秘密


今夜もふたりは“しっぽり、ねっとり”と…。

「はあぁ、はあぁ、はあぁっ!ダーリーーーンッ!!」

あたるのクンニリングスで、ラムは軽く達した。すると彼女のラヴ・オイルの量が増え、酸味のある匂いがあたるの嗅覚を刺激した。

ふたりきりの時間になると、皆の前では決して見せない、互いを慈しむ甘い営みを続けているあたるとラム。その事はふたりだけの秘密だ。

「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ…」

あたるの聴覚を刺激する、ラムの声。

“ぐちゅぐちゅ…にちゅ、ぐちゅ…くちゅ、くちゅ…”

今度はあたる、ラムを腹這いにさせると、後方からクンニリングスを始めた。別の生き物のようにねろねろと踊る舌で、ラムの“女の部分”を執拗に愛撫する。

“ぺちょ、くちゅ…ぺちょぺちょ…”

(そろそろ…いいな…)

「あふんっ!うっ…んっ…はぁ、あ、あ、あ…ぁ…」

ラムはあたるの挿入によるカラダの内部からの快感で、彼に全てを委ねたような気になった。ラムのナカのスポットから全身を駆け巡る官能。あたるになら何をどうされてもいい…とさえ、彼女はいつも思うのだ。

「あっ…頭…がっ…カラダ、がっ…」

「んっ、んっ、んっ、んっ、んっ…」

尻を突き上げて腹這いになっているラム。あたるは斜め上方から彼女を強く突いていた。

「だ…めぇ…上、からじゃ…お、奥までっ…届いてっ…あ、う、う、ぅ…」

まだ成熟する前の若いカラダのふたりだが、その営みは大人のそれ顔負けだ。元々体力には自信のあるあたるの肉体は、筋骨隆々とまではいかないが、ラムを満足させるには十分過ぎるほどのパワーを秘めていた。
ラムもまた、大人の女にはなりきっていないものの、あたるを満足させるだけの名器の持ち主だ。
こうしてふたりは今夜も…本能の赴くままに、激しい営みを続けた。時にはそれが数時間に及ぶ事すらあった。

「あぁあぁんっ!だめぇーっ!イッちゃうぅぅーーーっ!!」

後背位でアクメに達したラムのカラダは、あたるのためにあった。

“ウチのカラダはダーリンのものだっちゃ”

というセリフそのままに、ラムのカラダはあたるを存分に悦ばせた。ラムもまた、あたるの卓越した愛撫や交合でないと、カラダのナカから悦びが湧いてこない。

愛しているから抱き合うのか、抱き合うから愛が芽生え、その感情が強くなっていったのか…。それはふたりにも、はっきりとは、わからない。

ふたりは胸を合わせて抱き合いながら、今度は座位で繋がった。ラムが堪らずに、あたるの首に齧(かじ)り付いた。

「…いてっ…」

「んっ、んっ…ダーリンに、ウチの…印、付けたっちゃ…んふっ、んふっ…んふぅっ…」

ラムが顔を離すと、あたるの首筋には、彼女の牙の跡が薄っすらと付いていた。ふたつの点が、まるで吸血鬼が齧った跡のようになっている。

「悪さをする口には…こうじゃ…」

「んっ…んんっ…」

座位で互いにカラダを揺すりながらの深いキス。全てを与え、全てを享受するふたり。口内の唾液の一滴すら、あたるとラムにとっては媚薬も同然だった。

「…ウチ…イ…イキそう…だっちゃ…」

ラムがフィニッシュをかける。無我夢中であたるにしがみ付き、腰から下を力ませて、アクメの痺れと眩暈(めまい)が全身を駆け巡る瞬間を…懸命に引き出そうとしていた。ラムが達するその瞬間は、あたるの逸物が絞られて、ふたりほぼ同時に達する事も多かった。

