LOVE・マシーン


「“全身強化煩悩兵器人間”あたるよ、あれが」
「おっ、“ラム様専用ラヴ・マシーン”あたるだ、見てみろよ、おい」

友引町を歩くと、何故か皆がそう呼ぶ男…そう、それが“諸星あたる”友引高校2年4組在籍の17歳である。

「何じろじろ見とるんじゃ…ったく、どいつもこいつも」

のほほんとしたフリはしているものの、衆目がイチイチ自分に注がれている事に、彼は少なからず嫌気がさしていた。学校の往復も、学校にいても、ガールハントをしていても…先のように周囲がそう呼ぶのだ。

「ただいま〜」

「ダーリン、おかえり〜♪」

あたるはむすっとした顔で、どすどすと足音を響かせ、2階の自室へと上がっていった。ラムがそれを飛んで追い掛けてきた。

「ダーリン、どうしたっちゃ?」

「あ〜も〜〜…うっとーしーーーんじゃっ!それにそのダーリン、っつーのやめてくんないかなっ!?」

「だぁ〜ってぇ〜愛する夫だから、ダーリン、って呼びたいっちゃ、ウチ」

「誰が愛する夫じゃっ!な〜〜にが、ダーリンじゃっ!!お前らが地球に来てから、ロクな事が無いわ!」

「何で?どうして?」

何故あたるが怒っているのか皆目見当のつかないラムは、きょとんとした顔をしてそう聞いた。そのひと言が余計にカンにさわったのだろう、あたるは力いっぱい握った拳を震わせ、ラムに向かって大声で怒鳴った。

「もういい加減オレに付きまとうのはやめろ、っつってんのっ!一体オレが何をしたと言うんじゃっ!!何でお前がこんなとこにおるんじゃ!!オ、オレは〜〜…お、お前らに負けたんだぞっ!!!」

そう、鬼族が地球侵略のために挑んだ“鬼ごっこ”という勝負に、あたるは負けていたのだ。その後地球は鬼星の支配下となり、星の大将やその手下たちは、地球や地球人を自分たちのいいように使っていた。

が、何故か日本だけは、支配の対象外となっていたのだ。何故ならば。

「娘婿がいるちっこい国や、このくらい大目に見ても、ま、ええやろ」

と、ラムの父親談。

勝負には負けたのにラムの婿である、と言われているのには、ちゃんとした理由があった。コンピューターが適当に選んだ相手、とはいえ、大事な勝負の相手として選び出すからには、それなりの条件が揃っていないといけない。

まず、ラムと同じ年頃の異性でないといけない。容姿は二の次である。10日間勝負するからには、それなりに体力も気力も充実した若者でないといけない。フットワークが軽く身軽でないと飛行能力のあるラムの相手をするには少し無理がある。なので体格が大き過ぎてはいけない。また小さ過ぎるのもいけない。体格差がそれほど無いのが、望ましい。

そして肝心なのは。

“完璧に男である事”であった。肉体的にも精神的にも、少しでも“男らしさ”が欠けていてはいけないのだ。肉体は完璧でも、精神が“新宿系”ではいけない。また肉体が完璧で精神が男性フェロモンまみれだったとしても、JR神田駅と御徒町駅の間にある駅で下車し、その街でフットワーク軽く飛び回っていれば一見完璧なように思えるが…現実の女性に興味がもてないといけない…といった具合である。
なお、“おかえりなさいませ、ご主人様〜♪”な現実の女性は、役としてそれを演じているだけなので、彼女たちに好意を抱いても、コンピューターの候補からは外されてしまう。

“完璧に男である事”…それらの条件を文句の付け所が無いほどに満たしていたのが、東京都の諸星あたるなのであった。

なぜ鬼星の大将が“完璧”を望んでいたかというと。

「ラムは大事なひとり娘や。つまりワシの跡取りを産んでもらわなあかん」

頑健な肉体と精神を持った跡取りが必要だった。他の星を侵略、支配する事で成り立っている鬼星。そのためにはどうしても“強い遺伝子”が必要である。そして選ばれてしまったのが、あたるなのであった。

「勝負に勝っても負けても、コンピューターが選んだ相手に間違いなんぞあらへん。ワシとこの娘婿はこの男に決まりや!」

しかしラムは最初、まったく乗り気でなかった。が、勝負最終日にあたるが口走っていた「結婚じゃーーーっ!」の雄叫びですっかりその気になり、結果勝負は地球の負けであったが、ラムはあたるの元へと押し掛け女房としてやってきたのであった。

