(番外編) Sweet and Hot pepper (memories)


「あの頃思い出すとな…おかしゅうて、おかしゅうて…。ワイ、あんなあたる見たの初めてやったからなぁ」(笑い)

地球人との混血だからなのか、妊娠してから2〜3ヵ月後のラムのつわりは結構ひどかったようだ。その間のあたるは、というと…残業もそこそこにすっ飛んで帰ってくる変わり様だった…と、その当時を振り返り、笑いながらテンが言った。

「あたるのやつ、昼間のラムちゃんが心配やったんか、ワイに様子見てくれ、言うてな。せやけどラムちゃん、ほとんど何も食べられんかったさけ、ワイもどうしてええんかホンマ困ったわけや」

そしてようやくつわりも治まった頃。テンがふたりの家に遊びに行くと、ふたりのある会話が展開されていた。どうやらあたるは“タバスコ禁止令”を出して、ラムに薄味の食事ばかり勧めていたらしい。味のしない料理を口にしながら…ラムはあたるに愚痴っていた。


「やっぱり味がしないっちゃ。タバスコ駄目なら、唐辛子でも、わさびでも、カレー粉でもいいのに」

「とにかく刺激のあるものは一切禁止っ!禁止じゃっ!」

「だってせっかく普通に食べられるようになったんだから、食事くらい美味しいもの、食べたいっちゃ。タバスコも駄目、消化が悪いからってスルメも駄目だなんて、あんまりだっちゃ」

「当たり前じゃっ!お前が良くても、地球人は“タバスコストレート一気飲み”なんぞせんわっ!」

「だってタバスコはストレートに限るっちゃよ?」

「あのな…今更だが…地球人との混血なんだぞ?わかってんのか?」

「むぅっ…もう体の方も落ち着いたんだし、ウチの血も引いてるんだから大丈夫だっちゃよ。とにかくウチは、ムショーにタバスコが飲みたいっちゃ!」

「…酸っぱいもんが欲しい、っちゅーのはよく聞くが…とにかく駄目なもんは駄目じゃっ!」

「んもーーーっ!ダーリンの頑固者ーーーっ!ウチはタバスコが飲みたいっちゃーーーっ!」

テンとあたるが見ていると…ラムが全身からパリパリと軽い音を立てて、放電現象を起こしかけていた。

「…はっ、もしかしてっ!?ちょっ、待てっ!ラムッ!!」

「タバスコ飲めなくてイライラしてるっちゃーっ!好きなもの食べたいっちゃーっ!」

「わーーーっ!やめっ!頼むからっ!電撃だけはっ!わかったっ!」

「わかってくれたのけ?で、タバスコストレート一気飲みしてもいいのけ?」

「…電撃出されるくらいなら…わかった!だが今日だけだぞ?」

「ふふ〜ん…ダーリン、ウチの電撃にもずいぶんピリピリしてるっちゃね〜」

「…当たり前じゃ…」

「だったら当分、浮気は出来ないっちゃね〜♪」

「うっ…」

「何だっちゃ、その“うっ”って言うのはっ!?前にウチがつわりで苦しんでた時は随分優しかったのに、最近また帰りが遅いっちゃ!どこで何してるのけ!?」

「…残業に決まっとろーが…」

「うそばっかり!テンちゃんから聞いたっちゃよ?この間、近所で知らない女に声かけてたらしいっちゃね〜!?」

「いやっ、誤解じゃっ!道を聞かれたので教えとっただけじゃっ!」

「せっかく浮気が治ったと思ってたのにっ!ウチが電撃出すのと浮気我慢するのと、どっちがいいのけっ!?」

「だから誤解だと言っとろーがっ!(いや、しかしっ…こっ、これは…究極の、選択…か?)」

「ここ最近してないからって…浮気なんかしたら〜〜!超ド級の電撃だっちゃ!!」

「アホッ!テンがいる前で何言っとるんじゃっ!」

「テンちゃんだってもう大きいんだから…そのくらい言ったって平気だっちゃよ。ね?テンちゃん」

(…テンがいる手前、これ以上ケンカがひどくなったら、ラムのやつ何を言い出すか…。これこそホントの、蛇の生殺し状態じゃ…)

