夢幻の女(むげんのひと) (加筆修正版)


その女は瞬きもせぬ。
その体からは、命の熱も、魂の気配も感じられぬ。
女は全裸にて、赤黒い血溜まりの中に横たわっていた。

“ぴちゃ…”

『大丈夫、またすぐに、起きられるから…心配いらないよ、ラム…』

女を抱き上げた男が、そう、呟いた。


「最近そのような夢を見る、というのか?」

「気味悪いくらいに、リアルで…血…の、臭いや、触った感じまでするから、オレ…もしかして…」

「しかし現にラムは…ほれ、あのようにピンピンしておるではないか。…死したものが、生き返る、などという世迷言など…。大体私は、何の妖気も、それらしい面妖な気配も感じぬぞ?やはり思い過ごしではないのか?」

「はぁ…だったらいいんだけど…」

「諸星、お主、少し疲れておるのではないか?…ガールハントのし過ぎか、あるいは…。いや、それは別としても、少々顔色が悪い。早めに帰って、たまにはおとなしく養生するのじゃな」

「サクラさんがそう言うんなら、そうするけど…。その前にそこのベッドで介抱してもらえません?」

「…人が真面目に相談に乗ってやっておれば…まったく…」

と、そこへ保健室の窓を開けて、外からラムがフワリと入ってきた。

「大丈夫け?ダーリン。それとも調子悪そうな事言って、サクラにちょっかい出しにきたんじゃないのけ?」

「オレは本当にっ、調子が悪いんじゃっ!」

「…そうけ。でもぉ、そんなにいつもと変わらんちゃ」

「あのなぁ…この顔色の悪さがわからんのかっ!?」

「…うーん、確かに、ちょっと顔色悪そうだけど…変なものでも拾い食いしたんじゃないのけ?」

「…アホかっ、ったく…」

「ま、ちょっとは調子が戻ったようじゃな。それならば、保健室のベッドで休む必要もなかろう。が、早退するならば私から担任に話しておくが、どうする?諸星」

「…うーむ…このまま早退するべきか…」

オレは腕を組んでわざとらしく悩む様子をしてみせた。そしてそのまま丸イスから立ち上がろうとした時だった。

「あ…れ…立った、だけで…急に…」

急に激しい眩暈(めまい)がオレを襲った。そしてそのまま、気が遠くなった…。

「ダーリン、ダーリン!?大丈夫け!?」

「これまた珍しい…諸星が倒れるとは…」

「何、変な感心の仕方、してるっちゃ!早くベッドに横にしないとっ!」

「あ、ああ、そうじゃった、すまん…」


『愛してる、って言ってくれなきゃ、エッチはお預けだっちゃ…』

『ラム、お前いっつも、そればっかりだな…他に言う事無いのか?』

『言わないんなら…言いたいくなるようにしてあげるっちゃ…』

仰向けになったオレの上に、ラムが甘えるようにのしかかってきた。何度もオレの唇をついばんでくる。そして口腔内の性感帯を舌で突付いてくる。“ずず…ちゅうぅ…ちゅぱっ…”そんな粘膜と唾液が絡み合った音を立てながら、オレからもラムの口腔内を、自在に動く舌先で愛撫してやった。

『…あっ、ん…んっ、んっ…ダァ…リ、ン…』

『んっ、んっ…』

ディープなキスの合間合間に、互いに声を漏らす。互いの名前を呼んでみる。

“ぬちゅ…ねちょ…ぺちょ…くちゅ…”

ねっとりしたキスの水音。舌を絡め合う濃厚な愛撫の、互いを求め合って味わう、水音。
…そういや、前にランちゃんと保健室でキスした事があったっけか…。あれはあれでなかなかだったが、ランちゃんやしのぶや、他の女とは、キスにたどり着くのさえ、そう簡単にはいかないのが現実だ。しかしラムは違った。

以前、ラムは“唇が引き付け合う口紅”を作ってオレとキスしようとした。“ダーリンちっとも求めてくれないっちゃ”なんて事を言ってたが…結局今は、キス以上の関係になった、オレとラム。

そんな事を少しの間だけ頭の片隅で思いながら、ラムの左乳房の下方に手を当ててみた。そっと握りながら、頂点に向かって手のひらを滑らせていく。
指先で…桃色の乳輪をなぞり、ほんのり赤く染まりぽっちり飛び出している乳先を、悪戯をするように指先で転がした。
ラムの甘く、か細い、官能の声が、頭を軽く痺れさせ、堪らない気分にさせる…。もちろんカラダも、正直に反応する…。

しかしオレは、本当は別の事を確認したくて、ラムの胸に触れたんだが、思っていた事とは別の行動を…してしまうんだな…これが。
そして行為の途中で、はたと気がついた。オレはてっきり、心臓ってのは左胸の方にあるとばかり思っていた。
が、何の鼓動も…感じない。急に不安が頭をよぎる。ラムはうっすら目を開けて、小さな溜息を漏らしてはいるが…。

「…どうしたっちゃ、ダーリン…」

「いや、ラムの心臓を、確かめようと…思ったんだが…」

「…ウチの、胸…揉みながら、何言ってるっちゃ…。それに心臓の位置は、もう少し…」

そう言ってラムは、オレの手に手を重ねてきた。重ねた手で、オレの手を、きゅっ、と握る。
そして、握った手を、自身の乳房の頂点に押し当て、のどの奥から艶めかしい溜息を漏らした。

