ねことおおかみの夜〜月夜の亜空間〜


「ダーリン…ダーリン…うふっ、くすぐったいっちゃ…やんっ」

「今夜は…満月だろ?」

「満月の、夜は…ダーリン、狼になる…っちゃ…あんっ…噛んじゃイヤ…だっちゃ…」

「…狼は、獲物を…食っちまう…そうだろ?」

「ウチ…ダーリンの、獲物け?」

「…そーゆーこと…」

「こんなにおとなしい…あ…あんっ…獲物…いないっちゃ…よ…う、んっ…」

「お前こそ…くすぐったかろーが…あんま、舐めるなよ…」

「ウチ、猫だもん…ダーリンの…猫だっちゃ…にゃーん…」

「…何を言っとるんじゃ…アホ…」

上半身を起こしたあたるの肩に手を掛けたラムが、半分ふざけながら彼の顔をちろちろ、ぺろぺろと舐めている。そんなラムの後頭部にあたるも手を伸ばし、彼女のカラダを軽く引き寄せた。

「にゃ…ん…んっ…んふぅ…ダーリン…」

最初突付く程度だった舌同士は、やがて淫靡に絡み出した。時々あたるはラムの首筋や肩に軽くかじりついて、赤い跡を残していった。

「…アホ、くすぐったいだろ…」

「狼も…ここは弱いっちゃ…うふっ…」

ラムがあたるの耳を口唇に挟んでねぶったり、耳たぶを軽く噛んだりする。たまに耳元で「にゃおーん…」と、ふざけて囁く。

満月の夜はいつもより心臓の鼓動が早まる気がする。ラムの官能的な表情があたるの男の部分をいきり立たせ、しかし繋がる前にもっと色んな表情を見たいと思わせる。そんな…満月の夜。

「ウチね…ダーリンの…もっと…弱いところ…知ってるっちゃ…はぁ…はぁ…」

「…それって…どこ、だよ…」

「…んっ、ふぅ…ここ…だっちゃ…」

ラムの片手があたるの下半身に滑り込むと、あたるの動きが一瞬止まった。

「…そろそろ、いいか?」

「ダーリン…もっと、キスして…。それから…だっちゃ…」

「…ラムだって、もう…ガマン出来んくせに…」

満月の夜。あたるの部屋でもUFOでもない場所で、ふたりは月の白い光を浴びながら…戯れていた。

銀色に光る草むら。その柔らかな草のベッドの上で、ふたりの心臓の鼓動が早鐘のように鳴っていても、不思議と急いたりせずにいられた。そして静かな心持ちで、一体になる前の前戯を、あたるとラムはじゃれ合い楽しみながら行っていた。

「…ダーリン…好き…」

ラムはそう言うと、あたるをころりと押し倒して、強く口唇を組み合わせた。胸と胸を合わせ、深い深い口づけを交わすふたり。いつものように互いの口内を舌で舐め合い、舌同士を結び合い、唾液という媚薬でほんの少しずつ気持ちを昂ぶらせていくあたるとラム。

