまったラム。あんな格好の、しかも年頃のラムを同室にしておいていいものか…などと、夕食後、居間で夫婦ふたりきりになると、母親は次のような事を時々ぼやいていた。

「いくらあたるがあんな性格でも…いえ、あんな性格だからこそ、あんな格好した娘さんを一緒の部屋にしておいていいものかしらねぇ…。あなたからも一言、ふたりに言ってやったらどうなの?間違いがあってからじゃ遅いんですからね」

「…しかしなぁ、母さん」

新聞で顔を隠しながら、父親がぼそっと言った。

「何ですかっ」

苛立った様子の妻に、夫は静かに言葉を返した。

「私たちが旅行に行った時も、何も無さそうだったろう…まぁあの子も男だから、そのうち何かあってもおかしくは無いだろうがね…」

「何を人事みたいに呑気な事言ってるんですかっ!年頃の娘さんを、成り行き上仕方無かったとはいえ、預かる事になって、余計な心配が増えたのよ!」

「私はラムちゃんがあたるの嫁さんになってもいいと思ってるがね…そう言う母さんは、どうなんだね?」

「お嫁に来るかどうかはまだ先の話ですっ!私は今の話をしてるのよっ、適当に誤魔化さないでちょうだいっ!」

「あたるはあんな性格だが…誰に似たのかねぇ。しかし、ラムちゃんが来てから、あの子も少し変わったとは思わないか?」

「女の子を追いかけ回してばかりの性格の、どこが変わったって言うんですか?」

「あの子も少しは、本気で誰かをだね…思う気持ちが、わかるようになってきたんじゃないかと…」

「何でそう言えるんですかっ、それほどあたると話す事も無いあなたが」

「ラムちゃんが少しの間留守にした時、あの子の顔がひどくやつれてたのを、見なかったのかい」

「そう言えば…そんな事もあったかしらね」

「あのふたりも何年かすれば、大人になる。まぁそう長い事、余計な心配抱えて、悩む事も無いんじゃないかね?後は…自然の成り行き、と言うか…来る時が来れば、私たちが心配していても、仕方が無いだろう。なぁ、母さん」

「それはまぁ、そうでしょうけど…。でも何かあったら、あの子にはきっちり自分でケジメをつけてもらいますからね」

そして母親は居間から出て台所に行くと、家事の残りを片付け始めた。

「…私はまだ、おばあちゃん、なんて呼ばれたくありませんからね…」

その後、母親の口からその話題について出る事は、ほとんど無くなった。


「…あー、びっくりした…」

胸を押さえて大きく息を吐いたあたるだったが、母親が何も言わず階下に行ってしまったので、少々拍子抜けの気分でもあった。
そしてラムから顔を逸らして軽く咳払いをすると、こう言った。

「あーラム…今日はもう、いつも通り押入れで、寝なさい」

そしてチラリとラムを見ると。立ったまま手を後ろに組んで、もじもじしている。頬を少し赤くして。

「あのね、ダーリン」

「な、何じゃ」

「実はね…耐電スーツ、どこにしまったか忘れたっちゃ。それにこの暑さじゃ…まるでサウナスーツみたいでしょ。だから…」

「だ、だから?」

「ダーリンは、もしかして…ウチと…エッチな事、してみたい…のけ?」

途端に火が付いたように、ふたり同時に“ボッ”と赤くなった。

「な、何ちゅー、恥ずかしい事を…」

赤くなりながらも、ラムは先より更に体を密着させて抱き着いてきた。彼女の胸の膨らみのやわらかさと弾力が、あたるのTシャツを通して伝わってきた。

(うっ…こ、これはもう、我慢しろ、っちゅー方が、無理じゃっ…)

「ラ、ラム、オレ…」

「ウチね…ダーリンが、初めて…だっちゃ」

そしてラムは目を閉じた。

(い、いよいよ、遂に、とうとう、ようやく…)