こいつの手や指は…こんなに小さく細かったのか…。

やがてラムは、オレの4本の指先を揃えて、ふっくら張り出した乳房と乳房の間、肌の下に堅い骨を感じる部分へと持ってきて、軽く押し付けた。

「ダーリン知らないのけ?心臓はもう少し真ん中に近いとこだっちゃよ」

「ああ、そういや…確かに…」

神妙に、用心深く、大事なものを探り当てるように。…やがて微かだが、ようやく見つけた、ラムの…鼓動。ラムの生命を支える真っ赤な体液を全身に循環させている、コブシ大の器官の、本当に小さな、規則正しい心音が、指先に感じられた。

『ウチの心臓は、いつだって、休まないで動いてるっちゃ。変なダーリン…』

ラムはオレの胸に耳を押し当ててきた。同じように“心臓の鼓動”を確かめているようだ。

『…ダーリンのも、トクン、トクン、って…動いてるっちゃ…』

それからまたしばらくカラダを絡め合ってから、ラムはオレのモノに手を添え、対面騎乗位の体位で、オレ自身をくわえこんだ。
淫水の…ぬるりとした感触と、ラムの膣壁。体温よりも若干熱く感じるラムのナカに入ったオレのモノは…ラムのカラダの動きでしごかれたり、絞られたりし続けていた。

“ぬっちゅ、ぬっちゅ、ぬっちゅ、ぬっちゅ…”

本当に…ラムは、いい女…だ。このままずっと抱いていたい…とさえ、時々思う。他の男に興味を持たないラム。オレ一筋のラム。オレのどこがいいのか、それは聞いた事が無いが…。
オレの上で、顔を歪めながらカラダを揺らしているラムに…オレは、何の気無しに、聞いてみた。

『ラムは…オレの…どこ、が…いいんだ…?』

ラムは激しい喘ぎ声を漏らしながら、カラダを上下に動かしている。オレの声は…聞こえたんだろうか。

『はっ、はっ、はっ、はっ…あっ、あっ、あっ…あっ、あっ、あぁっ…!…ダー、リン、のっ、…全、部っ…い…いいっちゃ…はっ、はっ、はっ、はっ…』

やがて、ラムの下半身のしごきで、オレはもう限界になった。カラダの1点に集中した快感の高みに昇り詰め、溜まりに溜まっていたものが怒涛のように、一気にオレのナカから噴き出した。

『…あ…う…ラ、ラム、ぅっ…』

『ダーリンッ、ダーリンッ、ダーリンッッ!!』

オレの上で、ラムは後方に仰け反り…カラダを震わせ、アクメに達したようだ。ラムが上半身を仰け反った状態から真っ直ぐに立て直し、それから“カクン…”と前方にカラダを傾けた。長い髪が“パサリ…”と肩口から落ち、ラムは両手をオレの脇に着いた。

“ぐちゅ…”ラムのカラダの動きで、ふたりの接合した部分から、淫水溢れる陰部で肉が蠢く音が…小さく聞こえた。
ラムは、今の行為で…息が荒い。真っ赤になって汗を噴き出させながら、荒い息を吐(つ)き続けている。

『…ダーリン、ウチの、こと…好き、って…言って…。そうじゃなきゃ…ウチは…』

“ガッ!”

突然、ラムの手がオレの首にかかった。…いや、確か、いつも…こんな事があったかも、しれない…。

“ギリギリギリ…”

『…ウチの、こと…好き?…愛して…る?…ねぇ、ダーリン……それとも、ウチが…地球人じゃないから…嫌い?』

まだラムと繋がったままのオレの首に…ラムの両手が、かかっている。その顔は、今にも、泣きそうだ。

『地球人だろーが…そうじゃなかろーが……げほっ…』

『…いつも聞くのに…ダーリンの、意地っ張り…頑固者っ…』

『だ、から…言った、だろ?…いまわ、の…際、に…と……ごほっ…』

『…ホントけ?…本当、に…?』

その言葉と同時に、ラムはオレの首から手を外した。だが、顔はまだ泣きそうなままだ。

『…げほっ…あー、苦しかった…だから言ったろ?…前から何度も。それとも何度言っても、忘れるのか?ラムは』

『前に言われた事なんて…憶えて無いっちゃ…ウチに、理解出来るのは…今、言ってくれた事だけ…』

『…どうして?…もしかして、夢の中のラムだから、か?』

『…ねぇ、いまわの際…だったら、どっちの“いまわの際”でも…いいはずだっちゃ…そうでしょ?ダーリン』

『…それは、そうだが…だけど、まだ早い…だろ?』

『ふふっ…夢の中で早いも遅いも…無いっちゃ…。この中じゃ、ウチもダーリンも…ずーっと、死なないんだし…』

『つまりオレも、夢の中だから、普通の人間じゃない、って事か?』

『…そういう事…だっちゃ…。ウチを、食い尽くす…魔物…それが、ダーリン…』

『…オレには…よく、わからんが…』

『だって、現に…ほら、ダーリンの手…ウチの胸に、当ててみて…』

オレはラムに言われるまま…右手を、ラムの胸に…。すると…。

『…あっ…ああっ…げほっ…ダーリンッ…』

オレの手は…ラムの胸部中央あたりからカラダの中へと、まるで吸い込まれるように…やすやすと入っていった。
人間の体内を見た事も触った事も無いから、中がどうなっているのか、まったくわからないが…ラムの胸の内側で手のひらを閉じかけると…コブシ大ほどの塊を掴んだ。規則正しく波打つ…ラムの心臓を。

『その、まま…一気…にっ……ダー、リンッ……ウチ、の…こと…好、き…?』

『ラムッ…』

“ずるっ…”

