いつもとなりに


ある日、ラムが星(じっか)に帰った。母親が風邪で寝込んだ見舞いだそうだ。

「諸星、ラムさんはどうした?具合でも悪いのか?」

「…実家に帰っとる」

「貴様、何をしたっ」

「ただ実家に帰ったというだけで、オレが悪い、っちゅーのか!?面堂っ」

と、まぁ、条件反射的に刀を振り下ろす面堂の刃を、いつものように真剣白羽取りで受け止めるあたる。

「あのなぁっ、母親が寝込んだからその見舞いじゃっ、見舞いっ!」

「ふんっ、どうだか。大方貴様に愛想でも尽かした口実ではないのか?」

「何でオレがラムに愛想を尽かされにゃ、ならんのじゃっ!」

面堂や他の男子にしたら、ラムがあたるに愛想を尽かしてくれたら、どんなに嬉しい事か。しかし現実はあたるが言った通りなのである。その証拠にテンを通じて、ラムがいつ頃帰ってくるか、あたるは聞かされていた。

面堂は刀を静かに鞘に収めると、「ふん」と言って、自席に着いた。

(いちいちうるさいっちゃねーなぁ、ラムが休んだからどーだと言うのだっ。オレにしたらガールハントの邪魔が無くて…)

そこまで思ったところで、あたるはその考えを打ち切った。そして帰り。いつものように、しのぶや竜之介やランやサクラに声を掛けまくる。が、結果はいつもの通りで、平手や肘鉄、回し蹴り等々を喰らっては、その場に叩き付けられる事の連続であった。

しかし彼は不屈の闘志の持ち主である。その程度で懲りるはずもなく、帰りも道行く女性に声を掛けては、同じ目に遭っていた。

「今日は収穫無し、か…」

そうぼやきながら家路をたどっていると、偶然しのぶに出くわした。

「よ、しのぶ〜♪今から映画でも行こうか♪」

「何言ってんのよ。女の子に声掛けても、ラムがいなくて調子出ないくせに」

「なーに言ってんだって。ラムの邪魔が無くてせいせいしてんだから、久しぶりに映画でも…」

「こっちこそ“なーに言ってんだ”よ。空いてる隣の席、気にしてたくせに」

「それは気のせい、見間違い。何でオレが、ラムの席気にしなくちゃならんのだ」

「あら、あたしは“隣の席”って言っただけで、ラムの席とは言ってないわよ?今日はあたるくんの両隣、空席だったじゃない」

「あ、ああ、そうだった、そうだった♪どっちも気になってないって〜」

「今更ごまかしても、遅いわよっ。ところでラムはいつ帰ってくるのよ?」

「さぁ〜ねぇ〜。別にこのまま帰って来んでも…」

「うそばっかり。よくもまぁ、そんな心にも無い事が言えるわねぇ〜」

しのぶはしらっとした態度でそう言いながら、あたるをちらりと横目で見た。

(やーっぱり元気無いってゆーか、覇気がいつもより無いのよねぇ。本人絶対否定するけど)

しのぶはそんな事を思いながら、ふたりはしばらく黙ったまま歩いた。そしてふいに彼女の方から口を開いた。

「ま、ラムが戻って来ないんじゃ、学校も何だか退屈だし。そろそろ帰ってくるんでしょ?実家から」

「ん、まぁ…今日か明日くらいには、な…」

(やーっぱりラムがいないとダメなのねぇ。こんな事言ったって、本人絶対、違う、って言うだろうけど)