あたるの腕に力が入り、いよいよ唇が触れる…という段になった。しかし、またしても。

「…ラムちゃ〜ん…」

何というタイミングの悪さ。テンが眠そうに目をこすりながら、よたよたと飛んで部屋に入ってきたのだ。

「ぐっ…何ちゅータイミングの悪いっ…」

「あ、ああ、テンちゃんっ。もう眠たいのけ?」

ふたりは咄嗟に離れて、何事も無かったような顔をした。

「…どうしたんや、ラムちゃ〜ん…」

「テ、テンちゃんっ、今日はお母様たちと一緒に寝るといいっちゃっ。ね?そうするっちゃ。下の方が涼しいしっ」

しどろもどろでテンを説得するラム。するとテンは素直にラムの言う事を聞いて、「ほな、そうするわ〜おやすみ〜…」と言って、部屋から出ていった。

「やっぱここだと…どーにも落ち着かんっ…」

「でももう、きっと大丈夫だっちゃよ、ダーリン」

「しかし…」

「ちょっと待つっちゃ、ダーリン」

そう言うと、ラムはドアノブに何やら仕かけを施した。

「これで大丈夫だっちゃ」

「何をしたんじゃ?」

「向こうからノブを回してこっちに入ろうとしても、入れない仕かけだっちゃ」

「一体どうなっとるんだ?」

「この部屋のドアから玄関の外に空間を繋げたっちゃ。だから中に入ろうとすると外に出るようになってるんだっちゃ」

「ふーん…」

「ダーリン、そろそろ…お布団、敷くっちゃ?」

「あ、ああ…そ、そうだな…」

(これでやっと安心…していいのか?ホントに今度こそっ、大丈夫なんだろーな…)

そしていそいそと布団を敷き始めたラム。枕をふたつ並べて…電気を消した。
パジャマに着替えたあたると、いつものビキニのままのラム。敷布団に並んで座ると、薄手の肌掛け布団の端を持って体に引っかけ、揃ってゆっくり横たわった。

布団に横になり、互いに向き合って見詰め合う。するとラムの手があたるの胸元に伸びてきた。あたるのパジャマのボタンを黙ってひとつずつ、外していくラム。そしてまだ全部外し終わらないうちに、あたるは遂に行動に出た。

「ラムッ…」

「ダー…」

ラムがあたるを呼びかけたところで、ラムの肩を掴み、強く唇を押し付けたあたる。
たまにする軽いキスとは、ワケが違う。布団で重なり合い、ラムのカラダを抱きながらのキスなのだ。
細いラムの肩が、しっとりと汗ばんできた。それはラムの汗なのか、自分の手のひらから滲み出る汗なのか。そしてラムがパジャマのボタンを外した所から、あたるの肌に手を滑らせてきた。

「んっ…」

ラムのピンク色の小さな唇に深く吸い付いたあたるは、ラムをもっと感じたくて彼女の口内に舌を潜り込ませた。

「んふっ…」

その瞬間、ラムがカラダをピクリとさせて、あたるの足に、足を擦り付けてきた。“ねちょ、にちゅ…”ラムの舌を絡め取りながら、彼女の唾液をすすり上げるあたる。

(パリッ、パリパリッ…バチッ!)

感極まったラムが放った電気が、あたるののどや生肌を直撃した。

「んぐっ…!」

カラダを密着させディープなキスまでしていたので、弱い放電とはいえ、その威力はいつもの電撃にも劣らないほどだ。しかも内と外両側からカラダを痺れさせてくる。

「ぐっ…!」

その衝撃に、堪らずキスを解いてカラダを起こしたあたる。まるで、既にかなりの体力を使ったかのように、はぁはぁと肩で息をしながら、下に横たわるラムを見た。
ラムも今のキスと放電で少し疲れたのか、同じく、はぁはぁ…と息をついていた。

「ラムは…こういう時にも放電するのか…」

「ごめんちゃ…ダーリン」

「だが…」

あたるは座ったままパジャマの上下を脱いで、下着のみになった。薄暗い部屋の中でも、ラムが恥ずかしそうにしているのが、わかった。

「これしきの電撃、屁でも無いわっ。それにだなっ」

「大丈夫け?ダーリン」

「この程度の電撃で音を上げとったら…これから先、何も出来んでは無いかっ。後は…慣れじゃな、慣れ」

「ウチも…努力してみるっちゃ」

「…気にするなって、ラム。そんじゃ、ま…」

あたるの手がラムのブラの谷間部分にかかった。普段は奔放で、恥ずかしげの無い事を口にするラムも、この時ばかりはカラダを少し固くして、あたるの行為をおとなしく受け入れていた。
少しずつ引き下ろされるブラ。ラムは恥ずかしそうにあたるから顔を逸らして、目を閉じた。