オレは思わず知らず、右手をラムの胸から引き抜いていた。まだ温かく、脈打つ肉塊が、ラムの胸から出てきた。と、同時に…大量の、真っ赤な、体液が…溢れる。

『ウチ…の、こ、と…好…き…?…ダー…リ、ン…』

『…オレ、は…ラム、を……それより、ラム…お前は、オレが…こんな事しても…それでも…?』

まだ生温かい血溜まりの中で…ラムが息も絶え絶えに…オレに、言った。

『…も、ちろ、ん…ダァ、リ…ン…が、魔、物…でも…人間…で、も…どっち…で…も…好……』

『…ラム…』

オレはオレの胸の上で息絶えたラムを、仰向けにして、こんな言葉を…そう、いつも夢の中で言っていた言葉を、かけた…。

『また…すぐに、起きられるさ…だから、心配するなって…』

瞬きせずに開かれたままのラムの目が、オレを…じっと見ている。

『ラム…』

オレは、鼓動を失ったラムの隣に横たわり…そして、眠りに就いた…。


「う…い、てて…」

「…ダーリン?ダーリン?目、覚めたけ?」

「…あ…ここは…?」

「保健室だっちゃ。さっき急に倒れたから…まだ寝ぼけてるのけ?ウチがわかる?ダーリン」

「あ…ああ…ラム…だろ?…ラム?」

「何、変な顔してウチを見てるっちゃ。散々心配かけといてっ」

「…何じゃ…やっぱ、夢…だったんか…」

「夢?」

「いや、何でも無い…」

今の夢もリアルだったが、目の前には現実の…制服姿のラムがいる。心配そうにオレの顔を覗き込んでいる。
しかし、今、目の前にいるラム…こいつは、本当のラム、なのか?
いくら夢とはいえ…あんな夢ばっか見てたんじゃ、疲れて当然だな…やっぱ今日はもう帰るか…。

「オレ、もう帰るわ…。ラム、お前はまだ残ってていいぞ」

「ひとりで帰すの心配だから、ウチも一緒に…」

「大丈夫だって…子供じゃあるまいし…」

「う、ん…でもなるべく早くに帰るっちゃ。ダーリン、気を付けて…」

何と無くすっきりしない気分のまま、オレは帰路についた。

「あら、どうしたの?こんな時間に帰ってくるなんて。サボってきたんじゃないでしょうね?」

「違うよ…学校で倒れたから、早退だって、早退…」

「あらそう…あんたにしては珍しいわね…。お昼はどうする?残り物くらいはあるけど」

「いや、いい。オレ、ちょっと寝るわ…」

「あんたが具合悪くて早退するなんてね…何も無きゃいいけど…」

母さんは、冗談なのか半分本音なのかわからない事を小声で言うと、奥の台所へと入っていった。

「オレが具合悪くなったら、そんなに変かよ…ったく、母さんも、ラムも、サクラさんも…はっきり言うよなぁ…」

とか何とかぶつぶつ言いながら、オレは自室に行って、明るいうちから布団に入った。だが、さっき寝たばかりだし、時間も時間だ。しばらく天井をぼんやり見て時間を潰していたが…次第に意識が…朦朧と、してきた。