「あのな、しのぶ…」

「何よ?」

「やっぱ映画行かない?」

「しょーがないわね、あたるくんのヒマ潰し…ラムが帰ってくるまでの時間繋ぎに、ね。今日だけよ、今日だけっ」

しのぶが渋々承諾すると、あたるは彼女の言葉に反論するでも無く、にこにこ顔になった。そしてふたりは街の映画館へと行った。


しのぶと映画に行ったその日、あたるはテンからラムの事を聞いた。

「あんなぁ、おばちゃん、まだ具合悪いらしいから、帰るのもうちっと延ばす、言うてたで。ラムちゃん」

「何じゃ、もうそろそろ1週間になるのに、か?」

「しゃーないやんか。ラムちゃんかて、たまには母親の傍にいたい、思う事もあるやろ。それともあたる、お前寂しいんとちゃうのか?ラムちゃんおらんで」

「アホ抜かせっ。オレはただ今日か明日には帰るって聞いてたから、そう言っただけじゃっ」

「ま、ラムちゃんかて、たまには一家団欒したいやろしなぁ。いくらアホのお前の傍がいい、言うたって、親子の絆には勝てへん、ちゅーこっちゃ」

「ジャリテン、お前はオレにケンカを売っとるのかっ!?」

「ワイはホンマの事言うとるだけやないか。それにお前、最近寝言多いで。うるさてかなわんから、ワイは下で寝るさかい…わわっ!何さらすんじゃっ!アホーーーー!!」

仏頂面になったあたる、どこからかフライパンを取り出すと窓をガラリと開けて、じたばたするテンを空の彼方へ叩き出した。

「ったく、どいつもこいつも、うるさい、っちゅーんじゃっ」

それからしばらくして復活したテンは、自分の宇宙船に行くと、ラムとの通信を始めた。

「ラムちゃん、ラムちゃん。聞こえてるかー?こちらテン、こちらテン、どーぞ」

「あ、テンちゃん。元気にしてるっちゃ?」

「今さっきアホにフライパンで飛ばされたばっかりや。ところでラムちゃん、まだそっちにおるんか?」

「母ちゃんの具合は良くなったけど、ダーリンから帰って来い、って言ってくれるまで、まだこっちにいるっちゃ」

「そないな事しとったら、ずーーっと、地球に戻って来られへんで。なぁ、そろそろ帰ってきぃへんか?」

「ダーリン、どんな様子け?」

「最近寝言多いわ。何言うとるかよくわからんけどな。相変わらず飯もよう食うとるで」

「そうけ。ね、テンちゃん、寝言録音して、聞かせて欲しいっちゃ」

「そんなもん聞いてどないすんねん?」

「もしかしたら、ウチの夢でも見てるのかなーと思って」

「あんまり聞いても、おもろいもんやないで?」

「テンちゃん、寝言の内容知ってるのけ?」

(他のねーちゃんたちの名前言うたり、ラムちゃんの事、アホ言うたりしてるからなぁ…)

「どうしたっちゃ?テンちゃん」

「あ、いや〜、わかったわ〜、ほなら録音しておくさかい」

「ウチはもうちょっとこっちにいるから。それまでテンちゃん、いい子にしてるっちゃよ」

「ワイはいつでもええ子やで〜」

そこで通信を終わらせると、テンはあたるの部屋に行った。窓を開けて入ると、あたるは高いびきをかいて眠っていた。

「何ちゅー品の無い寝方や…」

小声でそう言うと、小型ボイスレコーダーをあたるの枕元にこそっと置いて、テンは階下に下りていった。


それから2日後の朝、ラムが帰ってきた。

「ただ今だっちゃ、ダーリン♪」

「こっちは羽根が伸ばせてせいせいしとったのに…」

「よく言うっちゃ。あーんな事、言ってたくせにっ」

「何がじゃ!?知らんっ、知らんぞ、オレはっ!」

「寝言にしては、随分はっきりした寝言だったっちゃね〜」

「だからオレは何も知らんっ!」

そしてふたりは学校へ出掛けた。あたるはいつも通りふんぞり返って歩いているし、ラムはその隣をゆっくりしたペースで低空飛行する。
ラムの席にラムが戻ってきて、あたるは何かこう、空っぽだった空間が埋まったような、そんな気がした。

「ラムさん、お母様の容態はもういいんですか?」

「ただの風邪が長引いただけだから、もう大丈夫だっちゃ、終太郎」

そしてラムは1時限目の用意をするためカバンの中をのぞいた。すると。

「あ、カバンの中、そのままだったっちゃ。ダーリン、教科書見せて」

どうやらカバンの中身を出掛ける前そのままにしていたため、教科書を忘れたらしい。ラムからガタガタと机を動かして、あたるの机に寄せると、ぴたっとくっつけ、「ダーリン教科書、忘れてないっちゃよねぇ?」と、彼を見ながら問い掛けた。