「あっ…」

お椀型のバストの頂点が、ブラに引っかかって弾かれたためか、小さな声を漏らすラム。その声と目にしたバストに気持ちが昂ぶる一方のあたる。思わずのどが“ごくり”と鳴る。
ぎこちない手つきでラムのバストに触れ、軽く握ってみた。鬼ごっこの時に一瞬だけ目にした事はあったが、こうして間近に見、実際に触れたのは、もちろん初めての事だ。

「ラムッ!」

後はもう、気持ちの赴くまま、本能の向かうまま、だった。あたるはラムの胸に顔をうずめて強く頬擦りし、“はむっ”と口に含んだ。そうするとラムのカラダがくねくね動き回り、艶かしい喘ぎの声が、のどの奥から絶え間無く弾き出された。

「ダーリンッ…ダーリンッ、ダーリンッ!あ、ぁんっ!」

(パリリッ…バチバチッ!)

そしてまたしても…放電。あたるはその衝撃に懸命に耐えた。耐え続けた。これに慣れておかなければ…と、半ば使命感のように思いながら、ラムの感極まった放電に、とにかく耐えようとした。

「ぐわっ!」

しかしやはり、長時間耐えようとするものの、次第に感覚が麻痺してきて、ラムへの愛撫どころでは無くなった。そして短い時間でどれだけ勝負を賭けられるかが肝心だ、と思い至ったあたる。

(今はこれが精一杯じゃ…そのうち慣れるだろーが…。そしていかに短時間で…が、勝負の鍵じゃな…)

とか何とか思い、パリパリッ、とスパークを散らすラムを見詰めつつ、いよいよ、遂に…ラムのパンティーに手をかけた。

(こいつの放電さえなければ、心置きなく、なのだが…)

ラムの度々の放電で、どうにも行為に集中出来ないあたる。

(いや、しかし案外…ラムの放電も、もうちっとどうにかなれば、あるいは…後はとにかく、慣れじゃ、慣れ…)

「…ダーリン?」

少し呼吸を乱して、ラムが声をかけてきた。あたるがなかなか先に進まないので、気になったらしい。

「やっぱり、ウチの放電のせいだっちゃ?」

「いや…別に気にせんでも、いいぞ」

「ウチ…何だか、心配だっちゃ」

「何が?」

「ここから先が…だっちゃ」

「…何を言うかと思えば…いらん心配を…」

そして遂に…最終段階に突入したあたる。ラムのパンティーを抜き取り、初めての事でカラダを強張らせているラムの…秘所に、恐る恐る、触れてみた。

「…あ、んっ…ダーリンッ…」

ピクピクッ、とカラダを震わせ、泣きそうな声を漏らすラム。その姿と声にあたるは全身がぞくぞくするのを覚えた。身震いと共に…先の放電で一旦は落ち着いてしまったモノが、次第に…頭をもたげ始めた。

少しごわついた繁みの上から恥丘をさすると、いやいや、をするように左右にカラダや頭を振ってみせるラム。
まだあたるに全てを開放する段階まで至っていなかった頃のラムは、赤い花びらを自ら開花させるでもなく、両足を揃えて横たわっていた。

(ぬ、ぬぬ…)

「ちゃあっ!あ、あ…ダー、リン…ウチ、ウチッ…」

閉じられた秘所に、あたるが指を潜り込ませてきたのだ。次第に緩みだす、ラムの両足。そしてゆっくり、開花していく、ラムの赤い花。

「う、ん…ダァ、リン…あ…あ、あ…だ、めぇ…あ…ん…」

あたるがラムのやわらかく湿った粘膜をまさぐるほどに、さまざまなトーンで乱れ飛ぶ、ラムの声。そしてすぼまった奥から滲み出てくるラムのねっとりした愛液。それがあたるの指にまとわり付き、ラムの秘所の溝にぬるついた指を滑らせると…。

(ぬちゅ、ぬちゅ、くちっ、くちゅっ…)

「ああっ!だめぇっ!だめだっちゃぁ…そ、そんなに、したら…あ…あ…はぁんっ!」

濃度のある液体をかき回すような音と、その音が頻度を増すほどにほとばしるラムの悶えの声が重なった。
あたるは懸命にラムを攻めた。短時間で勝負を決めねば…との思いが先走り、気持ちの昂ぶりと焦りが、あたるを少し乱暴に振舞わせた。

秘所をかき回す粘った音が引っ切り無しに響き、ラムが腰をひねったり背を反らしたりを繰り返すと、お椀型のバストがぷるんぷるんっ、と揺れた。

しかし、あたるの昂ぶりと焦りが災いし…。

「だっ、だめぇーーーっ!」


バチバチバチッ!バリバリバリバリーーッ!!


