青い稲妻 (例えばこんな日々・実家編その2)


ふたりが成人を過ぎて、まだ実家にいた頃の話である。
ラムは“運命の扉”の中で見たのと同じように、虎縞柄のタイトなチャイナドレス風の衣装に、長くて豊かな頭髪を後ろでゆったり編んだスタイルになった。

ラムが同居するようになって以来、諸星あたるの実家は、ラムとあたるのケンカの度にそこかしこに被害を受けていた。
雷が屋根を突き抜ける事もあれば、あたるの部屋全体が焼け焦げていたりと、とにかく両親は家に関して心休まる日がほとんど無かった。

いや、ケンカ以外の放電による被害もあるにはあったが、両親にとっては、ケンカであろうがそれ以外の理由であろうが、そんな事はもうどうでも良かった。家の修繕費用のローンだけが、どんどんかさんでいく事に何ら変わりは無かったのだから。

しかしいい加減、業を煮やした母親が、ある日の夕飯の席であたるを捉(つか)まえ、イライラした態度で説教を始めた。ラムはUFOに行っているのか、その場には居合わせていなかった。そして父親はささやかな楽しみである食後の晩酌を、チビチビとひとり手酌でしている時だった。

「ちょっとあたるっ!母さん、前から言おう言おうと思っていたけど!あんたっ、家の修理費用が一体どれだけになってると思ってるのっ!?」

「何だよ急に。今に始まった事じゃあるまいし」

「何を人事みたいに言ってるのっ!あんたの家でもあるのよっ!しかも修理の原因はほとんど全部っ、あんたにあるじゃないのっ!しかもお父さんの安いお給料じゃ一体いつ支払いが終わるんだかっ。あたる、わかってるの!?聞いてるのっ!?」

「あー…まったく、うるさいなぁ…」

「それが親に対する態度なのっ!?今のままじゃ母さんも父さんも、いつ路頭に迷ってもおかしくないのよっ!?あんたの部屋を修理した分だけでもいつか必ず絶対っ!返してもらいますからねっ!そうじゃないと…そうじゃないと、母さんの、母さんの老後は!一体どうなるのよーーーっ!!」

母親の、絶叫にも近い訴えを聞いているうちに、あたるもイラついてきた。

「何だよ、オレがぜーんぶっ!悪いってのか?そもそも家を電撃で壊してんのは、ラムだろーがっ!!」

「その原因を作ってんのは、あたるっ!あんたじゃないのっ!」

「だったらどないせぇっ、ちゅーんじゃっ!」

「とにかくそのうち、この家を出て行ってもらいますからねっ!これ以上修理が増えたら…孫の代までローンが残るのよっ!わかってるのっ!?あたるっ!」

父親は黙ったままだ。体を小さくし、聞こえないフリをして、晩酌を続けていた。あたるはいい加減うんざりしたのか、むすっとして居間から出て行った。


「ったく、何でオレばっかり怒鳴られにゃならんのじゃ。家が壊れたり部屋が焦げたりしたのは、ラムの電撃のせいだろーがっ」

面白くない気分のあたる、むすっとしたままイスに座ると、マンガを読み始めた。それから少しして、ラムが窓から入ってきた。

「ただいま、ダーリン」

だがあたるは、家に関する事を全部自分のせいにされてイラついていたので、ラムの呼びかけに答えなかった。

「どうしたっちゃ、ダーリン?何かあったのけ?」

「…ふんっ…」

「何だか…怒ってるみたいだけど…。どうしたっちゃ?」

自分の背後でふわふわ浮いているラムに対しても、ムカムカしていたあたるは、しばらく黙ったままでいた。

「何怒ってるのかわからないけど…」

ラムはあたるの頭上に浮かぶと頭を逆さまにして、彼の顔をのぞこうとした。するとあたる、ぷいっ、とそっぽを向いてイスから立ち上がり、部屋の中央に行ってあぐらをかいた。
ラムには何故あたるが怒っているのか、そのワケがわからない。そしてまた彼の顔を見ようと、畳すれすれに、すーっと飛んできて、あたるの前面に回り込もうとした。

「どうしてこっち向いてくれないっちゃ?ウチ、何かしたのけ?」

あたるはケロリとした口調のラムのそのひと言に、“カチン”ときた。

「…な、何かしたもくそも…大有りじゃーーっ!!」

「ちゃっ!」

いきなり目の前で怒鳴りつけられたラム、あたるの剣幕に心臓が飛び出すほど驚いた。そして驚いたのと怒鳴り声の迫力とで、軽く飛ばされるようにしてラムはあたるから離れた。

「いきなり怒鳴る事無いのにっ!ワケも話してくれないでっ!」

「お…お前の、電撃のせいじゃっ!電撃のせいで家がぶっ壊れたりしたのを、ぜーんぶっ!原因はオレにあるっ、と言われてしまったんじゃっ!!…くそっ」

「ウチの電撃の?…ひどいっちゃ、ダーリンッ!大体ダーリンが浮気とかするからだっちゃ!」

「ケンカのせいだけじゃなかろーがっ!…あっ」

“ケンカ以外の理由”というと…大体はひとつしかない。自分で言っておきながら、つい余計な事を口走ってしまった、とあたるは内心思った。言ってしまってから(しまった…)と思い、ラムを見ると。

