BPA〜バトルプレイボーイアタル〜


「また女にちょっかい出してーーーーっ!天誅だっちゃーーーーっっ!!」

友引町は今日も騒がしい。

「くっそー、電撃喰らわされてばかりでは、女の子にまともに声すらかけられんではないかっ!あっ、そこの彼女、お茶…どわっ!!」

“ドンガラガッシャーンッ!!”

「あら、このいい天気に落雷かしら?すごい音ねぇ」
「奥さんは引っ越してきたばっかりでご存知無いのね。あれはね…」

“すたたたたっ!!”

世間話をしていた主婦のひとりが、すぐ脇を駆け抜けていった男を指差して言った。

「ほら、あの子が雷の原因の、4丁目の諸星さんとこの息子さんよ」
「あ〜、あの子がそうなの?噂だけは聞いてたけど」
「あらそう。でもこの町もこれで結構平和なのよ〜、奥さんっ。あははははっ」
「そうねぇ、雷が落ちるくらいで、あとは平和そのものよね〜、ほほほほほっ」

友引町交番の警官もヒマそのものであった。

「今日も事故0件、死亡…0人…っと」

主な騒動の割合でいくと、あたるとラムのケンカによる器物損壊が約7割、残り約3割も、ふたりのケンカのとばっちりで自損事故を起こす車や自転車が数台と、時たまどこかの性悪学生が万引きや喫煙で補導される程度。実に平和そのもの…いやしかし、果たしてそう言っていいものかどうか。

それはさておき、毎日のように上空から雷を落とすラムと、それから逃げ回るあたるのお陰で、東京都23区内では、最も道路などの補修費用がかかっている町とも言える。つまり…ふたりが意識している、いないに関わらず、年末でも無いのにあちこちでアスファルトの修繕作業が絶えない。…そう、都の税金は彼らのために使われているようなものなのである。

「ダーリンッ!いい加減浮気はやめて、ウチとデートするっちゃーーーっ!!」

「ホントにしつっこいな、ラムのやつ。こうなりゃ実力行使あるのみじゃっ!」

と、あたるが走りながら喋っていると、物影からふいに誰かに腕を掴まれた。

「うわっ!何じゃ、一体!?」

とある家の塀の内側に引っ張り込まれたあたるは、頭を押さえ付けられ、その場にしゃがまされた。

「誰じゃ、一体っ!?」

と、あたるを追っ手のラムからかくまってくれた主が、頭上からあたるにひそひそ声で話し掛けてきた。

「いや〜さすがは先生。見事な逃げっぷりですな」

「…せ、先生〜?誰が?」

「またまたしらばっくれちゃって。先生のお噂はかねがね聞いておりますよ。今日は突然なんですが、ある仕事をお願いしたいと思いましてね…」

「仕事〜?バイトか何かか?」

年季の入った声の主は、しゃがんでいるあたると目線を合わせるために、自分もその場にしゃがみ込んだ。そしてその男が言うには。

「バイトなんてもんじゃありませんよ。先生のその逃げ足の速さと女好きの性格を見込んでぜひっ!お願いしたい件がございまして…」

「何じゃ、おっさんか。それにその“先生”ってのは何なんだ?一体?」

「女房、恋人の嫉妬による束縛から自由になりたい、という男たちの間で知らない者はないという、諸星先生…いえ、BPA…」

「だから一体何なんだよ?それにその“BPA”ってのは?」

「ご自分の事なのにご存知無い?“BPA”…裏の世界では“バトルプレイボーイアタル”と異名をとる諸星先生っ!…私の話だけでもぜひ聞いていただきたいのですが〜」

「そんなのは初耳じゃ。しかし“先生”ねぇ…オレもまんざらでもない、って事か。で、話ってのは?その前にオタクの名前まだ聞いてなかったんだけど」

「あ〜これは申し遅れました。私、こういう者です」

「…非合法男女交際研究所・セキュリティ部門担当、冬月?…コードネーム…カシオペア〜?何じゃこりゃ」

「“非合法男女交際”とは文字通り、浮気、の事でして。で、女房、彼女があらゆる手を使って我々の行動をハッキングしてくるわけですがね、あ、ハッキングと言っても、単にメールや手紙や背広の内ポケットをこっそりチェックしたり、探偵を雇って動かぬ証拠を掴むだけなんですけどね。その彼女たちの行動を逐一監視し、ハッキング行為を事前に阻止し防御のためのテクニックをマスターするため、私の部門では日夜“バレない浮気”を研究、遅くまで勉強会を行っている、という次第でして。そこで諸星先生にはっ!ぜひとも我々の専任名誉講師になっていただきたく、こうしてお願いに上がったわけです、はい」