…軽く達してしまったラムの激しい放電で、あたるはしこたま感電させられてしまった。そして…。

「ど、どこじゃ、ここはっ!?」

「えっ?…ちゃっ!!」

気が付けば自宅の玄関前だった。今のラムの放電衝撃のせいなのか、部屋のドアと繋がっていた玄関外に、ふたりは放り出されてしまっていたのだ。

「真夜中だから助かったけど…早く部屋に戻るっちゃ!」

玄関はとっくに鍵がかかっていたので、あたるを抱えてベランダの窓から室内に入ったふたり。部屋を見てみれば、ちょっとしたケンカの後のような有様だった。

「ごめんちゃ、ダーリン…やっぱり、ウチも気を付けないと…」

結局その夜は、行為をそこで切り上げざるを得なかった。そしていつものように、押入れで眠る事にしたラム。しかしふたりとも興奮冷めやらぬままだったので、なかなか眠れそうになかった。
そして寝付けないついでなので、ラムは、学校にいた時から気になっていた疑問をあたるに投げかけてみた。

「そういえばダーリン、昨日ずっと、学校で居眠りしてたでしょ?ずっと気になってたっちゃ」

「あ、ああ…あれね…ここんとこ夜も暑いだろ。それで、夜中や、夜明け前に目が覚めて…またうとうとすると、すぐ朝、っちゅーわけじゃ…」

「でも昨日は何だか…変に不機嫌だったっちゃよ。何で?」

「…知りたいのか?」

「もちろんだっちゃ」

「あー…それはだな…。ま、もうあそこまでいったから…言っちまっても、いいか…」

ラムはあたるが何を言おうとしているのか、全く見当がつかない。そしてあたるが言うには。

「つまり、夜明け前に目が覚めるだろ?するとお前が押入れん中で寝てるわけだ」

「だってここがウチの寝る場所だっちゃよ。それがどうかしたのけ?」

「すーすー寝息立てて、気持ち良さそーに。で、たまに寝返り打ったり寝言言ったりするわけだが…」

あたるはそこで一旦言葉を切った。そして布団の上にあぐらをかいて腕を組み、押入れからあたるを見下ろしているラムをチラッと見上げた。

「その寝言が…時々、妙〜に…色っぽかったり…寝相もだな…妙〜に、そそるような…時があって、だなぁ…それで夜明け前の暗いうちに目を覚ましたオレは、そのまま眠れず朝を迎える、っちゅーワケじゃっ。わかったかっ」

腹這いになり両手で頬杖をついてその話を聞いていたラムは、アッケラカンとしてこう言った。

「つまりウチのエッチな寝相とか寝言で眠れなくて、学校で居眠りしてたのけ?」

「…平たく言えば、そう言う事じゃ…」

「そうならそう、って、もっと早く言ってくれれば良かったのに」

「な、何でじゃっ」

ふわりと飛んで押入れから出てきたラム、あたるの真向かいにちょこんと端座した。

「一体いつからだっちゃ?」

「な…何がっ?」

「ウチを見て、エッチな事考えるようになったの、だっちゃ」

「い、いつから、って…そんな事、イチイチ憶えとるわけなかろーがっ」

「あれだけ終太郎に押し付けたがってたのに?似合いだとか何とか言って」

「それとこれとは…別じゃ、別っ」

「今でも、そう思ってるのけ?終太郎に押し付けたいなぁ、って」

「アホッ!そんな事思うわけ…」

それを聞いて、嬉しそうにあたるに抱き着いたラム。そしてあたるの耳に唇を寄せて、艶かしい声で、囁きかけた。

「明日はお休みだし、まだ暗いし…さっきはウチの電撃で…最後まで、いけなかったけど…もうちょっと頑張ってみるけ?ダーリン…」

「頑張る、って、な、何をじゃっ」

「まずは…ウチの電撃に、もうちょっと慣れてもらわないと、難しいっちゃよ。ウチも放電の仕方、練習してみるっちゃ。こんな風に」

(パリパリパリ、パチッ、ピリリッ、パチパチッ…)

「こ、これくらいなら…」

「それじゃあ、ちょっと強くしてみるっちゃ」

(パチパチ、パリパリパリッ、バチッ!)