ふたりには「秘密」がある。

しかしそれが「秘密」だと思っているのは…実はこのふたりだけなのかも、しれない…。


昨晩の営みで、あたるの首筋には赤いふたつの点が残ってしまった。

「…ラムのやつ、こんなに目立つ跡付けおってからに…どうするんじゃ」

「ダーリン、どうしたのけ?」

「これだよ、これっ!」

「あ、それ…ウチの噛んだ跡だっちゃ」

「何ケロッとして他人事のように言うとるんじゃっ!これではしばらく首が出せんだろーがっ!」

「タートルネックとか包帯とかで隠せば問題無いっちゃよ」

「そういう問題かっ!?」

「それじゃあダーリン、どうしたらいいのけ?」

「…ふんっ…んな事知るかっ。…とりあえずタートルネックのセーターと、包帯でも簡単に巻いて隠しとくわ…」

「あ、でもそういえば〜」

「まだ何かあるのかっ!?」

「今日、身体検査の日じゃなかったけ?」

「…うっ…そ、そうだった…。おいラムッ!周りに変な目で見られたらどーするんじゃっ!」

「そんなに怒る事無いのに。気にし過ぎだっちゃ」

「気にするわっ!ただでさえあっちこっちでオレは目立つ、っちゅーのに」

「ダーリンがアホな事ばっかりしてるから、学校でも街でも目立つんだっちゃ」

そう、“また諸星さんとこの息子さんが原因らしいわよ”と、以前は何か事件がある度に、近所の主婦のいい噂話の元になっていたし、宇宙人でグラマーで可愛いラムがいつも傍にいる事、ガールハント三昧で近くの女子学生たちから警戒されている事など、彼を目立たせている理由は…本人プラス、ラムが原因だった。

ラムはというと、気楽なもので、ケロッとしてあたると一緒に毎日を過ごしている。そして夜になれば…人知れず…のつもりであたるとカラダを合わせている。

「でもぉ…ダーリンだって悪いっちゃ。…だってウチ…」

「な、何じゃ…」

ラムが制服のスカーフをいじりながら、頬を赤くし、もじもじして、言った。

「あの時…おっきな声…出そうだったんだもん…気持ち…良くって…ちゃっ♪」

あたるはラムから顔を逸らした。そして彼も赤くなりながら、こう言った。

「いや、だから…それはそれとして…だなぁ…か、齧る事は…ないだろ…なぁ?」

あたるは夕べの事を思い出して、むらむらしてきてしまった。ラムをちらりと見やると目が合い、ふたり揃って赤くなって固まってしまった。

(い、いかんっ、昨晩の…めくるめくような感覚が…こう、怒涛のように…脳裏に蘇ってきてしまっておるではないかっ…くっ…)

(ダーリン、赤くなって…きっと夕べの事思い出してるんだっちゃ…何だかウチ…ドキドキしてきたっちゃ…)

しかし朝っぱらから…というわけにもいかない。出席日数も適当に稼がないといけない。という事で、ふたりはドキドキ、むらむらしたまんま、学校へと出掛けたのであった。

「あっ、ダーリンッ!どうしたのけっ!?いきなり…走り出して、どーしたっちゃ?」

少しの間並んで歩いていたふたりだったが、あたる、何を思い立ったのか、いきなりダッシュしてあっと言う間にラムの視界から消えてしまった。

あたるがいきなり駆け出したその理由は、というと。

「くっそー、ラムのアホッ!学校まで猛ダッシュせん事にはっ!むっ、むらむらが収まらんっ!!」

…だそうだ。

そしてかなり無茶苦茶なスピードで走ったため、冬だというのに汗を掻いて顔を赤くし、あたるはいつもの教室に入っていった。

「おーっす、あたる」

と、パーマが声を掛けてきた。

「何じゃお前ら、いっつもだが、朝っぱら男4人集まって、また密談か?今度は何やらかすつもりだよ」

するとパーマがホームルーム前の和やかな雰囲気の中で、意味深にニヤつきながら、あたるを手招きした。

「何じゃ?」

「あたる〜〜い〜〜もん、見せてやるからよ、こっちこっち」

あたるがカバンを置いて4人の傍にやってくると…席に着いているメガネの膝上には…。

「…ぶっ…」

「な?な?すげーだろ?むっ、無修正だぜっ、しっ、しかも〜金髪美人がっ、こうっ、どどーーーん、とっ!」

(いっ、いかんっ、せっかく走って落ち着かせたというのに、こいつら何ちゅーもんを見せるんじゃっ!)
「…いや、オレはいい…」

「何だよ、あたるらしくねーな。授業中もこっそりエロ本見てたお前が…。ああっ、そうか、そういう事か…ひっひっひっひっ…」

「なっ、何だよっ!」

「メガネ、俺トイレな、トイレ。あたる、ちっと付き合えよ」

「何だお前ら、男同士で連れションか?…はぁ〜世も末だねぇ、男同士で連れションたぁ…おい、パーマよぉ〜」

「何だよ?メガネ」

「あー何だ、お前があたると仲良く連れ立って厠(かわや)に行くのは一向にかまわん。生理現象にまで口を挟む気は無いからな。だがっ!…パ〜マ〜…お前、あたると良からぬ企てでもやらかそうもんならなぁ…」