「しかしなぁ〜…大体浮気に、合法も非合法もあるのか?しかも面倒そうな話だな…。それにオレ自身、金にもの言わせて女の子をゲットする、っちゅーのは自分のポリシーに反するわけだしなぁ…」

「もちろんそれなりの報酬は用意しておりますんで…」

「バイト料か?どんくらい?だけどオレとしては、金だけで動くつもりは無いんだが…」

「そうおっしゃるかと思いまして…これを手に入れるのに、苦労しましたよ…ささ、先生…」

「こっ、これは…鉄壁のセキュリティを誇るエスカレーター式都内私立お嬢様学校の中でも、特にグレードの高い女子たちで構成されているという“ねこのしっぽな放課後倶楽部”内だけで自主出版されたという、美少女写真集、住所名前電話番号付きではないかっ!一般には出回っていないという、マニア垂涎の一冊…し、しかも、初版…。わかりました、引き受けましょう」

「いやぁ、そうおっしゃっていただけると、私の面目も立つというものです。それでは先生には今夜から早速、今までの浮気経験談などをお話しいただきまして…」

あたるはホクホク顔でもらった写真集を早速見始めた。冬月の話などもうそっちのけである。するとあたると冬月の頭の上から声が…特にあたるにとって聞き慣れた声が、飛んできた。