「くっ…!こ、この程度、なら…」

「それじゃあ、このくらいのならどうだっちゃ?」

「ぐわっ!…ちょっ、ちょっと待てよ、ラムッ…」

ラムはあたるの真正面に顔を持ってくると、ちょっとガッカリしたような表情になった。

「このくらいだと、ダメ?だって、さっきはこのくらいだったっちゃよ?」

「うーむ…とにかく、オレが慣れて、ラムも放電を調節出来るようになれば、一番いいわけだが…」

「それじゃあ…これから毎晩、特訓してみるけ?うふっ♪」

=================================

ラムのその言葉を早速実行に移したあたるであったが…。

「あ、あとっ…ぐっ…も、もうちっと…ぐわっ!…だと、ゆーのにっ…ぐがっ!」

「ん…はぁ、はぁ…ウチも、もうちょっと…頑張って…みるっちゃ…あと、少しだから…」

あたるがラムの性感帯を刺激する度に放たれる電撃。普段ケンカで浴びるものより若干弱めとはいえ、全裸で密着していれば、どうしても電気の伝導率が高くなってしまう。それに必死で耐えるあたる。どうにかコントロールしようとするラム。だが…。

「ラ、ラムーッ!ぐわーーーーっ!!」

「ちゃっ!ダーリン…まだ早過ぎるっちゃよ…」

一旦気持ちもカラダも昂ぶるものの、ラムの放電刺激のせいで、なかなか彼女のナカに入れないあたる。

そしてふたりの“ラムの電撃に慣れる”ための特訓は、朝方まで、続いた。


翌日、太陽が高く昇ったその暑さで目を覚ましたふたり。ひとつの布団で抱き合ったままだったが、眠りに就くまで、結局一度も最後までいく事が出来なかった。

「最初だから、しょうがないっちゃよ、ダーリン。ちょっと残念だったけど…」

「それにしても…暑い…いや、それよりも。変じゃっ、おかしい…」

「何が変だっちゃ?」

「いつもなら勝手に部屋に入ってくるはずの母さんやジャリテンがここに来んとは、変じゃ」

「ウチがドアノブに空間繋げる仕かけ付けといたのを、忘れたのけ?」

「あ、そういえば…じゃあここに入ろうとしたら…」

「玄関の外に出てるっちゃ♪」

「まぁそれで、助かった事は助かったが…」

そうして暑い夏の1日が、また始まった。前の晩のように…というわけには毎晩いかなかったが、ラムはちょっとした合間に、家や学校やUFOで、放電のコントロールを練習していた。そしてあたるも。

「ラム、お前ちょっとは、調節出来るようになったか?」

「ウチは毎日頑張ってるっちゃよ。ほら、どうだっちゃ?このくらいのは?」

「う、ぐ…あ、ああ、前よりちっとは上手く…うおっ…」

「ちゃっ…んも〜、まただっちゃ。まだ一度も、ウチと最後まで…いってないのにぃ…ダーリンのバカッ」

「あ、あと…もう、少し…もう少し、お前のが弱くなって、オレの耐性が強くなれば…その時こそはっ!」

ラムの電撃のせいで、濃厚なスキンシップ止まりのふたりだったが…それから幾日かの夜を経て…ようやく、あたるとラムは、繋がった。

ふたりが接近していた様子を見て以来、母親も勝手に部屋に近付かなくなった。そしてテンも同じく。

「テンちゃんには、お母様から言ってもらって、下で寝るようにしてもらったっちゃ」

「しかし母さんも…何も言ってこんのは、ちっと妙な気もするが…。ところでラム、ちゃんと準備しといたか?」

「もちろん、準備オッケーだっちゃ♪防音も〜それから明日の消臭とか乾燥剤も…それと…ウチの方も…バッチリ、だっちゃ♪」

「夕飯の席で、時々父さんが…家の修理が増えたとか…何とか、言うておるが…」

「たまには…ウチの、UFOでも、いいっちゃよ…でも、夜が明ける前には…寝ない、と…ダー、リン…」

「ま、た…学校で、ふたり揃って、居眠り…ってか?」

「だっ、ちゃ…あ、ああっ…ダーリン、ダーリンッ…好きっ…あっ、う、う、ぅんっ…」

「夜明けなら…まだ、まだ…じゃっ…ラムッ…」

「あ、うっ、んっ…!は、あ、あぁ、あっ…好、き…」

夜明け前の時間は…不思議な静けさと空気に満ち満ちて、恋人たちを、より一層大胆にさせる。
まだカラダの関係を持ち始めたばかりだというのに…いや、持ち始めたばかりだからこそ、なのか。あたるとラムは五感を総動員させて、互いのカラダと心を悦ばせ合った。