「ウチ、結婚申し込まれたっちゃ♪それにあんなにウチになびかない男なんて珍しいっちゃ。…絶対、ウチのモノにしてみせるっちゃ…」

ラムがあたるの元へと押し掛けた理由など、最初はそんなものだったのかもしれない。それからのラムは、あたるの気を惹くためとにかく躍起になった。しのぶというライバルがいたから、余計に燃えたせいもあったのだろう。

そんなわけで、地球が負けたにも関わらず、“強い遺伝子を残すため”に、ラムは勝手に“あたるの妻”と名乗り、彼女が諸星家にいたお陰で、地球上で日本だけが、支配される前と何ら変わらぬ暮らしが送れる唯一の国となった。

…だが、あたるはそれが気に入らなかった。勝負に負けてそうなった事もだが…それ以外の事も…。


地球が負けてからしばらく経つと、日本以外の国も次第に落ち着いてきた。そしてあたるもラムに「ダーリンと呼ぶなっ!」と怒る事がほとんど無くなった。

そんなある日の事。学校帰りに並んで歩くあたるとしのぶ。あたるはお気楽そうな顔をしていたが、しのぶはそれとは反対に時々小さな溜息を吐(つ)いていた。そして彼女はいきなり、ラムの話題をあたるに振ってきた。

「ねぇ、あたる君。…ラムとはまだ何も無いんでしょう?」

「当たり前じゃっ、オレにはお前だけだからな、しのぶ〜♪しのぶとだったらいつでも何でもあってもいいぞっ!」

「バカな事言わないでよ!それより毎晩、裸同然のビキニ姿のラムが傍で寝てるんでしょう〜?…ちょっとはそういう気に…」

「アホか!負けた相手の思惑通りになるような、プライドの無い男に見えるか?オレが」

「…じゅ〜ぶんっ、見えるけど…」

しのぶはその後に「当然でしょ」という言葉を、素っ気無い口調で付け加えた。と、その時ふたりの上から、甲高い声が聞こえてきた。

「ダァ〜〜〜リンッ!また浮気してーーーーーっ!!!しのぶもウチのダーリンに、いい加減ちょっかい出すのやめるっちゃ!!」

ラムは怒りの表情で上空から急降下してくると、あたるの身体にびったり抱き着き、しのぶに向かって「ベーーーッ!!」と舌を出してみせた。

「何よっ!あたる君から離れなさいよ!!あたる君はアンタなんか嫌いだって、いっつも言ってるんだからっ!!」

「何デタラメ言ってるっちゃ!ダーリンがウチの事、嫌いなわけないっちゃーっ!ウチら毎晩っ!足腰立たなくなるまで、たーーーっぷり、愛し合ってるっちゃーーーーっ!!!」

「なっ、なっ…なっ…何ですってぇ〜〜〜〜っ!?ま、ま…毎、晩……あたる君っ!どーゆー事かはっきり説明しなさいよーーーーっっ!!くぅぅぅーーーーっ!!」

しのぶは学生カバンの取っ手にかじり付き、顔を真っ赤にして、全身をわなわな震わせだした。気のせいか、あたるとラムには、しのぶの頭のてっぺんからヤカンの湯が沸騰した時の蒸気が噴き出しているように見えた。

“ブッチーン!”

しのぶのカバンの取っ手が音を立てて千切れた。嫉妬によるあまりの怒りにゼーゼー言いながら肩で息をしているしのぶ。そして…。

「お…お…男なんてーーーーーっっ!!!」

彼女が何を使ってあたるを殴ったかは定かではない。とにかくあたるの脳天に巨大な何かが声を出す間も無く降ってくると、彼は地面に叩き付けられ、目の前が白黒に点滅して、気を失いかけた。

「ダーリンッ!しっかりするっちゃ!しのぶっ!ダーリンに何するっちゃーーーっ!!」

「ふんっ!!あんたたちなんか、とっとと星に帰ったらいいのよっ!!お陰で地球が滅茶苦茶になっちゃったじゃないっ!!あたる君まであたしから取り上げて、これ以上一体何をどーしよう、って言うのよーーーっ!!!」

周囲の家々がビリビリ振動するほどの罵声をラムに浴びせると、しのぶは大泣きしながら、その場から駆け足で去っていってしまった。そして残されたラムは…唇を噛みしめ、しのぶの後姿を睨み付けながら…涙をひと筋、零した。