「ダァ〜〜〜リンッ、人の家の中庭で、知らないおじさんと、一体何話してたっちゃ〜?それに手に持ってるその本は〜一体何かなぁ〜〜?」

「げっ、ラムッ!」

「な〜にが“げっ”だっちゃっ!?いい加減観念してウチのお縄につくっちゃっ!!」

「何でここがっ」

「大きな声で喋ってて誰も気が付かないと思ってたのけ!?それにウチは上空から探せるから、見つけるのなんか簡単だっちゃ!」

「…ここでこの超貴重な一冊を灰にされてはたまらんっ…こ、ここはひとつ…そうじゃ」

「ひとりでぶつぶつ、何言ってるっちゃ?」

あたるは写真集を服の背中とズポンの尻部分に上手く挟んで隠すと、妙に愛想のいい笑顔で、ラムに話し掛けてきた。

「いや〜そうだなぁ〜こんな天気いいしな〜、せっかくだからデートするか、ラム」

「えっ、ホントけ!?」

「その前にオレは家に帰って、汗臭くなった服を着替えてくるとしよう。ラム、お前はいつもの公園で、待ってなさい」

「うんっ♪いつもの場所で待ってるから、早く来てね〜、ダーリン♪」

「…ふっふっふ…まんまとオレの画策に引っ掛かりおって…。オレがそう簡単にラムとデートするわけなかろーが(ニヤリ)」

「いや〜さすがは諸星先生、今の彼女のあしらい方、お見事でした」

「とにかくこの次ラムに見つかったら本当にこの本を灰にされてしまうからな…一旦家に帰って出直すか…。で、冬月さん、今夜一体どこに行けば?」

「ご自宅に迎えに上がるのもまずいでしょうから、学校の門の前に午後8時、でいかがですか?」

「んじゃま、そゆ事で。今夜8時に」

「はい、皆楽しみに待ってますので…」

そしてあたるは1度家に帰り、本を押入れの奥深くにしまった。

「ここならそう簡単に見つかる事もあるまい。後でゆーーっくり、見るもんね〜♪…ラムに見つからんように…」

そしてあたるは、ラムとの約束などそっちのけで、再びガールハントをしに、繁華街へと繰り出したのであった。


その夜、午後7時頃。当然怒ったラムは、眉を吊り上げ口元に不敵な笑みを浮かべつつ、腕を組んだ立ち姿で、あたるの帰りを彼の部屋で待っていた。

「ただいま〜、あー腹減った〜、母さん、飯は〜?」

「今さっき片付けたところよ。冷蔵庫に何かあるから、自分で適当にあっためて食べなさいっ!」

「何でそんなに早いんだよ?まだ7時くらいだぜ?」

すると母親は洗面器に氷水を張った中にタオルを浸して、台所と夫婦の寝室を忙しそうに往復しながら言った。

「お父さん、インフルエンザに罹っちゃったのよ。だから今日は早めに夕飯済ませて早く休むの。あたる、あんたうつらないように気を付けなさいよ」

「父さんインフルエンザなのかよ…」

そしてあたるは仕方無さそうな顔で台所に入ると、冷蔵庫から適当におかずの残りを出してきて、冷えたままのものを、がつがつと食べた。

食べ終わって自室に行くと、そこには。

「…げっ、ラ、ラムッ…」

「また“げっ”なんて言って!そんなにウチがいるのが意外け!?」

「いや、そーゆーわけでは無いが…何だよ、その顔は」

「ダーリン、また約束破って…そんなにウチとデートするのが嫌なのけっ!?ウチよりガールハントの方が大事だっちゃっ!?」

部屋のサッシの枠やらカーテンレールやら、金属製のものが“パシッ、パシッ”という音と共に火花を散らしている。ラムの今日の放電は、細いスパークが部屋中に充満していて、空気がピリピリ痛いくらいに帯電していた。

「いてっ、何だよ、この放電はっ!」

「ウチを怒らせた罰だっちゃ!いつまでこの“痛い空気”が充満した場所にいられるか、賭けてみるけ!?」

「オレの部屋だぞっ!今すぐやめんかいっ!」

「ダーリンいっつもウソばっかりついて、他の女追っかけて、外じゃウチにちっとも優しくないしっ!…ウチが怒るといっつも…エッチで誤魔化そうとするし…もしかして…」

「表でベタベタなんぞ、恥ずかしい真似が出来るかっ!それに別に…誤魔化し…とかじゃ…」

「誤魔化しじゃなかったら、何なのけ!?もしかしてダーリン…ウチの…ウチの、カラダ、だけ…目当て、で…」

「アホかーーっ!!言うに事欠いて、カラダだけ目当て、とか…バカな事言うなっ!!!」

あたるは顔を真っ赤にして、ラムに思い切り怒鳴った。その迫力に圧倒されたのか、ラムは身体を“びくっ!”とさせて少し小さくなった。それと同時に放電も止まり、部屋を満たしていた刺すように痛くて熱い刺激は、波が引くように収まっていった。

「オレがラムの…カラダだけ目当てだったら…こんな事、こんな風にせんわっ!」

「ちゃっ!ダーリンッ…!」

あたるは身体をすくませているラムの両手首を掴むと、ベランダ側のサッシ窓の方へ彼女を押しやった。カーテンが引かれていない状態で、外から部屋の中が見えてしまう状況のまま、ラムを窓に軽く押し付け手首を掴んだまま、あたるは唇を重ねてきた。

今夜のキスは、それほど深くなく、あたるは何度もラムに唇を押し当てたり離したりを繰り返すだけだった。ラムの柔らかくてぷっくりした唇をあたるの唇が濡らす。あたるがラムの唇を少しだけ吸い上げ、それを離す時、ちゅぱっ…というキスらしい音が、ふたりの耳に入った。

「こういうキスは…嫌いか?」

「ううん…こういうのも、好き…だっちゃ。でもダーリン…ウチら外から見えてるんじゃ…」

「人に見られたら…嫌か?オレはちっとも、構わんぞ…」

「ホントに?誰かにウチとダーリンの事見られても、いいのけ?…何だかダーリンらしくないっちゃね…ふふっ…」

「何で?」

「昼間は外でベタベタするの嫌がってるくせに、こういうのは見られてもいいのけ?ウチと、ダーリンが…エッチしてる…ところとか…」

「いや、さすがに見られて興奮する趣味は無いんだが…ラムはどうなんだよ?人に見られたら余計に興奮するとか…無いのか?」

「キスくらいならいいけど…エッチしてるところまでは、ちょっと…」

会話の間に、掴んでいたラムの手首を離し、あたるは彼女の腰に腕を回した。ラムもあたるの首に腕を回して、身体をぴたっとくっつけた。

息がかかるほど…というより、唇が触れ合うほどの距離で、ひそひそと話すふたり。そして先のようなキスを断続的にしながら、その合間にひそひそ声の、ふたりだけの会話を繰り返した。