「いっ…」

パーマの顔が少しだけ引きつった。

「お前、即刻…」

「ああ、わかってるよ、即刻法廷に引っ張り出す、ってんだろ?そんな物騒な真似しねーよ」

「それなら行ってヨシッ!だ」

そしてパーマとあたるは連れ立って教室を出ていった。

「あーあ、メガネのやつぁ、どーしてああ仕切りたがるのかねぇ。そう思わねぇか?あたる」

「ま、あーゆーのもたまにいないと面白くないからな…」

「お前はまだメガネとつるんでねーから、そう言えるんだよ。何か、っつーとすぐ法廷だの拷問だの独自の調査だの…ま、悪いやつじゃねぇけどな。たま〜〜に、そう思う時もあんだよ」

「パーマ、お前彼女と上手くいってんのか?」

「何だよやぶからぼうに。それはそれ、今はそんな話してんじゃねぇだろ?」

と、パーマは自分の彼女の話を適当に濁した。

「あの“聖なる胃”…“セント・ストマック”の持ち主の彼女とデートじゃなぁ…デート代いくらあっても足りんだろ?」

「だからその話は…やめろ、っつってんだよ」

どうもパーマは“彼女”の話題に触れて欲しくないようだ。そしてふたりは本当に連れションをした。

「…ふーん…お前、そうなってんのかよ」

「ぶっ!なっ、何がじゃっ!勝手に人のを見るな、っちゅーんじゃっ!!」

「いや、何…今日も首に包帯巻いてるしな。それにしても…」

「…えっ(くっそ〜〜そういやこいつは…知ってたんだよな…サクラさんもそうだが…)」

そして手短に用を足すと、ふたりはトイレの出入り口付近で声を潜めて話しだした。

「あたるってよぉ…体の見かけはそうデカくないしな、ラムちゃんと身長差そんなに無いだろ?」

「だから何だよ?」

「ちっと妬けるよなぁ、いや、かなり妬けるよなぁ。ラムちゃんと…だからな」

「だから何が言いたいんじゃっ!」

「メガネがそれ知ったら…即刻法廷に引っ張り出されて…拷問だな、お前。くっくっくっ…」

「おい、オレに言いたい事があんなら、もうちっとわかりやすく手短にまとめて言え、っつーの」

「今日、身体検査だろ?大丈夫かよ?ま、メガネにはその包帯が何なのか、恐らくわかんねーとは思うけどな」

「パーマ、お前の言いたい事がようわからんのだが。心配してんのか?それとも他に言いたい事でもあるのかよ?」

「…いや、やっぱ無修正の雑誌でもなぁ…生身の体験の比にならんよなぁ…。あのよぉ、あたる。やっぱ俺には刺激、あるんだわ。お前のそういうの見たりするとな。…もうちっと控えるかわからないようにしたらどーよ?見ててあんま面白いもんじゃないだろ?」

「…そりゃまぁ…オレだって気にはしてるけどな、一応…」

「気にしててその包帯かよっ!?しかもトイレで見たアレは何だ、っつーんだっ!?到底ドーテー君が持ってるもんじゃないぜ、言い方悪いけどよ。それより大丈夫なのかよ?学生で親父になっちまった、って話はたまに聞くからな。女子たちがカンパして…とかな」

「…んな事は…」

「あたる、お前人に上手く隠してるつもりみたいだけどよ、わかるやつにはしっかりわかっちまうぜ?ま、いっつも一緒にいるわけだから、何も無い方がおかしいといえばおかしいけどな。健全な心身の若者なら、そーゆー欲求から行動起こしちまうのが…自然といえば自然…だけどな…」

「だからお前は…心配してんのか?オレのこれを。それともラムを、か?」

あたるは首の包帯を指差して、パーマにそう言った。

「ま、ちっとは控えるか…気を付けろ、って事だよ。メガネじゃなくとも、お前とラムちゃんの関係わかっちまったら…」

「わかったら?」

「この学校、平和そのものだろ?退屈しねーっていうか。そういう微妙〜〜な平和加減のバランスが…崩れるんじゃないかと思ってよ。メガネ以下、大勢の男どもから殺意の目で見られたくねーだろ?ラムちゃんだって好奇の目で見られるんだぜ?可哀想だろ?」

「…言いたいのはそれだけか?オレもう教室に戻るぞ」

「ま、そういう事。…親衛隊だから、ってわけじゃないけどな、ラムちゃん泣かすような真似だけは…な?浮気なら電撃で済むけどよ、“秘密”がバレちまったら、お前らこの学校にいられなくなるぜ?マジな話」