「難しそうな顔して悩んでるフリしたって、ウチが簡単に許すとでも思ってるのけ!?」

「…テン、ちょっとこっち来い…」

そしてあたるは、テンに何やら耳打ちした。それから間も無くして、テンはあたるの実家に帰っていった。

「…あー、疲れた…。とにかくテンがいる前で…妙な事言うな、っちゅーんじゃ…」

「浮気はするし、タバスコも駄目っ!もーーーっ!ウチいい加減、限界だっちゃーっ!!ストレス溜まるような事ばっかりしてーっ!今のウチにストレスが厳禁だって事、わかってるのけっ!?」

「…わかったから、それ以上イライラせんと…ちっとは落ち着かんかっ…。とにかく、タバスコが飲みたいんだな?…コンビニにあったか?タバスコ」

「急に素直になって、どーしたっちゃ。近くのコンビニだったら置いてあるっちゃよ」

「置いてあるのがわかってて、よく買わなかったな?」

「だってぇ〜…ダーリンとの赤ちゃんがいるんだもん…ちょっとくらいは、ウチだって…ダーリンの言う事聞いて、頑張って我慢くらいするっちゃよ。ホントは飲みたくて仕方無かったけど…」

「…そ、そうか…うん…」

「でも、タバスコ飲む前に〜…んふっ♪ダーリン♪」

「な、何じゃ…」

「…赤ちゃん出来てから、あんまりその気になれなかったけど…でもホントは、たま〜にエッチな事したいな〜なんて…。ウチ、我慢してたけど…ちょっとだけ、キス…したいっちゃ…ダーリン…」

「実はオレも…ずーーーっと!我慢しとったんじゃっ!…いや、しかし…それしたら…オレが、だな…そこ止まりで済むワケが…」

「そしたら、ウチが…責任持って、きちんと…してあげるっちゃ…。先にキスして、それから…ウチの、お口で…ね?」

「そ、そーか…それならば…」

(ぶちゅう〜〜……)

「…うっ…も、もう…こっちの方が…辛抱たまらんよーに…なって…」

「…ダーリンの、せっかち…それじゃあ…」

(ちゅっ…ちゅっ、ちゅっ…ぬぷっ…ちゅぷっ、ちゅぷっ…ぬっちゅ、ぬっちゅ、ぬっちゅ…)

「…あ…う…ラ…ラムぅ…」

「…んっ、んっ…んふっ、んふぅ…」

(ぬっちゅ、ぬっちゅ…ずちゅうぅぅ…じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ…)

「…ラ、ム…うっ…」

「…んっ、んっ…んぐっ…!…んん、ん、んっ!…」

(…ちゅぽんっ…ごくり…)

「…ダーリンたら…いっぱい出して…すごいっちゃ……やっぱり、ウチじゃないと…ダメでしょ?」

「…そ、それじゃあ…タバスコをば…買いに……お、おい…ラム…」

「タバスコは…今度で、いいっちゃ…。ダーリンの…いっぱい溢れてくる、これだけで…ウチ、十分だっちゃ…でもぉ…」

「な、何じゃ…」

「ダーリンばっかり、気持ちいい思いして…ズルいっちゃ…」

「…そう思って、だな…」

「…な〜に?ダーリン」

「妊娠中の、アレのハウツーを…しっかり調べておいたんじゃ」

「そういうところは、相変わらずマメだっちゃねぇ、ダーリンたら…。でも、ウチ、嬉しいっちゃ♪…それじゃあ、ダーリン…」

「ん、それじゃあ、久々に…。ちょっとコツがいるけどな…。なぁラム、タバスコと、こっちと…どっちがいい?」

「…そんな事、聞かなくたってぇ…ダーリンの、バカ…。でも、今度ホントに、タバスコ飲んでもいいけ?」

「1回きりだぞ?もし赤ん坊に飲ませるおっぱいが辛かったら、どーするんじゃ」

「…その前に、ダーリンが味見してみるけ?…」

「いや、オレは…いい」

「冗談だっちゃよ。それじゃあ明日、帰りに必ず、買ってきてね♪ダーリン♪」

「だが、タバスコ飲むのは…終わった後だぞ?大分前に、ラムがタバスコ飲んだ後やったら…お前、うがいと歯磨きしっかりした後だったが、微かに辛かったからな…味とか匂いが」