「軽いキスだけでも、うんと、気持ちいいっちゃ…」

「うん?そっか?」

あたるは唇だけでなく、時々ラムの頬や耳や首周りにも、何度かキスをした。

「うぅん、くすぐったいっちゃ、ダーリン…ふふっ…んもう…あんっ、くすぐったい…っちゃ…やんっ…」

「オレにこういう事されて…気持ちいいだろ?」

「うん…ダーリン…好き…。ごめんちゃ…あ…あんな、事、言って…」

頭を反らしながら、ラムが小さな声でそう呟いた。するとあたるは、ラムの耳元に息を吹きかけながら…囁いた。

「…ラム…もっと、気持ちいい事…するか?」

それに対して、こくり、と頷くラム。

「でも、外から見えるから…ここじゃあ…。電気も…あ…け、消さないと…う、ふぅ…」

「オレは…ラムとのこういうのを…見られても、構わんぞ…」

「でも…」

ラムがそう言い掛けたところで、あたるが口で口を塞いだ。今度は先のような軽いキスではなく、深い深いキスだ。
舌先でラムの牙を舐め、上あごをくすぐる。するとラムの舌があたるの舌の裏側に絡んできて、お互いの口内の性感帯を刺激し合った。
ラムの腰を抱いていたあたるの手が、彼女の尻に滑ってきた。むにゅう…と、ラムの形のいい尻肉を掴む。そしてあたるはラムの虎縞のボトムの中央、尻の狭間に、すすっ…と手のひらを滑らせていった。

あたるに強く抱き着きキスをしているラムのカラダが一瞬“びくっ”となった。ラムの尻が震えだし、両足が緩やかに開いていく。

“くにゅ…”と、あたるの指がラムの尻の狭間に食い込んだ。するとラムはキスをしたまま、あたるにより一層強く抱き着き、左足を上げて、あたるの指が食い込んだ陰部を…広げた。

「んんんっ…んふっ…う゛…ふぅ…んっ…」

ラムは陰部の前面をあたるの股間に押し付けた。ズボンの上からとはいえ、彼のモノが硬く膨らんできているのが、わかる。
股間の前面同士を合わせ、ぐりぐりと押し合い揉み合う。あたるの逸物はズボンの中ではちきれんばかりに膨らみ、ラムもボトムの内側を、その行為とあたるの指で、たっぷり濡らしていた。

互いに刺激し合いながら、やがてキスを解いたふたり。あたるもラムも息遣いが荒くなっていた。はぁはぁ、と熱い息を漏らしながら、衣服を身に着けたままのペッティングが続く。

「あんっ、ダーリンッ…後ろから、なんて…あ、ぁ…」

くいくいっ、とラムのスリットを、布地の上から割り開く。そしてあたるはラムの下の入り口を指先で探り当て、そこに指をぐにぃ、と突き立てた。

「だめ、ぇ…濡れて…横から…漏れて、きちゃうぅ…」

確かにラムのボトムの滑りが極端に良くなってきた。そして彼女が言う通り、太ももの内側は、ぬるりとした汁で濡れていた。

「あ、あ…だめ…み、見えちゃう…外から…」

「見られてる、って思ってんのに…こんなに濡らしてんじゃないか…」

そしてあたるはラムのビキニのトップをめくり上げると、ぷるんっ、と飛び出した乳房に食い付いた。
舌表面でラムの乳首を上下左右に揉み込んでいく。時々、ちゅうぅぅ…と吸い上げたり、反対に舌で押し潰したりするあたる。ぐりぐりと円を描くように乳首を転がしてやると、ラムは窓ガラスに両腕を張り付けて、いやいや、をするように頭を小さく大きく左右に振った。