「何やっとるんじゃ、ほれ」

ふたり並んで教科書をのぞく。あたるは途中、早弁のため教科書を占領したものの、結局午後の授業までラムは机をそのままにしていた。

「全部忘れたのか?教科書」

「ううん、そうじゃないけど。でも机離すのも面倒臭いっちゃ」

「持ってるなら自分のを見ればよかろーがっ」

「嫌なのけ?ダーリン。別にいいでしょ?たまには」

「他の子だったら喜んで見せるんだがなぁ〜」

「ウチに教科書見せるの、そんなにっ、嫌なのけっ!?」

「忘れたお前が悪いんじゃ。なして今日1日中、ずーっとラムと机くっつけとかにゃならんのじゃ」

「ダーリン、あーんな事言ってて、よく言うっちゃ。誰かに教えちゃおうかな〜」

「だからあれは寝言っ!寝言にまで責任持てるか、っちゅーのっ!」

「冗談だっちゃ」

「…冗談も大概にせいよ…」

「ね、ダーリン。帰りにデートしよっ、1週間ぶりに帰ってきたんだし」

ラムの話はよくころころと変化する。しかも何の前置きも無く唐突に、だ。

「オレは忙しいのっ!」

「どーせガールハントだっちゃ」

「そっ!」

「ウチが1週間もいなかったのに、ガールハントけ」

そしてラムはあたるに顔を寄せて、こそっと言った。

「…1週間の間、ウチがいなくて、どーしてたっちゃ?ダーリン」

「…アホッ、こんなとこで聞くやつがあるかっ」

「だったら帰りにデートしながら聞かせて欲しいっちゃ。そうじゃなかったら〜…」

「(ぎくっ)な、何を聞かせろと言うんじゃっ、言う事なんぞ何も無いぞっ」

「“あんな事”言ってたくせに〜、よく言うっちゃ。ホントに素直じゃないっちゃね〜、ダーリンは」

「ガールハントしても怒らん、と言うなら、デートしてやってもいいぞっ」

「あーーーっ、そんな事言うのけっ!?“あんな事”言っといてっ!」

ラムの声が急に大きくなると、周囲の生徒達の視線がふたりに集中した。

「わっ、ばかっ、何言い出すんじゃっ!」

「ばらして欲しく無かったら、デートッ!それが条件だっちゃ」

「…ガールハントしても、怒らんか?」

「怒るに決まってるっちゃ!」

「でも無理っ。無理じゃっ。可愛い子がそこにいれば、自然と声を掛けたくなるんじゃっ!」

「もーーっ、しょうがないっちゃねー。その代わりウチにお茶おごるっちゃ!」

というやり取りの後、帰宅途中で街に出たあたるとラム。あたるはせわしなく女の子に声を掛けながら住所と電話番号を聞きまくっていたが、ラムは半ば呆れたのか、眉を吊り上げながらも電撃を出さずにいた。

そして喫茶店でお茶を飲むと、外はもうすっかり薄暗くなっていた。

「そろそろ晩御飯の時間だっちゃ。早く帰ろ、ダーリンッ♪」

「ラムのお陰でちっともガールハントが、ままならんかったではないかっ」

「それは後で…埋め合わせ、するっちゃ。それで…いいでしょ?」

「そういや…1週間ぶり…だもんなぁ…」

そしてふたりは“家族”の待つ家路へと…腕を組んで歩みを進めた。


「ほら、ダーリン…見て…」

ラムはUFO内のベッドの上で、ビキニのボトムをするりと脱ぐと、後ろ手を着いて膝を立て、体育座りのような格好をしてみせた。太ももの付け根からのぞくラムの秘所に足の影が落ちて、色や形が微かに見えるだけだ。

ラムの目の前にあたるがいる。ごくり、とのどを鳴らして、ラムを見やる。するとどこからか、別のあたるの声が聴こえてきた。

“ジャリテンのやつ、何を置いてったんじゃ…どーせラムにでも頼まれたんだろ…”

「わっ!何じゃ、この声はっ」

あたるは一瞬びくっとして、辺りを見回した。

「ダーリンの声を録音したボイスレコーダーを再生してるとこだっちゃ」

「何で、んな事を…」

「ダーリンが言ってた事、また聴いてみたいなーと思って」

「何ちゅー悪趣味な…」

“あー、あー、もしもしー、もしもしー…オレの声でも録音しとるのか?大方ラムの考えそうな事だな…”

「よくわかったっちゃねぇ。寝てたんじゃなかったのけ?」

「枕元でごそごそやられとったら、目も覚めるわっ」

“…もうそろそろ…1週間…だろ?おい、ラム、聞いてるか?”