妙に真剣な口調で話すパーマに対して、あたるは複雑な思いを抱かざるを得なかった。


「諸星、どうしたんだ?その首の包帯は」

「…面堂、うるさいわっ…ネコに噛まれただけじゃ…ネコになっ」

「大方ネコがくわえていたエサを取り合って噛み付かれたのだろう?…ふっ、相変わらず意地汚いというか…」

「ああっ、そうだともさっ!…意地汚くて悪かったなぁ〜…」

「いつも思うが…ラムさんが本当に気の毒に思えてくるぞ。貴様のような“アホ”に…何故ラムさんのような美しい人が…もっと相応しい相手がいるだろうに…例えば諸星、貴様の目の前に」

「(むっか〜〜〜)ああ、そうかいっ!オレの目の前には一匹のハエがぶんぶん飛んどるだけじゃっ!ハエがラムに相応しいとでも言うのかっ!?えっ!?」

一方、女子の身体検査は、というと。パンティー1枚に検査票を持った女子たちが腕で胸元を隠しながら、順番待ちのため並んでいた。

そしてまた男子の身体検査の場面に戻る。

「おいっ、あたる〜」

クラスメートのひとりがあたるに声を掛けてきた。

「何じゃ?」

「女子の身体検査、向こうの校舎だろ?…順番終わったらよ…な?ひひひひひ…」

「うーーむ、花も恥らう乙女たちの…半裸姿を、見たい、というわけだな?」

「そういう事っ。さすがあたるだな〜…んで、もっ、もちろん…お前がいれば…他の女子は警戒するとして…ラ、ラムちゃんをちょーっと呼び出したり…なんかして、だな…」

「…アホかっ。この格好でどうやって呼び出せ、っちゅーんじゃ」

「ほれ、あっちはサクラさんがいるだろ?先生通してサクラさんからラムちゃんを呼び出してもらえば…な?」

「…ラムの裸なんぞに興味は無いっ!」

「いつもビキニだからか?」

「…そういう事じゃっ」

「そ、そんじゃあ…こっから抜け出して制服に着替えて、窓の外からこっそり…ってのは?」

「…ラムのはともかく…他の…女子の、半裸姿を、窓からこっそり…か…」

「な?な?そんくらいだったら簡単なもんだろ?」

「そんじゃま…」

という事で、あたるは話し掛けてきたクラスメートと一緒に、上手くその場を抜け出した。素早く制服に着替え、男子の身体検査をやっている教室から離れている、女子用の教室の外に回り込み、ふたりは窓の下にしゃがんだ。

