ぬくもり(後編)


「んっ、んっ、んふっ…ん…ん…んっ…んふぅ…ん〜、んっ…んっ…」

ラムのくぐもった声があたるの下半身側から聞こえてくる。興奮したあたるもラムの陰部を口唇で激しく愛撫する。ラムの蜜があたるを濡らす。

すんっ、とした女の匂いのするその体液を口唇に絡めながら、卑猥な形をしたラムの谷間を舌で、唇で割り開き、陰核からヴァギナのすぼんだ口、そしてアナルまでを万遍なく舐め尽くすあたる。

性感帯を引っ切り無しに攻め立てられているラムも、鼻息を荒くしながら、あたるの逸物を口内の奥まで飲み込み、また引き返す事を繰り返した。

あたるの部屋に、男女の交合の淫音が静かに響き渡る。時々ラムがうめきながら、あたるをしゃぶり尽くしている。

やがて、熱く硬く太くなったあたるの逸物からスペルマが放出された。それをラムは飲み込み、あたるの逸物を口から“ちゅるり”と出した。そして今だ続いているあたるの行為でカラダを仰け反らせ、艶かしい女の声で、身悶えした。

「あぁんっ、あんっ、やはっ…あっ、あっ、ぁあっ…はぁ、はぁ、はぁ…あっ、いっ、イイッ…ダーリン…イイッ…いっ、いっ…ウ、チ…あぁぁあぁぁんっ!!」

ラムの下肢がぶるぶると震えて、彼女は軽いオーガズムに達したようだ。すると蜜の量が先より増えて、ラムの股間のぬるつきが増した。

「ダァ、リンッ!ウチの事…もっと、もっと…もっとぉ…!!」

泣き声にも似たラムの悶えが、一層激しさを増した。そして堪らなくなったラムは、再びあたるの逸物をしゃぶりだした。直に活力を取り戻すあたる自身。

やがてあたるはラムをコロリと転がして、片足を持ち上げ、側臥位で挿入した。ぬっちぬっち、と淫水と肉が絡み合う音がする。

「ラムッ…ラムッ…!」

「ダーリンッ、ダーリン…ダーリーーーンッ!!」

互いを呼び合い、目くるめくような快楽の中で果てても、ふたりは再び、三度(みたび)と交わった。若さゆえの暴走なのか、それとも、愛欲の果てにあるものを見たいがために…こうして抱き合い続けるのか。

それは当のふたりにも…よくわかっていないのだ…。


そして翌日。学校帰りのラムに声を掛けてきた者がいた。昨日ラムをお茶に誘ったショウという少年だった。

「何だっちゃ、まだ何かウチに用け!?」

「冷たいんだなぁ、昨日お茶飲んだ仲じゃないか、ねぇ、ラム」

「馴れ馴れしいっちゃねぇ。ウチにはもうダーリンがいるんだからっ!」

「そんなに怒るなよ。また今日もデートに誘いにきたんだ」

「そういう事は前もって約束するもんだっちゃ」

「今日いいだろ?それともこの後用事でも?」

「用事があっても無くても、もうお前と付き合う理由なんか無いっちゃ!」

「冷たいなぁ。ね、いいだろ?ラムを見てると飽きないしさ、すっごく美味しいケーキの店、知ってるんだぜ」

「ウチは甘いものはあんまり食べないっちゃ!」

「だったら何がいい?お汁粉でも食事でも何でも付き合うよ」

「だからもう付き合わない、って言ってるのに!しつこいっちゃねぇ〜。あんまりしつこいと電撃お見舞いするっちゃよ!」

「電撃お見舞い?…ああ、そっか、ラムは地球人じゃないもんね。昨日も空飛んでいった時にはびっくりしたよ」

「ウチの電撃で失神したいのけっ!?」

「それはちょっと勘弁してほしいけどさ…どうしても付き合って欲しいんだって〜30分だけでもいいからっ、ねっ、頼むよ〜」

ショウが粘りに粘ったので、ラムは渋々彼の誘いに乗る事にした。

「でも本当に30分したら、ウチ帰るっちゃ!」

ラムはショウが誘うがままに着いていった。すると街の一角にある雑居ビルが立て込んだ場所にやってきた。そのビル街の、とある建物の階段を下りていくショウ。ラムはすーっと飛びながら、彼と一緒に建物の階段を下っていった。