「…あんま、寝るのは…気が、進まんが…」

けれども睡魔には勝てず、いつの間にか、部屋の光景は視界から薄らいでいった…。


『う…ん…ダーリン…』

『目、覚めたか?ラム』

『おかしなダーリン。ウチはいつでもずっと起きてるっちゃよ?』

『だけど、今少しだけ、眠ってただろ?』

『そうなのけ?ウチはちっとも憶えてないっちゃ』

ラムが浸っていた血溜まりは…いつの間にかすっかりきれいに、消えていた。

『ちょっと、変な臭いがするっちゃ…。鉄臭い、って言うか…血の臭いみたいな…』

『…色々してれば…そんな臭いもしてくるだろ…』

『ウチがさっき、ダーリンに噛み付いたから?…あ、血が出たのけ?もしかしてそれの臭い?』

『噛み付いた?…あれ?ああ、そんな事もあったか?…確かにオレの首から血が出てるな…小さな傷もあるみたいだし』

『ウチがさっき、噛み付いたからだっちゃ…思いっきり…くすっ…』

『噛み付くのと、背中思いっきり引っ掻くのだけは…なるべくやめとけよな…いつも言ってるだろ?』

『ねぇ、ダーリン』

『何だ?』

『ダーリンは…夢の中でこうして…何度でも起きるウチと、現実にいるウチの…どっちが、本当は好きなのけ?』

『へ?…だってお前…さっきは憶えて無い、って…』

『ふふっ…本当は、ぜ〜んぶ、憶えてるっちゃ…ねぇ、こうして何度でも“いまわの際”を繰り返しても平気なウチと…1回きりの現実のウチと…本当はどっち?』

『…どっち、と言われても…なぁ…。だけどお前…本当に、本当の…ラム、なのか?』

『…さぁ…』

『さぁ…って…』

『ダーリンだって、普通の人間じゃないくせに…。ウチが何度でも起きる事知ってて、いつも同じ事、するくせに…』

『オレは…普通の人間…地球人だぞ?ラムだって普通の人間…ま、宇宙人だけどな』

『本当はそうじゃない事も…知ってるくせに』

『それはともかく…この夢は、いつまで続くんだ?オレが…ラムへの気持ち…を、口にしたら、お終いになるのか?』

『…さぁ…』

『オレな…いい加減、ちっと疲れてきたんだが…現実と、夢で、ラムと…だろ?』

『確かに疲れるっちゃね』

『お前もオレみたいに、現実にいるラムと関係あるのか?』

『関係あるような…無いような…あっちは気付いて無いみたいだけど…』

『どういう事だよ?』

『…お互いに、夢の魔物同士だから…本当は、現実にいるウチも、わかってるはずだっちゃ…それに、ダーリンも、どうしてこうなったか、本当は知ってるはず…だっちゃ』

『うーむ…まったく、わからんのだが…』

『そんな事より、ダーリン…また、いつもみたいに…する?』

『…だからそれも…いくらわかってるとはいえ…疲れてきた、と言っただろ?』

『…だっちゃね…たまには、現実のウチと…たっぷり楽しんでくるっちゃ…それじゃあ、おやすみ、ダーリン…』

『あ、ああ…』

けれども結局その晩も…。

『…オレも、ラムも、魔物…ねぇ…。あまり実感が無いが…。しかしまた直に…起きられるからな…。だからいつもみたいに、何も心配する事なんて、無いさ…ラム…』


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最近、現実のラムは、オレに対してあまり求めてこない。…って事は…やっぱり夢の中のラムも、現実のラムも、同じ“ラム”って事なのか?だったらこのオレ自身は?

…正直オレは…夢と現実に挟まれたような、こんな妙な世界を行ったり来たりしているうちに…次第に疲れを蓄積させていった…。


「ダーリン、本当に顔色悪いっちゃ。大丈夫け?」

朝の寝起き、オレは体を起こしたはいいが、布団の中でぼーっとしていた。ラムが言った事は聞こえた。が、それに返事をするのも、しんどかった。

「やっぱり変だっちゃ。今日はお休みした方がいいっちゃ」

風邪というわけでも無いが、とにかく疲れていた。…このオレが、疲れてる?今まで大概の無茶や、ラムの電撃を浴び続けたり…こいつとの、夜の時間を数え切れないほど重ねてきても、あまりそう感じた事の無い、このオレが?
結局その日は、母さんにちょっとした嫌味を言われたが、学校は休む事にした。

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「諸星が休むとはな…やはり疲れが溜まっていたのであろう」

「雨フラシの時みたいな事も無さそうなのに、今朝のダーリン、ちょっとやつれてたっちゃ」

「…しかし、何事も無ければ…良いのだが…」

「どうしたっちゃ、ウチの顔に何か付いてるのけ?…もしかして、サクラは何か知ってるんじゃ…?どーもおかしいっちゃねぇ…ダーリンもサクラも、ウチに何か隠してるみたいだっちゃ」

「い、いや、そんな事は無いぞっ」

「でもサクラ、何でそんなに汗かいてるっちゃ、暑くもないのに」

「だ、暖房のききすぎじゃ、暖房のっ」

「…やっぱり変だっちゃ、サクラも、ダーリンも」

(諸星が見た夢の話など、ラムに聞かせられるわけがなかろうが…しかし一体、どういう事じゃ?諸星に何が起きておると言うのじゃ?)


オレはあまり眠りたくもなかったので、布団に横になったまま雑誌をめくったりして、ゴロゴロしていた。昼過ぎ頃になって、思ったより早く、ラムは帰ってきた。

「ダーリンが心配だったから、ちょっとウソついて、早退してきたっちゃ」

「…別にそんな事せんでも…」

「お母様は?」

「さぁ…ちょっと出かけてくる、と言ってたが、まだ帰ってないみたいだな」

「お昼ご飯まだでしょ?」

「あーいい、いいって。何もせんでもいいからっ」

「そんなに露骨に嫌な顔しなくたって。味のしないお粥くらい作れるっちゃ」

「…ホントに〜?」

「そんなに心配なのけ?」

「…当たり前じゃ…」

「だけど休んでただけあって、顔色良くなったみたいだっちゃ。お腹も空いてるでしょ?」

「ああ、まぁ…な」

「ウチが作るのが心配だったら、近くで見てたらいいっちゃ。起きられる?」

「ん、まぁ、今朝よりかは、かなりマシになったかな(あの夢を見なかったからだろうな、多分…)」

「だったら明日は学校行けそうけ?」

「まぁ、多分行けるとは思うが…(同じ夢を見なければ…まぁ、大丈夫だとは思うが…)」

オレは台所のイスに座って、ビキニにエプロン姿のラムが料理(らしき事)をするのを、見ていた。

“ガチャガチャ、ドンガラガッチャンッ!”

「(…相変わらず、騒々しいな…)…おい、ちょっと焦げ臭くないか?」

「あれ?あ、お鍋に水が足りなかったっちゃ」

「…やっぱオレ、いいわ…」

「焦げたところ取れば十分食べられるっちゃよ」

「…いや、そーゆー問題ではなくて…」

「残りご飯と水しか入れてないっちゃよ?」

「塩は?」

「だって辛いの嫌なんじゃないのけ?」

「お粥には塩っ気が必要なのっ!…あーーっ!バカッ!!そんなにいっぺんに入れるヤツがあるかっ!!」

「だって塩気が必要だって言うから。うん、ウチにはちょうどいい味だっちゃ」

「…あのなぁ〜…」

「あ、そう言えば、お母様が病人にはリンゴがいい、って前に言ってたっちゃ」

「お前は包丁なんぞ持たんでいいからっ!」

「ダーリンも随分心配性だっちゃねぇ」

「いや、だからそういう問題では…」

「ちょっと待つっちゃ、今リンゴむくから。…ちゃっ!」

「どした?」

「痛〜い…ちょっと指、切ったっちゃ」

「やっぱ言わんこっちゃない…どんだけ切ったんだよ?」

「このくらいだけど、バンソウコウ貼ってくるっちゃ」

ラムの指先から…極わずかだったが、血が滲み出してきている。それを見た途端、オレは…。

「…あ…」

「どうしたっちゃ、ダーリン。急に固まったりして。ウチなら大丈夫…ちゃっ…ダ、ダーリン…」

オレは咄嗟に、血の滲んだラムの指を、口に含んでいた。少しの間、ラムの指をしゃぶっていたが…全身が、熱くなってきて…矢も盾も堪らず、こんな明るい時間だという事も忘れて、オレは…ラムの唇にむしゃぶりついていた。