「みっ、見えるかなぁ…ラムちゃん」

「アホッ、誰がラムを見ていいと言ったっ」

「あれ、何だよ、お前ラムちゃんの裸には興味無いんだろ?」

「オレが興味無いのと他のやつが見るのとはワケが違うんじゃっ!」

ふたりがこそこそとしゃべっていると…背後に何やら冷たい視線と気配が…。

「…諸星ともうひとり…そこで何をやっておる?」

「あ…サ、サクラ…さん…」

「何やら怪しげで邪(よこしま)な気配を感じると思ったら…やはりそうであったか…のぞきとはまた、いい度胸をしておるの〜〜」

「い、いや、これはその〜〜そうっ!諸星にそそのかされたんですよっ!」

「あーーーっ!お前きったねぇなっ!お前から言ってきたんだろーがっ!」

「…とにかくどっちがそそのかしたかは、どうでもよい。のぞきという不埒な行為、この私が黙って見逃すとでも?」

「いやだなぁ〜サクラさんてば〜♪ちょ〜っとラムに用事があったから…」

「で、窓の外から呼び出そうとしたと?」

「そうそう、そういう事です、さっすがサクラさんっ♪」

「たわけがーーーーっ!!どこの世界に身体検査をしとる女子を、こそこそした態度で窓の外から呼び出そうとするバカがおるかーーーっ!!」

「そっ、それじゃあ諸星、俺はこれで戻るわっ」

「あーーーっ!この卑怯モーンッ!…くっそー、よくもこのオレを、たばかりおって…ね?ひどいでしょう?サクラさん♪」

「…そんな事はどーでもよろしい。諸星、ちょっと話があるから、こっちへ来い」

「デートの誘いならそうだって素直に言ってくれればいいのに〜♪サクラさんたら〜」

「誰がデートに誘うと言ったっ!…ラムの事じゃ、わかっておろうな?」

そしてあたるとサクラは、人気の無い場所に移った。

「諸星、その首の包帯は何じゃ?大方…またあの印でも付けてきたか?」

「いやだなぁ、サクラさんまで〜。ネコに噛まれたんですってばぁ♪」

「何を言っておるかっ。私をたばかろうとて、そうはいかんぞ。お主とラムはまだ10代の年齢、身体が成熟しきる前の状態じゃ。先ほどラムを見たら…」

「…えっ…ラムが、どうかしたんですか?」

「いや、特にどうしたというわけではないが…少々疲労が溜まっておるようじゃ」

「だけど…ラム…あいつからもオレを…その…求めてくる、っちゅーか…」

「お主は並みの神経と身体能力の持ち主ではないから、私は心配はしとらん。ラムも侵略者の星の出身だけあって、身体は頑健なようじゃ。地球人と宇宙人との相性がどうかは、私にはわからん。じゃが…私の所見では、ラムは少々疲れておるようじゃ。それにお主らふたりが今の関係を続けていって、身体にどのような影響が現れるかも、わからん。これは私からの忠告じゃ。少しラムを休ませてやれ。ラムを思っておるのならばな」

「ラムのやつ…疲れてる…のか…」

…しかし、その夜も結局…。

「あぁんっ!いいっ、いいっ!いいっちゃーっ!ダーリンッ!ダーリンッ!ダーリンッ!!」

(ラムからだって…求めてきてんだ…。何も心配する事なんて…無い、よなぁ…?)

「こっ、今度はっ…こっちに……ああぁっ!だめぇっ!いいっ…うんとっ、いいっちゃ…あはぁんっ!!」

メリハリがあり滑らかで柔らかなラムのカラダを、あたるは今夜も抱いた。ラムは激しくあたるを求めてくる。

“じゅっぷ、じゅっぷ、じゅっぷ、じゅっぷ…ずずずーーーっ…”

「…うぐっ…」

「…ダーリンのが…いっぱい、出たっちゃ…うふっ…」

ラムのフェラで一旦はくったりしたあたるの逸物。それをラムは再び復活させようと…。

“チロチロ、ペチョペチョ…ちゅばっ、ちゅぱっ、ちゅばっ…”

「…はぁ、はぁ、はぁ…ダーリンのが…また、ちょっとずつ…元気に…」

「お、おい…ラム…お前…」

「…なぁに?ダーリン…」

「あ、あのなぁ…お前、無理してるのと…違うか?」

「何を無理してるって言うっちゃ?」

「だから、オレとの…こういう事で、結構…疲れてんじゃ…ないのか?」

「…ウチ、ダーリンが喜ぶなら…いくらでも…たくさん、たくさん…気持ちいい事…してあげたいっちゃ…」

「…ラムは、どうなんだよ?…オレとやってて…気持ち、いいのか?」

「もちろんだっちゃ……あっ…」

“ずるっ…”

「ちょっ、おいっ、ラムッ!?」

ラムは小さくうめくと、布団の上にゆっくり崩れていった。

「ラム、大丈夫か?ラム?ラムッ!?」

倒れたラムからは、かすかな呼吸音だけが聞こえてくる。そしてラムは目を閉じたまま、翌日になっても眠り続けた。

「だから私が言った通りであったろうがっ。それでラムはどうしたのじゃ?」

「今、星(じっか)に帰って、検査してもらってるって…」

「…しかもお主から聞いた話では…ラムはどうやら諸星に避妊を任せず、自分で何らかの方法をとっていたのであろう。それを聞いた事はあるのか?」

「…えっ、いや…まだ…。そのうち聞いてみようとは…思ってるんだけどさ…」

「もしかしたら…それもラムの身体に負担をかけていたのかもしれん。…ラムらしいというか、健気というか…。諸星、お主はそれに少しも気付いてやらず、ただ…その…アレじゃ、アレ…ごほっ…い、営みをする事だけしか考えて…いなかった。結果、今回のように、ラムに疲労が溜まってしまったわけじゃな」

「まさかああなるとは…思ってなかったから…。ラムはオレより丈夫だと思ってたし…」

「ま、ラムの星からの結果報告と、ラム自身の帰還を待つしかないようじゃな…」

「はぁ…」

あたるは気が抜けたようになって、帰宅した。そしてそれから1週間ほどが経った。

「おい、アホッ、これおじちゃんから預かってきたで」

テンが持ってきたのは、1通の封書だった。が…鬼族の文字で書いてあるので、あたるには読めない。

「…何じゃ、これは…」

「鬼族の文字やないけ。そんなんも読めんのか?やっぱアホはアホやなぁ」

「地球人が鬼族の文字、読めるか、っちゅーんじゃっ!!」

「そうや、ワイには使い方ようわからんけどな、これ翻訳機や。サクラねーちゃんにでも頼んだらどやねん?」

「文字の翻訳機か?ふーーん…」

あたるにも使い方がよくわからなかったので、気は進まなかったが、仕方なくサクラに頼む事にした。どんな結果が書いてあっても、サクラに説教を喰らうだろう事は、目に見えていたからだ。