階段を下りると落書きだらけのドアがあった。ショウがそのドアを開けて中に入ろうとすると、ラムが言った。

「なーんか胡散臭いっちゃねぇ〜。喫茶店、って感じじゃないし、ウチをこんな所に連れてきて、どーするつもりだっちゃ?」

「友達に紹介しようと思ってさ、ラムを」

「ウチは中になんか入らないっちゃ」

「そう言うなよ、友達だろ?俺達」

「誰と誰が友達だっちゃ!図々しいっちゃ」

「どうしても嫌?」

「嫌だっちゃ」

「どうしても?」

「だっちゃ」

「ふーーーん…」

ふっ、と鼻を鳴らし、にやっと笑いながらショウが扉の中に入った。そしてドアの内側からラムを見て、こう言った。

「君のダーリンがどうなっても?」

「どういう事だっちゃ?」

「自分の目で見たらどう?さ、中に入って」

「だからどういう事だっちゃ…あっ!」

ラムが中を見ると、そこには…あたるがいた。しかも何人もの女性に囲まれて。

「ダッ、ダーリンッ!何してるっちゃーーーーっ!!」

「げっ!ラッ、ラムッ!」

制服姿のあたるがラムの目の前で若い女をはべらせて笑っていたが…ラムが入ってくると途端に表情が固まった。

「まっ、待て、オレはまだ何もしとらんぞっ!されてもいないしっ!!」

「さ、ハーレムはもうおしまいだ。次の遊びをしようぜ。な、ラムのダーリン」

「く、く…悔しいーーーーっ!ウチがいながら、何だっちゃ、ダーリンッ!!」

「ちょっ…だからっ、この女の子達にここに連れてこられて…まっ、まだそこまでだぞっ、ホントだぞっ、それ以上は何もーーーっ!待てっ、早まるな、ラムッ!!」

ラムは仁王立ちになってあたるを睨み付けていた。と、背中に何か硬いものが当たる感触がした。

「ラム、君の背中のこれ、なーんだ?」

「…何持ってるっちゃ。…ナイフ?それでどうするつもりけ?」

「君のダーリンが痛い目に遭うのを見たくなかったら大人しく…これ以上は言わなくてもわかるだろ?」

「ナイフなんかウチに当てて〜!何が“これ以上は言わなくても”だっちゃ!」

ショウはラムの電撃の恐ろしさをまだ知らなかったから、あたるをここに連れ込んでラムにハーレム状態を見せつけ、次にあたるを仲間達で傷めつけるつもりでいた。しかもラムにナイフを当ててそれを見せれば、彼女も大人しく言う事を聞くだろう、などと思って。