そして、幾度かの夜と、夜以外の交わりを経験していくうちに…ラムは微弱放電のコツを憶え、あたるはラムが悦ぶツボを次々と憶えていった。

「は、早く、寝ないと…また、寝坊…あ、ああっ…ダーリン…ああぁっ!…」

汗ばんだラムの肌に吸い付かせるように、ゆっくり、手のひらを、滑らせていくあたる。

(ちゅうぅぅ…ちゅぱっ…)

ラムの肌にむしゃぶりつき、強く吸い付く。すると、赤い印がそこかしこに刷り込まれていく。あたるは翌日の事など考えない。考えずに、ラムを愛撫する。ただひたすら夢中に、愛撫を続ける。

この暑さのせいなのか。夜明け前だというのに、もう、セミが鳴き出している。

「はっ、はっ、はっ…ラム…ラムッ…」

「んっ…好き…ダーリン…んっ、んっ、んんっ!んあぁっ!」

若いエネルギーが有り余っているのと、後先を考える理性を失っているせいなのか。時間を感じない薄闇の中で、ふたりは無我夢中で…。
若いふたりは、最初は肉体の快楽に酔いしれ、あらゆる事を試してみた。興味本位も手伝って、あたるもラムも、次第に大胆かつ奔放に互いを…互いのカラダを、愛した。最初はそうだった。
それはまるで、周りの見えない宵闇の中の、手探り状態に似ていたかもしれない。

夜が明ける前に…ふたりは存分に、官能の悦びに酔いしれた。そして、次第に空が白み、部屋が薄明るくなってくると…乱れた互いの姿と顔を目の前にして、ふたりの動きはしばし止まった。そういう事が、時たまあった。

闇の中で抱き合っていたのは、本当に、目の前にいる…彼なのか、彼女なのか。

そうしてふたりは、闇の中の行為が本物だったかどうかを確かめようと…再び、同じように交わるのだ。その間にも、空がどんどん白んでくる。セミの声が、増えてくる。

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関係を持つ以前から、夜明け前に目を覚ましたあたるの視界にいたのは、ラムだった。次第に抱きたい思いが強くなり、やがてふたりは結ばれた。
そして今現在、次第に明るくなっていく部屋の、自分の目の前にいるのも、他の誰でも無い、ラムだ。

昼間、皆の前ではいつも通りに振る舞い続けるあたる。ラムを怒らせ、追いかけさせ、逃げ回る。薄情そうにつんけんしてみせる。夜が明けた後のラムを、試すように。
陽の光の下、夜の濃厚な交わりで満たされていなくても、自分を好きなままでいるのかどうかを、試すように。
するとラムは無邪気に笑って、決まってこう言う。

「ずーっと、ダーリンが、大好きだっちゃ♪」  と。

日が暮れて、普通の1日が終わる。そして…半分恋人、半分夫婦、なふたりの、長いような短いような夜がまた、始まるのだ。

日中は、自分の事を「好き」と言ったり、嫉妬心ですぐに怒るが、夜になればふたりきりだ。ふたりきりの時間、空間。その中で何の心配も無く、心置きなく、抱き合える。
やがて…ふたりの行為は穏やかになり、互いを慈しむような愛撫を繰り返すようになった。最初の頃のような激しさは無くとも、あたるもラムもそれで満足した。
ただし、時には…最初の頃のように、激しく交わる事もあった。あたるはラムを思い切り乱れさせたいと思う時があったし、ラムもあたるを積極的に攻める時があった。

そして今夜も…。

1本、2本…3本。ラムのやわらかな秘裂を開かせ、指を這わせるあたる。

「う…ん…ダーリン…」

ラムを濡らしながら、あたるは彼女にキスをする。するとラムはすぐさまがっちり抱き着いてくる。時々あたるの背中に爪を立てる事もあるが…。そして、ねちっこくて深いキスをする。ラムは秘裂を熱くしながら、上の唇でも、熱いキスを堪能した。
時々ラムの牙が、あたるの唇の端に引っかかるが、以前それに驚いてキスを解いたはずみに唇を切った事があるので、今はラムの牙が引っかかっても慌てたりはしない。そしてラムの牙のチクリとした刺激を舌上に感じたくて、あたるはラムの牙の先端を、舌先で軽くこすってみる。