「んっ…んんっ…」

突然の事に、ラムは少し驚いたようだ。が、間も無くオレの首に腕を回してきて、互いに舐め回すような、激しいキスを…続けた。

「ただいまー。あら、ラムちゃん帰ってるのー?」

母さんの声に我に返ったオレとラム。慌てて離れると、何事も無かったかのように、ラムは流し台に戻り、オレはイスに腰かけた。

「あら、何だか焦げ臭いわね…あらあら大変、お粥が焦げてるじゃない」

「お母様、ごめんなさい…だっちゃ。後始末しとくっちゃ」

「だったらあたるに食べさせたらいいわ。あんたなら食べられるわよね?あたる?」

「…そんなの、食えるかっ…」

「あら、そう…もったいないわねぇ…」

「まったく、病気で休んだ息子を何だと思っとるんじゃ…オレ、部屋に戻るわ」

「…あ、それじゃあ、ウチも…」

オレとラムは、2階の部屋に戻ってきた。

「いくら何でも、さっきのは…ちょっとびっくりしたっちゃ。それに…まだ、こんな時間で、お母様もいるし…」

「…ラムのUFOに…行けば、いいだろ?」

「…こんな時間…から?」

「…嫌なのか?」

「…え…ううん、ちっとも…。ダーリンが、そう言うなら…。でもぉ…」

「他に何か?」

「…学校休んだくせに、あっちの方は…元気なのけ?」

「…そりゃ、まぁ…若いから、な…」

「それじゃあ…UFO呼ぶっちゃ…」

そしてラムが窓の外に呼んだUFOの中へと、オレ達ふたりは、吸い込まれていった。


「…んもう…ダーリンたら…昼間っから、エッチなんだから…体の具合は…もう、いいのけ?」

一糸まとわぬ姿で、ふたり並んで横たわった白いシーツの上。半身を起こしたオレは、ラムを上から覗き込みながら、うなじに手をやり、髪をかき上げ、白い首筋に吸い付いた。

「やんっ…もうっ…くすぐったいっちゃ…ダーリンの…エッチ…ふふっ…あんっ…耳、は…」

ラムの耳たぶをしゃぶり、外耳の淵をくわえ、軽く息を吹きかけながら、そこからうなじにかけて、オレはキスを繰り返した。何度も何度も。
ラムの薄くて白い首筋。その下は薄っすら鎖骨が浮き出している。そして、そのすぐ下の、ほど良く張り出している、ラムの乳房。

「初めて会った時から、グラマーだとは思っとったが…前よりちょっとデカくなったか?」

「ダーリン、知らないのけ?…揉むと大きくなる、って…でも、もしかしたら、今、アレの前だから…張ってるせいかも…だっちゃ」

「そういや揉むとデカくなると、よく聞くよな…つまり今は張ってるか、もしくはオレがデカくしてやった…っちゅー事か?」

「あんっ…そんなに握ったら…今張ってるから、ちょっと痛いっちゃ…。ダーリンが、色々たくさん、エッチな事ばっかり、ウチにするから…」

「するから?」

「最初の時より…上手くなったでしょ?色々…」

「ん…そうだな…」

最初の時より、確実に“オンナ”になってきている、ラム。とても高校生とは思えないな…。って事は、こいつとしょっちゅう、こうしているオレも…高校生らしからぬ大人の“オトコ”…なのか?ラムはその辺、どう見てるんだ?

「なぁ、ラム。オレも色々と…上手くなってるだろ?」

「…何言ってるっちゃ…そんな事、今更聞かなくたって…ウチ、見てれば…わかる…でしょ?」

ラムの乳先に軽いキスをする。何度も何度も。そうやってこいつを…焦らしてやる。たまにフェイントをかけるようにして、カラダの各所にタッチしてやる。腰だったり、脇腹だったり、陰毛繁る柔らかな丘だったり…まぁ、色々だ。

「ダーリン…ダー、リン…くすぐったくて…あんっ…気持ち…いい…っちゃ…あ、あ…あ…」

軽いスキンシップの間に、オレ自身が…硬く、熱くなっていく。

(そろそろ…本格的に…いくか…)

くねくねとカラダを揺らしているラムの陰部の狭間に、指を挿し入れた。“ぬるり…”そこはもう、ねっとりした淫水で潤っていた。
…いや、待て…何かが、いつもと、違う…。

「ラム、お前、やっぱり…アレ、だったんか?」

「…え?」

オレがラムの愛液だと思っていた体液は…メンスの赤い色…を、していた。それが、オレの指先に…絡み付いている。と、オレの中の何かが…ざわついた。そして指先をラムの目先に持っていき、そいつを見せた。

「あ…ホントだっちゃ…。ダーリン、ウチ…」

「どうした?」

「その、色…臭い…どこかで…」

「え?…どこか、で…?」

「…現実の中のウチも、ダーリンも…“いまわの際”は1度きりだけど…」

ラムが、ラム自身の血の付いたオレの手を握って、じっと見つめている。もしかして…オレが見ている夢の中身を、知っているのか?