「ケンカ以外…って…今のは、あんまりだっちゃ…ダーリンの…ダーリンの〜〜っ!」

眉を吊り上げ、次第に怒りのテンションが上がってきている。

「…うわっ!ちょっ、ちょっと、落ち着けって、ラムッ!これ以上はっ!!」

焦ったあたるは慌ててラムを止めようとしたが…時既に遅し。

「ダーリンの〜〜っ!バカーーーーッ!!」

…その直後、あたるの部屋の天井が破れ、屋根を突き抜けた稲妻が、天高く昇っていった事は…言うまでも無い。

いつもの事とはいえ。その直後、さっき説教したばかりの母親と、傍で聞いていた父親は、血相を変えてあたるの部屋に駆け込んできた。
ラムは怒ってさっさとUFOに行ってしまい、残されたあたるは、母親から先と同じような文句を長々と聞かされる羽目になった事も…言うまでも無い。


そして翌日の晩。ラムはあたるの部屋にいたが、昨日の事でまだ少し怒っていた。

「あんまりだっちゃ、ダーリンのバカッ。ケンカ以外の電撃…って…ウチだけのせいじゃないっちゃ」

「…いつまで怒っとるんじゃ…」

「ダーリンからちゃーんと謝ってくるまで、許さないっちゃ!」

「いや、だから…確かにケンカ以外…ってのは余計…だったかも…しれん、が…しかし何も屋根突き破る事は無かろーが…」

「ウチのせいにするのけ!?…そうっ、わかったっちゃ。それなら当分、ウチはUFOで寝るっちゃ!」

「えっ…」

「ウチが電撃出すのが嫌だって言うんだから、そうするのが一番だっちゃ!」

「いや、何も…そこまで…」

「そこまで?…それから、何だっちゃ?」

「だから…そこまでする事は…」

「とにかく寝るのはしばらく別々っ!ウチ、UFOに戻るっちゃ!」

「ちょっ…ラムッ、待てよ…なぁ…」

「そんな甘えた声出したって…」

あたるはラムの背に擦り寄ると、両肩に手を置いた。それでもまだラムはツンとしたままだ。

「だから…オレもちょっと…言い過ぎた、かな…と…」

「ウチはすっごく、傷付いたっちゃ!」

「なぁ、ラム〜…」

「…そんなに甘えてきたってダメだっちゃ!ダーリンのバカッ!」

「そんなにバカバカ言わんでも…」

あたるはちょっとだけむっとしたような口調で、ぼそっと言った。そしてラムは相変わらず、ツンとしたままだった。床に端座して腕を組み、あたるが顔をのぞこうとすると、プイッ、とそっぽを向いてしまう。

ラムの機嫌がいつまで経っても直りそうもないので、いい加減痺れを切らしたあたるは、彼女の肩から手を離すと、自分もラムに背を向けて、あぐらをかいた。そしてひと言。

「…もう好きにしろっ…」

「そうさせてもらうっちゃ!それじゃ、おやすみっ、ダーリンッ!」

そしてラムは、暗い夜空へ飛び去って行った。

「…昨日の事をいつまでも怒っとらんでもいいだろーが…ラムのアホ…」

何と無く面白くない気分と、気が抜けたような感じが綯(な)い交ぜになったあたる、組んだ手を枕にして床にごろりと転がると、無言のまま天井を見上げたり、ごろごろと寝返ったりして、独りきりの退屈な時間を持て余した。そしてしばらくすると、軽いいびきをかいて眠ってしまった。

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ラムがUFOに戻ってからどのくらい経っただろうか。点けっ放しだった室内灯の明るさで目を覚ましたあたる。目覚めたばかりのぼやけた視界に、部屋の壁やふすまが入ってきたので、(ああ、ちょっと寝てたのか…)と薄っすら思った。

と、頭の下の感触に気が付いた。枕…をした憶えは無かったのだが、温かい柔らかさ…を感じた。まだ少々目も頭もぼんやりしていたが、視線を天井側に向けてみた。するとそこには、ラムの顔が。

「…な、何だ…戻ってきたのか…」

あたるはラムに膝枕をされていたのだ。そしてちょっとバツが悪そうに、軽く咳払いをして起き上がろうとすると。少し照れ臭そうな口調で、ラムが言った。

「ちょっと忘れ物があったから、取りに戻っただけ…だっちゃ」

それを聞いたあたるは、再びラムの柔らかな太ももに頭を預けると、彼女の顔を見上げて言った。

「忘れ物、って…何を忘れたんだ?」

あれだけ拗ねていたのに、自分が寝ている間に戻ってきて、膝枕までしているラム。彼女が“忘れ物”と言っているものが何なのか、おぼろに見当がついたあたるは、わざとらしくそう聞いてみた。