「…いて、いてぇ〜…」

後頭部をさすりながらゆっくり起き上がったあたるは、ラムが涙を零しているのを見て、複雑な表情を見せた。

「何だよ、泣く事ないだろ?」

「…だって…」

ラムはうつむいて、手の甲で涙を拭うと、いきなりあたるにキスをしてきた。それも…濃厚なディープキスを。

「嫌ねぇ、また諸星さんとこの息子さんよ。ちょっと奥さん、あれ見てよ…」

通学路の路上、まだ陽がある時間で、人目もある。そんな道のど真ん中で、ラムとあたるは抱き合ってキスをしている。それを目撃した近くの主婦が数人集まってくると、眉をしかめて遠目からひそひそと、ふたりの事を噂し始めた。

やがてあたるの方からラムを押しやって、キスを解くと、不機嫌そうな顔で、こう言った。

「お天道様がある時間から、公衆の面前で、何するんじゃ、いきなり…」

「ダーリンのスイッチ入れようと思って…」

「ほれ…人目があるだろーが…。あのなぁ、ラム。お前、オレが寝てる間に…」

「寝てる間にでもしないと、絶対“うん”なんて言わないでしょ?」

「当たり前じゃっ!…オレが寝てる間に、何“勝手に改造”してんだよ…アホかっ…。とにかくここじゃあ、何だから…」

「…UFOに、行くけ?」

「…ああ…」


UFO内の照明を薄暗くすると、ラムはあたるに背を向けて、ブラの接続部分を自分で外した。はらりと落ちる虎縞模様のブラ。そして背を向けたまま、今度はブーツを脱いだ。右足を脱いで、次は左足。そして残るボトムをするりと下ろすと、丸くてぷりんとした尻が露になった。そのボトムを足から抜くと、ラムはそれも、床にぱさりと落とした。

少しもじもじしている様子のラム。腕を前に回して片腕で胸元を、もう片手で陰部の前面を覆うと、ゆっくりカラダを回転させて、あたるの方に向き直った。ラムの目が少し潤んで見えるのは、照明のせいだろうか。

あたるはラムがビキニを脱いでいる間に、制服と下着までを一切脱ぎ捨て、彼女の前に立っていた。あたるの逸物は、既に天井を向いて、たくましくそそり立っている。

「…ダーリン…」

「ラム…」

ラムは胸と局部を隠していた手を解くと、あたるにそっとしなだれかかり、彼の胸に手のひらを滑らせながら、ゆっくり肩から背に両の腕を回した。

「さっきのキスで、もうこんなになってるっちゃ、ダーリンの…。すぐにスイッチ入ったのけ?」

「…いつもの通りじゃ…」

「それじゃあ、今度はダーリンが…ウチのスイッチを、しっかり入れて…」

ベッドの脇で、立ったままする、深いキス。あたるがラムの口内に舌を押し込む。男女がベッドで絡み合うように、ふたりの口内の舌同士も、淫靡に踊りながら、絡み合っている。

ラムの“スイッチ”が入った。あたるに抱き着く腕に力がこもり、彼に押し付けた胸が脇からはみ出すほどに、ふたりは密着した。

「んっ、んんっ…」

あたるはラムの腰が軋むほど強く自分に引き付けて、彼女のカラダが反り返るほどの力強いキスを与えた。ラムの局部、恥骨を内包し柔らかく盛り上がった部分が、あたるの逸物の裏筋に押し付けられている。ラムのごそごそとした陰毛が、あたるにほどよい摩擦を与えている。

しばらくしてキスを解いても、名残惜しそうに舌同士を口外で、もつれ合わせるふたり。互いに唇に挟んで軽く吸ったり、舐めたりしながら、気持ちをどんどん、昂ぶらせていく。その間も局部同士は擦り擦られて、あたるの逸物は充血による脈動でビクビク震えながら、先走り汁を零して濡れていった。

ラムは両足をふわりと浮かせて、局部を大きく広げた。既にぬるぬるに濡れている彼女の柔らかな肉のひだが、彼の逸物の裏を包み込む。自身で高さを調節して、ぱっくり広げた肉ひだの狭間にある突起部分に、あたるのカリ首を引っ掛け、上下に擦るラム。