カラダは既に準備万端だったが、ふたりはディープなキスに夢中になっていた。そしてラムは時々ふざけて、キスを解いてはあたるに向って猫の鳴き真似を囁いていた。

「オレに…狼の真似でもしろって言うのか?」

「ウチはダーリンの…獲物なんだから…。ウチの全部…ダーリンのものだっちゃ…」

満月の光を浴びながらそんな会話をしているふたりの頭に…狼の耳と、猫の耳が生えてきている事に、まだあたるもラムも、気付いていなかった。


その日の夕方、学校の帰り道。

「そういえば…今夜は満月だったっちゃ」

「満月がどーしたんだ?」

「年に1回、秋の満月の時期にだけ開く亜空間があるって聞いたっちゃ」

「ちょうど十五夜の頃か?」

「だっちゃ。ウチもまだ行った事無いけど…不思議な空間だって。あのね…恋人達の…穴場だって…話だっちゃ」

「…穴場…か…うーむ…。まさに…オレにとっては“穴場”だろーなぁ…いてっ!」

「もうっ、すぐにエッチな事考えるんだから、ダーリンはっ」

「それじゃあ他にどう言え、っちゅーんじゃっ」

「“じゃあそこでデートするか”とか、もうちょっと言い方があるっちゃ!」

「じゃあそこで…するか?」

「何で“デート”が抜けるっちゃーっ!バカッ」

「アレ以外に何があるとゆーんじゃっ」

「たまにはお月見デートだけで、ゆっくり過ごす、っていうのもいいのに〜」

「…ラムはそれだけで…いいのか?…オレはいやじゃ」

「だって他に誰かいたりしたら…無理…でしょ?」

「だったら別にそんな場所行かんでも」

「年に1回なんだから、試しに行ってみたいっちゃ」

「…まだ夜まで時間があるか…というわけで、オレはガールハントに行ってくるっ!」

「あーーーーっ!!ダーリンッッ!!…んもーーーー!バカーーーーーーーーッッ!!!」

脱兎の如くラムの目の前から走り去っていくあたる。その後姿を唖然として見送るラム。

「ダーリン、待つっちゃーーーっ!!」

と、ラムが飛ぼうとしたその時。

「ラームちゃ〜ん♪今帰り?」

「あ、ラ…ランちゃん…う、うん、今帰りだっちゃ」

「ダーリン、相変わらずねぇ〜。ねぇ〜ところで〜ラムちゃんは今夜行くの?」

「ど、どこに?」

「んもう〜わかってるくせに〜♪年に1回開く“恋人達の亜空間”よ」

「ん〜〜、ダーリンがあんなだから…行くかどうかわからんちゃ」

「あんなぁ、ラム…もし、その亜空間でワシとレイさんに鉢合わせしたとして、や。お前もしかしてそれが目的とちゃうのかっ!?」

「目的って?」

「ははぁ〜〜読めたで、ラム〜〜…おんどれ、わざと行くかどうかわからんよーな事言うといて、実はワシとレイさんのデート邪魔しよ、思とるんやろ!?そやろ!?」

「誰もそんな事言って無いっちゃ!」

「もし〜ワシとレイさんがいいとこまでいったとして、や。もし邪魔なんぞしよもんなら〜〜お前とは一生絶交じゃっ!」

「だーかーらぁ、ウチは邪魔なんかしないって言ってるっちゃ〜」

「ホンマか?」

「ホントだっちゃ〜(あーもー、ランちゃん相変わらずだっちゃ〜)」

ラムはランの、相変わらず的外れな読みに、げんなりした表情になった。それとは対照的に眉を吊り上げラムを牽制する様子のラン。

「ところでな、ラム。知っとるか?その亜空間で結ばれたカップルはな〜一生別れんそうやで」

「ホントけ!?」

「せやから、ぜーーーーったいにっ!ワシとこの邪魔すなよっ、わかったんかっ!?」

「だから邪魔なんかぜーーーーったいにっ!しないって言ってるっちゃ〜」

それを聞いたランはニヤリと笑うと、「わーーーーはっはっはっは!」と、いつもの高笑いをし始めた。そして大股歩きになり、げんなりしたままのラムを置いて、前をずんずん一人歩いて行ってしまった。

「はあぁぁ〜〜〜…疲れたっちゃ〜〜…」

そしてラムは疲れた表情のまま、ふらふらと低空飛行しながら帰って行った。


そしてその夜。夕食と風呂を済ませたラムとあたるは、例の亜空間ポイントと思(おぼ)しき場所へとやってきたのであった。

周囲に誰もいない事を確かめると…早速軽いキスを交わし始めたふたり。それからしばらくして…。

「ラム…お前、もしかして…頭のそれは…猫の耳…か?」

「え?…あ、ダーリンの頭にも…それって…狼の…耳…け?」

「…何を落ち着いとるんじゃっ!」

「きっとこの亜空間ポイントのせいだっちゃ」

「“亜空間のせいだっちゃ”ではないわっ!これは一体どーゆー事じゃっ!」

「あははは〜〜…ま、まさかこうなるとは…思ってなかったっちゃ」

「おまっ、お前なぁ〜〜〜っ!…どわっ!もしかしてそれは…尻尾、かっ!?」

「ダーリンのも…尻尾みたいだっちゃねぇ〜」

前戯の途中でようやくふたりは互いの異変に気が付いたのだ。頭には動物の耳が、そして尾てい骨辺りには尻尾が生えており、それを見たあたるは、がばっ、と起き上がるとラムの肩を掴んでゆさゆさと揺さぶった。

「こんな事になるとは聞いとらんかったぞっ!」

「ウチだって」

「どーして前もって調べておかんかったのじゃ!」

「だってぇ〜〜ランちゃんからもそんな事聞いて無かったし…あっ、ダーリンッ!」

「もしかしてランちゃんもここに来とるのかっ!?」

あたるは目にも留まらぬ早業で、さっさと服を着ると、半裸のラムを置いて走り出していた。

「ダーリンッ!どこ行くっちゃーーーーっ!!」

「ランちゃんを探すに決まっておろーがっ!」

「(大変だっちゃ〜、ランちゃんに見つかったらえらい事になるっちゃ!)ダーリンッ、待つっちゃーっ!!」

そしてラムも急いでビキニを身に着けると、電撃を落としながらあたるを追った。

「ダーリンッ!うちに帰るっちゃーーーっ!!」

そしてあたるに追い付いたラムは、タックルで彼を捕まえると、超強力な電撃をお見舞いした。亜空間に響くあたるの雄叫び。そして煙を吐いてぐったりしたあたるを引きずり、亜空間の出入り口から、ラムのUFOに戻ったのだった。