「…夢の中なら、ウチは、何度でも…起きられる…。そうでしょ?ダーリン…」

「ラム、お前…知ってたのか?オレが見る夢の事…」

「だって、いつも夢の中で寝て、また起きるウチも…今ダーリンの目の前にいるウチも…同じ、ウチだもん…」

“どくんっ!”

正直、今の言葉で頭を殴られたような気がした。というより、自分の血が全部、頭に集まって、そこから一気に抜けて…そのまま気を失うんじゃないか、と、本当にそう思ったのだ。

「え…」

「今まで忘れてたけど…その色見て、今、思い出したっちゃ。ねぇ、ダーリン…その色で…ウチの事…ウチのカラダ全部…汚して…」

「いや、しかしそれは…。いつもやめてただろ?これの間だけは…」

「今日は心配しなくても…大丈夫…な、気がするっちゃ…。ウチを、信じて…ね、ダーリン…」

「ラムがそう言うなら…」

何故か、ラムが言う通りにするのがいいような…そんな気が、した。そしてオレは…。


その後は、ただもう、無我夢中でラムを抱いていた。いつものように。いや、いつも以上に…だったかもしれない。

「ああっ…ダーリン、ダーリンッ…ダーリン…」

柔らかなラムのカラダが、ぬるりとした赤い色で染まっていく。白いシーツもいつの間にかその色に染まっていた。

「ウチをもっと…汚して…その色で…あ、あ、あぁっ…!」

ラムのカラダの表面を、微電流が走っていく。パリパリ、パチパチと乾いた音を立てて。オレは自分自身が見えないが、手のひらや腕は、ラムの色に染まっていた。鉄分の…臭いがする。夢の中で感じた、あの臭いと、同じだ。

骨が入ったように硬くなったオレ自身。が、オレがなかなか前戯から先に進まないので、それに気付いたラムは、素股でオレのモノを挟み込んできた。

「…あっ…んっ…やっぱり…入れにくい…っちゃ?ウチが…こんな時じゃ…」

「…あ、ああ…やっぱ…いつも、と…勝手が、違う…から、な…」

「…ウチ、が…うんと…締め、付けて…あげる…っちゃ…だから…それで…」

その言葉の直後、はぁはぁ、と息を吐(つ)きながら、ラムは自分の腰の下に手を入れた。そして何かを握って、オレの前に拳を差し出してきた。やがてゆっくり開かれた手の中にあったもの、それは…。

「…ツノ?」

「…はぁ、はぁ、はぁ…ダーリンが、大事に持っててくれた…ウチの…ツノ…だっちゃ…」

ラムがそれのひとつをオレの口に宛がった。それを口にくわえると、まるで…ラム自身を全て口に含んだような、気がした。

「ほら、ダーリンが大事に持っててくれた…ウチの一部分…。こうして見てると、ウチがダーリンに丸ごと食べられてるみたい…だっちゃ…ふふっ…」

ラムはそう言って軽く笑うと、柔らかく厚みがあり、あの体液でぬるぬるした陰部の狭間に、オレをしっかり挟み込んで、内ももを力ませたり力を抜いたりしながら、腰を動かしてオレのモノを…上下に擦りだした。

ラムの陰毛までがぬらぬらと濡れているのが、わかる。それがぺとりとオレのモノに張り付きつつ絡んでくるので、妙にくすぐったい…。そして早く達したい欲求で、オレの腰も自然と動き出した。

“ずちゅ、ぐちゅ、ずちゅ、ぐちゅ…”

いつもより濃いような、淫水のねっとりした音がする。左右から締め付けてくるラムの狭間で、オレはオレ自身の先端やくびれ、肉茎部分で、こいつのクリトリスを激しく擦り上げながら、いわゆるマンズリ…ってやつを、続けた。

オレはラムのツノを口にしたままだ。前歯で軽く噛んで落とさないようにしながら、ラムの姿…こいつの悶える“オンナ”の姿を、見続ける。
赤く染まったラムは、同じく赤く染まったシーツをぎゅっと握って、オレを締め付けつつ、高みに達しようとつま先までを懸命に力ませている。

「ああっ!もっと…もっと…!ああんっ!そんなにっ、そこ、擦ったら…い、やぁ…あ…あ…あぁっ!」

火が着いたようにスパートをかけるオレ。ラムの胸が、目の前で不規則にぶるんぶるん揺れている。

「ナ…ナカじゃ、なくても…す、ごいっ…っちゃ…ああんっ!…と…飛んじゃうぅぅっ…!」

「…うっ、くっ…」

「…あ、あ、あ、あ、あ、あぁあぁああぁんっ!…いっ、くっ…!…っちゃあぁぁっ!!」

オレはラムの熱い襞にしごかれて…達した。ラムも脱力し、今まで力ませていた内ももを、小刻みにふるふると震わせている。

「…ああっ…ダーリン…大好き…」

もうひとつのツノは、ラムの手の中だ。思わず知らず、その手に、手を合わせた。指と指を互い違いに組んで握り合うと、その中に、確かに、硬いツノの手応えがあった。
手の中のツノと…オレが口にくわえているツノ。オレはラムの唇に、くわえている方のツノを、キスの要領で軽く押し当てた。

“ちゅっ…ちゅぱっ…”

オレが押し当てたツノをラムは軽くしゃぶり、いつもと違う“ツノを介した”妙なキスをした。だが、オレは確かに…いつもより、感じていた。
無言のまま、ラムとオレは、ゆっくりねっとりしたキスを、味わうように続けた。ツノを包して握り合った手の中が…汗ばんで、熱い。

“ちゅうぅぅ…ちゅぽんっ…”