「何だかダーリンがふたりいるみたいだっちゃ♪」

「何を気楽な事を…」

そして…ふたりはカラダを重ね合った。

「あったかくて…いい気持ちだっちゃ…ダーリン…」

“あのなぁ…まだ帰って来んのか?…もう1週間だぞ?…いい加減に…”

「あぁ…ダーリン…」

ラムはあたるの声を聴きながら、カラダをくねらせ、悦びの声を幾度も漏らした。

“…いい加減に、だな…戻って…くるのか、こないのか、はっきりせいっ…”

「ダーリン…ダーリン…」

“オ、オレは、アレだ…そろそろ、だな…我慢の…限界、っちゅーか…”

「ウチも…我慢…出来ないっちゃぁ…あ、あぁ…ダーリン、ダァ…リン…」

“とにかく…早く、戻って…来い……いや、べ、別に、アレがしたいとか…ナニがしたい、ってわけじゃないぞっ、言っとくが…”

「…でも…ウチと…したかった…ん、でしょ…?ダーリン…」

今夜のあたるは夢中でラムの肌に吸い付き、赤い印を付けていった。ラムの肌に、キスマークの跡が…花びらのようにいくつも…浮かんでいった。

“あ、あのなぁ…学校の席も…隣、が、空席のまんま、だろ?”

「ウチも…隣に…ダーリンがいなくて…あっ、はぁ…はぁ、はぁ…あぁ…ぅ、んっ…」

“だから、そろそろ…戻って来い、って…なぁ…ラムの…ラムの…アホ〜〜〜…”

「…また、ダーリン…ウチの事、アホ…って…んふぅっ!…ひ、やぁ…ダァ、リン…」

あたるは口唇でラムの乳首を吸い上げ、尖らせた。濡れた乳先が、唾液で“てらり”と光って見える。

「あっ、あぁっ!ダーリン、ダーリンッ!!」

あたるの背に両腕を回し、彼の髪の毛を乱すラム。

「この、後は…ホントの、寝言だから…再生しない、けど…」

「ほんっとに悪趣味だな…ラムは…。こっちの方の趣味は…どうなんだよ?」

乱れるシーツの衣擦れの音。若いふたりは欲望のままに絡み合い…あたるは激しくラムを抱いた。成熟する前の若いカラダ。それでもふたりは大人並みの交わりを求めて、深い深いセックスにのめり込んでいくのだ。

「ウチ、ドキドキ、して…熱くて…溶けちゃい、そう…だっちゃぁ…」

「…ラム…」

柔らかなラムの肢体。柔軟性のあるカラダ。ラムはあたるの肩に両足を引っ掛けて、対面腰高位になった。そして“ぬるり”とした蜜を溢れさせているラムの秘所に、あたるは自身の逸物を押し当てた。

「…ダーリン、ウチに…意地悪…ばっかり、する、から…だから…」

「…あんな悪趣味なもん…置いてったのか?オレの寝言でも…録音しようと思って?」

「だって…ダーリンから…帰って来い、って…言って…くれない、んだもん…」

「オレが…ああ言わなかったら…ずーっと…帰って来んつもり…だったんか?」

「…そ、んな、事…無い…あ、あ…ダーリン、が…入って…くるっちゃ…」

「…隣に、な…」

「…隣、に…?何だっちゃ?…」

「いや…何でも…無いっ…」

ラムのナカを往復し、擦り上げるあたる。生のままの交わりで…ふたりは気が遠くなりそうな…気がした。

「…ウチ、は…隣に、ダーリンが…いない、と…寂しい…っちゃ…」

「…んっ…」

ラムの両足が伸ばされ、あたるの頭上でふるふると震えている。

「あぁあんっ…い、いき、そう…だっちゃぁ…ダーリン…ダーリン…!」

緩やかに反り返り、頭を左右に揺らすラム。シーツをぎゅっと掴んで、股間を力ませる。その力みがあたるを絞って、ラムとの接合をより深く、早く、していった。

若いエネルギーがふたりをより奔放にする。1度、2度と、ふたりは絶頂を迎えたが、ふたりの体力は並みではない。それからも違う体位、愛撫の仕方で、夜のとばりがすっかり下りる深夜まで…ふたりは抱き合った。熱く、そして激しく。


それからしばらくの間、ふたりは互いが隣にいなかった時間を埋めるかのように、毎晩、熱気を飛ばして、抱き合った。ラムはあたるに攻められるだけでは飽きたらないのか、自らも積極的に、あたるを攻めた。