あたるの亀頭とラムのクリトリスが接触し合う。摩擦し合う。ぬるぬるになった互いの陰部のくびれや包皮の淵を引っ掛け合って、ラムはあたるの逸物を攻めながら、彼女自身も、たっぷりのラヴ・オイルを垂れ流す行為を続けた。

「…あっ、あんっ…気持ち、いい…っちゃ…。ダーリン…は?」

まだ挿入していないが、抱き着いているラムからの局部攻めで、あたるの硬くなっている逸物は、暴発寸前まできた。何か言葉を発したら、緊張が緩んで、溜まっている体液が噴き出しそうだった。

「…ダーリンの、強い、遺伝子…ウチの、ナカに…ちょうだい…」

あたるにしがみ付いて悶え続けるラムは、そのままの体勢でふわりと浮くと、傍にあったベッドに、あたるを下にしてなだれ込んだ。スプリングのクッションで、わずかに揺れるふたり。

そしてラムは、あたるにしっかと抱き着き、荒い呼吸と喘ぎの混ざった声を発しながら、腰から下を上下左右に動かし続けた。

「…ぐちゅぐちゅ、ぬるぬる、して…気持ち、いい…っちゃ…はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ…」

「…ラ…ラムッ…!」

ラムのマンズリだけでは飽き足らないあたるは、ラムの両肩を“がしっ!”と掴むと、ごろりと転がって、彼女を下にした。息を荒げてラムの両足をがばっ、と広げる。と、途端に強まる、ラムの女性器の匂い。あたるは生唾を何度か“ごくり”と飲み下した。ラムは、恥ずかしい部分を見られている羞恥心で真っ赤になり、両手で顔を覆った。

「あ、あんまり見たら…いや、だっちゃ…」

力強くそそり立ったあたるの逸物が、ラムの柔ひだを割り開き彼女を貫いたのは、それから間も無くの事だった。

「(ぐいぐい、締め付けて…吸い付いて、くるっ…)…い、いいぞっ、すごくっ…」

「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ!あぁんっ!いっぱい、突いてっ、突いてっ、突いてぇーーっ!!」

あたるはラムの両足を掴んで彼女を突き続けた。ふたりの荒くて熱い息遣いと声が、UFO内に響き渡る。“ずっずっずっずっ…”ぐずぐずになったラムの柔ひだの間を往復するあたる。白いシーツはぐちゃぐちゃに乱れ、ラムの動きと共にそれがベッドのマットレスに擦り付けられる。その布地を擦り合わせる音が、ふたりの声と交合の水音に混ざり合っている。ベッドの上で、激しいセックスに身を委ねるあたるとラム。

「あぁんっ!!…イッちゃうぅぅーーーっ!!」

ラムの絶頂の声が、あたるのトリガーを引き、彼の銃が火を噴いた。

「ダーリーーーーンッッ!!!」

あたるの白い銃弾で、ラムは絶叫した。ラムは強い遺伝子よりも…あたるの愛が欲しかった。もう侵略者の血筋の子孫も何もいらなかった。ラムは心の底からあたるを愛していた。そして、あたるも…。


毎日のように続くふたりの営み。それでもラムは妊娠する事はなかった。

「鬼族と地球人だから…無理なのかなぁ…」

「…そんな事無いだろ、そのうち何とかなるさ、きっと…な?」

「ダーリンは…嫌じゃないのけ?ウチとの事であれこれ言われてて…」

「言いたいやつには勝手に言わしておけばいいんじゃ。なーにが“全身強化煩悩兵器人間”じゃ、“ラム様専用ラヴ・マシーン”じゃ。しかしアレだな、よくもまぁ、思い付くよな、くだらん事を」

ある休日の午後、ラムはあたるの部屋にいた。畳の床に横座りして、傍であぐらをかきマンガを読んでいるあたるに、ラムがそう話し掛けると、あたるはひとつひとつにきちんと受け答えしてくれた。