…一体どのくらいの時間が経ったんだろう。唇を離した途端、くわえていたツノが脇にころりと転がった。汗と唾液とラムの体液と…その他の水分で、カラダはすっかりベタベタになっていた。
ラムは…オレの顔を見て、にっこり笑うと、こう言った。

「本当はね…ウチのツノ…ずーっと大事に持っててくれたから…ダーリンがウチの事、好きだって言ってくれなくても…その時、全部、わかったっちゃ…」

「…だったら、何で、あんな夢を…」

「やっぱり心のどこかで、聞いてみたい、って、思ってたから…。ウチにテレパシーがあるの、知ってるでしょ?」

「面堂が持ってた、四次元カメラの時だったか?確か…」

「そんなに強くないけど…」

「そうだよなぁ…まぁ、テレパシーで何でもわかっちまうのも…ちっと困るけどな」

「やっぱりそう言うと思ったっちゃ」

「…こうして改めて見てみると…夢ん中のラムと…ちょっと似てるな…カラダ中赤いとことか」

「でも、ウチはこうして、息してるし、生きてるっちゃ。ほら、心臓だってちゃーんと動いてるし」

「どれ?」

「…あんっ、あんまり握ったら、今おっぱい張ってて痛いから…」

「あ、悪い…」

「こんな風になってても、ちゃーんと生きてる、って分かって、安心した?」

「もう、1回こっきり…だろ?」

「…だっちゃ…くすっ…。でもダーリン、やっぱりすっごい頑固で意地っ張りだっちゃ」

「…何を今更…」

「だって、ウチが何度夢の中でああなっても…結局1回だって、“好き”って言ってくれなかったんだもんっ」

「…あんな状況で言えるかっ…」

「もしウチがあのまま目を覚まさなかったら…どうするつもりだったのけ!?」

「けど、現にラムはこーして生きてんだろーがっ。オレを試すのもいいが…ほどほどにしとけ…心臓に悪いからっ」

赤く染まったまま、ラムはいたずらっぽい笑みを浮かべた。そしてオレは内心…本当に、心底、ほっとしていた。

「もうあんな夢は、ごめんじゃ…疲れるからな、思いっきり。それよりお前、シャワー浴びてきた方が良くないか?」

「だっちゃね。ダーリンも一緒に入る?」

「…いや、一緒に風呂は、いい…。いや、やっぱ一緒に…」

「どーしたっちゃ?」

「いや…何でも無いぞ、何でも」

「ふーん…それじゃあ、シャワー浴びて…シーツも洗わないと」

「ところで…やっぱ今から1週間は…ダメだよな?」

「今日だけ特別だっちゃよ。夢の再現と認識…そしてお互いが夢から解放されるように…こうしてみたんだから」

「で、その方法が何でわかったんだよ?」

「ウチの赤い色見たら、何と無くわかったっちゃ」

「で、ツノは何の意味があったんだ?」

「現実だって事を実感するため、だっちゃ。今日はたまたま持ってただけだけど」

「…おい、ラム…って事は…オレの机の引き出しとか…見ただろ?」

「もしかしてまだ持ってるかなぁ、と思って、ダーリンいない間に。探すのにちょっと時間かかったっちゃよ。色々あったから」

「あのなぁ…人のモンを勝手に見るな、っちゅーんじゃっ!!」

「色々あったっちゃねぇ♪アレとかぁ、アレとか…あ、あとアレも♪」

「…もういいわっ…」


あれから1週間が過ぎた。その間、確かにあの夢はまったく見なくなった。しかしひとつだけ、気になる事があるのだ。

「なぁ、ラム。お前、夢の中で、オレの事“魔物”とか言ってただろ?」

「“魔物”?…ああっ、そう言えば、そんな事言ったかもしれないっちゃ」

「誰が魔物だよ、誰がっ!」

「だってダーリン、いつだってウチの事、隅から隅まで食べちゃうし…地球人なのに、ウチの相手、まともに出来てるし…それより何より、底無しで、宇宙イチの煩悩持ちだもんっ、フツーなわけ無いっちゃ」

「それじゃあ、ラムはどーだってゆーんだよっ」

「だからウチも、同じだっちゃ♪こうやって〜ダーリンを〜隅から隅まで…ふふっ♪」

「西洋にそんなのがいる、って話は、ちらっと聞いた事あるけどな…お前まさか、吸い尽くしたりとか…しないよな?」

「ダーリンこそっ。ウチが骨だけになってもいいのけ?」

「いや…それは困る…」

「ウチはダーリンじゃないと、ダメだし…ダーリンもウチじゃないと…ダメでしょ?」

「…ハーレムの夢も捨て難いが…」

それを言った途端、ラムが頬を膨らませた。いつもの事だと言うのに…まったく。

「また、あの夢、見てみるけっ!?」

「だからそれはもういいって…オレがやつれて倒れたら…こーんな事も出来んのだぞ?」

「…あっ…んっ…これ以上、ウチの、胸…大きくする…つもり、け…?…あっ、あんっ…」

そしてその後は…くんずほぐれつしつつ…オレはラムのナカに、熱い流れを注ぎ込んだ。それを常に吸収するラムは…日々、違う顔を見せてくれる。そして少しずつだが、確実に“オンナ”として、成長していっている…。
夢、幻ではない、現実の中で。

…って事はだ。このまま“無限”に成長してったとしたら…ラムは一体、どんな女に…なるんだ?歳とっても、こんな感じだろうか?…それとも今より…すごくなってんのか?
…まぁ、どっちにしても、普通の…って事は、無いだろうなぁ…近い将来、子供が産まれたとしても。

…いや、ちょっと待てよ…。西洋のその手の化け物同士だと、確か…そういう事をしても、繁殖しないという話をちらっと聞いた事があったな…。だから人間を相手にして繁殖するとか、何とか…。

オレは極フツーの地球人だ。そしてラムも超能力持ちの宇宙人だが、フツーの人間だ。魔物、っちゅー事は無いだろ?もし本当にそうだとしたら…そう遠くない未来になっても、子供が産まれんかもしれん、っちゅー事か?