「何って…もしかしてわかったのけ?ダーリン」

「もしかして…お前の膝の上で、ぐーすか寝とったものとか…。当たりか?」

その言葉でようやく機嫌を直したらしいラムは、柔らかな笑みを浮かべて、あたるの顔を上からのぞき込んだ。

「ウチの膝枕、気持ちいいっちゃ?」

「…昔はビキニだったから、あっちの方が良かったといえば、良かったのだが…まぁ、これはこれで…。で、今から…どうするんだ?忘れ物、取りに来たんだろ?」

「そうそう、そうだっちゃ、忘れないうちに…ふふっ♪」

それまであたるの頭を優しく撫でていたラムは、虎縞柄のチャイナドレスの腰辺りに手をやると、そこから何やら小さなものを取り出した。そして。

「…ラム、今オレの頭に…何か着けたか…?」

「うふっ♪これでダーリンも、ウチと同罪だっちゃ♪」

何の事かと思い、ラムが“何か”を着けた部分を触ってみると。

「…もしかして…これは…“ツノ”…か?しかもお前と同じに、ふたつ…着いとるようだが…」

「だっちゃ♪これでダーリンも〜立派な鬼族、だっちゃ♪」

あたるは、ガバッと起き上がると、取ってくれとばかりに、ラムに頭を差し出した。

「オレは地球人でたくさんじゃっ!」

「あははっ…冗談だっちゃ、冗談っ。それは“フェイク”のツノだっちゃ。でも1週間は外れないようにロックしといたっちゃ」

「一体どーゆーつもりでこんなものを着けたんじゃ…そもそもその“フェイクのツノ”ってのは、何なんだ?」

「ウチの星で作ってて出回ってるものなんだけど。誰でも鬼族と同じ放電と耐電の能力が身に付くんだっちゃ。オプションで火炎放射や飛行能力付きのもあるっちゃ。飛行能力もあった方が良かったけ?」

「説明はいいから…どーして着けたのかを、聞いとるんじゃ」

「つまり〜、ダーリンにも、ウチと同じ電撃の能力を身に付けてもらえば、何かあっても、同罪になるっちゃ♪」

「家がぶっ壊れても…それにはオレが放った電撃も関与しておると?…あ、あのなぁ〜〜…いくらラムが放電をコントロール出来るようになり、尚且つ、その電撃が多少穏やかになったとはいえっ!それがふたり分になったらどうなると思ってるんじゃ!大体オレにコントロール出来るもんなのかっ!?」

「もともとは護身用に作られたものだけど…本人の意思で強弱も付けられるっちゃ。ちょっと練習が必要かもしれないけど」

「1週間も、このままか?つまり1週間の間に過激なケンカをしたら…」

「だからウチの電撃のせいだなんて、当分言えなくなるっちゃ♪」

「ケンカをしないという保証も無い上に…それに、オレまで放電するようになったら…ラムは、大丈夫なのか?」

「あっ…そうだったっちゃ…。えっと…よく、わからんちゃ…大丈夫なのか、どうかは…」

「わからんのに着けたのか?…もし、どえらい事になっても…オレは知らんぞ…」

「どえらい事って…どのくらい?」

「だからそれは、オレにもわからんっ…」

妙な会話の流れに、ふたりは思わず赤くなった。あたるは(一体、オレが放電したら、ラムはどうなるんじゃ?)と思っていたし、ラムはラムで(ダーリンが放電したら…ウチ、どうなるっちゃ…)と、いつもとは違う展開になるかもしれない不安が少しと、大きな期待…が、ふたりの胸を高鳴らせていたのは…もちろん、言うまでも無い。


(バチバチ…パリパリッ…バチッ…)

早速、放電するイメージを思い描いてみたあたる。思ったより簡単に、それは上手くいった。あたるの全身が、ラムと同じ放電現象を起こしている。もちろんイメージする事で、強弱も付けられた。
新しい事をマスターする能力に長けているのだろう、“フェイク”のツノを身に着けて小1時間も経たないうちに、あたるはすっかり放電のコツを掴んだようだ。

「な…何だか、妙〜な、感じだが…自分で放電する分には…ほとんど何も感じんのだな。ラムもそうなのか?」

「だっちゃ。自分で放電するのと、他から充電するのは、別に何も感じないっちゃ。充電する時は電気が美味しいって感じるし」

「しかし…オレとしてる時の電気は、充電されないのか?」

「ダーリンから伝わってくるのは…充電されないんだっちゃ。理由はよくわからないんだけど」

「ふーん…直接皮膚が…密着…するから、かな…それともラムが無意識に、充電しないようにしとるとか…ま、そんな事はどーでも…いいか…」

「ダーリンの放電…ずいぶん青いっちゃね…でも、きれいな青い色…」

「ラムが充電せん理由も、オレの放電が何色でも…んな事はどーでも…よかろーが…。つまり…やる事やって…お互い、気持ち良ければ…それで、十分だろ?」

「…だっちゃ…」

「しかし今夜は…一体どうなるんじゃ…明日が怖い気もするが…」

「ウチは別に…孫の代までローンが残っても…いいけど…」

窓を閉め、カーテンを引いて、布団を敷き、電気を消して…濃い紫紺色の闇に、カーテンの隙間から差し込む街灯の明かり。その中でラムとあたるは、一糸まとわぬ姿になる。生まれたままの姿に…。

生まれたままの姿…いや、その表現は少しきれい過ぎるかもしれない。生まれたままの時とは違う感情を持って…あたるとラムは…男と女になる。それは年経た男女が極普通に抱く感情だろう。子孫を残す以外の理由と目的で…ふたりは肌を合わせる。