「あっ、あんっ…おっぱい、が…感じて…もっと、濡れて…きちゃう、ぅ…」

ちゅうぅぅ…ちゅぱっ…。あたるはラムの乳首を立たせると、今後は床に膝を着いて、彼女のボトムをするりと下げていった。

ボトムはラムの濡れた陰部に張り付き、それを引き下げると、愛液が布地と陰部の間でとろりとした糸状になって伸びていった。そして更に下げると愛液の糸は切れたが、ラムのスリットからは半透明の体液が、太目の糸状になって垂れ、濃厚なそれは、ゆっくりと伸びながら、濡れているボトムの上にボトリ…と落ちた。

ラムの陰部から漂う、濃厚ですんっ、とした女の匂いがあたるの鼻をつく。

「あんま、り、焦らさないで…ダーリン…」

そしてあたるはズボンの留め具を外して、下着と一緒にそれを腰の下まで下げた。中から飛び出したのは、天井を向いてたくましく立ち上がっている、あたるの男のシンボルだった。

「ダーリンの…やっぱり、すごいっちゃ…」

窓に張り付いて抱き合いながら、人に見られているかもしれない羞恥心と、あたるを迎え入れる時のいつものドキドキ感で、ラムの心臓はいつも以上にバクバクしていた。

そして、ラムの濡れているスリットに、あたるの逸物の頭が潜り込んできた。ラムの膣口に押し付けられた、あたるの亀頭。互いに濡れてはいるものの、あたるの逸物はラムの愛液で、更に濡れた。

「このままで…ダーリンのが…入って、くる…っちゃ…あ、あぁ…」

あたるのカサの部分がラムのクチを押し広げて入っていく。ゆっくりと。

「ダーリン…」

ラムは少し泣きそうな声で、あたるを呼んだ。カリ首までをラムが呑み込むと、あとは腰を使って、ぬぬ…ぬ…と、陰茎を押し込んでいった。温かく、熱く、ぬめって、ほどよく締まり、あたるに吸い付いてくる、ラムの内側…。

「んっ、ふぅ…ダーリンのが…奥、まで…入って…きたっちゃ…」

再びあたるに強くしがみ付くラム。着衣のまま、外から見えるだろうふたりの姿は…抱き合ってボトムを引き下ろされたラムの後姿と、それにぴったり密着しているあたるの姿が少しだけ。
が、やがてふたりは、同期をとって上下に揺れ始めた。ここまできてしまうと、もし誰かが外から見ていたら、ふたりが何をしているかは、一目瞭然だった。

あたるに吸い付いて離れない、ラムの膣壁。ラムはぐぐっ、と両足を力ませて、あたるの逸物を締めた。

「うっ…ラム…」

「ウチだけの、ダーリン…ダーリンッ、ダーリンッ!」

ラムの腰を力強く抱いて、自身を送り込むあたる。腰を縦に振り、さまざまな声で反応するラムを悦ばせるあたるの逸物。それは、ラムに彼の浮気を忘れさせる事の出来る、強力な武器…媚薬、のようなものだった。

「うんっ、うふぅっ…奥まで、届いて…るっ…」

出だしのキスから、一体どのくらいの時間が経っただろうか。あたるは今夜8時の約束など、すっかり忘れていた。

と、突然、部屋のドアが“ガチャリ”と開いた。びっくりしたのは、部屋に入ってきた冬月と…あたると、ラム。三者三様の驚きと、うろたえぶりを見せている3人。
あたるは後を振り返り、“ぎょっ”と目を見張ったし、ラムは真っ赤になって、あたるにすがるように彼にしっかと抱き着いた。そして冬月は。

(こっ、これはっ…男性のモノがそれなりに長くないと、女性の奥まで届かないという、“対面立位”っ!しっ、しかも…外から見えそうな、窓際プレイ…)

そして彼は続けて心の中で、さまざまな言葉を繰り出していた。

(諸星先生がこのような異常性癖の持ち主だったとは…。否、おふたりとも同じ歳であるからして、“超法規的措置”というわけでもないわけだが…しかし彼女の胸も見事なものだが、私としては、高校生の美乳よりも、巨乳…女優で言うならば、私はあんじぇりーな・じょりぃ〜のファンであって、あの見事な胸と官能的な眼差しは正に“官能アクション女優”というに相応しいっ!)