いや、んなわけ、無いよなぁ…はは、はははははっ…。

「ダーリン、何さっきからひとりでぶつぶつ言ってるっちゃ?子供がどーとか、魔物がどーとか?」

「…どわっ!びっくりさせるなっ!というより、人の独り言を勝手に聞いてるなっ!」

「だって聞こえるくらいの声で喋ってるんだもん。聞きたくなくても、聞こえるっちゃ」

「何でも無いぞっ、何でもっ」

「子供が産まれないとか何とか…ああっ、もしかして、西洋の魔物の話け?それならウチもちょっとだけ学校の図書室で本読んだっちゃよ」

「いや、別に…そんな事、言っとらんぞっ」

「そんなに心配だったら、今すぐパパになってみるけ?」

「アホかっ!まだ高校生だぞっ!?…いや、って事は、ちゃんと出来るようにはなっとる、という事か?」

「当たり前だっちゃ。毎月ちゃーんと、アレがあるんだし」

「…そ、そうか…」

「それよりどうしてゴム無しで大丈夫か、ウチに聞かないのけ?いっつも…ウチのナカで…なのに、ダーリンは“おかしいなぁ”とか、思わないのけ?」

「えっ、いや、その話はもういいっ…いいからっ(これ以上突っ込まれたら、今すぐ結婚だの何だの、言い出しそうだからな…いや、いずれそのうち、そーなるだろーとは、思っとるし…デキない理由は、まぁそのうち聞いてみようとは、思っとるが…)」


「で、先般の夢は、ラムの能力のせいだった、というわけなのじゃな?」

「まったく人騒がせ、っちゅーか、本人にも最初自覚が無かったんだから、オレにわかるわけ無いじゃないですか」

「で、その後はまったく夢を見んようになったわけじゃな」

「おかげでこっちは、ひどく疲れてガールハントし損なうわ、寝不足で温泉のヤローに廊下に立たされるわで、いい迷惑だったよ…」

「…何も寝不足は夢のせいだけではあるまい?…もう夢は見んのであろうが?」

「あ、いや、えーっと…まぁとにかくっ!最近は毎晩ハーレムの夢で忙しくやってますからっ。それじゃっ」

「ちょっと待て、諸星」

「…サクラさん、まだ何か?あ、デートでもキスでも結婚でもっ!サクラさんからのお誘いならば今すぐ何でもアリでっ!!」

「バカモノがーーーっ!!……あ、しまった。ラムとの時にきちんとしておるのか、もう一度言って聞かせようと思ったのじゃが…つい足が勝手に動いてしまったではないか…いつものクセで」

…サクラさんの事だから、きっとどーせ、ラムとの事であれこれ言うつもりだったんだろう、と、オレは学校周辺の林になっている木の1本に引っ掛かりながら、そう思っていた。

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そしてその晩。

「あれ?父さんと母さんは?テンもおらんじゃないか」

「ああ、ダーリンが帰ってくる前に、ふたりとも出かけたっちゃ。テンちゃんも」

「どこに?」

「年末の福引で旅行が当たったとかで、今晩留守にするって。で、テンちゃんは…チョコレート1枚あげて、友達のところに行ってもらったっちゃ♪」

「いや、いつもと変わらんだろ?わざわざそんな事せんでも」

「だって〜たまには〜、本当のふたりっきり…で、ね?お風呂も今夜なら、誰にも遠慮なくふたりで入って〜…で、色々…出来るっちゃ…ちゃっ♪」

ラムがそう言うのを聞いているうちに、オレの口内に唾が貯まってきた。そしてそれを“ごくり”と飲み下した。

「お湯のせいでいつもよりビリビリするけど…どうするっちゃ?ダーリン…」

「…うーむ、何かこう、段々と…」

「段々と?」

「…段々と、フツーじゃなくなってってないか?オレ達…まるで、何ちゅーか…エロ漫画か、雑誌か…或いは…」

「いいんじゃないのけ?」

「…お前、随分…軽く言うなぁ…」

「…ダーリンだって、ちょっと変なプレイとか…好きなくせにっ」

「…それじゃオレがまるで変態みたいではないかっ…」

「だったら…これ書いてる本人に文句言うのが、一番手っ取り早いっちゃ」

「いや、別に、文句言うつもりも無いが…」

「ウチもそうだけど…」

「そ、そうか…そんなら、まぁ、ちらっと、風呂でも…入るか?」

「食事は?」

「…いや、それはいいっ」

「そう言うと思って出前頼んでおいたっちゃ」

「…それもまた、やけにあっさりしてるな…今までだったら、かんしゃく起こしとったくせに」

「地球人の体質と、ダーリンの口に合う料理作れるようになったら、ちゃーんと食べてくれる?」

「その前に包丁くらいちゃんと使えるようになっとけ。あと料理焦がしたりしないようにっ」

「うふっ♪ダーリンもちょっとだけ、素直になってきたみたいだっちゃねぇ♪」

“現実”の中のオレとラムのやり取りは、ちょっとずつだが、変化してきたんだろうか?ただ、現実の中でオレ達がどんなに変化していこうとも…“いまわの際に言ってやる”ってのだけは…夢の中でも、現実の中でも、オレは曲げる気は無い…つもりだ。

--- E N D ---

あとがき


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