あたるの、のほほんとした答えに、ラムは安心したようだ。しかし間も無く彼女の表情が曇った事に、あたるは気が付かなかった。

「…ねぇ、ダーリン…」

「何だ?」

「ダーリンには“強い遺伝子”をもらうために…って話してあったけど…」

「何だよ?…違うのか?」

「ううん、その通りなんだけど…ウチ、本当にダーリンの事…好きで好きで仕方なくなったっちゃ…。でも…」

「ん?でも?何だよ、もっと手短に言えって」

「…もしダーリンの子供が出来て産まれたら…ウチ、星に帰らないといけないっちゃ…」

「…おい、んな事オレは1度も、これっぽちも聞いとらんぞ?何だよそれはっ」

「そういう決まりだっちゃ。勝負の相手の子供産むのは、ウチ、初めてだけど…それが、ウチの、役目だっちゃ…。侵略者としての…」

「だったらずーっと産まなきゃいいだろーが。だろ?」

「ダーリンはずーっとウチとエッチしなくても…大丈夫け?」

「…いや、はっきり言うと、大丈夫なわけあるかっ!そういうお前もだろ?ラム」

「うん…」

「だったら避妊するなり何なりすれば…あ、そうか…“改造”されたから…そうもいかんわけか…」

「だっちゃ…それで、ね…もしウチが子供産んで、星に帰って…次のターゲットが決まって…そこで勝っても負けても…」

「どうなるんじゃ?……え…もしかして…」

「…うん、昔っからの勝負の決まりで、ウチらが勝っても負けても、その相手の子供…産まなくちゃいけないっちゃ…」

「お前んとこの星の人間は何考えとるんじゃっ!っちゅーより、お前の親父さんはそれでいいのか!?ラムは…それでいいのかよっ!?」

「父ちゃんだって…本当はそういうしきたり、嫌がってたけど…しょうがないんだっちゃ。それでウチの星は続いてきたわけだし、今更勝手に変えられないっちゃ…」

「あ、あのなぁ、ラム…」

「何?ダーリン」

「地球は負けたが…お前んとこの人間、ぼちぼち星に帰っていってるだろ?」

「そろそろ次の星を決めなくちゃいけないから…それにもともと地球の資源目当て、っていうより、ウチがダーリンの子供産むのが、一番の目的だったから…」

「…あのな…お前だけ…ここに、残れんのか?」

「ウチだってそうしたいっちゃ、心の底からそう思ってるっちゃ!」

「だったら…そうしろよ、な?」

「おかしなダーリン…。最初はあんなに嫌がってたのに…どういう心境の変化だっちゃ?」

「…だ、だから〜…つ、つまり〜…わかるだろ?オレの…言おうとしてる事」

「…え?」

そこまで話し終えると、ラムはきょとんとして、あたるを見つめた。あたるは、唇を噛みしめ下を向いて、黙り込んでしまった。

「もしかして…ウチに、他の男の子供は産むな…って、そういう事け?」

「う…」

それを聞いたあたるはふいに立ち上がり、ラムに背を向けた。まるで顔を見られまいとしているように。ラムはそんな彼の様子を見て、どうしても顔を見たくなり、ふわっ、と浮き上がるとあたるの前面に回りこんだ。と、あたるが身体の向きを変えてラムから顔を逸らした。ラムがまた、すいっ、と飛んであたるの前に回りこむ。と、再びあたるも身体の向きを変えて顔を逸らす。

ラムが回り込む。あたるが身体の向きを変える。それが何度も繰り返された。

“どてっ!”

「…いってぇ〜〜…」

くるくる回転しているうちに、あたるは足元を滑らせて、その場に引っくり返ってしまった。後頭部をしこたま打ったらしく、ころりと横になると、手で頭の後ろをさすりだした。