「ふむふむ…ふむ…ほぉ〜…なるほどのぉ…」

「何書いてあるんですか?サクラさん」

「聞きたいか?」

「…えっ、まさか、あんまりいい結果じゃない、とか…」

「ホンット〜に、聞きたいかっ!?」

「何だよサクラさん…聞かすつもりがあるのか無いのか、それともオレをからかってんのかっ!?」

「くっくっくっ…いや何、お主案外顔に出やすいからのぉ。私がこう言ったらどう反応するか、観察しておったんじゃ」

「ったく…意地が悪いというか…。で、何て書いてあるんです?」

「やはり単なる疲労じゃ。身体に特に異常は無し。しばらく養生しておれば、直こちらに帰ってこられるそうじゃ。それとじゃな…くくくっ…」

「何がそんなに可笑しいんですかっ!?」

「ラムのお父上からの伝言じゃ。“早いとこ孫を見たい”とな…くくくくっ…。ラムの両親には、すっかりわかっておるようじゃな。で、どうする?学生結婚でもするか?私の神社で協力してもよいぞ」

「まだ早過ぎでしょーがっ!…しかし、ただの疲れか…ふぅ…」

「ラムが戻ってきても、当分は…休ませて養生させてやる事じゃな」

「それじゃあその間の欲求不満解消はっ!サクラさんに是非とも協力をーーーっ!!」

「たわけがーーーーーーーっっっ!!!」


結局それから更に1週間ほどして、ラムはあたるの元に戻ってきた。

「ただいまだっちゃ、ダーリンッ♪」

「ん、ああ…もういいのか?身体の方は」

「ウチの事、心配してくれてたのけ?嬉しいっ♪」

そしてラムはあたるに“ガバッ”と抱き着いた。2週間ほど会っていなかった寂しさからだろうか、彼女はしばらく黙ったまま、あたるの身体にしっかとしがみ付いていた。

「…ラム…」

「ウチ…寂しかったっちゃ…ダーリンと2週間会ってないだけで…眠る時にね、ちょっと泣いてたっちゃ。早く会いたいな〜って思って。それに毎晩…ダーリンがウチの夢の中に出てきてくれたっちゃ。こんな感じにウチの事、抱き締めてくれて…“会いたかった”って…言ってくれる夢…。ねぇ、夢の中みたいに言ってくれないのけ?“会いたかった、好きだ”って…」

「…アホ…」

「…何でウチがアホだっちゃ…もう…」

「ラムの、アホ…バカが…」

「もうウチ、すっかり元気になったから…心配しなくても、大丈夫だっちゃよ?ねぇ、ダーリン…いっぱい、いっぱい…キスして…」

「…それは、当分お預けじゃ…」

「どうしてぇ?」

「何で疲れてんなら疲れてる、って…言わんのじゃ…。負担…かけてたんだろ?オレが…」

「そんな事、ちっとも無いっちゃよ?…ダーリンが喜ぶ事なら…ウチ…どんな事だって…」

「だけどな…」

「…うん?」

「身体、大事だろ?」

「うん…」

「で、もしお前が…あのままな…」

そこまで言うと、あたるの声は次第にかすれだしてきた。

「…ダーリン?」

「ラムが…帰ってこんかったら…オレ、な…」

既にあたるは半べそ状態のようだ。鼻をすすりながら、ラムの身体をしっかりと抱き締め続けている。

「ラム〜〜…ずずっ…」

「うふっ…ダーリン、大好き…。もうウチ、どこにも行ったりしないから…ね?いい子、いい子、だっちゃ♪」

「うぅぅ…ラムぅ〜〜〜…ずずずーーーっ」

ラムはあたるの頭を撫でながら、彼の本当の優しさを、心の底から…感じていた。

「大丈夫だから…何があっても…ウチ、ずーーーっと、ダーリンの傍にいて…一生かけて、好き、って言わせてみせるっちゃ。だから…もう、何も心配する事無いっちゃよ?…うん、もうっ…ダーリンたら、すぐ泣くんだから…いい子、いい子…」