「そうだったのけ?」

「そうだったんじゃ」

「今夜は辛くないから…大丈夫だっちゃ…」

「そういう事じゃな…」

「それじゃあダーリン…お風呂でうーんと、きれいにしておいてね…ウチもそうするから…」

「…あ、そうじゃ…」

「どうしたのけ?」

「…ほとんど使った事なんぞ無かったから…アレが、無いんじゃ…」

「アレって?」

「“明るい家族計画”の…アレじゃ、コンドーさんじゃ」

「この近所に自販機無かったから…コンビニにならあるっちゃよ?あ、それじゃあついでに、タバスコ買ってきて欲しいっちゃ♪」

「…何か妙〜な取り合わせだな…」

「せっかくだから、ウチも一緒に行くっちゃ♪」

「何で?」

「だって何と無く…気分、盛り上がりそうだっちゃ♪」

「いや、あまり盛り上がっては…マズイらしいぞ?」

「そんな事くらい、ウチだってわかってるっちゃ…」

「しかもふたりして行ったら…いかにも、という感じがするではないか…」

「今更、何恥ずかしがってるっちゃ…」

それから数時間後…。

「うーんと、優しくしてね…ダーリン♪」

「前のようにはいかんが…この時をどれだけ待った事か…ほんじゃ、ま…」

「…おっぱいは、張ってるから…ちょっと、痛いっちゃ…」

「…そ、そうか…」

「…こうやって、ダーリンに抱っこされてるだけでも…気持ちいいっちゃ…」

「…要は、軽〜いスキンシップ程度…が、いいっちゅーわけだな…」

「…でも、ちょっとだけなら…いいっちゃよ…」

「…腹を圧迫せんように…ゆっくり…浅く…じゃな…」

(ぬぷっ…)

「…んっ…これだけでも…十分…気持ちいいっちゃ…」

「…あ、案外…締まって…いい、かも、しれん…」

「…ダーリンの、全部…あったかい…っちゃ…」

「…あ…」

「…もしかして、もう…?」

「…ん、まぁ…何しろ、久々だったし…」

「…ダーリンの…いっぱいだっちゃ…」

「…しかしラムがその気にならんと…というのと…これを着けるというのが…」

「嫌なのけ?だってぇ…しょうがないっちゃよ。それよりダーリン…もっと、抱っこして…」

「…だが、ある意味、10日間走るより…忍耐がいると思うぞ…これは…」

…という次第で、ラムの臨月少し前まで、ふたりは時々…なので、あった。

そしてラムは定期的に検診のため鬼星に帰り、あの女医に診てもらっていた。

「えらい順調ですな。母子共に健康そのものですわ。せやけど…そろそろ臨月やさかい、もうやめとった方が…ええですよ。早産する恐れもありますからな。で、どこぞに不調はあらしまへんか?自覚症状とか?」

「全然っ、大丈夫だっちゃ」

「そうでっか。さすがはラム様…と、婿殿ですな…。メンタル面も安定しとりますし、体重も基準内ですわ。後はまぁ、胎教にええ事しとったら十分…。いや、婿殿とのアレだけは、産まれてからいう事にしといてもらわんと」

少々苦笑いしながら、女医はそう言った。

(しかしまぁ…私も何や、楽しみやな…どんなお子が産まれるかは、もうわかっとるけどな…。いやもう、思い出しただけで…笑いが出てまいそうや…くっ…くくくくっ…)