そして、別れた妻や残してきた子供の事を一通り思い出し、ラムを“あたるの毒牙にかかった美少女”という風に頭の中で仕立て上げた彼は、自分の不甲斐無さを(笑わば笑えぃっ!)と心の中で叫んで開き直り、そして、最後にひと言。

「見なかった事にしよう♪」

と、締めくくった。

困ったのはあたるとラムである。行為の真っ最中だというのに、ふたりは冬月を目の前にして、固まったままになってしまった。続きをしようにも…出来る状況で無い事は、明白である。

「あ、これは失敬。私は切れたタバコを買いに行ってきますので、その間に続きをどうぞ」

そして彼は動揺しまくっていたのか、部屋のドアをぎくしゃくした動きで閉めて、階段を下り始めた。と、人が階段から転げ落ちるような大きな音がした。どうやら動揺したままの冬月が、階段から落ちた音らしかった。

「…ダーリン…あのおじさん、昼間の…」

「お、そうだった。8時に待ち合わせしとったんだ、すっかり忘れておったわ」

「待ち合わせて〜、どうするつもりだったのけ?ダーリン。…それより、ウチ、まだ…」

「しかし、“続きをどうぞ”と言われても、なぁ?」

「うん、もうっ…それじゃあ、ウチが…すぐその気に、させてあげるっちゃ…」

ラムは股間にぐぐっ、と力を込めて、あたるの陰茎の根元付近と、膣内の逸物を数回締め付けた。

「うっ、おっ…きっ、来た〜〜っ!…そ、それじゃあ…い、一気に、イク、か?」

「…あんまり乱暴にしたら…ダメだっちゃよ?」

「わかってるわ、そんくらい…」

そして邪魔が入って中座してしまったふたりのプレイは、再開されたのであった。

「ふんっ、ふんっ、ふんっ、ふんっ!」

「あんっ、あんっ、あんっ!奥、までっ、突いて、きてっ…あ、あ、あぁっ!」

あたるの腰の動きが早まり、一気にピッチを上げた。ラムは胎内の奥の奥であたるを感じながら、悶えの声を上げ続けている。
そして放電しているラムの電流があたるのカラダに蓄電されると…彼はフィニッシュ技をかけた。そう、あたるのラムをイカせる必殺技とは“エレクトリックサンダーボルト・タイガーリターンズ”…まぁ早い話が、ラムから送られてきた電流を、全身と精液で彼女に返し、イカせる、というものであった。

「…くっ、くっ……う、おっ…!」

「ひあぁっ!だめっ、もうっ、ウ、ウチ〜ッ!…あぁあぁっ!イッ、イクッ!イッちゃうーーーーっ!!」

そしてふたりは、いつものように、ほぼ同時に…高みに達したのであった。


ふたりは脱力して、ずるずるとその場にへたり込んだ。あたるがラムから逸物を抜くと、白濁の汁がラムのクチから漏れ出ている。

「ちょっと匂い落としたいから…UFOでシャワー浴びてくるっちゃ。ダーリンは?」

「いや、オレは…後ででいい」

「もしあのおじさんと、妙な事考えてるなら〜、後で超ド級の電撃だっちゃよ!わかってるのけ!?」

「あー、はいはい、わかったわかった…あ、後でUFOに行くから、迎えに来てくれよな」

「…まだ、足りないのけ?」

「シャワー浴びに行くだけ…っちゅーわけにもいかんかもなぁ…」

「もうっ、ダーリンの…スケベッ。それじゃあウチ、行くっちゃ」

そしてラムがUFOに行ったのと入れ替わりに、外に行っていた冬月が戻ってきた。

「諸星先生…コトは終わりましたでしょうか?いや〜浮気をしながらも本命の彼女のハートをガッチリ掴んでらっしゃるっ!お見事です。我々の理想としても、浮気はしたいが本命には逃げられたくない、というのが本音でして…で、その秘訣を伝授していただきたい、と、今日はそういったお話が聞ければ、と思いましてね」