「…ずずっ…ラム〜…ラム……オレ…」

「なぁに?ダーリン」

「こ、こうやって…ラムを抱いて、そんで…頭、撫でられてるだろ?」

「うん…」

「…そのうち、大人になったら、子供とか…いるだろ?きっと…」

「うん…」

「たまには、その、なぁ…オレの、頭も…撫で撫で…って、してくれるか?」

「もちろんだっちゃ…」

「もうちっと…このまんまで…いいだろ?」

「うん…」

そしてしばらくの間、ふたりは抱き合ったままでいた。ラムが時々あたるの頭を“撫で撫で”しながら。しかし…。

「…ダーリン…」

「…どうした?」

「あのね…身体が密着…してるから、わかるんだけど…」

「…えっ…あっ…」

「ダーリンのがね…硬〜く…なってきてるんだっちゃ…」

「いや、これは…生理現象だからなぁ…」

「ウチの身体の事なら…心配しなくても、もう大丈夫だから…」

「…いや、しかしなぁ…」

ラムの言葉にあたるが顔を上げると、彼は少しだけ目を腫らしていた。

「そういえば首の傷跡、どうなったっちゃ?もう治った?」

「ああ、この通り、きれいに治っとるだろ?もう噛み付いたり…するなよ、な?」

「ふふっ…まるであの時の跡、吸血鬼が噛んだみたいだったっちゃね」

「ラムは牙があるからなぁ。男の精気を吸う吸血鬼じゃっ!」

「それならダーリンは〜女の貞操を奪って、うーんとエッチな事ばっかりする、狼男…だっちゃ。ふふっ♪」

「しかしやっぱり…しばらくやめといた方が、いいぞ?」

「大丈夫だっちゃ♪そう言うだろうと思ってね…い〜もの、持ってきたっちゃ♪」

「…またおかしな薬とか…じゃ、ないだろーな?」

「これはちゃんと地球人も使えるようになってるっちゃよ。…感度がアップする…薬、だっちゃ…」

「かっ、感度っ!?つ、つまりアレか?いつもよりもっとこう…“あはん、うふん”の感じ方が…敏感になる、っちゅー事か?」

「量で調節出来るから、今日は5倍くらい感度をアップさせてみるっちゃ。それならあんまり体力使わなくても…いいでしょ?」

「そ、そうかぁ〜…その手があったか…」

…そしてその夜、ふたりは早速、ラムの薬を使ってみたのだが…。

「…うおっ…いかん、もう…じゃ」

「感度アップしてるから、すぐに復活するっちゃよ。ダーリン、いい子、いい子♪」

「うっ…やめんかいっ…どこを“いい子いい子”しとる…んじゃ…う、お…」

「ちゃんと、ガマンして…ウチのナカで…イッて…ダーリン…」

男と女が接合する。ラムにのめり込むように、あたるが彼女のナカに入っていく。

あたるはこの接合の意味を、“相手が好きで、カラダを求め合っているから繋がる”と思っているようだが、本当のところは…ラムに“のめり込んで”いるのだろう。

“ぬっち、ぬっちゅう…ぬぷんっ…くっちゅ、くっちゅ、くっちゅ…”

大人顔負けのふたりの「秘密」の営み。あたるがラムの細い指先や、つま先までを、口唇で愛撫する。

「…ダーリン、ので、いっぱい…痺れ、ちゃうぅぅ…ぅ…あ、はぁ…ん」

ラムの味と匂い。微弱な放電。そして官能に歪む顔と、甘い声。それらが彼の五感を刺激する。

「んっ、んっ、んんっ!うぅんっ…!い、いつも、より…いっぱい…感じ、てる…っちゃ…あぁっ…」

“パリパリパリ…”弱い放電をし、カラダを浮かせながら、美しく乱れていく、ラム。

浮きそうになる彼女を抱き締め、接合し、決して離れようとしない、あたる。

“ちゅっ、ちゅぱっ…”

あたるの胸にしなだれかかりながら、ラムは彼の乳首にキスをする。キスを与えながら、唇から弱い電気を流し込む。

「くっ…くすぐったい、だろ…おい、ラム…」

「ダーリン…気持ち…いいけ?…ウチは、うーんと…気持ち、良くて……あはぁんっ!いやぁ…ダーリンの…エッチ…」

「いつもより…5倍、感じてるんだろ?…ここは?…こっちは…?」

「あっ、あんっ!ご、5倍…感じ、てっ…いっ…い、い…。も、もう…イッちゃう、ぅ、ぅ…!」

…そしてふたりの営みは…早く終わるどころか、5倍の感度があまりに良くて、結局いつものように夜がすっかり更けるまで、何度も交わったのであった…。


「ラム君、教室ではマフラー取りなさい!」

「えっ…あの〜ウチちょっと風邪、引いたから…寒いんだっちゃ」

「そうか…それならまぁ仕方ないか…」

「…ふぅ…危なかったっちゃ〜…」

胸を押さえて安堵するラム。その隣で早弁をしているあたる。あたるはラムをちらっと見た。夕べの事を…少し、思い出してしまったようだ。ガツガツと弁当を掻き込むと、手を挙げて「先生、トイレッ!」と叫び、温泉マークが止めるのも聞かず、教室から出ていった。