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肌を合わせずとも、一緒にいるだけで心地良さを感じる時間も、あるにはある。そんな時間の方が長いかもしれない。
けれどひとたび夜になれば…夜でない事も時にはあるが…こうして肌を合わせて快楽を共有する事が当たり前のようになっていた。

それは…同居を始めてしばらく経った頃から、飽く事無く、続いている。
男と女、陽と陰。そして、空と大地、水と火。天然自然、不変の法則として。対になるものはいつでも、相手を求めて、止まない。

あたるのカラダからほとばしる、青い…稲妻。

稲妻にはいくつもの呼び名がある。稲光、稲魂(いなたま)…稲交接(いなこうせつ)。
空から稲妻が落ちる事で、稲の穂が結実するのだと言う。
空と大地が…交接…つまり、男と女が交合して、何かが、結実する。
それは、太古の昔からの、不変の法則。

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「ダー…リンッ…あ、あ…くすぐったい…っちゃ…はぁっ…んっ…」

仰向けに横たわるラムの全身を、あたるが放つ青いスパークが、走り抜けていく。細いワームのように…うぞうぞと、ゆっくり、そしてある時は、素早く。

あたるは電気を含んだ光る唾液を、ラムに与える。ラムも感極まって、全身から細長いスパークを飛び散らせている。
90度近くに互いの顔を傾けて、唇を深く組み重ね、交合音にも似た淫靡な水音を立てながら、息が止まりそうになるほどの深いキスを繰り返す。

「…んん…んっ…!」

(ビビビッ…バチッ…)

あたるは自身の放つ電気でラムの唇や舌を痺れさせ、そしてまたラムの放電パルスで口内をくすぐられながら、一旦顔を離した。あまりの激しさと息苦しさのせいで、ラムもあたるも、呼吸が荒い。そして熱い吐息と共に、ラムが言う。

「…何だか、今夜のダーリン、すごいっちゃ…まだ…キスだけ、なのに…」

そうして今度は、ラムがあたるの上になり、彼の唇をねぶりだした。唇を吸いながら、時々わざと、牙の先端を彼の唇に引っかける。そこからも、ピリピリした刺激が伝わってきて、あたるの口内がこそばゆい感覚で満たされていく。

はぁ、はぁ…と熱い息を吐(つ)きながら、一旦キスを解いたラム。下になっているあたるを見ると、彼もまた息を荒げて、ラムを見返した。

「やっぱり…すごいっちゃ…放電する、ダーリンの…キス…いつもより…うんと、すごいっちゃ…」

そして再び、ラムの方から、小ぶりでぷっくりした唇を合わせてくると、あたるは唇の裏の粘膜部分でそれを捉え、先ほど憶えたばかりの微弱なパルスで、彼女の唇に細かな振動を送った。送りつつ、舌を挿入してラムの舌ともつれ合いながら、またしても微弱パルスを送る。

ラムの舌の裏や上あご、頬の内側、歯茎…ありとあらゆる部位を、くすぐり、痺れさせ、細かく振動させてやると、あたるのキスにたまらなくなったラムは、彼の胸にたっぷりした乳房を押し付け、上下左右、また円を描くようにカラダを動かして、自ら乳先を尖らせていった。

あたるの胸の上を転がる、ラムのふたつの乳先。そこからあたるの胸に、ピリピリした刺激が伝わってくる。

まるでじゃれつく子猫のように、ラムはあたるの胸の上で奔放にその身を踊らせ、肌にむしゃぶりつく。そして時々悪戯をするように牙の先端を彼の肌に立てたり、牙が軽く食い込んだ赤い跡をぺろぺろと舐めたり、わざと爪を立てたりした。すると…。

「…ちゃっ!…やんっ、ダーリン…急に、放電…してくるなんて…」

「人に爪や牙を立てたりしちゃ…いかんだろ…ほれ…」

「ちゃっ…ちゃあっ!…ウチの脇腹、電気でくすぐったりしたら…だめぇっ…くすぐったい…っちゃ…やめてぇ…ダーリンッ…」

あまりのくすぐったさに、ラムはあたるの肩を掴んで、くねくねとカラダをよじった。上半身を起こして背を反らしたり、身をかがませたり、あたるの胸にすがり付いたりしながら…眉をしかめた笑みを浮かべて、よがり続けた。
よがるラムの顔や、ゆさゆさと揺れている乳房を見ながら、あたるはラムへの悪戯を続けた。

「あ、あ…あんまり…くすぐらないでぇ…!」

ラムの脇腹にピリピリした刺激を与えながら、自分の胸の上で揺れている彼女の乳房の先を摘み、きゅっ、と軽い捻りを加えるあたる。そして摘んだ指先からも軽く放電すると、ラムのよがり方が先より大きくなった。

「ああんっ…だ、だめぇ…っ!」

小さく叫ぶような悶えの声を発しながら、ラムは布団に両手を着いて、あたるに両の乳房を差し出した。

「悪さをする子猫には…こうじゃ…」

あたるは脇腹をくすぐっていた手をさわさわと滑らせながら、ラムの乳房に移動させた。そしてふたつの乳房の乳輪から乳先にかけてを親指、人差し指、中指の3本で摘んだ。くにゅ…くにぃ…。乳首の根元から先端にかけて、上向きにしごき上げ、また、軽く放電。