そしてテンの回想に戻る。

「せやけどラムちゃんも…純心な子供の前で、えらい大胆な事、言うてたなぁ…。ワイには何が何だか…いや、ホンマやでっ、ホンマにっ!ワイ、幼い頃からええ子やったろ?そやからラムちゃんとあたるがな…何言うてるか、なんて事はな…これっぽっちも…」

「ジャリテン、ひとりで何ぶつぶつ言っとるんじゃ?」

「おい、あたる…ワイももう人並みに知識はあるけどな…」

「そりゃお前は昔っからマセガキだったからなぁ」

「せやけど…ラムちゃんとお前のお陰でなぁ…いらん事まで、はようから知るハメになったんやないかっ!」

「とか何とか言って、ジャリテン、お前もそろそろ親父になるんだろーが」

「誰のお陰で、こないな年で、そうなったと思ってるんやっ!」

「お前ちゃーんと、スキンシップしとるのか?…ま、色々大変だとは思うけどな…何しろ、相手が、あの…」

「わーーーっ!それ以上余計な事言うなっ!ワイかてそうなるとは…これっぽっちも…思っとらんかったわいっ!」

「ま、せいぜい嫁さん大事にしてやれや。…しかし、相手が、あの…ではなぁ…。ところで」

「まだ何ぞあるんかいっ!?」

「あの美人の義理の母親は…今も美人かっ!?」

「結局それが聞きたかったんかっ!?」

「当たり前じゃっ。それ以外に何があると言うんじゃっ」

「あたる、お前なぁ…きっとそのうち、ラムちゃんに殺されるで…」


ラムは比較的安産だったそうだ。しかしそれからがまた大変だったらしいが…。
ラムもあたるも試行錯誤、四苦八苦しながら、日々変化していく我が子の育児に明け暮れていたという。

「そうやったんや…ワイかて当時はもっと遊びたい年頃、普通に恋かてしたかったんや…。サクラねーちゃんはとっくに結婚しとったし、もっとこう…グレードの高い、年上のねーちゃんたちと、な…。あばんちゅーる…言うんかなぁ…。それが何かというと、ラムちゃんの買い物に付き合わされたり、子守手伝わされたりしてな…。ラムちゃんには悪いけど…あたるのアホにそっくりやったからなぁ…」

とか何とかぶつぶつ言いながら、テンは大きな溜息をついた。

「…おおきゅうなると、ますます…あたるのアホそっくりになってってなぁ…。それもやけど、結局遊ぶヒマ無かったせいで…情にほだされた、っちゅーか、ついうっかり、っちゅーか……はぁ〜〜……何て不幸な青春やったんや…あのオママゴトが、ホンマになるなんてなぁ…」

あたるの両親は、自分の息子の小さい頃にそっくりな孫を預かるたびに、気が気ではなかったようだ。なぜならば。

「また今週も…ラムちゃんのご両親が揃って遊びにくるそうよ…」

「まぁ、それはそれで…助かっていいじゃないか。あたるの小さい頃を知らない人たちなんだから、かえって都合がいいだろう?母さん」

「ここ最近、またエンゲル係数が上がってきてるのよっ!?ラムちゃんのご両親にもそれなりの事しなくちゃならないし、あなたは調子に乗って晩酌の量が増えるしでっ!」

その当時のあたるの実家の内部事情も…なかなかにシビアだったようだ。


「ハイハイするようになったら、もう、大変やったな。ちょっとも目ぇ離せんかったからなぁ…。しかもあたるのやつ、しょっちゅう預けに来るんや。そのくせ、子供にちょっとでも何かあるとな…いっつもワイに八つ当たりや。こっちはホンマ、かなわんかったで…」

あたるが預けに来る理由なんぞ、テンには容易に想像がついた。想像はついてしまうが、彼も当時は思春期真っ只中だったので、敢えてそれ以上の事は考えないようにしていた、という。