「い、いかん…5倍の感度の効果がっ…まだ残っているではないかっ…やっぱラムの持ってくるモンは…使うべきではないのだっ!…くっそー、む、むらむらしてきたではないかっ…」

そしてあたるは本当にトイレの個室に入り、5倍の感度になっているモノを…自身で処理した。が、しばらくするとまたしても…である。

「諸星ーーーっ!貴様っ、授業を受ける気があるのかっ!?」

「だって先生、しょうがないっしょ…と、言ってるうちに…ま、またっ…催して…きたっ!」

「諸星のやつ〜、さっきから何度もトイレに行ってるところを見ると、本当に腹壊してるのか?」

「せ、先生〜、ウチも…ちょっと、気分、悪くなってきて…保健室行ってきたいっちゃ…ごほっごほっ」

わざとらしい咳をしながら、ラムも教室を出ていった。

「あっ、ダーリン見つけた!大丈夫け?」

「だ、大丈夫なわけ…あるかっ!さっきから何度も何度もトイレの往復じゃっ!解毒剤か何か無いのかっ!?」

「1日くらいで効果消えるはずなんだけどぉ〜…おかしいっちゃねぇ…」

そしてあっと言う間に放課後になり、帰宅したふたり。ラムが昨晩の薬のビンを出して説明書きを読んでみると…。

「…感度イコール日数ですので、10倍量を服用した場合は、10日間効果が続きます…って事は〜」

「…という事は、5日間、この状態が続くっちゅーわけかっ!?あ、あのなぁ〜〜…とにかく、解毒剤か何か持ってこーーーいっ!!」

あたるに怒鳴られたラムは、頭をポリポリ掻き、苦笑いをして、UFOへ飛んでいった。幸い“中和剤”が別にあったので、早速ラムはそれを取り寄せ、あたると一緒に飲み、どうにか事無きを得た…と言っていいものかどうか。

ところでパーマの彼女の件であるが。どうやらふたりはケンカをしていたらしい。そしてラムが戻ってきてしばらくした頃、パーマの機嫌が良くなった。仲直りでもしたのだろう。そして何故あたるにお節介な忠告をしたか、というと。

「少し前に聞いた話だけどな、アイツの友達によ〜、付き合ってた男の子供がデキちまったらしくて、何人かでカンパして…ってな事があったんだと。だからもし、そんな事がラムちゃんにあったら…と思ってな。それにあたる見ててたま〜に面白く無い気分になる事だってあんだぜ?実際。まぁ俺はお前たちの“秘密”には…興味あったり無かったり、だけどな。まぁどっちにしろ…学校の噂になってんのは確かなんだよな。“あたるとラムちゃんはデキているのか否かっ?”…ってな。ま、“秘密”たって“人の口に戸は立てられん”わけだし“人の噂も75日”ってなもんでよ、前に俺が言ってた事は気にすんな、な?お前らがこの学校からいなくなったら…かなり退屈しそうだしな〜」

そんなわけで、ふたりの“秘密”は単なる“噂”と“事実”の間を行ったり来たりしながら、学校を駆け巡り…終息し、を繰り返した。あたるたちが卒業するまで、何度も何度も。

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ふたりは「秘密」を持っている。

誰にも言えない、言わない、言う必要の無い「秘密」が。

後立位であたるにしなだれかかりながら、ふたりはキスをする。肌蹴たラムのマシュマロのような乳房が、あたるの手のひらに心地良い。

そして今夜も…ラムに“のめり込んで”いくあたる。濃厚な蜜も白濁の体液も、深いキスで味わう唾液も、ふたりしか知らない、ふたりだけの「秘密」の味と匂いだ。

ラムがコントロールして放つ弱い電流のピリピリした刺激も、ふたりだけが知っている。

互いの悶えの表情や交合で漏らす声も…全て、ふたりだけの「秘密」だ。

ラムは全身全霊であたるを愛する。“好き”や“愛してる”の言葉も惜しみなく与え続ける。

が、あたるのラムへの気持ちは…“好き”や“愛してる”だけでは足りないのかも、しれない。

その重さは…あたるだけが知っている、彼だけの「秘密」だ…。

--- E N D ---

あとがき


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