(パチッ…パリッ…ピリッ…)

「ひっ…あぁっ!ダァ、リ…ン、の…いっ…いじ、わるっ…は、あ、あ、ぁあぁっ!」

頭を振り上げたり、また振り下ろしたりしながら、よがり続けるラム。その度に豊かな頭髪がふぁさふぁさと揺れて広がったが、ラムの髪質のせいだろうか、一旦広がり乱れても、少しすると自然とそれなりにまとまった。

数本の乱れ毛だけが、ラムの汗ばんだ肌に張り付いている。両側のこめかみ近くから垂れ下がっている房になったラムの髪。それが振り子のように揺れながら、あたるの肌をくすぐり返してくる。

やがて乳先から手を離したあたるは、ラムの腰に手を回して引き寄せた。胸をぴったり合わせ、ラムの背骨に沿って、軽く放電。片手を丸みのある臀部の、尾てい骨の辺りに滑らせていき、そこでもまた、放電。

「ダー、リンッ…の、ビリビリッ…でっ…あ、頭まで…しび、れて…お、お尻の…そこはっ…あっ、あはぁっ!」

あたるはラムの臀部の谷間に手を挿し込んで、アナルをかすめ、指先を会陰部分に触れさせると…そこでもまた、弱めの電気を発した。

「はあぁぁぁっ!」

一声叫ぶと、後は声にならないのか、リズムの早い、歌う時の発声法であるスタッカートのような息を吐(つ)きながら、ラムはあたるの胸の上で身をよじり続けた。ラムの陰部をまさぐるあたるの指先に、彼女の膣口から溢れ出た愛液が、絡み付く。

「…いっ…意地悪っ…そ、そんなに、ウチ、を…いじめない、でっ…!あぁっ…!」

両足を広げてあたるの腹をまたいでいたラムは、あたるの下腹部辺りに恥骨周辺をぐぐっ、と押し当て、擦り付けてきた。布団に両手を着いて、柔らかな全身を上下左右に揺するラム。
カラダを揺すりながら、あたると深い深い、キスをする。全身、そして口内からも放電しながら、ディープで淫靡なキスを続けるラム。それがあたるの口内や、のどの奥までを隈なく痺れさせ、ほんの一瞬だが、彼の意識は白くなりかかった。

もちろん、熱い行為とラムから与えられる五感の快楽で、あたるの血流は普段の何倍、いやそれ以上に熱く、早くなって、既にある一点に集中していた。性欲を高める興奮物質も増加する一方だった。そして自律神経の制御が及ばなくなったカラダの一部である彼の一物は、既に普段のワンサイズ以上、大きくなっていた。

そして先走りの体液で濡れている一物が…青く光るスパークを散らした。飛び散ったそれが、あたるの上に乗っているラムの陰部に向かって、パチパチと音を立てながら、伸びていった。ラムの陰部に後ろ側から潜り込む、あたるの青いスパーク。

「ちゃあぁぁーーっ!!だめぇっ!う…後ろ、からっ…ダーリンのっ…で、電気がっ…いっ…いやぁっ…!」

突如としてラムの陰部に潜り込んだあたるの青いスパーク。ラムは電気の糸と唾液が混ざったものを零しながら、弾かれるようにキスを解き、布団に着いた両手を突っ張らせ、しなやかにカラダを仰け反らせて、叫んだ。同時にたわわな乳房が、上下左右に大きく揺れた。

あたるはカラダを起こしてラムの腰を抱き、彼女のカラダを浮かせてから、既にたっぷり濡れている陰部に屹立の照準を合わせた。
そしてラムは両足を開き、少しだけ浮いた状態であたるの一物をそっと握った。自身のすぼまりに誘導して彼の先端をそこに宛がうと、ぬぐぅ…と押し込むように途中まで挿入し、後はゆっくり腰を落としていった。
そして、ガチガチに硬くなっていたあたるの一物は、ラムの膣内に、いとも簡単に入り込んでいった。

「…いっ、いやぁ…ナカ、で…ダーリンの、が…チクチクする…っちゃ…あ、あ、あ!…あぁっ…!」

そう言いつつも、一度飲み込んだあたるの一物を、自身の前壁に擦り付け、腰を揺するラム。あたるは後ろ手を着いて、一物にぴったりフィットしてくるラムの膣壁にしごかれながら、時々気が遠くなるほどの快感を味わいつつ、ラムのナカの一物から不規則な間隔で、幾度か放電した。

「ダーリンッ!ダーリンッ!ダーリーーンッ!!」

ラムはあたるの名を叫び、上半身を後方に仰け反らせて、あたるが発射する手前でオーガズムに達してしまった。その直後、あたるの一物からも熱い流れが噴き出し、ラムの中心に向かって勢い良く注ぎ込まれた。