そしてあたるがいつもの能天気そうな笑いを浮かべて母親に子供を預け、玄関先にどかどかと使い捨ておしめだの何だのを置いていくのを見て、テンは(ああ、またかいな…ラムちゃんとこの両親に加えて…たま〜に、ワイのお母はんまで来るからなぁ…ちょっとも気が休まらんわいっ…)などと思っていたそうだ。

そして一方のあたるとラムは…というと。

「今夜も…お母様に預かってもらってるけど…こうしょっちゅうだと…何だか悪いっちゃ…」

「子供も大事だが…夜のスキンシップも重要じゃ。しかも産んだ後だと言うに、ラムのカラダはちっとも変わっとらんな…」

「ダーリンのために、ちゃーんと…ケアしてるんだもん…ほら、ここだって…前と少しも、変わって無いでしょ…?」

「変わったと言えば…ミルクの匂いがするようになった…くらいか?」

「…あの子、おっぱい飲みたくて、泣いてるんじゃ…。心配になって…きたっちゃ…」

「…子供の心配ばっかりか?…オレの心配は?」

「心配って…何か…あるのけ?」

「夜になると堪らんようになる、オレの、こっちの心配じゃっ…」

「…ウチが出来たのがわかってからしばらくは…何も無かったけど…その間どーしてたのけ?…まさか…浮気してたり…とか」

ラムの放電が一瞬だけ強くなった。

「ちゃーんと…白状するっちゃ…そうじゃないと…ここから先は、お預け…だっちゃよ?」

「…う…お前なぁ、何かというと“お預けだっちゃ”とか言いおって…ホントは…辛抱たまらんくせに…だろ?」

「…そんな事いいから、ちゃーんと…白状するっちゃ」

「そんなら言うけどなぁ…ガールハントは通常の3倍量じゃっ!後は…電気マッサージを受けに行ったり、とか…」

「電気マッサージ?肩こりでもしてたのけ?」

「あのマッサージ用のイスにだな…ラムを思い出しながら、座っておると…それがまた、いいわけじゃ…」

「その割には、洗濯物…汚れたりしてなかったっちゃよ?どーゆー事け?」

「…そーゆー時の、コンドーさんではないかっ」

「…変な使い方してたんだっちゃねぇ〜。でも、周りが変に思ってたんじゃないのけ?…それ考えたら、ウチ、急に…恥ずかしくなってきたっちゃ…」

「どーせ周りはほとんど寝とったんじゃ。マッサージで陶酔しとったのもおったしな…オレの事なんぞ気にならんかったろ、きっと」

「で、それだけなのけ?…あ、ダーリンのそれは、色が変わってないから…どこかで女と…なんて事は無いと思うけど〜…ウチ以外の女の体液が触れると変色するから、もちろん口で…されても、わかるけど…。でもガールハントと電気マッサージだけで…よく我慢出来たっちゃね?」