「しかしそう大したネタは無いぞ?ま、敢えて言うならば…走れっ!…と、このくらいのもんかな」

「走る?これはまた…シンプルな。ただそれだけ?」

「そうっ、浮気の現場を押さえられて逃げるのも足ならば、体力をつけるのも日頃の“走り”がモノを言うんじゃ」

「ほ〜なるほど〜…さすがは先生、単純な動作の中にも、浮気と本命に対する意気込みが感じられますなぁ」

「オレが話せるのは、こんくらいだぞ?それでもいいのか?」

「いや〜今のお話だけでも、じゅ〜ぶんっ!勉強になりましたよ。目からウロコですな。今日のお話は先生から直接、ではなく、私から皆に伝授させていただきましょう」

「…まさか、さっきの本を返せ、とは言わんだろ?しっかりオレの秘技を伝授したわけだからな」

「で、もうひとつお聞きしたい事が…」

「何じゃ?」

「立位で彼女を満足させる先生は、一体どの位のサイズがおありでっ!?そしてそのサイズにするには一体どんなトレーニングをっ!?もしや先ほどの“走る”が効果的とか…」

「…アホかっ…オレのがどーだろーと、どうでもいいだろーがっ!」

「そうですか〜、そのお話しも今度ぜひ!というわけで、私はこれで失礼します」

そして冬月はニコニコ愛想良く笑いながら、あたるの部屋から出ていった。

「…何だったんじゃ、あのおっさんは、一体…」

そしてしばらくしてから、あたるはラムのUFOへと行った。…行けば行ったで、何もなく翌朝を迎えるわけが無い。

「い、いいぞっ、そのっ、腰の、ひねりがっ…」

「ダーリンの、もっ、あっちこっち、当たって…あ、あんっ、いいっちゃぁ…」

ふたりはベッドの上で、交差位によるセックスに耽っていた。ラムは腰をひねってあたるの逸物をぐいぐいと締め付けつつ、腰を振って彼に更なる揺さぶりをかけている。

「オレからも…ほれっ、お返しじゃっ…」

「あっ、やっ、そんな、にっ…ナカ、掻き回し、たらっ…で、出ちゃうっ…ああっ!だめぇーーーっ!出ちゃうぅぅーーーーっ!!」

“ぷしゃあぁぁぁーーー…”…ラムは胎内を圧迫された刺激で、尿道口から熱いものを…たっぷり噴射させた。

「い、いやぁ…ウチ、恥ずかしいっちゃ…ウチの、おしっこ…が、ダーリンに…」

ラムの温かな小水で、あたるはびしょ濡れにされた。が、そんな事など彼は少しも気にしていなかった。むしろ…自分にベタ惚れのラムが、“好き”や“愛してる”という言葉以外のものをあたるにだけ、惜しみなくさらけ出してくれる事が…快感だったのだ。