(ちゅぱっ…)

思い切り吸引し合っていた唇を離すと、火照った顔のラムがとろけそうな表情を浮かべる。そしていつもと同じような台詞を口にする。
たっぷり濡れたラムの窪みに、あたるの矛先が向けられた。そして…。

夜明け前。ふたりして汗だくになりながら、カラダを繋げる。そして互いに極限まで熱くなり、共に果てると、満足そうな笑みを浮かべて抱き合いながら、眠りに就いた。


ある夜、行為が終わって横になっていると、突然ラムが「あっ!そうだっちゃ!」と素っ頓狂な声を上げた。
何かと思って聞いてみると、地球滞在のパスポートの期限がそろそろ切れるのだと言う。

「ちょっとだけ留守にするけど、大丈夫だっちゃ?ダーリン。それともウチと一緒に来るけ?」

「子供じゃあるまいし…中1日くらいだったろ?前は」

「そうだけど…ウチはちょっと寂しいっちゃ。ね、一緒に行くっちゃ、ダーリン」

「いや、オレはいい。というか、2日くらい離れとった方が…たまには、な」

「ウチと一緒にいるのが嫌なのけ!?」

「あー…そういう意味じゃなくて…2日ほど離れておれば、その後が、ちっとは新鮮なんじゃなかろーか、と。そういう意味じゃ」

「その間にもし浮気なんかしたら〜〜…わかってるっちゃ?」

「何がだ?」

「浮気した人数分だけ、お預け、だっちゃ!」

「うーーーむ…それは選択しがたい、難題じゃっ…」

「浮気しない、って約束出来るんなら、ウチとテンちゃんだけ行ってくるっちゃ。でも約束守れないんならっ!一緒に来るっちゃ!」

「だってジャリテンと親父さんとおふくろさんがいるだろーが」

「実はね…そう言うだろうと思って、父ちゃんたちには内緒で泊まる所決めておいたっちゃ♪しかもスイートルーム、だっちゃ」

「スイートルーム…まるで…し、新婚…さん、みたいではないかっ…」

「嫌なのけ?それに〜ふかふかの、おっきなダブルベッド…だっちゃ♪きゃっ♪」

「そ、そうか…たまにはそういうのも…悪くは、無いな…いつもここかラムのUFOばっかだし…」

「じゃあそういう事で決まりだっちゃ♪何だかハネムーンに行くみたいな気分だっちゃ♪」

「ラムッ!くれぐれも言っとくがっ!オレはそーゆーつもりで一緒に行く、と言ったんじゃ無いからなっ、くれぐれもっ!それにまさか〜前みたいに〜オレが気が付いたら…きょ、教会だった…というのは、ぜーったいっ!無しじゃっ!」

「(ギクッ!)…え〜〜っ、どうしてぇ?何で嫌だっちゃ?じゃあどうして一緒に行く気になったっちゃ?」

「ふっ…それはもちろん…。こんなセンベイ布団の上でばっかりだから、たまにはっ!ゴージャスな気分も味わってみたいんじゃっ!それ以外の理由など何も無いわっ!」

「そんなに力一杯言わなくたって〜…ダーリンのバカッ。せっかく色々準備して…あっ」

「やっぱりな…そういう事か…。ホテル以外はぜーんぶっ!キャンセルッ!それが一緒に行く条件じゃっ。それにな」

「…んもうっ、しょうがないっちゃ、わかったっちゃ〜。…それに?何だっちゃ?」

「まだ早かろーが…。何にしても、お前は気が早過ぎるんじゃ…それに、先の事は、オレにもわからんしな…」

「こんなにピチピチの若妻、欲しくないのけ?」

「だからまだ早い、っちゅーとろーがっ」

「ダーリンの考えてる事は、さっぱりわからないっちゃ…」

「わからなくて、結構毛だらけじゃっ」

…と、こんな会話をした後、あたるは黙って天井を見上げ、思っていた。

(後先考えんでも、まぁ、いずれは…。しかしこの先どうなるかは、オレにもさっぱりわからんが…。それに、ラムはこの先、ずっと今と変わらんままなんだろーか…オレに対する、気持ち…とか。ま、先の事はわからんけどな…)