「ダーリンッ!」

「うわっ!」

感極まったラムは涙を流して、倒れたままのあたるに抱き着いた。ふたりは身体を重ねて、少しの間じっとしていた。

「ダーリン…耳が真っ赤だっちゃよ?きっと顔まで真っ赤になってるっちゃね…くすっ…」

零れた涙を拭いながら、ラムが身体を起こした。あたるは何度も回転したのと頭を打った事で、目の前のラムが何重かになって見えた。思わず目を擦るあたる。

「どうしたっちゃ、ダーリン。泣いてるのけ?」

「ラムが何重にもなって見えるだけじゃっ」

「ウチが何人もいたら…ウチだけでハーレム作るけ?ふふっ…」

あたるの視界のラムが…ぼやけてきた。どうやら不覚にも、本当に涙が出てきてしまったらしい。

「…くっ…」

腕で目を押さえるあたる。視界を遮ると、ラムの匂いが微かに鼻腔をくすぐった。

「…ウチのために泣いてくれるのけ?だからウチ、ダーリンが大好き…」

それを聞いたあたるは目にも留まらぬ速さで、ラムを抱き締めた。

「泣かなくてもウチ、ずーっとここに…ダーリンの傍にいるから…ダーリン、ダーリン…」

あたるに抱かれながら、ラムは彼の頭を小さな手のひらで優しく撫でさすった。まるで子供を慰めるように。

「…うっ、うっ…ラム〜〜…」

「ダーリン、大好き…」

そしてふたりは…しばらくの間そのままでいた。


結局その夜も、ラムはUFOのベッドの上で、乱れに乱れていた。息が切れるほどの交合。白いシーツに埋もれて漏らす、うめきと、時たま飛び出す嬌声。

ラムは腹這いの格好で、尻をあたるに差し出していた。彼の顔が見えない分、得体の知れない不安が頭をかすめ、あたるに一方的に攻められている体位が、ラムにちょっとした敗北感を味合わせていた。

あたるが、ラムの臀部の狭間の柔らかくぽってりした陰唇のスリットに指を潜り込ませた。にゅるりとしたラヴ・オイルがすぐさま彼の手指をたっぷり濡らした。狭間を擦り、膣口に中指を挿し入れる。浅い部分をぐりぐりと焦らすように掻き回す。そんな攻め方をしながら、あたるはラムの背から彼女のカラダに軽く覆い被さり、言葉を掛けた。…あたるのちょっとした悪戯心だ。

「いつもラムはビキニだろ?…あんなに肌露出させて飛び回りおって、恥ずかしいとか思わんのか?」

「えっ…どうしたっちゃ、いきなり…ダーリン…」

「オレ以外の男を欲情させよう、とでも…思ってんじゃないのか?ラム…」

「そんな事、全然無いっちゃ…」

「お前、露出好きだろ?体表面の7割方は出してるんだからな…オレ以外の男に…見られて…どうだ?」

「いやぁ…ダーリン、どうしたっちゃ…ウチ、恥ずかしくて、そんな、事…」

「恥ずかしいのか?つまり…気分いい、というより…気持ちいい…んだな?で、ここを…こう…する、と…」

“ぐちぐち…”という淫音を立てて、ラムの膣口に埋もれたあたるの指が、女体の穴の浅い部分で蠢いている。ラムはあたるの言葉に涙を浮かべて赤くなりながら、下半身を攻めてくる指の気持ち良さに、カラダと心の両方がぐらぐら揺れた。

「は、あぁんっ!…あうんっ!…あ、ふ、うんっ…!」

「気持ち…いいんだろ?男に見られてんのが…?」

「ち、違、う…っちゃ…ダー、リン、の…指、がっ…き…気持ち、い、い…いぃ、ぃ…」

「ほれ、やっぱ気持ちいいんだろ?…見・ら・れ・て・る・の・が…」

「変…だっちゃ、ダーリン…あっ、あぁっ!ひぁんっ!はぁんっ!あああぁっ、ぁあぁあぁーーっ!!」

「男に見られてんのと…オレとセックスしとるのと…どっちが、気持ちいいんだ?どこが…一番、いいんだ?」

「あ、あ、あぁ…だ、から…あんっ…もうっ…いやぁ…ダーリンの…バカァ……ひっ!ああぁぁぁーーーっ!」

ラムのカラダがガクガクと震えている。汁っ気も枯れる事無く溢れてくる。膣口を指で広げ、少し入った所に、Gスポットがある。それも表裏と。
“ぬちぬち…ぐちゅ、ぐちゅ…”ぬめる女の体液が、スンとした酸性臭を放ちながら、あたるの手をどんどん濡らしていく。

「だ、め、ぇ…だぁりん、の…意地、悪……ウ、チ…あ、ぃ、い…」

「どこが…いいんだ?」

“ぐちゅり…”と濃い音を立てて、あたるの指がラムから引き抜かれた。まだ高みに達する前だったから、ラムはあたるを欲して、尻をふるふると震わせた。

「ダーリン…ダァ、リン…あん、まり…ウチの、事…いじめ、ない、でぇ…はぁ、はぁ…はぁ…」

滑り台のようになだらかな傾斜を描いたラムの背。シーツに顔をうずめたラムが、切なそうにそう、うめいた。あたるはがちがちになった屹立をラムの尻に押し付けながら、彼女の肩を抱いて、背や髪、頭に顔を擦り付けた。愛しそうに、切なそうに。