ラムのたっぷり濡れた陰唇が、あたるの逸物裏を擦り上げる。互いの体液の匂いを発散しながら、あたるの逸物を胸で挟んでしごき上げたり、口唇で愛したり…と、ラムの行為は至極積極的だった。

そして明け方近くになって、ようやく眠りに就くふたり。だからうっかり寝坊をし、慌てて身づくろいをして学校へ行く事も、何度かあった。

翌日が日曜の晩も…ふたりは激しく身悶えするセックスに興じていた。

「ダーリンッ!ダーリン、ダーリン、ダーリーーーーンッ!!」

あたるは熱いものをラムのナカに注ぎ、ラムは幾度かあたるによってオーガズムに達していた。そして、今夜も…明け方近い時間に、ふたりはようやく眠りに就いた。

ラムが先に静かな寝息を立てて眠りに入ると、あたるはその顔を見ながら、ぼそっと呟いた。

「…こーして…ナニしとるのももちろんいいが…何ちゅーか…いつも…隣におらんと…」

そして眠っているラムの頭を軽く撫でながら、言葉を続けた。

「…隣におらんと、何というか…落ち着かん…というか…そこにあるべきもんが無い、みたいな…」

するとラムは「うーーーん…」と言って、寝返りを打った。

「…わっ…びっくりさせおって…。ホントに寝てるんか?ラムのやつ…。に、しても…」

それからあたるは、天井に向って話し掛けた。

「…こういう時も、いっつも隣におるからなぁ…。何ちゅーか…いないと…不自然なんだよな…。ま、あんま深い事考えると、ややこしいからな…もうやめとくか…」

そして翌朝は日曜日である。あたるがシャワーを浴びて、次にラムがシャワーを浴びた。あたるはUFOの冷蔵庫を物色して、地球人が食べられそうなものを探していた。それから少しして、ラムがシャワーから出てきた。すると…。

“…何ちゅーか…いつも…隣におらんと…”

「うわっ!ラムーッ!!またオレの声録音しとったんかっ!!」

「あ、あはははっ、たまたまだっちゃ、たまたま〜。きっと気が付かないうちに、スイッチ入ったんだっちゃ〜」

「…それにしては、ずいぶん至近距離から録音してるっぽいが?」

「きっとベッドの傍に置いといて、忘れてたんだっちゃ〜、あはははは〜〜」

それからしばらくして、再生が終り…音声が最初の方に戻ると…。

“あぁ、あぁ〜ん!ダーリン、ダーリン!ダーリーーーンッ!!”

「ちゃっ!!ウチの声だっちゃ!!」

ラムは慌ててボイスレコーダーのスイッチを切りに、機械のところまで飛んでいった。が、あたるの方が一足早くレコーダーを手にした。

「ほほ〜、ラムの声まで入っておるとは…。これはオレが預かっておくぞ♪」

あたる、にやけた表情になり、レコーダーをトランクスのナカに入れて、さっさと私服に着替えてしまった。

「あーもー!ダーリンの〜〜、バカーーーーッ!!」

「ばっ、ばか、今放電すなっ!アホーーーーーッ!!」

そう、小型ボイスレコーダーを下着の中に入れていたあたる、ラムが放電すると同時にそれを取り出し、放り投げた。感電したそれは、間も無く“ボンッ”と音を立てて、爆発してしまったのだ。

「は〜〜…危ね〜な〜…ったく、あれがパンツの中で暴発しとったら、どーなると思っとるんじゃっ!!」

「あ、ごめんちゃ、ダーリン。あんな爆発したら…きっと〜…大変な事になってたっちゃ…」

「当たり前じゃーーーーーーっ!!」


そしてまた、いつも通りの毎日が始まった。

「しのぶー!竜ちゃーんっ!ランちゃーん!サクラさーーーんっ!そこの彼女ーーー!お茶しよっ!映画行こっ!」

「ダーリンのぉぉーーーーーっ!!浮気者ーーーーーっっ!!」

走るあたるをラムが追い掛ける。そしてあたるを捕まえ電撃をかます。そう、逃げたり追いかけたりを繰り返す毎日だが。同じ街に、地球の上に、ふたりがいる。お互いがいつでも隣にいる。

ケンカして姿が見えなくなっても。同じ空気の中で、ふたりは隣合って生きている。いつも隣に。いつでも、隣に。

--- E N D ---

あとがき


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