だが彼がラムを見ると…薄暗い室内でラムがバチバチと音を立てて充電を始めていた。

「えっ…!?」

その場にいた少年や少女達、あたるの顔が次第に引きつっていく。あたるはラムの本気の電撃を知っていたから尚の事だ。

「ダァーーーーリンッ…このーーーっ、浮気者ーーーーっ!天誅だっちゃーーーーーーっっ!!!」

その直後、入り口のドアが吹っ飛び、その場にいた面々はラムの放電に感電してぶっ倒れた。あたるが気付けば、周囲に累々と、失神した若者達の姿が転がっていた…。

「ダーリンッ!ウチがいながら、こんな変なやつらの誘いに乗って!何してたっちゃ!どこまで何されたっちゃーーーーっ!」

「だから何もまだしてない、っちゅーとろーがっ!」

「でも何かするつもりだったんじゃないのけーーーっ!?」

「おおっ!そうだともさっ!お前が来なかったらウハウハのハーレム状態だったわーーーーっ!」

「くっ、くっ、くーやーしーいーーーーっ!!ダーリンのぉぉぉ、バカーーーーーーーッッッ!!!」

そしてあたるは再び感電させられ、黒煙を吐いてその場にばったり倒れてしまった。…いつもの事だが。

「さ、こんな所からさっさと帰るっちゃ!ダーリンッ!!」

「げほっ…」

「帰ったらまた…覚悟するっちゃ、ダーリンッ!」

そしてラムはあたるを引きずり、ふたりはその場から去っていった。少しして気付いたショウが、頭をさすりながら、ぼやいた。

「な、何だったんだ、今の……いて…いてて…」

そしてふと左手に目をやると、「あーーーーっ!」とひと声叫んだ。

「あ…これが…こんなになって…」

彼の左手首には、ラムの電撃で壊れてしまった腕時計が…ぶら下がっていた。


「もうっ、ダーリンッ!ハーレムの夢なんていい加減諦めるっちゃ!」

「いいだろ!たまにはオレがいい思いしたって!」

「ウチだけじゃあ、物足りないのけっ!?」

「バッ、バカッ!どこで誰が聞いてるかわからんのだぞっ、滅多な事言うなっ!」

「誰が聞いてたって構わないっちゃ!ウチとダーリンはーーーーっ!…むぐっ!」

「だからそれ以上言うなっ、ちゅーんじゃっ!アホッ」

あたるはラムの口を塞ぐと、耳元でこそっとそう言った。

「恥ずかしいのけ?」

「恥ずかしいわっ」

「何で〜?ウチら夫婦なのに〜」

「…誰が夫婦じゃ、誰がっ…」

「じゃあ毎晩のアレは…むぐっ」

「だからそれ以上何も言うなっ!」

「…んもうっ、ウチが窒息したらどーするっちゃ!?」

「するかっ、んなもんっ」

「でもホントーに、何もしてないのけ?何もされてないっちゃ?」

「…何も無かったわ…残念ながら…」

「なーにが残念だっちゃ。鼻の下伸ばしてっ。ウチがいなかったらあの後どうなってたかわからんちゃ」

「…ふんっ…」

そしてその夜、ふたりはラムのUFOにいた。

「ダーリン、ホントに何も無かったのけ?」

「お前もしつっこいねぇ、何も無かったわっ、ホントーに残念だったがっ!」

「じゃあ、今夜のエッチは…無しでいいのけ?」

「何でそうなるんじゃ?」

「ハーレム状態で満足したんじゃないのけ?」

「…あのくらいで…満足するかっ」

「ふふっ…ダーリン…♪」

早速全裸になったふたりは、ベッドの上で向き合った。そしてラムはふたつの乳房にあたるの逸物を挟んで、しごき始めた。

「ダーリン…気持ちいいっちゃ?」

「…ん、んな事…イチイチ…言うかっ…んっ…ラ、ム…」

「ダーリンの…硬くて大きく…なってきて…あったかくて…熱く、なってきてるっちゃ……好き…」

「ラム、は…オレの…それが…好き、なんか?…」

「ダーリンの、全部…好きだっちゃ…んっ…んっ…どう?いいでしょ?ウチのおっぱい…」

「あ…う……」

あたるの顔が火照って呆けたようになってきている。ラムのしごきに身を任せ、逸物に集中する快楽に…酔っているようだ。

「ウチ…濡れてきて…アソコが…熱いっちゃ…」

「アソコ…って…どこだよ…?」

「…言えないっちゃ…バカ…」

ラムはあたるをしごきながら、その先端にキスを浴びせた。何度も何度も。頭を口唇に挟んでぬちゅり、と舐める。淫靡な表情であたるを愛するラム。そして愛らしい舌をチロリと出して、血管の浮き出している彼の逸物をチロチロと舐(ねぶ)りだした。

「ラ、ラム…オレ、もう…う…む…」

「もうちょっと…ガマンしたら…もっと、気持ちいいっちゃよ…」

「もっ、もう…うっ…」

「ちゃっ…」

あたるの先端から噴き出したスペルマが、ラムの顔を直撃し、白く汚した。あたるの逸物も白い体液で濡れて汚れた。それをペロペロと舐め回し、ラムはあたる自身をきれいに清めてやった。

「ダーリンの、全部…あったかい…」

あたるは枕元にあったティッシュを数枚取ると、自分の体液で汚れたラムの顔を…拭ってやった。

「ダーリン、やっぱり優しいっちゃ…うんと、好き…愛してるっちゃ…。ね、ダーリン…ウチの事、抱っこして…」

「何で急に?」

「たまには…ダーリンに優しく抱っこしてもらいたいっちゃ…あったかくて、優しいダーリンに…」

「いい加減その…恥ずかしい事言うのは…やめんかいっ」

「ふふ…照れてるのけ?ダーリン」

「照れとかじゃなくて…だなぁ…ラム、お前よくそんな恥ずかしい事がいっつも言えるなぁ…聞いてるこっちが恥ずかしくなるわっ」

「だってぇ、ホントの事だもん…ね、抱っこして…ダーリン」

「…ほんじゃ、ま…」

あたるはラムが望むままに、彼女をそっと抱きすくめた。

「あったかい…ダーリン…」

「体温で、だろ?」

「そうじゃなくて…ダーリンだから、あったかいっちゃ…ぬくぬくして…いい気持ちだっちゃ…」

「そんなもんか…?」

「ダーリンはウチをあったかい、って感じないのけ?」

「いや…まぁ、あったかいと言えば、あったかいけどな…」

そうやってしばらく抱き合った後、あたるはラムとキスをし…その口唇が首筋を這って胸元まで下りていった。頭を反らして乳房をあたるに預けるラム。彼女の胸を頬張りながら、あたるは片手をラムの濡れそぼった陰部に挿し込んだ。