すると腹這いで頬杖をついていたラムが、あたるを見て、言った。

「ダーリンが何考えてるかは、さっぱりわからないけど、ウチはずーーっと、ダーリンの傍にいるっちゃ。さ、そろそろ寝よ、ダーリン♪」

「そういえば…明日というか、今日から、夏休みだったな…」

「だからパスポートの書き換えに行くにはちょうどいいっちゃ」

「…寝坊しても一向に構わんだろ」

「それじゃあ今から、UFOに行くけ?ここじゃ暑いから…」

適当に後始末をして、パジャマとビキニをそれぞれ身に着けると、ラムはあたるを抱えて、夜明け前の少しだけひんやりした空気の中に、飛び出した。

(何年か経ってもたまにはこんな風に、夜が明ける前の空をラムに抱えられて、飛ぶ事もあるんだろーかな…)

濃紺色の空の端を見やれば、少しだけ白み始めてきている。

「きれいだっちゃね、ダーリン。またいつか、こういう空を一緒に見るっちゃ。ね♪ダーリン」

「ん…ああ、そうだな…。なぁラム、UFOに着いたら、屋根に乗せてくれんか?」

ラムは「どうして?」と聞き返したが、あたるは黙ったままでいた。そしてUFOに着くと、あたるを屋根に乗せ、ラムも並んで横に座った。

「ラム、見てみろよ。空や雲が…きれいだろ」

「うん、そうだっちゃね。…ね、ダーリンは、夜と昼のどっちが好きだっちゃ?何にも見えない夜と、良く見える昼間と」

「…どっちもだな。しかし夜明け辺りの、白みかけた空も好きだけどな」

「ふーん。どうして?」

「周りが見えそうで見えない、っちゅーところが何と無く、な…。今日も暑くなりそうだな、そろそろ中、入るか?」

「うーん…今日は夏休み初日だし、普通にデートするのはどうだっちゃ?ウチ、プールに行きたいっちゃ」

「まだこんな時間なのに、今からデートの話か?途中で眠くなっても知らんぞ」

「そうだっ、ちょっと待つっちゃ、ダーリン」

ラムはUFOに入っていき、少しするとあたるの所へ戻ってきた。

「はいっ、これ飲むっちゃ。今から24時間、眠らなくても大丈夫になるっちゃ」

「…いや、いいっ」

「え〜、せっかく持ってきたのに〜」

「お前の持ってくるもんは必ずと言っていいほど、何らかの副作用があるではないかっ!」

「これは大丈夫だっちゃよ」

「とにかく、いい、っちゅーとろーがっ!」

「あっ、空に美人っ!」  「えっ!?どこにっ?」

その隙にまんまとあたるの口に薬のカプセルを放り込んだラム。

「げっ…飲んでしまったではないかっ…」

「これで明日の朝まで眠くならないっちゃ♪」

そしてその日は日中デートをし、夜はラムのUFOでいつも通り…なふたりだったが。翌朝ばったり倒れるように眠ってしまったあたる。そして次に目覚めてみれば。

「…はっ…ここは…?…ああ、ラムのUFO、か…オレ、どれくらい寝てたんだ?…」

「ああ、ダーリン、やっと起きたっちゃね。…んーとね…今、あれから3日、経ってるっちゃ…」

「やっぱり思った通りっ!副作用があったではないかっ!し、しかも、3日…3日も寝たまんま、だっただと〜!?」

「あ、あははは…ご、ごめんちゃ、ダーリン。ウチは普通に目が覚めたんだけど…やっぱり地球人だと、ちょっと作用が…ちゃっ!?」

あたるは自分の周りをふわふわ飛んで、申し訳なさそうに笑っているラムの腰を掴むや否や、UFOのベッドに押し倒した。

「3日…3日間もじゃっ!すっかり眠気も吹っ飛んだし、その分の埋め合わせじゃっ!」

「そ、その前に、お腹空いてない…け?ダー…リン…んっ…」

「そんな心配いらんわっ!3日も寝ていたと考えただけで〜っ!空腹より、まずはこっちじゃーっ!」

「…あんっ…んもうっ…ダーリンの…エッチ…」

夏の“夜明け前”に、あたるは自分の気持ちに気付き、ラムとの一線を越え、明るい朝を迎えた。そしてふたりは、夜も昼も、いつもいつでも。絶え間無い、恋人+アルファ、な関係。

--- E N D ---

あとがき


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