そして前半戦終了後、少しのインターバルを置いて、後半戦へ。

あたるは全身から体毛のように短くて細いスパークを放出し、ラムの肌に触れそうで触れない程度の距離から彼女のカラダに青い電気の糸を送り、柔らかな肌に絡み付かせた。
それがラムのスパークともつれ合って、あたるの肌にも絡み付いてくる。あたるの青い放電色のせいか、心なし、ラムの電気の糸が赤っぽく見えている。

「ラムの、放電が…赤く見えるぞ…」

「ダーリンのが…あっ…青い、から…だっちゃ…きっと…あ、あぁ…」

青色や赤色に見える原因など、そんなものはふたりとってどうでもいい事だった。ただ絡み合って、互いに青と赤の放電を続ける。極弱く、少し弱く、時々少しだけ強く。

(パチッ…パリパリッ…バチッ…)

いつもの放電音に混じって、不思議な音がする。

(キュンキュン…キュイーン…チ、チチチッ…キュルキュル…キューン…キュン…)

まるで機械が動作を始めるまでのウォームアップをしているような…もしくはエネルギーをチャージして最中のような…そんな音。

「何か…妙な、音…が、するぞ…?」

「…気にする事…無いっちゃ…。音、なんか…どうでも…いいから…。ダーリン…」

あたるがラムの足を持ち上げ大きく広げる。ラムは何ためらう事も無く、火のように赤い粘膜部分をあたるに開放する。

「ウチの…あそこが…うんと…熱いっちゃ…」

あたるは放電をコントロールして、再び屹立した一物先端から、青いスパークを…ひくついて濡れているラムの赤い粘膜に飛ばした。
それはラムの赤いスリットを下から上に向かって、舐めるように…しかも、ゆっくり走っていった。スパークの先端がラムの陰核に届くと、それを巻き取ってしばしそこに留まった。

「ああーっ!だめっ、だめぇっ!…ひっ…引っ張って…るぅ…う、うあ、あ…ああっ!ダーリーーンッ!」

ラムの下肢が大きく揺れる。揺らしながら腰をひねって、あたるが放つ青いスパークのバイブレーションと陰核への吸引攻めで、引っ切り無しに悶え続けた。
悶える…というよりも、のた打ち回っていた。あたるの欲情が…ラムの嬌態を見たいと思う、彼の暴走した欲情が、ラムの太ももを左右に開いて押さえ込み、彼女に青いスパークを送り続ける。
びくん、びくんっ!と絶え間なく爆(は)ぜ続けるラム。カラダを爆ぜさせながら、うなったり、悲鳴を上げたりして、あたるの少々暴走気味の行為に、ラムは時々意識が飛びそうになった。

ラムの全身を、あたるの青い電気の糸が走り抜けていく。何度も何度も。そしてあたるがラムのカラダを見ると、青い電気の糸に並走するように、赤い電気の糸が走っている。そして互いにもつれ合うようにして、ラムの肌表面で踊っていた。

「ちゃあぁぁーーーっ!ダメッ、ダメェーーーッ!!」

(キュキュキュ…キュイーン、キュイーン、キュイーン…)

パリパリパリ…パチパチッ、パチンッ!という音に混じって、また先のような音がする。

「…あ、あ、あぁっ…ウチの、カラダ…のナカ…ぜ、全部、に…」

「…え?…」

「…何か、が…たまってく…みたい…だっちゃ…は、あ…あ、あぁっ!」

そういえば…と、あたるは我にかえって、ふと思った。こうやってラムとの行為に没頭している間は気付かなかったが…確かに、体内に“何か”が、たまっていくような、そんな感じがする。
だが、(…いつもと違ったセックスだから、そう感じるんだろ…)程度に思い留めると、すぐにそんな事は、頭の中からどこかへ追いやられた。

あたるの屹立は2度目だというのに、1度目の時よりガチガチに膨らんで、勢いが増しているようだった。そして自分の意思でコントロール出来る青い電気をラムのスリットに送り続けた。
あたるの放電攻めに感極まったラムもまた、陰部から放電した。その色までもが、赤いように見える。
あたるの一物の青い放電と、ラムの陰部の赤い放電が、絡み合いもつれ合うと、電気糸の本数が増して、たちまちそれは青と赤の光をより合わせた糸の束になり、太くなった。

電気糸の束によって繋がり合うふたり。まだ直接ラムの陰部に接触も挿入もしていないのに、えもいわれぬ快感があたるを襲った。その感覚で顔を歪め、小さくうめいたあたる、電気糸の束で繋がり合っているだけの一物先端を、ラムの赤い粘膜部分に接触させようと近付けた。

「…ああ…ダーリンのが…入ってきてる…っちゃ…でも…いつもと…違う、みたい…」

え?とあたるは思った。まだ挿入していなかったからだ。という事は…もしかして。

「ちゃっ!…も、もういっこ、入って…きたっちゃ…どうして…?」

先に挿入されたのは電気糸の束だった。あたるの一物が先にその束をラムの膣内に押し込み、その直後に…本物が彼女のナカに入っていったのだ。そしてあたるは放電のイメージを膨らませ、陰茎の根元上部、ちょうど陰毛が生えている辺りから、柔らかなスパークの束を放出し、パリパリと音を立てながら、それを伸ばしていった。