「ああ…あったかくて…気持ち、いいっ…ダーリン…」

あたるに腰を抱かれて、そのまま仰向けにベッドに倒れこむラム。膝を立てて彼に秘所を開放し、カラダの全てを彼に預けた。

「ああぁ…早く…あったかくて…熱い、ダーリンの、を…頂戴…」

あたるはラムの愛液でぬるつく指先を陰核になすりつけて、彼女をどんどん乱していき…つぼんだ入り口に指を挿入した。

「ダァリンの…意地悪…ウチ…それだけ、で…イキ、そう…あ、あ、ぁあ、ぁっ…」

舌同士を絡めあうキスをしながら、あたるがラムを掻き回す。ラムの下半身が…力み…ふるふると震えている。顔を少しの間だけ離して、あたるが言った。

「今ので、イッたのか…?」

「…ちょっと…だけ…はぁ、はぁ…ダーリン…」

そしてあたるはそそり立った逸物を…濡れてふやけきったラムのヴァギナに、ぬるり…と挿入した。

「あんっ、あんっ、あんっ、あんっ…熱くて…融けちゃいそう…だっちゃぁ…」

「オ…オレ、も…」

「好き…あったかくて…熱くって…あぁ…あっあっ…あっ…あっ…ウチ、の…奥がっ…熱いっ…ちゃあぁぁ…あはぁんっ…!」

ラムのナカは柔らかくて熱く、あたるにぴったりフィットし…時々収縮しては彼を優しく絞ってくれる。そのナカを往復し、ラムをイカせて自分も達したい…と、あたるは言葉にならない感情で、そう思った。

「あぁんっ、あぁんっ!あぁんっ、あぁっ、あぁっ…!あぁっ!…イッ…イキ、そう…もう、ちょっと、で…ダーリンの、で…ウチ、ウ、チ…イキ、そう…だっちゃぁ…!」

「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ、ふっ…」

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ!あ、ぁ、あ…あっ!」

ビクビクッ、とラムの肢体が爆(は)ぜた瞬間、あたるの逸物は、根元からラムに絞られた。その締まり加減で…あたるのナカに溜まっていた熱い体液が…ラムの、ナカへと…勢いよく、流れ込んで…いった…。


あたるが朝目を覚ますと、まだ隣でラムがすやすやと眠っていた。時間を見るとまだ学校へ行くまで十分余裕がある。夕べの事を思い出して、あたるは落ち着かなくなったが、(ラムのやつ、そろそろ目ぇ覚ますかな…)と思いつつ、そのカラダをそっと抱いた。

ラムからは、ふたりの体臭が入り混じった匂いがした。小さくて柔らかく、温かなそのカラダを抱きすくめていると、あたるは何だかほっとした。

「…ん…ん?…ダァリン?…おはよう…」

気付けばラムが目を覚まし、あたるに声を掛けてきた。まだ眠そうな顔をしている。

「…わっ、びっくりした…」

「どうしたっちゃ、ウチの事抱きかかえて…朝からエッチな事でも…」

「ちっ、違うぞっ、そんなんじゃないわっ!」

「じゃあそろそろ学校行く用意しないと…ウチ、シャワー浴びてくるっちゃ…ふわぁ〜…」

上半身を起こして思い切り伸びをしたラムは、全裸のままベッドから出ると、シャワーを浴びに行った。それからふたりはいつも通りに学校へ出掛け、放課後までをいつものように騒がしく過ごした。