「…後は…寝ているラムを、ちびっと…触ったりなんかしてたくらい…じゃ」

「…どーりで、ダーリンとエッチしてる夢…たまに見たわけだっちゃ…ホントにスケベなんだから。ウチが寝てる間に…なんてっ」

「…隣で寝ておって、どーやって我慢せい、言うんじゃっ!」

「でももう、我慢する必要無いから…いっぱい、触っても…いいっちゃよ…」

「お前のお陰で話が長くなったではないか…その分、たっぷり…悪さしちゃるから、覚悟せいっ」

「ウチも、電気マッサージより、うーーーんと気持ちいい事…してあげるっちゃ…」

・・・・・それからしばらく後・・・・・

「…ああっ!ダーリンッ!!」

「…はぁ、はぁ…はぁ…ラ、ムぅ…」

「はぁ、はぁ…今夜のは…どうだった…け?ダーリン…」

「…いや、もう…す、すごかった…」

「…ね、ダーリン…もうちょっとして、落ち着いてきたら…もうひとりくらい…どうけ?」

「ん…まぁ、もうちっと落ち着いたら…で、いいんじゃないか?」

「それじゃあ、あの子がもうちょっと大きくなったら…今度は、ダーリンの期待通りに…」

「…お前、わかってただろ?男の子だって」

「だから今度は、女の子にしようかな〜…って、思ってるっちゃ」

「まさか、オレにそっくり…っちゅー事は…無いよな?」

「またそんな事言って…心配性だっちゃねぇ、ダーリンは」

「オレの顔と性格にそっくりな女の子…っちゅーのは、ちょっと…」

「ダーリンがクラマの性転換銃で女になった時みたいな?」

「あの時は…何も考えとらんかったが…このオレの容姿で女だぞっ!?」

「心配しなくても大丈夫だっちゃよ。ウチだって母ちゃんに似たんだから」

「それなら…いいが…。いや、まぁ…オレとラムの子なら、どっちでも…いいけどな」

「あの子だってダーリンにそっくりなのに…ウチ、意外だったっちゃ。昔はテンちゃんとケンカばっかりしてたのに」

「きっとでかくなったら、美人の嫁さんもらうはずじゃ。何しろこのオレにそっくりだからな」

「…でもガールハントする性格までそっくりだったら…ちょっと先が思いやられるっちゃよ…」

「…ま、なるようにしかならんさ…」


そしてそれから数年後の、とある路上にて。

「何でワイまで…幼稚園の迎えに付き合わされな、アカンねん」

「文句言うな、っちゅーんじゃ。お前も実は楽しみなんだろーが」

「…そら、美人の保母さんに会える…おいっ、あたるっ!そないな事あいつに言うたら…久々に黒コゲにしたるどっ!」

「そんなにあの嫁さんが怖いのか?…確かに、美人の保母さんが目当てだなんて事が知れたら…殺されかねんからなぁ…」

「お前が勝手にそそのかしただけやないかっ!“もうひとりいるから、迎えに行くの手伝ってくれ”なんて、都合のいい事言いくさりよって。…そういや、あたる、お前最近ずっと家におるみたいやな?会社クビになったんか?」

「滅相も無い事言うなっ!育児休暇じゃ、育児休暇。…面堂になんぞ借り作りたくなかったけどな、あいつが勝手にオレの会社に話つけやがって…。急に部長がニコニコしながら“諸星君、明日からしばらく育児休暇出しとくから、しっかり奥さん手伝ってきなさいよ”だと…」

「そないな事言うて、ホンマは嬉しいんやろ?」

「ぱーぱ、ぱーぱ、きゃっ、きゃっ♪」

「…何や、その締まりの無い顔は…。しかしホンマに、ラムちゃんの小さい頃に、そっくりやなぁ。ワイにもちょっと抱っこさせてぇな」

「ダメじゃっ!絶対ダメッ!お前の性格が移ったらどーするんじゃっ!」

「…ワイは病原菌かいな…しかも思いっ切り…親バカ丸出しやな…」

「何か言ったかっ!?」

「…いや、なーんも。お、あたる、バス来たで」

「パパー、抱っこ〜」

「いや〜先生、今日もありがとうございました〜。いつも愚息がお世話んなってるお礼、と言ってはナンですが。今度一緒にお茶しません?」

「諸星クンたら今日も元気一杯…一杯過ぎて…おほほほほっ!ホーント、パパにそっくり…いえ、お顔が…おほほほっ!」

「センセ〜、また明日も遊ぼ〜ね〜、バイバ〜イ!」

「はいはい、明日はお休みだから、また来週ね〜。あら、今日は女の子さん連れてらっしゃるんですね。娘さんですか?可愛い〜♪」

「だーっ!」(バチッ!)