伸ばしたそれをゆっくり広げると…ラムの赤く膨らんだ陰核を包み、陰毛を絡め取って、下腹部、ヘソの上を通過し、乳房周り、鎖骨、首筋まで…舐めるように、走らせていった。
そしてラムのナカに押し込んだ電気糸の束が…彼女の子宮頸部にいとも簡単に届いた。

「はっ…あぁっ!あぁぁっ!いっ…い、いい…っちゃ…ウチ、の…うん、と、奥…にっ…!」

ラムのカラダがガクガクと小刻みに震え、同時に下肢を力ませている。あたるの青い光に全身包まれ、敏感なスポットを刺激されながら、悶え続けるラム。
膝を立ててつま先まで力ませ、いきむと…しなやかでありながら力強い体内の筋肉によって、ラムは自在に膣の収縮、弛緩を繰り返した。それによって彼女のナカを往復するあたるの一物に圧力がかかり、ぴったりフィットしていたものが瞬時に軽く絞られた。そしてまた少し緩んで、フィットする、ラムの温かな膣壁。

「ぜっ、全部っ…痺れて…き、気持ち…いい、っちゃ…はあぁ…ああっ…んんっ…!」

放電の音に紛れて、ぐちゅっ…とした淫音がする。ラムの粘ってぬめる愛液が、あたるの送り込みを容易にし、ラムもまた、たっぷり潤った交合で、痛みの無い快楽を味わっていた。

あたるが腰を引く度に、ラムの内ももが愛液で濡れる。それくらいにたっぷり分泌しているのだ。内ももを濡らし、シーツを濡らす愛液は…あたるのためだけに、ラムのカラダから、とめどなく溢れ続ける。惜しみなく溢れさせて、互いの交合をスムーズにし、快楽を共有する。

「…うんと…全部…あ、熱い…っちゃ…ダーリンッ…好き…大好き…」

ラムの全身から発散される熱が、あたるを熱くする。

「…好き…あ、あ…もっと、ちょうだい…ダーリン、の…熱い、の…」

放電によって空気が爆ぜるような音と、汗だくの肌が擦れ合う音、交合の…粘った淫音、そして互いが発する大小さまざまな声、言葉。
あたるは言葉少なに、汗を飛ばして、ラムに送り込む。先までイメージしていた放電も、いつしか本能のままに乱れて飛び散っていた。それがラムの意外なポイントを刺激して、時々彼女は、びくっ!と仰け反り、あたるにしがみ付いた。

(バチバチッ…バチッ…)
(キュイーン、キュイーン、キュイーン…キュン、キュン、キュン…)

先から聞こえる、不思議な音。空気中に響く放電音とは別に、時々ふたりの耳に入る。そして…。

「あ、あっ、あっ!いっ、い、いっ!…イッ、ちゃうぅぅっ!ダーリンッ!ダーリーーンッ!!」

(パリパリパリパリッ…バチィッ!)

ラムのスポットを絶え間なく刺激していたあたるの送り込みによって、ラムの腰から下がぐぐっ、と力んだ。あたるの背に指先を食い込ませて、あちこちから赤い電気を飛ばし…そして…。

一方のあたるは。精嚢から尿道に精子が送り込まれると、極限まで高まった感覚が自然と尿道を収縮させて括約筋を締めた。そして一物先端の出口からラムのナカに、白濁の体液が勢い良く発射され…。

受胎しやすいのは、ほぼ同時に達するのがいいらしい。だが、まだ受胎するつもりも、父親になるつもりもないふたり。それなのに、ほぼ同時に達する時の方が…多いのだ。
そして今夜は…いつも以上に強烈な快感が、ふたりを襲った。

「ちゃあぁぁあぁぁーーーっ!!ダーリーーーンッ!!」

「ラッ、ラムーーーッ!!」


ドッカーーーーーン……

すっかり夜も更けた時間帯、突然の大音響と共に家が地震のように揺れた。その衝撃で飛び起きたあたるの両親は、何事かと思い、慌てて部屋の窓から外に出た。そして2階を見上げた両親が見たものは。

…青色と赤色が絡み合いもつれ合ってスパイラル状になり、ところどころが赤紫や鮮やかなピンク色になっている、特大の放電…だった。まるで柱のようにまっすぐ空に伸びていき、やがて末端が赤紫色の尾を引いて…夜空の向こう…に、消えていった。

両親は、といえば…ふたりが何をどうしてああいう放電現象が起きたのかは、もう本当にどうでも良かった。
ふたりは破壊された屋根の惨状を見た途端、力が抜けて、地面にぺたりと座り込んでしまった。昔からの事とはいえ…少しの間だけ呆けたようになっていたが、あとはただただ、あきれ返るのみの両親。そして屋根を見上げながら、母親がぼそりと呟いた。