その帰り道。ふたりは並んで帰路に就いていた。

「昨日は散々だったわ…」

「何言ってるっちゃ。鼻の下伸ばして、デレ〜〜っとしてたくせにっ!」

「その後じゃ、その後っ!あんなすごい電撃かましおってからにっ」

「だってダーリンが悪いっちゃ。簡単にあんなやつに捕まっちゃうんだもんっ」

「…ところであの男なのか?お前をお茶に誘った、ってのは…」

見るとあたるの表情が少し険しくなっていた。

「ダーリン、妬いてるのけ?」

「だ〜〜れがっ、妬くかっ」

あたるがうそぶいて見せると、ラムがふいに前方を見て、「あっ」と言った。何かと思ってあたるも前方を見てみると。そこにはあのショウという少年がいた。

「何やってるっちゃ、こんなところで」

「人を騙しておいて、何をしとるんじゃ、詫びのひとつも入れんかいっ」

「ラム、これ…」

ぶすっとしたショウが見せたのは、左手首に巻いた腕時計だった。昨日の電撃でぼろぼろに壊れていた。

「時計がどうしたのけ?壊れてるっちゃねぇ」

「ラムの電撃のおかげでこうなったんだよっ!どうしてくれるんだよっ」

「どうって言われても、お前が悪いっちゃ、ウチらを騙そうとしたんだから」

「こりゃナンパ野郎っ、お前その時計をネタに、オレ達をまたどうにか…」

「そんなんじゃないって」

ショウは何か言いたげだったが、むすっとしたまま腕時計をじっと見詰めていた。

「もしかして〜…」

「何だよ?もう騙そうなんて思ってないぜ、言っとくけど」

「それ、大事な時計じゃなかったのけ?だからわざわざこんな所まで来たんじゃないのけ?」

それを言われて、ショウはこくりと頷いた。

「だったらちょっと見せてみるっちゃ。ウチ直せるかもしれないから」

「ラムが〜?お前大丈夫か?やめといた方がいいんと違うか?」

「ダーリンッ!どういう意味け?ウチが不器用とでも言うのけっ!?」

「だって現にそうだろうがっ!」

「失礼だっちゃねぇ…ん〜でもやっぱり…細か過ぎてウチには無理みたいだっちゃ」

「だろ?」

「ダーリンはイチイチうるさいっちゃ!専門家に見せてみるっちゃ。ショウ、しばらくこれ預かるっちゃ」

「えーーー、ラムに預けるの?大丈夫なの?本当に?」

「ウチの星の専門家なら、バッチリきれいに直してくれるはずだっちゃ」

「いいよ、別に…」

「だって大事な時計なんでしょ?」

「まぁ…そうなんだけどさ…何だか心配だなぁ」

「とにかく、ウチに任せておくっちゃ」

そしてラムは彼の腕時計を預かった。

「本当に直ってくるのかねぇ…」

彼はかなり心配なようだったが、それから1ヶ月ほどしたある日。時計を預けた時に渡した住所に、金属製の小さな箱が届いた。ショウが中を開けて見ると。

「…マジかよ、すっかり元通りに直ってるよ…驚いたなぁ…」

腕時計は初めて手にした時そのままに直って、彼の手に戻ってきたのだ。そして箱の中にはメモ程度の手紙が一枚、入っていた。

【時計はすっかりきれいに直ってるはずです。それにあんなナイフより時計の方がショウには似合ってると思うので、大事にして下さい。ラムより】

「何だよ、ナイフより時計の方が似合ってるって…余計な世話焼きだよなぁ…あんな目に遭わせた、ってのにさ…くくっ…」

きれいに直ってきた腕時計をはめながら、彼はひとりそう呟いて、ふっと柔らかな笑みを浮かべた。

「…これをくれたアイツは…もうこの世にはいないけど…ラムと同じ事言いそうだよなぁ…。どっかしら似てたのかもしれないな、ラムと…アイツ…」


「こないだショウから葉書もらったっちゃ、ダーリン」

「葉書?」

「ありがとう、ってひと言だけ書いてあったっちゃ」

「ふーーーーん…」

「またヤキモチ妬いてくれないのけ?ダーリン」

「だからっ!誰が妬くか、っつーのっ」

「ね、ダーリン…また、抱っこして…優しく、きゅっ、って…」

「…そっから先は?」

「そこから先は…ウチを抱っこして、ぬくぬくしてくれたら…だっちゃ」

「…ぬくぬく、ねぇ…。お前また恥ずかしい事言うよな…よくまぁ…」

「だってぇ…ダーリンが好きなんだもんっ。ちっとも恥ずかしくなんか無いっちゃよ?ダーリンはやっぱり恥ずかしい?」

「…当たり前だ、っつーの…」

そしてふたりは…今夜も生まれたままの姿になり…互いの“ぬくぬく”した体温を確かめ合う。確かめ合った後は…。

「ダーリンので…融けちゃいそう…」

「ラム…」

「ぬくぬくして…ダーリン、あったかい…」

「…あ…」

「あったかくて…熱くて…本当に…融け…ちゃい、そう…ダーリン…」

ふたりは互いの全ての“ぬくもり”を与え合い、分かち合う。何度も何度も。そして、これからも、ずっと…。

--- E N D ---

あとがき


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