今更説明するまでも無いが…そんなラムの事を、あたるは…浮気で声をかける女の子以上の気持ちで、見ていた。

「また、汗と…ウチとダーリンの汁で…カラダ中、ぐちょぐちょに…なったっちゃ…」

「そのぐちょぐちょ加減が…また、いいだろ?」

ふたりは今度は正常位の腰高位で、絡み合った。

「今度は、もっと、もっと…奥までっ、ダーリンが、届いてっ…はうんっ!ひぁあぁんっ!!あぁあーーーっ!!」

「ラムは…よくっ…声っ、出す、よな…それがっ、またっ…」

「あぁんっ!あぁっ!飛んじゃうっ!イッちゃうーーーーーーっっ!!」

UFOの中では、ラムは諸星家のあたるの部屋以上に乱れ、感じるままに声を上げた。誰はばかる事なくそれが出来るからだ。

そして夜もすっかり更けた頃に、ふたりは体液まみれのまま上掛けを被り、抱き合って、眠りに就いた。


「あれ、ダーリン、あのおじさん…」

「お、あの冬月とかいうおっさんではないか。何やっとるんじゃ、こんなとこで」

あたるとラムの視線の先、住宅街の路上をとぼとぼと歩いていたのは、あの冬月という男性であった。

「あ、これは…諸星先生」

「平日の昼間に、こんなとこで肩落として歩いて、何してるっちゃ?」

「いや〜夕べ再婚した女房に浮気がバレましてねぇ、散々こっぴどくやられちゃいまして…で、離婚届けの紙取ってこい、とさっき追い出されたとこなんですよ…」

「浮気のセキュリティ担当ではなかったのか?」

「まぁこういう事になっちゃいましたからねぇ。それに実は…先日のおふたりの窓際プレイ、研究所の面々でしっかり拝見させていただいてたんですよ」

「…ええぇっ!?…ほらっ、ダーリンッ!やっぱり見られてたっちゃーっ!バカーッ!!」

「…バカと言われても、見られたもんはしょーがなかろーが…」

「で、結局おふたりの姿に当てられたのか、皆、女房や恋人の元に帰っていきましてねぇ。今のところ研究所は…稼動していない、というわけでして…せっかく諸星先生にお会い出来たというのに、実に残念です」

「…何だっちゃ、その“先生”っていうのは?」

「…オレが“戦う浮気者・諸星あたる”先生なんだと。まぁ、毎日ラムや、声かける女の子たちとは、戦ってるみたいなもんだしなぁ。わははははっ」

「…なーにが“戦う浮気者”だっちゃ。バッカみたい。浮気なんかやめれば一番いいのに」

「というわけで、“BPA”諸星先生、この次先生に依頼出来る仕事が、今のところ無いんですよ。ところで先日の本は、満足されましたでしょうか?」

「うわっ、ちょっ…」

「本、って何だっちゃ?ダーリン…」

「いや…学校で使う参考書じゃ、参考書っ!」

「ふふ〜ん♪後でその本っていうの、ちゃーんと見せてもらうっちゃ。で、もしも〜ウチが気に入らない本だったら〜!どうなるかわかってるっちゃよねぇ?」

「あの貴重な本を灰にされてたまるかっ!…あっ」

「やっぱり女の本なのけーーーっ!?ダーリンのぉ〜〜!浮気者ーーーーーっっ!!」

「くっそー、ここはひとつ、逃げるが勝ちじゃっ!…どわっ!うわっ!」

“ドンガラガッシャーン!”

「待つっちゃ、ダーリンッ!!」

そしてあたるはラムの電撃を上手くかわしながら走り去り、ラムもまたその後を追って飛んでいってしまった。

「やはり走るのが一番、という事ですか…。そんじゃま、私も先生を見習って、走るとしますか…区役所まで…はぁ〜〜」

その後、“非合法男女交際研究所”がどうなったかは、定かではない。

…そして、“戦う浮気男・諸星あたる”であるが。浮気はしつつも、夜な夜なラムと“くんずほぐれつ”な日々を送っている。

「ダァリンは…何で、浮気…なんか、するっちゃ…」

「オレは…自由が…好きな、だけじゃっ…ふんっ!」

「あはぁっ!…ウ…ウチに、縛られ、るのが…そんな、に…嫌…け?…あぁんっ…」

「自由に、やっとるから…ラムの事も…」

「…ウチ、の事も…何?」

「いや、何でも…ないぞっ…くっ…ほんじゃ、ま…実際、ホントに…自由に動けんかったら…どんな感じ、か…やってみるか?」

「…ダーリンの、変態っ…でも、ちょっと、ウチ…ドキドキ…してきてるっちゃ…」

…そして。

「…緊縛プレイで…カラダは、自由じゃなくても…ウチの、心は、いつでも、自由、だっちゃ…。ダーリンを、好き…だって思う、のも…自由……ああああぁぁぁぁーーーっ!!」

「…心は…自由、だよな…。…オレは…ラムを…」

“戦う浮気男・諸星あたる”の心を本当に自由に休ませてくれるのは…たったひとりだけだ。束縛されて自由が無いように思えても、一番自由に自分をさらけ出せる相手。それが…ラム。

…いや、自由に自分をさらけ出しているつもりが、実はラムに好んで束縛されている、という事に…あたる自身、気が付いていないのかもしれない…。

--- E N D ---

あとがき


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