ラムが泣きそうな声で、早く早く、とあたるを欲する。あたるはもう何も言わず、彼女のうなじや肩口にキスをしながら、たくましい屹立に手を添え、ラムの熱く濡れた柔ひだをゆっくりえぐるようにして、割り開いた。あたるに優しく貫かれるラム、ラムに呑み込まれるあたる。

「この、格好…ウチ……イヤ、だっちゃ…あっ、あんっ…」

「…何で…?」

「…ダァリンに、一方的、に…攻め、られて…いじめ、られて、る…みたい、な…感じが、して…あ、あ、ぁ、ぁ、ぁ…」

ラムのそんな言葉にお構い無く、あたるはラムを前後に揺らし始めた。

「…ふっ、ふっ、ふっ、ふっ…」

「ひ、や、ぁ…んっ…あっ、あぁっ、あ、あ、ぁ……あっ、あっ、あっ、あっ…」

「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ…はっ、はっ、はっ、はっ…」

「…だぁりんがっ、ウチの、事、いじめ、てっ…るっ、みたい、でっ…いっ、いっ…いい…っちゃぁ…!」

ラムの全身を快感の電気が走る。それが背筋を通って、あたるの逸物へと集約されていく。あたるのカラダが“パリパリパリ…”と音を立てている。荒い息遣いが聞こえてくる。あたるの全てをラムの五感がキャッチする。

音、声、汗の匂い、自分を貫くモノの感覚、最初と最後にするキスの味…。

“パリパリパリパリパリ…”

あたるの逸物に集約された電流。そして最後のひと絞りのため、あたるの腰の動きが早くなった。ピッチを上げたのだ。

「…いつもっ、みたいにっ、いっ、いくぞっ……ふっ、んっ…!」

「…いいっ、んっ…あぁっ、は、早くぅっ!ダーリンッ…!」

ラムの甘い声と息遣い、彼女の吸い付きと締め具合もろもろが一致した時、あたるのトリガーが引かれ、白濁の奔流がラムのナカに注ぎ込まれた。

「ちゃあああああぁぁぁぁぁぁーーーーっっっ!!!」

あたるの銃が火を噴くと、それに含まれていた弱い電流が、ラムの体内に流れ込んだ。堪らず悲鳴を上げるラム。いくら放電能力のあるラムでも、自分の体内にそれを注がれるのはワケが違うのだ。内側から全身を痺れさせる自分の微弱電流。あたるの白い種と共に、それは注がれ、痺れの感覚が全身を駆け巡った。

「イッちゃうぅぅーーーーっ!!イッちゃうっ!イッちゃうぅぅぅーーーーーっっ!!!」

ラムは数回“イッちゃう”を連発し、絶頂の放電をあたりに撒き散らした。

“全身強化煩悩兵器人間”や“ラム様専用ラヴ・マシーン”と、人々が何故あたるをそう呼ぶようになったのか。その経緯は不明だが、確かに、ラムの放電に耐えられ、ラムをこれ以上無いほどの高みに昇らせる事が出来る男である事は…間違い無いだろう。


「はっ!?…な、何じゃ、今のは……ゆ…夢、か?それにしちゃ、妙〜にリアルな夢だったな…」

あたるが目を覚ますと、見慣れた和室の天井がまず目に入った。目を擦りながら押入れ側を見ると、ふすまが半分ほど開いており、寝ているラムの後姿が見えた。

「地球が負けた夢…ねぇ…。それでもオレとラムは…ああなっとった、というわけか?しかし…オレが寝ている間に、ラムがオレに何か…そうじゃっ!“勝手に改造”したと言っておったんじゃっ!一体何をどう、改造した、っちゅーんじゃ…?いや、夢の中の話だから…どーでもいいといえば、いいんだが…」

少しするとラムも眠そうに目を擦りながら起きて、押入れからふわりと出てきた。

「…ダーリン、おはよう…だっちゃ」

「なぁ、ラム。最初の鬼ごっこで、オレは勝ったのか?負けたのか?」

「え?何言ってるっちゃ…寝ぼけてるのけ?…ウチらが負けて、ダーリンが勝ったんだっちゃよ?」

「あ、そう…そんじゃやっぱ、あれは…夢、だったっちゅーわけか…。で、ラム。お前オレが寝てる間に、何かこう…改造、とか、したか?」

「改造〜?何言ってるっちゃ。ホントにどーかしてるっちゃよ、ダーリン。サイボーグにでもなりたいのけ?」

「い、いや、違えばそれでいいんじゃ…。そうかそうか…地球は勝ったし、オレも改造されてない、と。よし、さっきまでのはみーんな夢だったんじゃ、夢じゃ夢…。それにしても…結局今とそう変わらんではないか」