「…しょうがないわね…後は孫にローン払ってもらいましょう、お父さん…」

「…ああ、そうだな…母さん…」

そして大きなため息を吐(つ)くと、ふたりは部屋に戻り、あたるとラムによって妨げられた眠りに再び戻っていった。

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「ダ、ダーリン…今ので、また…」

「ああ…直したばかりの屋根に、またでっかい穴が…開いてしまったな…」

「だけど今夜の電撃は、ダーリンのも入ってるから、ウチだけのせいにはならないっちゃ」

「うーむ…それにしても…すごかった…」

「何が?」

「いや、色々と…つまり、1週間はずーっと、こんな感じ…か?」

「…だっちゃ…。だけどダーリン、ちょっと悪ノリし過ぎだっちゃ」

「こんなもん着けとって、いつもと違う事が出来れば…色々としたくなるんじゃっ」

「…ん〜〜…ダーリンの悪ノリは、今に始まったワケじゃないから…ウチは別に…いいけど…」

「…しかし、さっきの放電は…すごかったな…2色じゃ、2色。他の色もちっと混ざっておったが。しかも夜店で見かけるようなドギツイ色のねじり飴みたいだったぞ…」

「色はともかく…放電まで、何だか…絡み合ってて…変な感じだったっちゃ…それよりダーリン」

「確かに…何気に、やらしいといえば、そう見えんでもないが…それより?何だ?ラム」

「さっきの変な音の事なんだけど。それにウチの放電が赤かった理由だけど」

「何かわかったのか?」

「ウチと同じに放電出来るダーリンと、エッチしたの、初めてだから…多分、なんだけど…。ふたり分だと放電するエネルギーが強過ぎるから、もしかしたら、体内にチャージしてて…で、最後にあんな風になったのかなぁ…って。それと赤く見えてたのは、やっぱりふたり分でエネルギーが過剰になってたのと、ダーリンの青い色が関係してああ見えたんじゃないかって、ウチは思ったんだけど」

「ふーん…ま、何だかようわからんが…つまりふたり分の電気が集まると、どえらい事になるという事だろ?やっぱオレが言った通りじゃ」

「それより、屋根…また明日お母様に怒られるっちゃね、ダーリン」

「まぁいつもの事だからな…もう、どーでもいいわ。何とか…なるだろ」

「やっぱり孫の代までローン払う事になるのかなぁ…ウチはそれでも全然いいけど♪」

「…いや、それは…誰が払うかは、とりあえず…どっかに置いといてだな…」

「またそんな事言って。イヤなのけ?ダーリンは。だったらどーして、ウチと…エッチばっかりしてるっちゃ。いつパパになったっておかしくないっちゃよ?」

「いや、別に…。それに、イヤとかイイとかの、問題ではなく…先の事など、わからんだろーが…」

「…ホントにダーリンの考えてる事は、よくわからないっちゃ…ウチとずっと一緒にいるつもり、あるのけ?ないのけ?」

「だから…先の事はわからん、と言うたばかりだろーが…」

「ダーリンの言う“先の事はわからん”っていう意味が…ダーリンが何思ってそう言ってるのかが、ウチにはまったくわからないっちゃ」

「んな事、イチイチ説明してられるか…」

「だけどウチがダーリンの事、ずーーっと好きなのだけは…絶対、変わらないっちゃ…あ、もしかして、そういう事け?」

「な、何が?」

「ウチがダーリンを好きな気持ちはずーーっと変わらないけど…自分の気持ち以外の、先の事はわからない、って事け?」

「…だからイチイチ説明してられん、ちゅーんじゃ…勝手に解釈してろ…」

そしてラムはまた、子猫のように軽くあたるの胸板を指先で引っ掻きながら、彼の赤くなった跡をペロリと舐めた。

「悪さをした子猫に…青い放電のお仕置きは?ダーリン♪」

「今のは悪さしたのと、違うだろ?…ほれ…」

「…ふふっ…くすぐったいっちゃ…」

あたるはラムの顎の下や首筋を、極軽い電気を放つ指で軽くくすぐってやった。ラムは眉根を寄せて軽く笑いながら、愛らしい仕草でカラダをよじってみせた。

「雨が降ったら、ちょっと困るけどな…猫は雨が嫌いだろ?電気にも水気は禁物だしな」

「それなら…ウチのUFOに…行けば…あんっ…いいっちゃ…ふふっ♪…んっ、もう…そんなに、くすぐったりしたら…やんっ…」

「今夜は晴れとるから…心配いらん、か…」

「だけど、ダーリンの…青い稲妻…すごかったっちゃ…。きれいな、青い色で…。まるで、宇宙から見た地球や…空や海みたいな色だったっちゃ…また見せてくれるっちゃ?」

「ほれ、どうだ?」

「うん、すごく、きれいだっちゃ…ちゃっ…あ、んっ…また、それで…くすぐったり…しないでぇ…いやぁ…」

「先の事はわからんが…とりあえず、また明日も屋根以外をぶっ壊すかもしれんし…1週間はこんな感じが続くというのだけは…何と無く、わかるけどな…」

「…あんっ、くすぐったいっちゃ…ダーリン…ダーリン……」

…結局3日ほどであたるのツノは過充電のため壊れてしまったが…それでもふたりは、今夜も…。

光の三原色の加色法では…青と赤が重なると、マゼンタになる。マゼンタ、赤紫、唐紅(とうべに)…鮮やかな、色彩。そして、愛を象徴する、色。

そしてマゼンタが意味する言葉は。

大きな愛は、日常の小さな出来事の中に、あまねくいつでも、存在する。

--- E N D ---

あとがき


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