「きゃっ!…今ビリッときたけど…何だったのかしら…。それじゃあ皆、また来週遊びましょうね〜、さようなら〜」

「はーい、センセ〜、さよ〜なら〜!」

「美人がお前に近付いただけで電撃出すとは…さすがラムちゃんの遺伝やな、わははっ」

「それだけパパが好き、っちゅー事だよな?な〜?」

「きゃっ、きゃっ♪」

「…あーもー…まったく見てられんわ…。高校ん時のクラスメートが今のこの姿を見たら、どう思うんやろな…。これでもし、保母さん口説かんかったら、全くの別人や…」

「パパ〜、ボクも抱っこ〜」

「ほれっ。今日はおもらしせんかったか?ママの弁当は残さず食ったか?」

「見てるこっちが恥ずかしゅうなるわ…あー恥ずかし…。ホンマ人間って不思議な生きモンや…。特に、このあたるのアホに関してだけは…謎だらけやで、ホンマに…」


光陰矢の如し、光陰人を待たず…という事で、更に時は経ち。

「つまりジャリテンは、オレをそーゆー風に見ておったというわけか…」

「わっ!ビックリさすなっ!!急に湧いて出てきよってからに…。ワイかてなぁ…しんみり、思い出に浸りたい時もあるんや…。頼むからワイの事は…ほっといてんかっ!!」

「よっぽど家で苦労してるらしいな…。あのなぁ、ジャリテン」

「まだ何やあるんかいっ!?」

「そりゃオレだって、浮気だの何だのでラムの電撃浴びとったが…」

「何や、その遠くを見るような目は…」

「いや…オレも郷愁に浸りたいなぁ…なんて事をな、思っとったわけじゃ。で、ラムとはケンカばかりだったが…」

「…妙〜に意味有りげな言い方するなぁ…ラムちゃんに何ぞ、あったんか?」

「どっちが先に惚れた腫れたと、ぬかしとっても…要はスキンシップじゃ、スキンシップ」

「だからスキンシップとラムちゃんのケンカと…どう関係ある言うんや?」

「お前にも無関係じゃなかろーが。要は…どんなにケンカして尻に敷かれようがっ!男はここがモノを言うんじゃーっ!!」

「せやから、ラムちゃんと何があったか聞いとるんや、ワイは」

「こけるも嫁さんもらったしな…あの可愛い娘も、もうすぐ…嫁いでしまうんじゃ…。オレはなっ!徹底して断固反対したんじゃっ!!しかも相手は〜〜っ!!」

「知っとるで、面堂んとこの息子やろ?玉の輿でええやないか。金持ちの親戚出来たしな」

「人事だと思いやがって〜〜っ!しらっとした顔して言うな、っちゅーんじゃっ!!あの可愛い娘がぁ…まるでカゴの鳥じゃ〜〜…きっと舅と姑揃って、いびり倒すつもりじゃ〜〜…オレのこの気持ちが、わからんかっ!?夜も眠れないほどに苦しいこの胸の内が〜〜…」

「さっきから話の芯が、よう見えてこんなぁ。で、一体何が言いたいねん?」

「眠れんだろ?娘が嫁行くから悲しいだろ?しかしラムとのスキンシップは相変わらずじゃ。とゆー事で、かなりの高齢出産だが、また出来た、っちゅーわけじゃ」

「…未来に、ラムちゃんに似た子孫が残るんやったら問題無いけどな…」

「無いけど、何じゃ?」

「…アホの遺伝子がぎょーさん引き継がれていきよったら…人類の存亡に、関わるで…。いや、案外…」

「案外?何じゃ」

「お前、ゴキブリ並みの生命力と復活力やからな。少なくとも鬼星と地球出身のラムちゃんとお前の子孫だけは…宇宙が爆発しても、生き残るかもしらんなぁ」

「…ジャリテン、お前っていくつになっても…辛口だな」

「そういうあたるこそ…一体いつまで、ラムちゃんとイチャイチャしとるつもりや…。ワイの星なら人工子宮もあるんやで?孫みたいな子が出来たら、どーするつもりや?……おい、どーしたんや、急に泣き出して」

「どんなに豪勢な結婚式だろーが、娘と腕組んでバージンロードを歩くのだけは…嫌じゃーーーっ!!」

「…アカン、こいつすっかり親バカ通り越しとるわ…しゃーないなぁ…」

その後、娘の結婚式がつつがなく執り行われたかどうかは…定かでは無い。

--- E N D ---

あとがき


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