「いきなり何すんじゃいっ!しかもUFOに戻ってきてしまったではないかっ」

「ランちゃんの邪魔しようなんて、考えるからだっちゃ。それよりダーリン。耳と尻尾消えてるっちゃ」

「…ラムのも消えてるな」

「やっぱりあの亜空間のせいだったっちゃねぇ」

「あのままあそこにいたら、本当の猫と…狼になってたのか?」

「ちょっと待って。調べてみるから」

コンピュータで例の亜空間について、ラムが調べてみると。

「その時の心理状態に応じて…それに合った動物などに変身します、って出てるっちゃ。ふーん…変身するのは途中までで…いつもとは違う…野外プレイ…が、楽しめます…」

「つまりあそこにあのままいても別に良かった…というわけか…」

「…そうみたい…だっちゃ…」

「だったら…あのまんま…で…なぁ?」

「ランちゃんの邪魔しようとしたくせにっ」

「まーまー。あれは条件反射、っつーか、なぁ?」

「なーにが“なぁ?”だっちゃ!ダーリンの…バカッ」

「何じゃ、人を何かっつーと、バカバカ言いおって…」

「ふんっ…だってバカだから、バカって……ダーリン?」

ツンとしてあたるに背を向けたラムだったが、背後のあたるの様子が少し違ってきた事に気付いたラム。はぁはぁ、と荒い息遣いが聞こえてきたのだ。

「…どうしたっちゃ、ダーリン?」

そしてくるりとあたるの方を向き掛けた、その時だった。

「ちゃっ!」

「い、今頃になって…何だか…たまらんよーになってきた…」

そしてラムを背後から抱きかかえると、あたるはラムを下にして、ぱたりとベッドに倒れ込んだ。

「何だか、カラダが…熱いんじゃ…どういう事じゃ…」

あたるの息遣いは相変わらず荒いままだ。そしてあたるは次の行動に出た。ラムのビキニのトップに手を掛けると、力任せに剥ぎ取ったのだ。

「どうしたっちゃ、ダーリンッ?」

「だから、もー辛抱たまらん、と言っとろーがっ!」

あたるはもどかしげに自身のシャツを脱ぎ、ズボンも下着も脱いだ。そして一糸まとわぬ姿になると、ラムのボトムもブーツもいつもより少し乱暴に脱がした。

そして…いつもより荒っぽいキスをしてきた。

「んっ、んんっ!」

あたるの力任せの行為に、ラムは少し驚いたようだ。顔をしかめて、強引とも言えるあたるのキスを受け、貪るような愛撫にカラダを緩く仰け反らせた。

「あっ、あぁっ、ダーリン…い、やぁ…あ、あっ、あっあぁっ、あぁんっ!」

いつもより…荒っぽいとはいえ、ラムは確実に感じて、身をよじりながら喘ぎ声を漏らす。

「…ひぁっ、んっ…あんっあんっあんっあんっ!…感じっ、ちゃうっ…っちゃぁっ!あぁあっあぁんっ!」

あたるの口唇が吸い上げた乳首が、ぴくぴくと震えている。あたるはラムの乳房を緩く掴むと、その先端を舌先で何度も転がした。ラムの乳房の弾力を確かめるように、手のひら全体で揉み込むあたる。指の間からはみ出した硬く尖った頂点を、きゅっ、と絞っては再び口に含む。

「ダーリンッ、ダーリンッ、ダーリーーーンッ!!」

あたるの唾液や互いの汗でべとべとに濡れたラムのふくよかなバスト。ラムはそれだけでも軽くイッてしまいそうだった。

「あんっあんっ!ああんっ!ダーリーーーンッ!!」

息を荒げて愛撫を続けるあたる。片手をラムの“穴場”へと差し向けた。ごわつく恥毛は既に…ぬるりとした愛液にまみれていた。柔らかな肉の谷間に…指先を滑り込ませる。とろとろにとろけたラヴ・ジュースが…その手を濡らす。

「だめぇ…んっ…あぁあぁっ、ぁあっんっ!」

ぐちゅりとしたラヴ・ジュースの原泉を指先で探っているうちに、あたるの手にはたっぷりのジュースが絡み付いていた。原泉を…探り当て…指を挿し入れ…ゆっくりと掻き回す。すると、ラムのカラダがびくびくと小さくのたうって、軽いオーガズムに達したようだ。

「…あ、あ…あ…」

声にならない声を漏らし、あたるに身を任せるラム。あたるの逸物は…既に硬く大きくなってそそり立っていた。それでも息を荒げつつ、ラムを焦らすあたる。

(あと、少し…)

ラムの両足はM字に開かれ、いつでもあたるを受け入れられる態勢だ。指をくわえ、シーツを掴み、ラムはあたるを待っていた。ねだるような潤んだ瞳があたるを覗き込む。

「…ダーリン…早く…」

あたるはラムを焦らした。手を添えた逸物をラムの谷間に宛がいながらも、なかなか入れようとしない。じれったい様子のラムは、ひと言こう呟いた。

「…ダーリンの…意地悪…」

--- To be continued. ---

(「ねことおおかみの夜2〜美味しい関係〜」につづく)

あとがき


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