「ダーリンひとりでぶつぶつ何言ってるっちゃ?寝起きから変だっちゃよ?変な夢でも見たのけ?」

「あ、ああ…夢といえば夢なんだが…。なぁラム、もし地球が…オレが負けてたら、お前、どうした?」

「ダーリンが負けてウチが勝ってたら?…うーん、そうだっちゃねぇ、次の候補の星に行って、鬼ごっこしてたと思うっちゃ。ダーリンじゃない相手と」

「そうだったのか?オレ以外と?」

「だからダーリンが勝ってくれて良かったっちゃ…」

「そ、そうか…(ほっ…)」

「そういえばね…ウチ、おかしな夢見たっちゃ」

「ゆ、夢?…どんな…?」

「いつものダーリンと変わってないはずなんだけどぉ…。皆が“全身強化煩悩兵器人間あたる”とか〜“ラム様専用ラヴ・マシーンあたる”とか呼んでたっちゃ。ね?変な夢でしょ?」

「(ホントーに、あれは夢だったのか?)あ〜、そだな、夢じゃ夢っ。絶対夢じゃっ。ラムもおかしな夢見るな〜〜わははははっ……いてっ!いきなり何すんじゃいっ!」

ラムは、あたるの横に端座すると、こっちを向いた彼の頬を思いっきりつねって、引っ張った。

「痛いっちゃ?」

「はたひまへや〜〜!(当たり前じゃーー!)」

“むにゅう〜”あたるもお返しとばかりに、ラムのほっぺを軽く摘んで少しだけ引っ張った。

「はひふるっひゃ!(何するっちゃ!)」

“むにゅう〜”“むぎゅう〜”…ふたりは互いの頬を引っ張り合いながら、その痛さを実感していた。“ああ、やっぱりあれは夢だったんだ…”と。

そしてあたるは思っていた。夢の中でもラムはラムだったが…地球が負けていたら、夢の中で見聞きした通りになっていたのかもしれない、と。

(しかしオレは夢ん中で改造されておったよなぁ…つまり…“ラム専用ラヴ・マシーン”…っちゅーのは、当たらずも遠からず…って事か?オレのコレに、ラムの電気が集まってきて、それを…アレだ…一気に、どっかーーーーん!というのが、その改造内容だった、っちゅーわけかっ!?…あの夢の部分だけは…もしかしたら正夢かもしれん…。これはうかつに寝ておられんではないかっ!)

「しかし…全身強化…人間、ねぇ…。ま、確かにそうかもしれんよな…。他のやつらに比べたら、確実にラムの電流に耐性がついてきてるわけだし…」

そんな事をぶつくさ言いながら、今日はひとりで学校に向かったあたる。学校近くまでやって来ると、上空からラムの声がした。

「ダーリン、ひどいっちゃ!待っててくれたっていいのにっ!」

「ガキじゃあるまいし、学校くらいひとりで来れるだろ?」

「もうっ…ウチがダーリンと一緒に歩きたい、って思ってるの、知ってるくせに…」

あたるは周囲を見回し、人がすぐには通らなさそうな事を確かめると、ラムにまた聞いてみた。

「ラム、お前ホントーに、オレの事、改造とか…しとらんよなぁ?」

「そんなの知らないっちゃよ。もしかしてダーリンはどっか改造したいのけ?例えば〜…ア・ソ・コ…とか…うふっ♪」

「いやっ、それは結構じゃっ!」

そして間も無く、ふたりは学校に着いた。

いつもの日常。地球が勝った、平和な日常。

(ま、夢ん中みたいな強化人間やら、マシーンでなくとも、ラムは十分だろ…きっと。オレも…そうだしな)

そしてまた…“くんずほぐれつ”の夜がやってきた。ベッドで絡み合い、惰眠を貪り、またいつもと同じ朝を迎えるふたり。

しかしふたりは、“改造”という言葉に惑わされて、肝心な事を忘れていた。

あたるとラムにとっては、“改造”した、しない、に関わらず、互いが互いの強力な“ラヴ・マシーン”なのだ、という事を。そして今宵も“ラヴ・マシーン”と化したふたりは…。

--- E N D ---

あとがき


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